IS 化け狐と呼ばれた男 リメイク   作:屑太郎

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フィクション、フィクション。そしてフィクション

祭りは始まる前が一番楽しい。祭りの後。などの言葉があるが。俺にとっては等しくめんどくさいものだ。というか、そこまで楽しみなものもなんだが。それで本題入るが、文化祭のことだ。

 

さて、まず(おそらくどこの高等学校の同じではあろうが)IS学園の文化祭は、クラス単位の催しものと学校単位の催しものがある。

この場合、学校での催しものとは前回に言った生徒会でのイベントのことだ。え?クラスでの催し物はどうなんだって?それは今から決める所だよ。

 

「…………なあ、康一。なんだ?このホストクラブのようなクラスは?」

 

「…………知り合いにホスト居るから、紹介しよう。」

 

一夏がこれ以上無い恨みを込めた顔でこっちを向いた。いつになく、担任殿の殺気を彷彿とさせるほどに怒っているように見える。

まあ、「織斑一夏とポッキーゲーム」とか、「織斑一夏と一日恋人体験」とか、「織斑一夏と添い寝」などなど、なんと言うか少女がいうにはかなりきわどいものまで候補に入っていたから、無理はない。

 

「それ、全然解決になって居ない!」

 

「まあまあ、そう怒るなって。ちょいっとふざけただけだろう?目くじらたてなさんな。」

 

「当事者じゃないから言えるんだよ!!」

 

珍しく声を荒げている一夏に少し、案を上げた生徒がバツの悪そうな顔をしていた。

 

「じゃあ、俺がここに居るみんなの欲望を満たす案を考えよう。」

 

「…………なんかいやな予感しかしないのはなぜだろう?」

 

「それじゃ、まずみんなに聞いて欲しい事がある。一夏を客寄せパンダとして使うのは俺としても是非に推奨したい。」

 

「おい。」

 

一夏が不機嫌そうな顔でこっちを睨んできた。同時にこの成り行きを見守っていた我らが担任殿

 

「いや、集客率と金を考えた結果だ。俺個人の考えじゃない。そして、俺個人の考えとしては文化祭では喫茶店を開こうと思っている。」

 

少し、教室がざわついた。全く別の人間から全く別の案が出たからだ、俺への反感を相まってそれを否定しようとする雰囲気が出てきた。

 

「康一さん、なぜ喫茶店なのでしょうか?」

 

「良い質問だ、それはね一夏をただの客寄せパンダじゃ無くす為なんだよ」

 

それを察知してかラウラの質問によって、全員の頭に疑問符が付いた。良い兆候だ。人の好感度をあげるには下げて上げることが必要だ。

 

「って、結局俺かよ!?」

 

「まあ、最後まで聞け。それと同時に織斑一夏と撮影会というのを開催する。…………おや?もう察しが付いたようだな。」

 

よかった、これで話が進みやすくなった。

 

「なんだ?俺と撮影会したってあまり人はこなさそうじゃないか?」

 

「いや撮影会と言っても普通の撮影会ではない。一夏と撮影できるのは、一定の金額を購入したものだけだ。」

 

「え?それってつまり…………。」

 

誰かが言った、その呟きを

 

「ああ、俺たちが喫茶店でやるのはA○B商法だ…………ッ!!」

 

「「「え、AK○商法!?」」」

 

ズガシャーン!!!全員の頭に雷鳴が轟いた。そう、これなら法外な値段でも付加価値として売れる。と言うか伏字意味無いよね?これはフィクションです実際の人物団体名称とは一切関係有りません。

 

『変な所で気を回さなくとも…………』

 

何にも聞こえない。それよりこちらに当てられる担任殿の殺気の量が半端ではない。

 

「これなら一定数の売り上げも期待できるし、撮影会をやってこの1年1組の人にも益はある。」

 

「…………何?」

 

「織斑一夏とのふれあいだよ。一定時間で撮影者と…………そうだな、狂人がいても困るし身辺警護にもう一人の二人をつける。これなら確実に一夏との時間を取れる。」

 

