IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

108 / 167
後日談。

うぃっす、相澤康一です!いやはやどうしても、睡魔には抗えないもんで。俺は太陽が地球に侵食され、空を赤く染める夕方に保健室で担任殿と一緒にいます!

 

「…………で、話ってなんです?担任殿」

 

「お前が接触したテロ組織の人員について話してもらうぞ。」

 

と言ってきた、担任殿が言ったようなことは、今の俺には何にも言えない。どちらかと言えば言ってはならないの方が正しいが。

 

「なにが聞きたいんです?そこまで話せることは少ないですけど?」

 

「そうだな…………。」

 

と言って、担任殿が顎に手を当てて考え始めた。ギャルゲ的な奴かな?

 

「まず、お前を襲った奴の容姿だ。」

 

それぐらいか。問題ない。

 

「相手は一人で。背丈と体格は、担任殿より一回り小さくした感じで。髪の色は…………ああ、明るいオレンジ色みたいな感じでした。結構な美人でしたよ?」

 

「いらんことは言わなくていい。その女とは戦ったのか?」

 

「ええ。」

 

「その機体は?」

 

「蜘蛛のようでしたね。機体から八本だったか、脚が生えてきて底から実弾攻撃されました。あの機体の名前はなんですか?」

 

「…………アラクネと言う。そのテロ組織が強奪したものらしい。」

 

「そうですか。」

 

あれまあ、何やっちゃっているんですかね世界は。泳がせているのかな?

 

「それで…………これは、個人的な質問なんだが、好きな女はいるか?」

 

「は?」と言いかけて止めた。一体何の意図があるのだろうか?

 

「いえ、いませんよ。大体俺の体は女を愛するように出来ていないんですよ。」

 

性欲皆無だし。

 

「そうか、それでも一人や二人いると思ったんだけどな。」

 

「そうですか。」

 

「次だが、コスチュームプレイについてどう思う?」

 

このお方は気がふれてしまったのであろうか?何時もの武士、または軍人然とした言動からは及びも付かないセリフに少し呆気に取られていた。

 

「良いと思いますよ?メイド、女教師、ナース、婦警、レースクイーン、などなど男の性欲を掻き立てるような物や、女性の自意識を大きく変えるようなものですからね…………担任殿がやったら引きますけど。」

 

「そういうときはお世辞でも「きっと似合いますよ」とでも言ってやれ。」

 

ダメだ、本格的に精神病院にいったほうがいいかもしれない。人格崩壊の域に達している。

 

「お世辞にも出来ないレベルだったので。」

 

「いや、まあ、一夏の誕生日プレゼントになにがいいだろうかと思ってな。」

 

…………それもそれで引くけどな。ま、俺のやっていることと比べればかわいい物だと思うが。

 

「それで?もう聞きたい事は終わりですか?」

 

「なに企んでいる?」

 

さっきのアホのような質問からは飛躍してはならないような質問だった。コスプレからなにこの話題?

自身の性癖の話から世界平和に飛躍するぐらいの話しだ。

 

「何にも?………如何したんですか?」

 

「不可解な点がいくつもある、外された発信機、必要以上に壊された設備、壊れ方が異常なロッカー。」

 

「へえ、偶然何じゃないですかね?」

 

「ま、私が一番気になったのはそこではない。」

 

担任殿が言葉を区切った。

 

「血液だ。」

 

げ、一番ばれてはいけない物がばれそうになっている!?ここまで俺を追い詰めるなんて、担任殿恐ろしい子!

 

「血液、ですか?」

 

「ああ、あそこにあった血液を調べた所、二種類あって一つはお前の血液型と一致したんだ。」

 

やべえ、傷一つ負っていない事になっているから…………実際には両手両足をもがれたんですけど。その時の血液まだ残っていたんか、どれだけふき取っても落ちないからな。

エネに食べさせるって言う手もあったけど、嫌そうだったし止めておいた。

 

「それなのに、お前には一つの外傷もない。あるとすれば右腕の骨折程度だろう。」

 

なんか、ラグナロクの一撃もISを装備したままでやったら骨折したんだよな。ま、生身で撃った時よりは、数百倍は楽だったからいいんだけどな。

 

「…………」

 

「なにを隠している?…………思えば、いや思わなくてもお前にはおかしいことが多過ぎた。

ISの戦闘の上手さ、世界研究者クラブの繋がり、豪胆さ、篠ノ之束からの接触、テロ組織の撃退。そもそも、お前が起こした分裂と言う奇跡。」

 

「偶然じゃないんですかね?」

 

めっきがはがれかけている。俺の力の無さが白日の下に曝け出そうとしている。

 

「…………こんな偶然があってたまるか。」

 

あのタッグトーナメントはやりすぎたと思ってるがな。ま、そういうテンションだったししょうがない。

 

「帰ってください、あなた疲れているんですよ。」

 

「…………かもしれないな。」

 

担任殿が額に手を当て、少し疲れたように嗤った。

 

「すまないな、失礼する。」

 

やった、やっと帰るか。やっほーい。

そのまま俺は担任殿を見送った。俺の、秘密は色々あるけどこればかりはばれてはいけないからな…………。

 

 ◆ ◆ ◆

 

保健室から出た織斑千冬が呟いた。悲しげに、楽しげに、慈しむように。

 

「…………ファイナルシフト(最終移行)か私達もその高みには行けなかったが。」

 

少し笑った。まるでおもちゃをねだる子供のような表情で懐から携帯を取り出した。

 

「もすもす、ひねもす?」

 

「私だ、もう種明かししてもらうぞ篠ノ之束(・・・・)。」

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

ゆっくりと、じわじわと蝕むように。危機は目の前に訪れていることは、IS学園にいる者は誰もが気が付いていない。

誰もがだ(・・・)。これはバットエンドにはならない。全てが幸せに包まれる話だ。

そういう話を

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。