自分が削れていくのがわかる、ISを装備していつも感じる全能感と高揚感、脳内麻薬の発生機関がぶっ壊れたような感覚。それが100、200と増えていくたびにその感覚が何倍にもなっていく。
どうしようもなく「そう」しなければいけない状況で、俺は最後に意地を張っていた。
「やれる。否、やらなければいけない。」
そんな感情が押し迫っていた。たぶんこんなに冷静になれるのは、きっと最後には皮肉に死んでいくのだろうと分かっていたからだと思う。
だから、俺はこれを押し通すんだ。
「俺はお前らなんか大っ嫌いだ、俺の人生をめちゃくちゃにしてくれやがって。」
思ってもいないことを言っているのだと、俺の相棒は分かっているのだろうか?俺の心にはこいつらの感謝しかない一瞬でも俺を理解してくれる可能性を見出してくれた。それだけで十分なのだ。
「出会ってからなにもいいことがない、この厄病神め!」
最後に、本当に言葉にしてもいいだろうって?無理だ、そんな資格俺にある訳がない。
「根本からお前が居ること自体が間違っていたんだ、お前なんて生まれて来なければ良かった!」
そう、最初に言った俺とエネの関係。どこまでも機械みたいな人間と、どこまでも人間みたいな機械。
ただ、人間である事を求めた機械みたいな人間。ただ、機械である事を求めた人間みたいな機械。酷くねじ曲がって自分の姿すら見失っていた一人と一機は、それこそ賢者の贈り物のように「譲り合って何もなくなってしまった」
他の者は馬鹿だと罵るのだろうか?それとも愚かだと嘲笑するのだろうか?
「畜生……………お前となんか出会わなければ良かった」
この言葉達の意味をどうか知っていてほしい、知らないということは、彼女が最も嫌う形である、人間みたいな機械にさせてしまっているのだから、彼女には大きな迷惑をかけたから、俺がいなくなった後ぐらいには自分のなりたい姿になってしまえばいい。
「だから、さようならだ。」
俺が俺じゃなくなる感覚がもう、末端から末端までに行き届いて脳に酸素すら回らなかった。思考や感覚も感じられなくなって、最後にここで俺は死ぬのだと悟った。
いや、ここで死ぬことを現実感と共にあった訳ではない。と言うか現実感なんてないし俺に主体性と言うものがあったためしもない。
自立して考える点においてはまだ機械の方が扱いやすいと思うくらいに、俺は余計な事を考え余計な事を起こしすぎた。
まあ、なんと言うか。楽しかった人生だったよ。