IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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全学年合同タッグマッチ
薄皮一枚の観察者


前回色々と、起こった簪のヒロイン入り。

それをむっ飛ばし。その中での会話で出てきた言葉。

 

「全学年合同タッグマッチ」

 

ま、俺には関係無いと思って放置していたんだけどな。

とりあえず、そんな愚痴は成層圏の彼方にでも置いて概要を話すとしよう。

 

この全学年合同タッグマッチは、専用機持ち達がテロリストからの自衛を促す為に行われるものだ。そして、今現在専用機を持っている者をまとめると。

 

「織斑一夏」

「篠ノ之箒」

「セシリア・オルコット」

「凰 鈴音」

「シャルロット・デュノア」

「ラウラ・ボーデヴィヒ」

「更識楯無」

「更識 簪」

「相澤康一」

 

後三年に一人、そして二年にもう一人。この11名が確認されている。

しょうがないことだが、他の専用機を持っていない生徒はこの専用機持ちのえさみたいなものだ。

 

そしてタッグマッチと言うほどであるのならば、11名は一人余るのだが…………俺は出ないんだよね。え?そんなの担任殿がゆるさないぞって?いや俺は。

 

「くっつきかけた骨取れますよ?」

 

「…………逆にそこまで早く治りかけるって事に驚いているぞ私は。」

 

そう、先の学園祭で俺骨折してるんだよね。あの馬鹿げた一撃を放ったせいで。痛かった二回目だけど。あれ?これ二回目?

 

「はあ、こちらとしてもスペックが高過ぎる機体を使わせてお前を壊すのは本位ではないしな。」

 

「全く、面倒なもの作ってくれましたね。」

 

そう、カゲアカシの面倒な所は、ビットの数を調整することで最強の機体にも最弱の機体にもなれるということだ。機体自体のパワーは(他のISと比べると)微々たる物だし、前提としてビットとの並列運用が要求される。

 

しかもビットが、ブレード、拳銃、槍、十手。とまあ、十得ナイフのような多機能を兼ね備えている。

早い話が、器用な機体だ。デュノアの娘っこにでも渡せばとんでもない機体になっただろうな。

 

その、デュノアの娘っこの機体も変な風になっているがな。

 

「で、俺はいかがいたしますかねぇ?」

 

とりあえず、俺は出席しないからな。学園の方の評定にも関るかもしれない、それならば補習のような形で担任殿をフォローするのも良いかもしれない。

そう思い、俺はその言葉を聞いた。すると深い溜息を付き目頭を揉みながらこういった。

 

「そうだな、全員のフォローでもしてくれないか?」

 

フォロー。

これは、前回にも通ずるのだが。ええ、タッグマッチとかやったら一夏に集中するに決まっているじゃないですか。ええ、それはもう。

 

「任せてくれたまえ!」

 

「物凄い嫌な予感しかしなくなった。」

 

それはきっと、ジャイ○ン映画版の法則と言うものだろう。あれ?ということは普段から鬼畜の如き印象を与えているのか?

 

「まあ、気になさんな。こちらとしてもめんどくさい案件を手に入れたものでね。ついでにやっても良いと思っている。」

 

具体的には、簪と一夏の絡みを見たいと言う理由だが。つーかラブコメ分が足りないんですけど!!

 

「…………そうか。全く、あいつも早く身を固めて欲しいものだな。」

 

「一夏もお前にい」

 

反射的に言の葉が口からこぼれ出たその瞬間殴られた。誰に?そりゃお察し。

 

 ◆ ◆ ◆

 

とまあ、こんな成り行きでやっているのだが。先に簪のほうを見てみたいよね。

 

そうだ、俺が情報収集したときに入手した一夏と簪の出会いは…………。

 

一夏が、簪の在籍しているクラス。1年4組に乗り込んだ。一夏は、初めて会う人に緊張しているが、その提案者はこの学校の生徒会長であるからにして、断れるわけが無い。

 