ふむ、だがメリットだけを言って後で俺がとやかく言われるのは癪だな。

 

「メリットは他にもある、だがデメリットももちろん有る。」

 

「…………俺にはデメリットしかないんだが?」

 

「確実に取れる休憩時間、自由時間それにやりがいを感じたければ給仕の仕事をさせてやるが?まあ、決めるのはお前だ強制はしない。」

 

「わぁお、これほどまでに強制しないと言っているのに未来が確定していそうなのはどうしてだろう?」

 

一夏も女子の持っている「その手があったか!」という雰囲気を感じ取ったのだろう。少し諦めていた大体これが全員の欲望を満たす条件で有るのは間違いないだが方法が不味い、そこを押し切る。

 

「それで、デメリットの説明だが…………そうだな、ここにどれだけ動ける奴が居るか見ておきたい。この場合で起こりうるデメリットがわかる人挙手してくれ」

 

専用機持ちは箒さんを除いて全員挙手。そして、後一人二人ほどいた。

 

「それでは、セシリア・オルコット」

 

「撮影機材の調達と、クレーム、そしてお客様への供給の見込み量の算出ですわね。織斑一夏にあわせろとか言われないとも限らないですわ」

 

「デメリットとしては機材の調達以外が正解だ。人の心はよく分からんしコロコロ変わる。」

 

「せんせー、撮影機材はどうするんですかー」

 

喋り方が、教職に似ていたのだろう、それを揶揄するかのようにはやしたてる。

 

「撮影機材は自前のを使う。結構本格的に作るつもりだ。」

 

(…………なんでそんなものを持っているのだろうか?)

 

何処かで心の声が漏れているが聞こえない振りをした。

 

「ま、俺と一夏は生徒会長に顔が利く。少々の悪事は見逃してもらっても良いだろう。」

 

実は、このメリットは見込み収益が大幅に増えるだけじゃない。

 

「さて、これが俺の考えた案だが…………どうだ?一夏。どう転んでも採用するのはおまえ自身だ。」

 

まあ、この空気からして賛成多数であることは間違いはないけどよ。

 

「…………確かに、合理的だけど倫理的には間違っているし、不快と感じる人も居るだろう?多数決だ。賛成の人。」

 

結果は言わずもがな。賛成多数だった。

 

「まあまあ、現場責任者は俺がやるからよ。」

 

「そういってくれて助かる。」

 

「それじゃ、とりあえず俺が指揮を執る事になったけど今俺が言えるのは一つだ。…………終わったら打ち上げいこうぜ!!」

 

そこらでクスクスといった笑いが上がった。

 

「まあ、成功したらな。客の不満と言うデメリットを防ぐ為に出すものは…………。」

 

 ◆ ◆ ◆

 

「はぁ、上手くやったものだな褒めてやる」

 

「はて?何のことやら。」

 

今俺は職員室に呼ばれている。まあ、あの○KB商法の事に付いてだろう。

 

「写真撮影という特性上、一夏を一箇所に留めておかなければならない。それなら、護衛もしやすい。」

 

「棚から牡丹餅ですね。」

 

「そして、襲う人間…………いや搦め手で来るような人間も炙り出せる。」

 

そう、この○KB商法としての最大のメリットとしては支払い金額の多さで危害を加えようとしている人をあぶりだせると言うこと。一夏に害を成すような人はこのA○B商法システム上、異常にものを頼んでいる人だと予防線を張りやすい。

 

「へぇ、俺はどうやったら趣味をお金に変えられるか考えた結果こうなっただけですけどね。」

 

目が本当だなと訴えていた。「本当ですよ」と俺は言う。

 

「…………ま、勝手な真似はしてくれるなよ?」

 

「はぁ、むしろいちいちイベントごとに騒動起こさないようにしてくださいよ。」

 

それだけなら多大な利益しかもたらさないんだから…………いやテロリスト的なのが来てくれた方が結果的に金は増えるから良いんだけどさ。

 

 

さて、情報、実権、全て揃った…………後は。役者が舞台に上がるまでの安息を。

 

 

 


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