IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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私達のクイーン。ISSQ

さて、ここに至るまで結構なことがあった。情報の入手から始まって、エネや円卓の騎士達の協力もあってやっと、ここまでこれた。俺の……………。

ここはロッカールーム。何時もなら、女性で溢れ返っているが、学園祭の今日は何も使われていない。

そのはずなのだが、今は、何かが暴れたように一つのIS(・・)を基点にして、ロッカーや観賞用植物が倒れ、変形していた。

そのISの姿は、まるで蜘蛛。顔までに装甲が行き渡ったそれは、機能美ではなくアメコミの悪役のようなデザインを目指しているように見える。

 

して、この部屋に居るのは俺、こと相澤康一とそのIS。すでに戦った後なのだが、カゲアカシはリムーバーという機械によって奪われてしまった。

 

「さあさあ、これからが本番だ。楽しく殺し会おう、全てが溶け合うように。」

 

手に持った趣味の悪い機械を叩き壊しながらそういった。これは、俺と目の前の女に向けて放つ言の刃、俺の弱さ甘さを殺し、相手の油断を殺す。

 

「…………テメエ、なんで動ける!!」

 

女…………オータムと今さっき名乗った、女。

今の俺たちの(・・・・)共通の敵であるファントムタスクの一員である。ことは分かっている。

 

「舐めてる?それはこっちのセリフだ。お前は今、女王の前にいることをその頭に叩き込め」

 

俺が着ている青ジャージ(・・・・・)の裾を少しまくり、そして、手に短刀を呼び出す。

 

「なにを訳の分からねえことを!…………そんなに死にたければすぐ殺してやる!」

 

オータムが装着しているISの背部から脚が出てきて、その底から実弾が出た。まあ、それに正式名称があるのだろうが俺には関係無いし、カゲアカシならいざ知らずこの今の姿(・・・)なら逆に好都合だ。

 

「無駄」

 

指揮棒のように短刀を振るう。何発か、直撃するような弾もあったが…………。

 

「…………もう終わりか?」

 

こいつが全て食べきった(・・・・・・・)。そう、これは。

 

「行き過ぎた科学はオカルトに他ならないとは言うけれども、お前はその一端だよね。」

 

『戦闘に集中しろ。…………ったく、しかしまあ、私が一番忌み嫌っている用法で敵を追い詰める事になろうとは。』

 

俺は、短剣を手に歩く。ゆっくりと、呆然に立っているオータムに絶望を突きつけるように。

 

「オオオッ!!」

 

射撃は無効化されると思ったのか打撃を加えてきた。違うそうじゃないんだこれは。短剣を軽くまるでハエを払うかのように拳の軌道にあわせて振るう。それなりに、拳の威力は高いのだと思うが。

 

「絶望しろ。自身の愚かさに。」

 

この状態を言うとするのなら歪なロケットパンチだろう、腕が切り取られている。切り取ったのは脚を三本。結構根元から切ったのに血が出ていない、となれば全てはずれか。

 

「どうした?抵抗しないのか?」

 

変なことを考えていたら、何も反撃しないオータムを見てそう言った。もう思考停止の域なのだろう。じゃ、お肉がご開帳されます、さて、肉かな機械かな?。

 

「よっと。」

 

「ガァッ!?」

 

「あらら~、綺麗な血液が見えてるよ。大丈夫?」

 

決して、この状況で言う言葉じゃない。

切られた、腕を回収し傷口に手を当て、跳ねるように後ずさった。

 

「何しやがった!?」

 

「んー、俺はただ振っただけだよ?」

 

と言いつつ、心の中でそんなわけは無いと突っ込みを入れる。これは、いつの日か俺の火傷を直した時の応用。いや、逆だ、治したのが応用なんだ。

 

さて、ここで種アカシをしよう。

俺のエネは、ISそのものが丸出しになっている機体だ(むしろ機と形容して良いのかどうかすら分からないオーバーテクノロジーなのだが)。

それより正確に言えば、ISをISたらしめている部分であるISコアそのもの。ISコアは、通常の機体では、(万一の為に)どえらい装甲に守られているのだが、エネの場合、ISコアは青ジャージの繊維となっている。

 

さて、このようにISコアを運用するとどうなるか。正解は、「何でも出来る」だ。

 

ISが秀でているもの、何も兵器としての強さだけではない。ISコアは外部から燃料を貰い、それをエネルギーにして外部に放出している。これの効率が物凄い良いのだ。が、当たり前だアインシュタインとやらが言っていた、質量はそのままエネルギーになる、そして逆もあり。

 

そんなのを普通に扱えるのだ。氷から鉄だって作れるし、砂利からダイヤモンドだって作れる、エネルギーから変換すれば余裕だ。え?なぜそんなものがお前に扱えているかって?

 

「ま、オーパーツは親和の取れたものじゃないと扱えないんだよ」

 

この一言に尽きる。

なにを言ってやがると、目で伝えてきたので俺はこういった。

 

「それじゃ、選べ。女王の慈悲だ。お前を見るも無残な方法で殺すか、それとも」

 

そういいながらゆっくりと機動力や、スラスター、兵器ISとしての機能を殺していく。まるで子供がバッタの足をもぐように。

 

バッタは、もうすでに戦う気勢をそがれ、その顔は絶望に染まって行った。

 

そして、俺は。

 

「                                    」

 

「         」

 

「上等だね。」

 

奪われたカゲアカシを取り戻した。次の瞬間。

 

 

 

「ラグナロクの一撃」

 

 

 

辺り一面に目を焼くような光が広がっていく。俺は処理を施した。

 


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