暗闇にカーテンコールが鳴り響く。
今の俺はしがない大道具係・・・学んだことは大量にあったが・・・いつかはあそこに。舞台の真ん中に・・・。
立っていたい・・・。
そのレベルまで自分を偽るために・・・。
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これは、自分の嫌な記憶の話。
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俺は航空写真の後味が悪い感覚をフラッシュバックさせながら目が覚めた・・・いや、意識が覚醒した。恐らく赤ん坊から今世は始まったらしく俺は眩し過ぎて目が開けたくても開けられない状態になっている。
・・・ずっとこのままってわけじゃあないようにして欲しい。
とりあえず、今後の方針を決めるため俺は手を動かしてみる。
やってみた結果、重力が五倍にでもなっているのか、その行為すらもすらも重くだるく感じられた。
それから、声を出してみる
・・・あーやら、うーとか言えない。
現在の状況が分からないので、動き回ろうとする。
そしたら、なにかやわらかい布で覆われているようで動き回ることが出来なかった。
辛うじてまともに機能するのは聴力だけ・・・周りの音から察するに、俺と同じような赤ん坊が多数、それに大人の存在・・・ここは病院のような施設なのか?
そしてこれらの事から、俺の今後の方針が決まった。
まず、俺の前世で出来た行動を出来るようにする。そうしたあと、この世界の技術、知識を得る。
といった方針をとることにした。
このままでは不便で仕方がない。それに、神様の言う通りこの世界のことを知らなさ過ぎる
。動くのはいいがこのままでは先の見通しがつかず、無駄死になってしまう。
どの世界にも未練はない、いつ死んでも構わないいのだが絶対に生きる努力はする。それが俺の流儀だ。
そんなことは置いといて・・・。
どれほどの時間が過ぎたのか分からなくなるほど眠った俺はいつの間にか退院していた。
何故なら少し動くだけでかなり疲れるので一時間周期に動く、寝るを繰り返していたから正確に時間はわからない。退院するころには俺は、とりあえず両手でじゃんけんが出来るぐらいの手先の器用さと、言葉を取り戻していた。
そして、退院と同時に一つの心配事が生まれた、それは俺の今世の家のことである。
俺は寝ている時にベビーカーらしきものに入れられたらしくそれを引いている人の顔も見れない。
つまりは心配事だらけである。
そしてやることもないので寝ていることにした。
目が覚めて、俺は柵の中に入れられていた、これは・・・閉塞感によってかなりの心理的圧迫を受けるな・・・。
とりあえず、人を呼ぼう・・・どうやって?
・・・柵でも叩いてみるか。
ガシャンガシャン!
あ、足音が近づいてる・・・。
「どうしましたか?・・・って私は赤ん坊相手に何を言っているのでしょう?」
「いや、そういってもらえるとこちらもたすかる。」
「」
ん?あれ?発音が悪かったか?この体はまだ慣れていない部分があるから、どうしても片言になってしまう・・・仕方ないよね?っていうか、ここも日本語をつかえるのか・・・。
「どうしたんだ、たいちょうでもわるいのか?」
「キィャァァァァァァァァシャベッタァァァァァァ!!」
「いやそこまでおどろかなくても・・・。」
「え?・・・これ、世界仰○ニュースにしらせ「ないでくれ、確実に面倒なことになる」」
その世界仰天ニュースとやらは知らないがニュースと銘打ってることは絶対に不特定多数の人間の目に触れるだろう。隠密は自身の身を守るために必要なのにそれを捨てるわけには行かない。
「はぁ・・・おれはこのせかいにきてから、ひがあさい・・・だからしつもんにこたえてほしい。」
「・・・分かりました、私は赤ちゃんを世話するのは初めてでして・・・あなたのような人でしたらこちらの気も楽でいいです。」
と、少し安心したような表情で答えた
「へえ・・・そう、じゃあしつもんそのいち。だいたいよそうはついてるけど、あなたはおれのしんぞく、つまりははおやか?」
「・・・いいえ、私はあなたの奥様に雇われた・・・お手伝いさんみたいな立ち位置です。」
やはりか、なんか態度がよそよそしいと思ったんだ、後はこの体の直感。
「なるほど、つぎのしつもんおれのなまえは?」
「・・・奥様が名づけたお名前は、康一・・・相澤康一です。」
「そうか、それならおれはそれをじしょうしよう。」
なるほど、俺はかなりのいいところに生まれてきたらしい、お手伝いさんに全てを任せる金と俺を放任する性格のいいところだな。
「あの・・・。」
「なんだ?」
「あなたは何でそんな喋れるのですか?普通喋れるのは一歳ごろだと記憶しているのですが・・・。」
「ああ、このようなからだになってしまったが・・・いや、まえおきはいい、おれは転生させられたんだ。」
「転生?あの輪廻転生の転生ですか?」
「ああ、そうだとおもう・・・もくてきがいっさいみえてこないのがしんぱいなんだが。」
そう、俺はどれだけ考えてもあの神様?(そう仮称する)がなんでこの世界に送り出したのかが分からないのだ、分かればそれを回避またはそれを承るかの選択も出来たはず。
「そうですか・・・お困りになりましたらすぐ呼んでくださいすぐに駆けつけますので。」
「え?なんでだ?」
「その体では満足に動くことも出来ないでしょう?それに・・・」
「それに?」
「それが仕事ですから。」
と、普通の返答をされて俺は少し戸惑った。俺のようなイレギュラーに何にも動じず返答したのだから、かなりのリアリストか混乱し過ぎて逆に冷静になっているのか、はたまたどうやって俺を売り飛ばそうとしているのか考えているのか。
そんなくだらない思考を一瞬で切り替えて対話にリソースを割いた。
「・・・そうかいそれじゃあ、おれはあんたにたよらせてもらおうかね、ああそうだ、しゃべりすぎてねむいんだ、できるかぎりしずかにしてくれ。」
「かしこまりました。」
俺は、久々の会話に(といっても一週間ていどだが。)口周りの筋肉が非常にまずいレベルで疲れた・・・いや痛い。
だからもう一度俺は寝ることにした。