「まあ、帰らないんですけどね?」
ええ、もうエネの力を使い放題つかってますよ。なんか逆に吹っ切れた感じがするね。俺は今現在素っ裸ともいえるほどに無防備にIS学園の地下にいる、外から見れるところからクロエは発見され他という話は聞かない。のでIS学園の中ではないかと探りを入れているわけだ。
「しっかし、ここはいつきても埃っぽいな…………」
IS学園の地下は恐ろしく薄暗い、あまり使ってないのと、それだけ重要なものがあるのだろう。警備は逆に薄すぎるのも薄気味悪い。この最奥には何が待ち構えているのか、それを知りたくもあるが今は任務を遂行しよう。
辛いのは、相手がどこに向かって逃げているのか分からない所だ。相手は根無し草に引っ付いてきた奴だ、そいつも頼れる奴が居るとしたのなら、根無し草の友人位しか心当たりがない。だが今は友人、織斑千冬の剣ともいえる愛機が使えなくなっている状態にある。そんな状態で何ができるのか。
そこで一つ目星を付けた、クロエは脱走しそしてその後の発見率を低くするにはどうすればいいかを考えるはずだ。普通に考えれば人を頼るに決まっているが、外界から隔絶された状況下でどのように頼ればいいか。裏の人間ではなく、なおかつ強く知り合いで交渉で自分の身を守ってくれそうな人…………。織斑千冬一人しかいない。
どうするにしても、今の敵であるファントムタスクの現状を鑑みれば生身で戦って来いというのは酷だろうし、俺だったら真っ先に織斑千冬の愛機、暮桜を使えるようにするだろう。
で、どこにあるのかわからんから探し中って訳だ
ただただ歩くだけでも神経を尖らせなければいけないのは結構つらい所だ、エネの力を使いに使いまくってもいまだに暮桜の場所はわからん。
気長に探しますかね?情報を入手する手段がないから、探索しかすることがないが。
薄暗い所、平たく言えば闇は人の感覚を鋭敏にする。なぜか、頭の最奥に生暖かいお湯を注ぎ込んだかのようにふわふわして、ないものまで感じるようになってくるような気がするのだ。
けど、後ろにいる
その場から飛び退きさっきまでいた場所には鉄製の握り拳があった。姿形からしてIS学園が主要で使っているラファールや打鉄ではないこととIS学園の人間でないことがわかる。しかし胸がデカイな。っとそんなことを言っている場合じゃない。
「おいおい同業者じゃねーか。いきなり攻撃なんてしねーで仲良くしようぜ?」
「アメリカ軍籍か?」
「コソ泥軍籍だ」
口は災いの元といった言葉があるがこれはその一例だろう、コソ泥といった瞬間にどこからか取り出したかわからない銃を発砲してきた。いきなりのことだったのでカゲアカシの絶対防御を発動させてしまった、だが衝撃自身は殺しきれず体ごと吹っ飛ばされた。
「なら死ね」
なるほど見られたこと自体がだめなのかそれなら戦闘は避けられんな。
「ったく、いきなりぶっ放しやがって。二度はねーぞ。」
「自身の相手の力量を見極められないと戦場で生きられん」
「ぷっ。自分の力量ねぇ。わかりきってるさ。俺を倒して自慢していいぜ?目の前にいるのはIS学園最弱の男だ。」
「馬鹿にしているのか!」
「っと」
誰にも見られずに戦闘ができるというのは、なかなかない事だからな…………普段できないことでもやってやりましょうかね?
「俺と遊んで腰砕けにならねえように気をつけろよ!」
ここは室内だ、屋外のような派手な挙動はできないし、こいつはわざわざ隠れながらここに来ているときた。俺も同じ土俵で戦う必要はある。
頭の中で何かのスイッチが切り替わった、体の回りに光がまとわりついて機械の鎧が顕現した。
まずは、だまされてくれると助かる。
結構かかったけど、これの初陣だ。俺は何時の日か一葉に頼んだ「ハイダーブレード」を呼び出して刀剣での近接戦闘を選択した。
案外重い剣というのは使いやすかったりする。何も考えずに振るえばそれなりに攻撃力は確保できるし、肉を切らせて骨を絶つという戦法が使えるからで、攻撃が単調になるなどのデメリットはあるがそれを補ってあまりある。
だが、そんなメリットがあろうと、それでも、まともな戦い方はしないのが俺だ。
俺は右袈裟にブレードを振った。俺が攻撃を仕掛けて、相手がそれを往なし反撃するそんなのが数秒続いた時。俺は秘策その第1を使う。
「手」
俺は真横に相手の手に向かって切った。どれだけ意識が誘導してくれるか……………。
「足」
ヘッドスライディングのように滑り込みながらながら足を切りつけるそれは当たった、ここで攻撃の手を緩めてはいけない。
「顔」
瞬時にブレードを消してマシンパワーをフルに使って起き上がり、その反動を使って顔にハイキックをした。ガードされ、死に体となった体に、強烈なタックルをされて壁に激突した。
「腕」
