IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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初めてあなたと出会ったのは疑心暗鬼の奈落の中

少し古めかしい光景。古いとは言うが小汚ささは感じられず、ただただ時を重ねただけではない歴史の重みが感じられる。

性質としては、京都などが挙げられるが、ここは日本じゃない。それにここは徹底してそれを前面に押し出しているような気がする。

俺は今イギリスに来ていた。

 

「んーんーんんー」

 

鼻歌交じりに俺はあるいた、何を隠そう飯を食いに来ている。もちろん素顔で。イギリスってメシマズってむちゃくちゃなイメージがあるが、俺はそこまで嫌いじゃない。

 

「さーて、何処のマッ○クに行こうかな。」「いっぺんイギリス人に殺されて来い。」

 

イヤホンからそんな声が聞こえた。最近マックしか食ってないわそれとグランドキャニオンのマックは普通だった。

 

「結構、俺世界行脚しているんだけど結構舌が肥えてきたような気がするな。」

「マ○ックのか?」

 

痛いところを突かれた。いや、こんなんでもないとやってられないんだよね。さっきお仕事してEU諸国からISぶんどってきたから疲れたし。

 

「これで70くらいにはなったか?」

「ああ、国が専用機持ちまで召集してISを一箇所に固めているのは助かったな。」

 

企業にISを貸与している形になっているから、守りの一手に徹して一箇所に集めたんだろうけど、逆効果だった。結局は陸路で近づかないと、エネをかなり使ってしまう。

 

「それにいたっては、いまさらって感じだろう?」

「耳が痛いぜ。さてと飯も食ったことだし、お次は……………どうしようか?人でも誘拐してこの前みたいにポータルとして使わせてもらおうか?」

「あれか、正直気が付かれたら終わりなんだが」

「だよね、人の脳に寄生できたら普通に痕跡は残るし。」

 

以前ランドルの脳にダイブしたときには、めちゃくちゃ苦しがってたじゃんと思うだろうが、あれはワザとだ。

 

「ロシアどうよ?」

「一箇所に集めてるねぇ。ご丁寧にステルス機能は解除されているよ」

「じゃあいくか。」

 

即決、俺はロシアに向かった。もたもたしている場合ではない、さっさと襲ってやろう。

 

「今回は火急を要する、ISを直接ポータルに開け。」

「いいのかい?対策取られるから嫌っていたはずなのに。」

「まあ、ほぼ壊滅状態な訳だし、早々対策は打てないでしょ。」

 

機械、と言うか通信機器があればそこから移動できる。早い話ポケベルで移動もできなくはない。ISならなおさら早い。緊急事態として一箇所に集めてしまったから、また回収すればいいだけの話だ。

 

「マップを出す。参考にしてくれ」

「……………。ここに更識姉は居ないな?」

「居ない。」

 

そうくれば、IS学園の残りの専用機はすべてIS学園に囲っていることになる。

 

「了解…………。いまだ、ここまで来れば。」

 

瞬間、頭が真っ白になった。視覚情報として脳が処理してくれたのは、そう遅くなかった、小さいガラス球に押し込められたような感覚、小さい小さい目を凝らして、よくみた。にやりと。口角が上がるのを抑えられない程度には好機であった。

 

「オラァ!カチコミじゃぁ!」

 

ISの待機状態を確認しそれにエネから呼び出した短刀を触れさせる。それを、そこに居る五機全部に。ああ、ISとは展開しなければこの程度なのか。っていうかそのとおりなんだけどな。

 

ふと無くなった、アクセサリーと目の前の男に驚愕した。

 

「あ、リアルプーチソだ。はろー」

 

不思議とプーチソは冷静だった。再度、エネに周りを探索させたが、ISの反応は無かった。勝機だな。

 

ここには、女4人と男一人、そして化け物2匹。

 

「あーあー」

 

喉を調子を整えるように声をだして、声色を変える。

 

「どーうもどーうもはじめましてこんにちわぁ、どう?どう?国家の威信であるISを俺の手に奪われたこの惨状は!ざーんねんでした、一箇所に集めて損害を広げないようにしようと思ってたけど裏目に出ちゃったみたいだねぇ!。」

 

奴の目からはどう写ったのだろうか、まあ、結構滑稽なんじゃないか!?

