「なんてね?」
今は、先ほどカメラに手を振ったところより少し後。この俺が早々に退場するわけがないじゃないですか。俺はIS分身(ゲスト出演)を引っ込めさせてそういった。今ではこう着状態になっていた外の様子も…………いや、まだまだこう着状態にある
「ハプニングが過ぎたな。まさかマミーもいるとは。」
お前が篠ノ之束をマミーと呼ぶとは。冗談でも気持ち悪い。しかしそれ以上に気持ち悪いのはマミーの技術力平気でエネの処理能力を越えてきて、多少強引な手段になる。まあ、強引になるとその分復旧に時間がかかるし、もう俺はここですべての力を使い切るつもりだったのであまり関係なかった。
「あいつ出して。」
「了解だ。」
さてもう少し、俺の千変万化に付き合ってもらおうか。俺は頭の中に黒く染まる自分を思い浮かべた、あのISは便利だからね。
「終焉の者」
そして何より今の俺にとってまばゆい光が俺を包む。背部の巨大スラスターが小さくされど大きな力を持って唸りを上げた。
そして、世界が加速する。視界の中心は遅く外側は異常なまでに早い。だが顔に当たる風はなく、それがいっそう外は死であることを確認させた。
俺は目標を発見。手を伸ばして届く距離にいたのはラッキーというかご都合主義か?
何でもいいからそのISの一部をつかんで再加速だ。
そして、部隊から引き離す。橙と黒のISを!理由としてはラウラのAICは面倒すぎるしデュノアの娘っ子は武器庫としても優秀だからだ。
「はぁろー!」
驚いた顔、その顔を見たときに。相手に不快感を与えるようなに、片側の口角が釣り上がった。そして、距離を見計らい手を離した。
「康一!」
「やほー。ちょっと俺と踊ってくれんかね?」
そして二人の思考は戦闘用のそれに変わった。けど、もうこれは戦闘、戦いではない捕食で今の状況はもはや蟻地獄にはまったアリだ
「ッ!?」
二人が声にならない悲鳴を上げる。理由は簡単いきなりISが消えたからだ。
その前に、小さな楔を打ちこみIS自体にエネが干渉して装備解除させたからだが。当たり前のように二人の体は重力の呪縛に囚われて、真下に引きずられる。
「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」」
「おお、いい絶叫だな。」
それを空中でキャッチ。気分はまるでモビルスーツの手のひらに乗せるときのようだ。米俵のように抱え込んでいるからそこまで感じないけど。
「ハッ…………ハッ…………!?」
デュノアの娘っこは呼吸を整えるのに必死で周りに気を配れない。対してラウラのほうは呆然として静かになっていた。
「エネ、処理よろしく」
「わかってらい」
地表ぎりぎりまで降下して、二人を降ろす。もう一回ぐらいいけるか?時間と、自分の能力を比較して脳内であらかたの計算をする。
「もう二回、確実に成功させる。誘拐犯 相澤康一の誕生だぜ?」
それが限界だ、終焉を使うたびに頭が心臓に呼応してきゅっと締め付けて来るようだからね。
ゆっくりとゆっくりと、蝕むように終焉を迎えて行く。セラフィーナには悪いけど、名と相性がいいのはどうやら俺の方かも知れない。
◆ ◆ ◆
「ふう、一丁上がり!」
華麗なまでに6機を強奪。それが今日の戦果だ。カゲアカシについているアクセサリーも重すぎて笑えない、だが各部に付けているアクセサリーのアンバランス感では腹を抱えて笑えそうではある。
一説によると、アクセサリーをジャラジャラと付けている奴は精神的な安定を求めているらしい。そう考えるなら俺はもう俺という存在は希薄で存在しているのかすら怪しいのだろうか?
「康一…………何で君はこんなことをするんだい?」
力を「使えない」とは言え大きなそれを手に入れて俺は狂ってしまったのだろうか?デュノアの娘っ子の敵意とも同情とも憐みとも違うまたはそれらを全てない交ぜにしたような表情を見て、なぜか楽しいとの感情が湧きあがった。知らないものに事実を教えるということを、今まで成してこなかったからだと思う
「俺はただ、やりたいことがあってそれをやってるだけだ。」
「何を勝手な!それで人も殺していいと思っているのか!?」
「殺している訳ないじゃん。小心者だからね……………けど、悪かったとは思っているよ」
俺が口をついて出た言葉は紛れもなく本心だったけれど、嘘のヴェールは拭えない。もう、戻れないことは知っていたはずだったけど、それがうれしくもあり、また悲しくもあった。
「じゃあ何で私たちを生かしたのですか!?」
「もうこの方法を取れるまでに君らは生き延びた。ただそれだけだ」
さてと、もう人の言葉に耳を傾ける時間はない。ゆっくりとゆっくりと俺は姿を消して行った。
◆ ◆ ◆
「よし、お前ら黙れ」
「先生一人しかいません」
というわけで始まりましたエネパチ先生の、解説ズバッとわかる化け狐と呼ばれた男。今日はどのような講義をしてくれるのでしょうか?
「今回の講義は、ISについてです。」
「はい、この世界に糞のようにはびこるIS。これは私たちにストーカーのように寄り添っていますが、一体その正体とはどんなものなのでしょうか?」
「ISは特殊なレアメタルをくっ付けた複合機能を提供するものです。このレアメタルは母ぐらいしか生成できないな。あ、私もできるわ。」
なるほど、チートとはこのことですね。はいそのISが世界に影響したその他もろもろ雑事は果てに投げ飛ばして、そのチートの塊であるエネさんの機能はどのようなものなのでしょうか?
「私は多くのISの統合者となる、まあ司令官みたいなものだ。その割には戦闘能力は皆無に等しいが、私が戦う訳ではないからセーフだ」
「なるほどー。なぜほかのISと違い戦闘能力はないのでしょうか?」
「基本的にISコアの力を最大限に扱うように作られた機体というか服だ。ISコアの原子一個一個を糸状にして作られたもので、エネルギー変換効率がほかのISの比ではない何せ糸状にされているのだ、大気やそれ以外に触れる面積が半端ではないだがそれゆえに脆弱という不安定さが伴うがな」
「なるほど、具体的にはどのくらいで機能不全を起こすのでしょうか?」
「裂傷で機能不全まっしぐらだ。」
なるほど、女王さまというのは得てして攻められる弱い物。さて次回はそんな女王様につき従う奴隷に注目してみましょう
「って何これ?」
「私の自己紹介のようなものだな。それと、ネクストエネズヒント!」
おい。
「冗談だとしてだ、これからどうするんだ?」
確かにIS学園の守りの要と言うべき電源ISコアの奪取には成功した、というかたぶんこれ前に来たゴーレムとやらの無人ISを流用したものだと思うが…………たぶん、かなりの憶測だが元々あそこには織斑千冬の愛機、暮桜のISコアというかそのものを使ってたんじゃないだろうか?そしてそれをゴーレムに挿げ替えていたのなら次は……………。
「魔法でも使おうかな?」
「なかなかにえげつない事するねぇ。」