暗殺。それは古来より脈々と受け継がれてきた下克上の技。始皇帝を抹殺しようとしたり、忍び殺す、大きな強固に守られた圧制者を転覆させる。浸水した船のようにその一撃は歴史をも変える。
つまり、俺が言いたいのは北斗神拳なんて暗殺拳じゃねーと言うことである。違うのである。
「何を言いっているんだお前は?」
はい、と言うわけで暗殺です。ええ暗殺ですとも。殺さない暗殺ですとも。
「暗殺じゃないじゃん」
まあ、潜伏するのには変わらないよ。それに、IS操縦者はISを奪われれば死ぬ。信じられないぐらいのでくの坊になる。今回はそれを見せてやろう。
「すべては私の力じゃないか。」
そうなんだけどね。
さて、IS操縦者をでくの坊にする方法を教えます。
まず最初は、エネの力を使いISエネルギーを放出。網を作ります、この時点では対象のIS操縦者はISのスーパーセンサーを使っては居ますがあまり気にしません。
そして次にエネで作った網にIS操縦者が引っかかるのを待ちます。今回は夜に巡回していたIS操縦者が引っかかりました。
最後の仕上げに、エネの力を使ってISにハッキング。これでIS操縦者はISを使えなくなります。
このようにどんな強固なセキュリティでも、たとえパソコンをオフラインにしていても確実にハッキングできる最強のハカーツール、エネ。
今ならサンキュッパで三無量大数九千八百不可思議です。お安いでしょう?今ならなんと相澤康一も付いてくる!
「実にいらないね。」
そういうなって、今ならパンツも付いてくる。
「で?何人が引っかかったんだ?」
ばれない場所においたから、あまり引っかかってないかな。ふらっと立ち寄ったみたいな傾向が多いし、職員や外部保護者に多い。正直全員をでくの坊にしたとして、何分だ?お前がIS操縦者をでくの坊にしてやれる時間は?
「全員となると2秒も持たないね。」
だろう?それに今おかれている状況が状況だ。これは長くなるほど酷くなる。さて、今おかれている状況を説明がてら回想
◆ ◆ ◆
「うってでるよ」
「そろそろとは思っていたが、ついにやるか。」
正月が終わり、少しだらだらしていたとき。俺は準備も済んであるため、コンビニに行こうと言わんばかりのノリでIS学園に襲撃しようと思っていた。
「それじゃあ、どうする?」
「こっそり進入する。今は見つからないように入ることを考える」
まずはそれからだ。それでもエネ任せになってしまうのだが。
「わかった、できる限り要望に答えよう。」
この一人と一機の戦いにおいて、嫌な予感は付いて回った。それをエネの全能性を武器に打ち破っていたが。これが最後になると俺は思った。たとえるなら一日の出来事を八週くらいに分けてやっている週間少年誌系のアニメのごとく、ここで、終わらせると思った。
そして少しの立ちくらみを様な感覚が襲う、いつもの感覚。視覚情報があれば
「あ、まずい。」
非常に嫌なことを言ってくれる。だが今まででエネがこういってやばくなかったことはない。終わるまで身をゆだねるしかない。
「さーて、目を開けて死ね。」
いわれたままに目を開けた。
「ふつうじゃね?」
特に変わったところはない。ならどうしてだ?