一夏は腹をくくり、話しかける。話しかける相手はキーボードを壊してしまうのではないかと思うぐらいにタイピングしている。

 

「更識簪さんだよな?」

 

「ええ、そうだけど?」

 

話しかけた相手に一瞥もくれずにモニターを凝視している。

前情報と違う、内気な子とか聞いたが…………。そう思ったとき。

 

「で、なんのよう?結構忙しいんだけど。」

 

「全学年合同タッグマッチに一緒に「やべッ死んだ。」えっ!?」

 

出鼻を挫かれた。

 

「全削除めんどくさい。」

 

簪はバックスペースを連打しながらそういった。

 

「あの、全学年合同タッグマッチ一緒に出て欲しいんですけど」

 

「あ、ごめんなに?聞いてなかった。」

 

「全学年合同タッグマッチ一緒に出てください。」

 

「良いよ。私のISまだ出来てないけど。」

 

「別に良い。俺は簪さんと一緒に組みたいんだ。」

 

無自覚に歯の浮くようなセリフを吐いた。なぜだか簪は無表情になり。

 

「…………聞くけど、他に誘われた人はいなかったの?」

 

「えっと、数えきれないくらいに。」

 

「死ぬわね。」

 

突然の死!その発言に戸惑った一夏は、その意味を聞くが。

 

キーンコーンカーンコーン

 

「…………タイムオーバー。そういえばこれの擬音語ってキーンコーンカーンコーンなんだろうね。」

 

「知らないよ!?」

 

はぐらかされてしまった。

 

 ◆ ◆ ◆

 

と言う感じだろう。よしよし。面白くなってきた。

 

それじゃ、まあ、フォローとかしながら進めておきますかね。それでは、チョロチョロとフォローに移りますかね。

 

まず最初は。オルコット嬢と、凰のペアだ。

 

 ◆ ◆ ◆

 

「ウィーッス」

 

俺は、整備室に入る。そこで今現在タッグマッチ用に整備しているのだろうが…………。

 

「ボルティックチェーンの換装を早くしなさいよ!なに!?今すぐは出来ない!?やるのがあんたらの仕事でしょうが!!」

 

「ええ、とりあえず一番破壊力のあるものを。ええ、ビットも100機ぐらいに増やせませんの?」

 

入ったのは魔窟だった。正確には女の嫉妬という魔窟だった。…………また別室では同じようなことは繰り替えさているような気もしないでもない。

 

いずれの戦場でもここまでは殺気を放っていないだろう。といった具合に、どこと無く鉄臭い匂いがあたりを充満させる。すると二頭のケダモノが…………いや、二人がこちらに気が付いた。

 

「よっす。」

 

「何しに来たのよ。」

 

聞かれたので口からでまかせで答えた。

 

「ああ、担任にタッグマッチに出ないのなら、専用機の整備や操作の類を見て勉強して来い。とのお達しでな。最初にここを見る事にしたってことだ。」

 

「「そう、邪魔にならないように隅っこで縮こまって(ください)なさい(な)。」」

 

険悪さ三割増しだ元から最大なのにどうしよう。

大方一夏と一緒にタッグマッチに出ようとしたが簪に取られてご立腹、そして一夏を倒す為にそこまで頑張っているという訳か。その余波だけで俺死んじゃいそう何だけど?