気配、そして、俺はISのスーパーセンサーを起動させて360°すべてをみた。強い意志を宿した真っ赤な目に、聡明な思考を体現するようなさわやかな水色。

 

そして、その人物にふさわしい水色のISの槍(ヒトゴロシ)を持っていて。今にも突き刺さりそうだ。

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

エネを解除して俺の肌に肉が食い裂かれる感覚と、痛みが俺を襲った。ここで現実逃避ついでにエネの隠された情報その2

エネは、ISコアその物、その実態は、ISを極限にまで細くして繊維として扱ったものなのだ。スチールウールの服ならぬISコアウールの服である。

つまり、この服がエネであり破れたら、なおかつ燃やされでもした場合にはまあ、エネは死ぬ、爆発で肌を撫でられたりしたら確実に死ぬ。

繊維自体をボロボロにされると言うか、何処を破壊されても死にそう機能停止されたら俺も終わるし。だから一撃離脱を心がけなければならない。

 

あー、何が言いたいのかと言うと、エネしか起動していない時には、紙装甲であると言うことで。今この状況で最適解は何だと言うと。エネを解除するだけで、俺はこの痛みに耐えているしかない!。

 

とっさに、エネを退避させて少しはねる、この状況だと踏ん張って居たら確実に千切られるからな!

 

腹にさされるのはこれまでに結構したが、こんな馬鹿でかい物は初めてだ。

 

「康一!」

 

エネの声が聞こえる。が、すぐにやることはわかるだろう。脳のリミッターが外れるように、バカみたいな力を出して、背中から刺り腹から出ているランスを掴んでとめていた。口から生暖かい吐息が漏れ出たような気がした。

 

突き刺された反動で上半身に衝撃が来た。

 

「残念でした楯無サァン!」

 

が、エネが間に合った。ランスが消えたのだ、おびただしい量の血を見て俺はそれに手を伸ばした。振り向いて対峙しただが、出血が激しい。エネの能力で少しは血が止まっているのだろうが、貧血でふらふらする。

先に動いたのは簪姉の方だった。すばやく蛇腹剣で俺を切りつける。

 

「おわばっ!?」

 

俺はバックステップして距離を取ったが当然追ってくる。

 

「エネ!」

「了解。」

 

エネの力で速攻凝固させた血液を投げつけた!

 

「ねえ、あんた何型だっけ?康一の血液型占い!AB以外なら大凶死んじゃうかも!!」

 

他人の血液は多くの感染症を持っているABじゃなくても死ぬかも知れない。血液にはエネの力を存分につけてあると言うことはすなわち、ISのシールド分解だ。

まあ、この行動は他人の血液をそのまま検査もなしにぶち込む危険な行為をやっていると言うわけだ。

 

「くっ!」

 

俺は、もう一回血液を投げつけてハイダーブレードの柄だけを呼び出しそれを右逆袈裟に思いっきり振るった。

簪姉はそれを刀身がないのにも関わらずよけた。致命的な隙だ、あほみたいに過剰に反応し死に体となっている俺に蛇腹剣で切り付けようとした瞬間

 

「バイバーイ」

 

俺はそこから姿をかき消した、その場にあるのは白いもやだっただろう。

簪姉には情報がある。

先ほどまであった状況と目撃情報。頭の回転が速いからこそたどり着いたエネの力、それによる能力に対処するために簪姉はISを捨て、隠し持っていたナイフを持った。

 

ISを基点にした瞬間移動。その可能性に気が付いてしまった。

 

そして、それを選択する以上に。相澤康一という存在は狂っていた。

 

消えたその場から再び出現した。ISではなく、虚空から。

 

「!!」

「ざんねん。むねんってね」

 

それに驚きこそしたが、楯無は待って居ましたとでも言わんばかりに、笑いながら目に零れんばかりに殺意を湛えていた。

それは水色のクリスタル、清涼感を持つその色の中には苛烈な暴力が秘められていて、気化爆弾4個分ほどの攻撃力。

けど、康一は勘違いしていた。それを爆発させると言う選択をする以上に、世界はやさしくできていた。

 

「それ無駄だね。」

「…………こっちの台詞よ」

 

康一は、クリスタルと人体の串刺しにしていて、その意味を。悟られるなんてことを予想だにしていなかった。

 

「なんでそんな事をするの!?普通に殺せばいいだけじゃない!」

「状況を把握できなくなるぐらい気でも狂ったか?」

「全てわかってるわ!だって全員ころして」

 

楯無は消えた。悪いとも言わない。ただ頭のねじがぶっ飛んでいるだけ。

唯一わかっていることは…………。

 

「ったくよう、ばれつつあるのか。」

「そのようだね。」

 

悪とは正義の反対であり、他の人はまた別の正義、または自分の都合で弱者を痛めつける行為とする人間もいる。俺は悪をこう定義する。

 

「悪って言うのは正義という大多数の人間の共通認識を一人の人として認識しているにも関わらず、その認識をずらしてのんべんだらりと交わしてそれを皮肉る行為」

 

そして、俺はどうしようもにぐらい「悪」だった

 

 


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