仮面ライダーディケイド~昭和リイマジの世界~   作:火野荒シオンLv.X-ビリオン

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破壊者vs忍

ディケイドは目の前の相手を見て、驚愕していた。

本来なら、自分と一緒に、今回の事件を解決する人物たちの一人が、まさかその敵の幹部となっているからだ。

目の前の相手―――ZXは、 左腿から取り出した"電磁ナイフ" をディケイドに向け、こう言い放った。

 

 

 

「―――俺の名は"秋雨リョウ"。又の名を………" 改造人間ZX"だ………! 」

 

 

 

その言葉を聞き、ディケイドはあることを思い出した。

そもそもZXは、パーフェクトサイボーグであり、それを邪魔しないために、記憶を抹消される。

オリジナルのZXである"村雨良"は、何らかの形で記憶を取り戻すことに成功したと聞いたが、どのみち彼も記憶を消されているに違いない。

そうでない限り、ZXが敵側に付く理由がないし、こうして自分と戦う理由がない。

 

「………そうか、記憶を消されているから、『NEOBADAN』などという組織に入っているのか」

「………記憶、か………」

 

ディケイドの言葉を聞き、ZXは呟く。

しかし、その次の瞬間、ZXは軽く笑っていた。

 

「ははっ、ディケイド。貴様は少し勘違いをしているようだ」

「何?」

「お前は今、『記憶を消されている』と言っていたが、それは違う」

「なっ………!?どういうことだ!!」

「簡単な話だ。"俺は記憶を消されてない。改造される前の記憶を持っている"。そう言うことだ」

 

ディケイドはZXの言葉に、再び驚愕する。

ZXは、自ら『記憶は消されていない』と言った。

つまりそれを意味することは、"記憶がありながらも、組織のやつらと共に行動している"という事だ。

そうなると考えられることは1つ。

 

「………まさか自ら志願したのか?」

「そういうべきだな」

「なぜだ!?」

「簡単に教えるやつがどこにいる?」

 

ZXはそう言うと、踏み込む体制に入る。

ディケイドは少々戸惑いながらも、どのみち戦わないといけないため、自分もバックルを開き、カードを構える。

その際ディケイドは、ZXに1つ訊ねた。

 

「………お前、さっき自分の事を"改造人間"と言ったな」

「それがどうした」

「確かにZXは、改造人間だ。だがZXは仮面ライダー。………何故仮面ライダーと言わなかった?」

 

ディケイドが思っていたことはこの事だった。

何故"仮面ライダー"と言わずに"改造人間"と言ったのか。

ZXはその事を聞き、少し黙ったが、喋り出した。

 

「………仮面ライダーの殆どは、人々を守るやつらなんだろ?」

「それがどうした」

「………なら人々の平和を脅かす俺は、"仮面ライダー"を名乗る資格はない」

 

ZXの言葉に、ディケイドは海東と夏海の言葉を思い出した。

 

『確かにライダーはいる。けれど彼らは完全にはライダーになったとは言いきれない様な状態だ』

『『ライダーなのにライダーではない』ですか………?』

 

その言葉にディケイドは理解した。

【ZXは自分が仮面ライダーを名乗ろうとしないから】だ。

確かに自身が"仮面ライダー"と名乗れば、仮面ライダーになる。

事実、仮面ライダーの原点である1号ライダーの"本郷猛"は、自ら仮面ライダーと名乗ったために、【仮面ライダー】という存在が確立した。

だが、ZXはそれを否定したため、【ZXは仮面ライダーになれない】のだ。

 

 

「分かったら、さっさと構え直せ。さもないと」

 

 

ZXがそう告げた瞬間、一瞬でディケイドの目の前にいた。

 

 

「………すぐに死ぬぞ?」

「!」

 

ZXが電磁ナイフで、下から切り上げる。

 

ディケイドはそれをライドブッカー・ソードモードで防ぐと、ディケイドライバーにカードを挿入した。

 

『カメン・ライド オーズ!』

 

ディケイドは、オーズにカメンライドすると、バッレッグを利用し、後ろに大きく下がった。

しかしZXは、瞬時に両肘から"十字手裏剣"を取り出すと、ディケイドに目掛けて投げていた。

Dオーズは慌ててトラクローを展開し、十字手裏剣を薙ぎ払うが、そうしている間にZXは、再びディケイドの前まで迫っていた。

 

(こいつ………とてつもなく強い!?)