 

「はいよ。」

 

部屋の(もちろん邪魔にならなさそうな)壁にたって寄りかかり、ボーっとしながら整備している風景を見つめる。あれ?これ写真に撮ればよかったんじゃ…………。

 

とは思いつつも、フォローしろとの依頼だからな。ちゃんと果たさないといけない。

 

「それで、お前達。作業しながらでも聞いてくれればかまわないんだけどさ。」

 

「なによ」

「なんですの」

 

「一夏と組めなくて残念だったな。」

 

瞬間レンチが二本飛んでくる。股間部分と頭に飛んでくるがそれを華麗に避けていく。ひとつは俺の手の中に、もう一つは鈍い音を立てた後床に落ちた。

 

「殺すわよ。」

 

「あれまあ、どこの馬の骨とも分からない奴がねぇ。」

 

煽っていくスタイル、まだ、これで通用する時期だ。どんどんん過激にしていくという手もあり。

 

「先手を打たれたわ、だけど、次善策をとらないわけは無いし…………今は反省しているわよ。」

 

二人とも罪悪感を宿したような顔で、ISを整備している。

 

「腹割って話せば良いのにねぇ。」

 

「「それが出来たら苦労はしない(いたしません)わ!!」」

 

思ったことを言っただけでこのあり様だ。さて、状況は分かったことだしフェードアウトでもしてきましょうかね?

 

 ◆ ◆ ◆

 

「それじゃ、出せ。」

 

「なにを!?」

 

織斑一夏と更識簪は某所整備室にいる。因みにIS学園内だ。

 

「決まっているでしょう。一夏の戦闘データと…………めんどくさいデータを根こそぎ寄越せ。それが出来ないのなら帰れ。」

 

「プッ……………アハハハッ!」

 

そのセリフを吐いた直後噴き出しながら笑った。

 

「どうしたの?」

 

「いや、そうやって暴言を出して、最終的には協力してくれる男を思い出したんだ。『殺人鬼と同じ場所に居られるか!俺は帰るぞ!』って言いつつ結構ISの戦闘で助けてくれるんだよ」

 

言葉に矢印があるのなら、今は簪に心当たりという言葉の矢印が突き刺さっているだろう。その矢印は、簪の心を真っ赤に染めて顔を無表情にさせた。

 

「…………そう。それで渡してくれないかな?」

 

「あ、ああ。」

 

ほら、といい。手に装着してあるガントレットを手渡す。

 

「もらいー!」

 

「おい!」

 

「冗談だよ。真に受けないで。」

 

そんなやり取りをしていた。

 

 ◆ ◆ ◆

 

二組目は、俺としてはデュノアの娘っことラウラタッグのほうを優先したかったのだが。

 

「あれ?相澤君じゃん。」

 

「あ、どうも会長。」

 

このIS学園の生徒会長、更識楯無に捕まってしまったのだ。いや無自覚百合カップル、じゃないデュノアの娘っこ&ラウラペアの方も見たいんだけどな。

 

「丁度いいわ、貴方も来なさい。」

 

「どこにですか?」

 

とまあ、それは置いておいて。それよりは会長が言っていた『貴方“も”』って所が気になるんだが。

 

「IS適正検査をするのよ。二人とも入学以来から検査をしてないって言うじゃない。」

 

説明しよう、IS適正検査とは、ISに適性があり、それを検査することである。つまりは呼んで字の如しだ。因みに適正があるとISが動かしやすくなるってだけだ。

 

「あと一人誰ですか?」

 

「箒ちゃんよ。」

 

マジでか。もしかしたら会長と箒さんがタッグを組んでいる可能性もある、と言う嫌な予感しかない。これは不味い。

 

「そうですか。」

 

「まあ、そこまで緊張しなくていいわ。」

 

「はい。」

 

全然緊張はしていないんだが。

 

「それじゃ、行きましょうか。」

 

「ええ。」

 

 

 

 

 

と言うわけで検査所へ。

 

「よっす。」

 

「…………何しに来た?」

 

俺と、会長が行き着いたところに箒さんが、怪訝な表情をしながら何度も使いまわした挨拶の言葉を出す俺を見た。そこまで変か?