「……………言いたくはないが。」
と、懇切丁寧に今ある状況を教えてくれた。
・入れた。
・でれない
「なるほど。実に簡素で端的でなおかつ優しい説明だな。マジか。」
「しかもだね、たぶん篠ノ之束の作品郡がオンパレードだ」
「ふむふむ、マジか。」
「人に見つかったら死ぬ可能性もある。」
「デスパレードだな、死神が列を成すのが見えてるぜ。俺の場合数百本の命綱をじょりじょりと削っていく作業になるが。」
とりあえず、この状態には俺はマジかとしか言えなかった。
◆ ◆ ◆
とまあ、いつ獲物がかかるかわからないので常時青いジャージである必要はあるが。こうやって待ち構えているわけだ。幸いここは林の中だ、少々視界が悪く、隠れるにはうってつけだ。
「マジカーマジなのかー」
「何回いってんだ。」
それはいいとして。どうやら引っかかってくれたようだ。
「ジャマー起動だ!」
「あいよ。」
俺の合図でエネの能力ISジャマー。そして、ISを当然のごとく使おうとしてる彼女は致命的な隙ができた。
「ほら、ただの打たれ弱い女性の出来上がりだ。アレが勃つようだったら襲ってただろうね。」
「何気に最低なこと言ってるな」
そろそろ、動くか。俺は身を隠した。非常事態でもなかったのでISを回収し、当て身によって気絶した女性はその場に放置。少し夜もふけている所だ、一目に当たるようなところにおいておけば、あっちから人が寄ってくるだろう。
「ジェシカ!」
「当て身!」
同僚らしく人がISを展開しながら近づいた。ほらね?気分は金属の歯車
ふう、IS自体は展開していたが絶対防御は消してくれたみたいだ。エネと花○院が救ってくれた。
「私なにもやってないが・・・」
「うそ!?人間卒業!?」
「うそ。」
びっくりさせるんじゃねえ。さてと次はどうするか。ぜんぜん予想だにしていなかったが二人も釣れた。いそいそと、ISを待機状態にしてエネに収納した
「幸先がいいな。」
「しかし二人も引っかかるとは思ってなかった。」
「いや、引っかかったのは三人だ。」
声。俺とエネのではない。そもそも、エネの声は他人に聞こえていない。イヤホンで耳をふさいでいるからな。
では、エネがしゃべっていなかったとしたら誰の声だろうか?
そして、このわき腹から伝わるこの血を流した感覚はどういったものだろうか?
「終わりだ。」
「」
反射的に距離をとった。そしてこの状態を作った人物を見た。絶句した。ひとつの間を置いて、俺はそいつの名を叫んだ。
「一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああっ!!」
「康一ぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいっ!!」
俺は目を疑った。右には振りぬかれたナイフ、左には酒瓶。右手には白式の待機状態である白い手甲は付いていなかった。行けると俺は痛みを感じながらエネを仕舞う、ISスーツは切り裂かれていないものの、これ以上ない位に拳に力が入った。
『康一機能の一部を制限された、ここから出ることはほぼ不可能となった。』
エネの言葉は届かなかった。どれだけ早く目の前のやつを無力化するかだけが俺の頭を支配していた。
「「オオオオオオオオオッ!」」
酒瓶を振り下ろす。俺は拳で迎撃するために手首を狙った。思惑通りに一夏は酒瓶を落としてくれた。多少スマッシュ気味に腹部を狙う。そして右のナイフを封じるために懐にもぐりこんだ、少し一夏の胸板に頭突きするような形になる。身長が俺のほうが小さいからできることだ。
「ふッ!!」
瞬間一夏は、ナイフを捨て俺の下げて背中を包み込むように丸まり押さえつけ、腕を回してつかんだ。
「でりゃああ!!」
そのまま、後ろに膂力を使って投げ飛ばした。天地がひっくり返るような豪快で強引な投げ、無様に受身をあまり取れずに背中から着地した。
肺の中の空気が一気に抜ける、無力化したからいいさと決め付けて俺は無理やり立ち上がる。少しめまいはしたが持ち前の演技力、やせ我慢といえるかもしれない。を使い平静に勤めた。
即座に一夏が投げの体制から拳を構えた。身のこなしが違う。
「オオオッ!」