追撃しようとした腕を取って、関節を取るようにしながら壁にぶつけた。
「背中」
壁に向かって手をついた状態になっているところに回し蹴りを入れた。
「舐めるな!!」「腹」
俺はブレードを呼び出し、左から右へ振った。攻撃は受け流され顔に拳が吸い込まれた。ぱきっと鼻が折れたような音が鳴った。
そろそろ、刷り込みも十分だろう。口八丁手八丁も戦闘に使えるのなら何でも使う結果がこれだ。
距離を離して、ブレードを振るうのに最適な間合いを作る。
「腹」
また同じところに同じ攻撃を加える。左から右へ。今度は受ける瞬間にブレードを消した。
「そんな小細工で!」
人間には絶対にできない挙動は戦闘において少なからず虚を生み出す、その隙に少しスラスターを吹かす。剣から拳の間合いへ、二人とも獲物はない。
左で拳をつくりアッパー気味に振って腹に突き刺す。そのタイミングで俺はISを全て解除した。俺の顔に機械の腕が叩き込まれショック死するんじゃねーかと思うような激痛が俺を苛んできた。だが、勝負は決した。
「朧太刀一式、無刀」
すべては疑似餌のようなものであり。その全てに意味はない。俺は立ち、そして相手はそこで寝転んでいるだけのことだ。
「しゃべるの痛っ。」
頬骨が逝っていらっしゃる。衝撃を受け流したとはいえ、あんなことはやりすぎた。
「……………まさか、こんな方法があるとは。脳を揺らしやがったな。」
「驚いてほしいのはそこじゃないんだけど?」
動きを止めた方法はそこまで目新しいものではない、実に俺が工夫を凝らしたところは言葉による刷り込みと、新技…………といっても構想自体は最初からあったものを流用しただけだが、間合いの違う武器をその状況により使い分けることによる戦い方、確か
「いてて、骨折まで行ってるぞこれ。」
第二の実験をこっそり行っているから今からやることは情報の抜き出すことぐらいしかない。
「よっこらっしょ」
「てめえ!女の背中に乗るとはどういう教育を受けてやがる!」
「こうでもしないと暴れるだろ?」
とりあえず、言葉と態度で相手を懐柔することを考えよう。今はそこまで忙しいという訳ではないからなぁ。
「てか何しにきたの?」
「…………。」
「ダンマリか。もう少ししゃべったほうがいいよ?余生を少しでも長くするためにね?」
「…………。」
少しこちらの情報を流した方がいい、こういった場合に優位に立っているとよく喋るような気がしてくるのだ。
「俺さ、IS学園裏切ったんだよね。知ってる?」
「ならなぜここに居る?」
「俺の所属している所から出た脱走者がここに逃げ込んだんだ、それの回収にね。」
「なぜここに?」
「ここはすべての国家の影響をただ一つ受けない所さ、つまりここで捕らえられてもすぐに殺されることはないってことさ、母体が甘ちゃんを極めたような国だからな」
「ここに進入すること自体が難しいだろう、大体ここに入るだけでもかなりの苦労が…………。なんでもない忘れて」
「了解っと。そんで、その人は、死なないためにここに逃げ込んだんだけど、その子にはちょっとした伝があってそれを最大限生かすために、ここに幽閉されている暮桜を見つけなければいけないんだ。」
「?」
「本題、お前暮桜の居場所を知っているか?」
「……………。教えないといったら?」
「困る。けど、教えないって訳じゃないだろ?そんな言い方はしないはずだよね。」
「この、IS学園の地下10階にある、まっすぐ行って突き当たった左に階段があるはず。」
「ありがと、それとえっと…………ちいさくて、銀髪で、確か目に特徴がある子だった。」
「逃亡者の顔も知らんのか?だが見ていないぞ。」
「それと、もう一つだけ質問。」
「何だ?」
「今、動ける?」
「…………。」
いま口が三日月状に弓を張っているような気さえする。腹のそこから沸いてくる愉悦が態度となって零れ落ちそうだ。これからどんどんと
「三秒以内に動かなきゃ撃ちぬく。」
「ちょ、ちょっと待て!」
「1」
「あれだけの時間がたったんだ少しはっ!」
「2」
「動かすから待ってくれ!」
「3」
「やめて!!」
特に俺は何も動かなかった。
「実験成功か。」
「…………からかっているのか!?」
「んにゃ?もしかしたらわざと動いていないと思ったからさ。で、ISはピクリとも動かなかったか?」
「ISを仕舞うことすらできなかったぞ。」
「了解。それじゃ、聞きたいことはなくなったから。ばいばい。」
あ、そうそうISコアを回収しなければ。俺はISコアに直接手を伸ばす……………触れて、待機状態にすると。手の中には質素な何の意匠も施されていないヘアピンがあった。
これで、特にやることはないし、さっさと拘束して行きますか。
「そいじゃねー」
次は、クロエ・クロニクルを探そう。