「言っておくが、俺はまだ3割しか本気を出してない」

「なっ!?」

「今から5割程の本気を出してやる」

 

ZXがそう言った瞬間、突如としてZXが二人に別れた。

――― 虚像投影装置。

何もない所に、自身のホログラムの虚像を造り出す、ZXの能力のひとつだ。

Dオーズはその事を理解すると、別のカードを取り出す。

 

「虚像か………。だったらこれだ!」

『フォーム・ライド オーズ!ラトラーター!!』

 

するとDオーズは姿を変え、黄色い存在となった。

―――オーズ・ラトラーターコンボ。猫科の動物を表した姿だ。

DオーズRTR(ラトラーター)は、ライオンヘッドに力を込めると、『ライオディアス』という技を放つ。

するとライオンヘッドから、強力な光が発せられた。

それを受けたZXは、一瞬怯み、その上本体から軽く焦げたような煙が上げられた。

その一瞬の隙にDオーズRTRはチーターレッグを使い、ZXの目の前に迫った。

 

「くっ!」

「さっきとは逆の立場だな?喰らえ!」

 

DオーズRTRは、トラクローリゾットを展開すると、深く切り込む。だが

 

「奥の手というものは取っておくべきだろ?」

「!」

 

突然ZXの両上腕部から、大量の煙が発せられた。

間近で受けたため、DオーズRTRは一瞬動きを止めてしまう。

その間にZXは後ろに下がり、距離をとった。

 

「今のは確か………」

「"煙幕発射装置"。お前が近くまで迫ってきてくれたから、うまく利用させてもらった」

「チッ、してやられた………!」

 

DオーズRTRは、舌打ちをしつつ、煙が晴れるのを待つ。

理由は簡単、またライオディアスで怯ませようとしても、十字手裏剣で狙われる可能性が高い上、無理に突っ込んだら、虚像投影装置を使った不意打ちをされる可能性があるからだ。

その事を考えたDオーズRTRは、別のカードを取り出しつつ、相手の出方をうかがう。

そして煙が薄れた瞬間、『オーズ・シャウタコンボ』にフォームライドを使用としたときだった。

 

 

「………俺に時間を与えすぎたな」

「なっ!?これは!?」

 

DオーズRTRは、自分の回りに大量の円形の物体があった。

―――衝撃集中爆弾。

ZX自身が送る電波により、威力、爆発の方向が変わる、強力な武器のひとつだ。

しかし、その数は10を余裕に越える数だった。

もしこんなものを大量に喰らったら、とてもじゃないがひとたまりもない。

 

「クソッ!急いでシャウタに」

「させるか!マイクロチェーン!!」

「しまった!」

 

ZXがそう言うと、両腕の甲から、チェーンを発射し、カードを持っていた手を縛られてしまう。

 

DオーズRTRは、もう片方の腕のトラクローリゾットでマイクロチェーンを切り落とそうとするが、マイクロチェーンから電流が流れ、行動を阻止されてしまた。

 

「そろそろ仕舞いだ」

「!!」

「―――ZX、包囲爆炎」

 

ZXがそう言うと、DオーズRTRの周りにあった衝撃集中爆弾が、一斉にDオーズRTRに向けて放たれた。

 

 

 

―――ドゴォォォォォン!!!