 

「ちょこっと、検査しに」

 

非常に正直に話したつもりなのだが、それでも表情はほぐれない。それを察したのか会長が強引に話を逸らす。

 

「はいはい、とりあえず適正検査、始めましょ。」

 

そういわれ、俺もそれに便乗し検査するカプセルのような場所に入る。レーザーみたいなものが俺の体を纏わりつき数秒して、検査が終わった。

 

すると、会長が溜息を付いた。

 

「…………はあ、相澤君の異常なまでのIS操縦の下手さの根本的原因ってこれなのかしら?」

 

「どうしたんですか?」

 

その呟きの原因を探るべく検査結果を覗くと。

 

「あ、やっぱりD判定されましたか。」

 

因みにDはギリギリ動かせると言うレベルだ。最高ランクはS。やばいくらいに良い。

 

「…………逆にレアな部類よ、めんどくさい障害が二つに増えたわ。」

 

「あ、箒さんスゲー。Sだってよ。」

 

「ブッ!?」

 

喉が渇いて水でも飲んでいた所に吹いた。同時に俺の脇腹もグーで殴られた。

 

「メンタルに影響が出たらめんどくさいじゃない。」

 

…………と、アイコンタクトで語ってきた。まあ、女性って天狗になりやすいからな。俺は失態を取り戻すように箒さんに話しかけた。

 

「いこうぜ、一夏に一泡吹かしてやらねえとな。そのためにはまず、俺の嘘なんかで心乱さないようにしてもらいたいもんだ。」

 

「やっぱりか。楯無さん先に行ってます」

 

「分かったわ。」

 

俺に掛かればこの程度よ。箒さんの部屋から出て行くときの背中を見ながらそう思った。

 

「相澤君、さっきの言い方で撃退するって。どんな何時も言動しているの?」

 

「一種のオールフィクション。ってねぇ」

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

「………はぁ、出来た。出来ちゃったかぁ。」

 

「なんで!?」

 

必死になって作っていたISが完成し、それでもなお出来ちゃったと言う簪に対して一夏が驚いた。

 

「マルチロックオン・システムとか武装に関してのシステムは一枚葉にて完成しているし、打鉄自身のOSに関しては面倒だったからそこまでいじってなかったけど、なにはともあれ完成ね」

 

「少しは役に立ったか?」

 

「ありがとう。」

 

「どういましまして。それじゃ特訓でもしてみるか。」

 

「まだよ、試験運用もあるし。それに付き合ってもらうわ。」

 

 ◆ ◆ ◆

 

それじゃあ、本命、無自覚百合カップルを見に行きましょうか。

 

 

と、その描写をする前に話したいことがあるんだ。

よく、銃!ビーム!女の子!見たいなソシャゲあるよね。それって実際にかわいい女の子が戦っていて、本当に男の中の萌えって物が刺激されるんだけど。使い古された感もあったけどやっぱり良いよな。

 

 

って、思っていた時期も有りましたね。

 

 

「……………」

「……………」

 

 

辺りに漂う硝煙の匂い、機械の甲高い駆動音に頭を揺さぶるほどの轟音。そして、鬼気迫るほどの無表情。

 

2人で戦場を再現し、その中を縦横無尽に動き回る。その場にあるのは濃厚な殺意と殺気。

 

そしてそれの源は…………、やはりといっていい乙女の嫉妬だ。

 

「俺はとんでもない扉を開いてしまったのかもしれない。」

 

そっと気付かれない程度に踵を返して俺はそっと見なかったことに。

 

バキュン!

 

「…………やあ!そこの君。ちょーっと特訓に付き合ってくれないかなぁ」

 

デュノアの娘っこが、煙を吐き出している銃口をこちらに向けながらそう言ってきた。

なぜか見るものを恋に落とすような笑顔で。

 

「逃げようなんて思わないことだね。」

 

恐らく付き合うのは地獄だろう。そこに行くのはごめん被りたいが。

 

「逃がしてくれなさそうだな。」

 

ええ、諦めますとも。俺は、断頭台へ登る囚人のような気持ちでアリーナに赴いた。とりあえず右手だけは隠しながら。

 

 




艦これの夏イベE-4クリアできないのじゃ…………。

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