拳を打ち、かわす、いなし、いなされ、数発打ち合っただけだが、わかる。強いと。俺の一発一発は軽く、一夏のものは一発が重い。見れば体つきもよくなって、まるでとある人物を殺すために血反吐を吐くまで修練したその集大成があの体だ。
「嫌な人間になってやがって!」
俺の感想はその一言に尽きる。織斑の血は、よほど人外じみてくるのがお好きらしい。
それでもやらなきゃいけないんだ。攻めなければ、攻めなければ。
「エネ!」
「システムの一部に異常を来たした!ISの展開は不可能だ、必死に修復しているところだよ!これが終わったら安らかに死ね!」
軽口聞けるほどだったら大丈夫だ。目の前の敵に集中して置ける。
「あああああああッ!!」
「くっ!?」
一夏が力任せに拳を振った。まるで、仇を目の前にして憤っているようじゃないか。
「おい!でくの坊!」
「っせえ!」
一夏の右下段蹴りを力で耐える、重ねて左手で攻撃を加えようとしているのが見えた。半歩スライドさせるように前へ、右で視界と左手の攻撃を塞ぐ様にして。左手をパーに狙うは股間。
「っ!?だあああ!!!」
左をわざと空振りさせてその反動を使い左の膝がくる一夏の右足が支点、左足が作用点のてこの原理により俺と一夏は一緒に倒れこむような形になった。
「ぐっ!?」
このまま関節技に行きたかったが、いかんせん相手の力が強すぎる。無様に転がるようにして逃げた。
「クソッ!」
状況はさらに最悪になっている、チラッとだが、ISがぞろぞろと出撃しているのが見えた。さすがに50機ほどだローテーションするぐらいはあるし、何より俺だけの単独犯って言うのはそもそもの決定事項らしい。
少しニヤついた元担任殿が「まあ、ここでは私の管理下だ。何を信じ、何を作戦にしようなど、私の勝手だようは戦果をだせばいいのだろう?」と言うがごとく采配だ。
「死ぬんじゃねえか?」
一目散に逃げた。スタミナはあまりないがスピードには長けてる、この逃亡襲撃生活で鍛えてきた逃げ足の速さ!なめるんじゃねえ!
ズガン!「っ!?」
体を震わす衝撃、後ろを一瞬だけ見てさらに足を速めた。先ほどはなかった金属質な大腕からでる、飛び道具。それが指し示すものはただ一つ
「化けもんがああああああああ!!」
ISの遠隔展開!?そんなんじゃリンクをきった所で再展開されるのがオチだ!
「次は当てる。」
非常にぶっ飛んでいやがる!一夏が胸に持つ絶対の自信が伝わってくる。こいつ、マジで当てる気でいやがる。俺は翻って跳ねた、死中に活!逃げられないなら当たって砕けてしまえばいいんだ!
「オオオッ!」
俺は一夏の目を見た。まっすぐまっすぐ、心の奥底を見るように。電流のようにはかなく、強い動揺!
それを、俺の中に出てきた、強い衝動で叩きのめす!
「いくぜ私!」
力の使い方は本能が教えてくれた。身をねじり視線を見たそのまんまに撃ってくる、お前はそういう実直な奴だったよ。
肉が焼けるにおいを感じて、ようやっとたどりついてくれた。そして、右腕にさよならを告げた。
「!?」
ISの一部機能を壊すほどにぶん殴った。
鉄の塊を殴って、なおかつぶっ壊した破壊力。真っ向から立ち向かっていなくともこのレベルの負傷で済んだのは俺の体はかなり頑丈にできている事を実証した証ともいえるだろう。
何を「相川香」の時に化け物じみて壊していただろうって?あれはISの矛盾をつき、なおかつ不気味すぎる恐怖や、おかれている状況が違いすぎる。相川香の使っていた力と言うか俺に権限が渡されただけなんだが。
今回はまともに、左手の関節を狙った。
だが機能を制限されたISとはいえ、ISの自己修復機能でおそらく長すぎる一瞬を得た!
「腕を切らせて」
一夏は異常な反応能力を見せ、射撃武器から近接に切り替える。右で持った刀で切るがもう遅い。
「命絶つ!」
正に『左腕が飛んだ』といえる。それはキーだ頭を狂わせる力を出す鍵。それほどの力を出すのであれば元から頭が狂ってしまえばいい。吼えた。痛みに、そしてただひとつの勝利に。
「まあ、そこで寝てろ。」
俺は一目散に逃げ出した。逃げ切れるかどうかわからないが一夏には逃げられるだろう。絶対防御を貫通しそこに寝てた一夏を尻目に逃げ出した。
「後でくっつけといて」
「普通のすかお前は」