 

 

 

豪快な爆音が鳴り響き、ディケイドのいた場所は煙が舞っていた。

 

「………消し飛んだか」

 

ZXは相違って、後ろを振り向いた。

その瞬間

 

『ファイナル・アタック・ライドオ・オ・オ・オーズ!!』

「!!」

 

突然背後から聞き覚えのある音声が聞こえ、ZXは後ろを振り向いた。

そしてZXの目の前にいたのは、脚にワニのような形のエネルギーを纏った存在がいた。

 

「―――いやぁぁぁぁぁ!!!」

「ぐはっ!?」

 

ZXは突然の事態に、避けることができずに、『ワーニングライド』が左肩に直撃し、左腕が消し飛ばされた。

ZXは、左腕を押さえ、苦しみながらも、攻撃してきた人物に顔を向ける。

そしてそこにいたのは、倒したと思っていた人物だった。

 

「グッ………何故、生きている………」

「あらかじめ、別のカードをセットしていた。これが『奥の手』っていうやつだろ?」

 

―――ディケイドオーズ・ブラカワニコンボはそう言って、どうして生きられたのか語り出す。

 

「お前の前に、迫る数秒間の間に、既にバックルを開いてカードを挿した状態にしていたんだ」

「つまり………あの時のカードは………」

「フェイクだ。シャウタのカードは、液状化やサーチ能力があるから、そっちの方になりたがったが………このフォームの特徴は、強靭な防御力、そして少しづつ体力などを回復することだ」

「成程………そう言うことか」

 

DオーズBKWの言葉に、ZXは理解した。

今の話からすると、恐らくほとんどの攻撃は耐えられ、尚且つ体力を回復され、一方的に不利な持久戦を狙っているのだろう。

そして先程のように、カウンターなどをされれば、こちらの方がやられてしまう可能性が高いのだ。

 

「ふっ………面白い」

「なんだ、意外と楽しそうにしているな?」

「楽しんでなどない。ただ、その分倒すべきだと判断したからな」

 

ZXは消し飛んだ左腕を押さえていた右手を離し、地面に落とした電磁ナイフを拾うと、未だにディケイドと戦おうとしてるような構えをとった。

 

「………自分でやったとはいえ、その腕でまだやりあうつもりか?」

「そうだ。どうせなら後一人も、同時に相手してやろうか?」

「………何?」

 

 

 

「―――おぉーい!士ー!!助けに………って、アレ!?なんで他のライダーと!?」

「―――どっちが士なんだ………?」

「―――ユウスケしか知らない。で、士ともう一人のやつはユウスケと同じコスプレみたいなのをしているの?」

 

ZXの言葉にDオーズBKWは首をかしげるが、そのすぐ後に、左にある通路から声が聞こえた。

そこにいたのは、クウガ、そしてカズヤとヒロシだった。

DオーズBKWは一瞬、何故カズヤたちまでいるのかを疑問に思ったが、直ぐにZXの方に向き直る。

 

「何故カズヤたちがユウスケと一緒にいるのか知らないが、………お前、ユウスケが来ることをわかっていたのか」

「どうせここに戦闘員たちがまだいるからな」

「そういえば………この学校の生徒は」

「安心しろ、先程いたやつらは校内に逃げたさ。どうせ外にも戦闘員たちがいるがな」

 

その事を聞き、DオーズBKWは、ホッとする。

だが、どちらにしろ今は学校の周りは袋の鼠だ。

どちらにしろ、急いで目の前の敵を倒さなければならない。

DオーズBKWは、一旦オーズのカメンライドを解いてディケイドに戻ると、クウガたちの方向を向き、クウガを呼んでいた。

 

「ユウスケ!こっちに来て手伝え!」

「えっ、でも………」

「どちらにしろこいつを倒さないと、他の連中を相手にできん!」

「………んー!!あーもう、分かった!取りあえず俺もそいつ止めるの手伝うから!!」

 

クウガは軽く頭をかきむしった後、ディケイドたちの方に向かい、走っていった。


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