魔法少女リリカルなのはZX   作:bmark2

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第11話 謎の夢、ありえない少女

 それは私が夢見ていた光景。

 遠くで私に笑顔を向けてくれる、母さんの姿が見えた。

 

 ──私の可愛い『フェイト』。こっちへいらっしゃい。

 

 自分を呼ぶ、母さんの声。

 今行くよと笑って答え、駆け寄っていく私。

 

 ──そんなに急がないでも大丈夫よ。転ばないように気をつけなさい。

 

 そう言われた瞬間、転んでしまう。

 母さんは泣きそうになる私にそっと笑いかけ、元気づけてくれた。

 

 ──ほらほら、泣かないの。あなたは私の娘、大魔導師プレシア・テスタロッサの娘なのよ。そう簡単に泣いてはいけないわ。

 

 その表情はとても優しげで。

 私なら我慢できると信じてくれている事が伝わってきて、すごく嬉しかった。

 

 ──よく我慢できたわね、『フェイト』。流石私の娘よ。

 

 うん。私は母さんの娘だもの。

 母さんが喜ぶ事をしてあげたいんだ。

 

 ──頑張った子にはご褒美を上げなくちゃね。

 

 そう手渡されたのは緑色(・・)のリボン。

 あれ? 私がつけているのは黒いリボンなのに……?

 

 その時、本当は母さんが私を呼んでいない事に気づいた。

 

 ──よく似合っているわよ、『アリシア』。

 ──ありがとう、母さま!

 

 気がつけば私はその場に立ち竦んでいた。

 そして母さんと私に似た誰かが楽しそうに手を握り合い、私から離れていく。

 

 待って! 母さん!

 

 何故か動かない足。

 私は唯一動く口で、そう叫ぶ。母さんは振り返り、私を見た。

 私が望んだものとは違う笑みを浮かべながら、蔑みと嘲りを含んだ、その瞳で。

 

 ──あなたはもう用済みよ、哀れな人形(フェイト)

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

「──ッ!?」

 

 アースラの中にある医務室のベッドの上で、アルフは勢いよく起き上がった。

 胸の鼓動はうるさいぐらいに鳴っていて、息も苦しい。寝ていたベッドは汗で濡れている。そして目からは涙が流れていた。

 それを拭いつつ、どうしてここで寝ていたのか首をかしげ──自分が気を失ったことを思い出した。

 

 クロノと言うらしい魔導師に捕まった自分達は、そのまま転移魔法に乗せられ時空管理局の戦艦であるアースラに連れてこられた。

 そこで浅葱色の髪をした女に会わされ、さて話を聞こうかと言われた時、突然フェイトが倒れたのだ。咄嗟に近くにいた白い魔導師が受け止めたので身体を打つ事はなかったものの、フェイトの目は閉じられたままで開かれることはなかった。

 それを見た自分はパニックに陥り、魔道師からフェイトを取り戻そうと暴れて、クロノに取り押さえられて──そこからの記憶がない。つまりそこで意識を失ったんだろう、とアルフは一人舌打ちをしながらそう考える。

 

 そしてそっと腕に繋がれたリングを見る。

 それはベッドと連結していて、いくら魔力を込めても壊れないくらいに頑丈にできていた。アルフはすぐにでもフェイトの元へいけないことに悔しく思いながら、深く溜息をつく。

 自分にもう少し力があれば……そう思うアルフだったが、この力は元々フェイトに貰い受けた力だ。それを望むという事はフェイトに力がないという事になる。それはない。うん、ただ自分が油断しただけね。そう考え、思考を振り払うように首を振る。

 そして次に思い出したのは、先程の夢だった。

 

 あの夢はいったいなんなんだい……?

 

 未だに耳を打つ心臓の音を抑えるように胸に腕を押し付けながら、アルフは考える。

 ただの夢? いや、違う。ただの夢ならこんなに悲しい気持ちになったりはしない。なら何だったのか?

 そこまで考えてアルフは使い魔の特性を思い出した。

 

 使い魔とその主は潜在的に、ある程度だが精神が繋がっている。

 それは簡単に言えば、主人が楽しければ使い魔も楽しく感じ、悲しければ同じように悲しく感じる。その程度のものだ。

 しかし主人が感情的に制御できなくなった時、極まれにだが記憶が使い魔に流れ込むことがある。アルフは先程の夢がフェイトの記憶のものではないか? と考えていた。

 

 そうなると、更に気になる事ができた。

 フェイトの記憶のはずなのに、夢の中の彼女は『アリシア』という聞いたことのない名前で呼ばれていた。フェイトもそれが誰なのか分かっていないように思える。

 そして最後にフェイトに向けた、プレシアの瞳。あの瞳は、いつもフェイトに向けているものと何かが違う気がした。

 虐待をしていた時の彼女の瞳には、フェイトに対しての嫌悪感がたっぷりと詰まっていた。しかし、夢の中の彼女はどこか清々したというような表情をしていた。

 そう、それはまるで、胸のつっかえがとれたかのような──

 

 そんな時、医務室のドアが開く。

 考えに意識を集中させていたアルフは驚いたように顔を上げた。そこにいたのは自分を捕まえた黒いコートに身を包んだ魔導師、クロノだった。

 

「起きたみたいだな。うなされていたようだけど、大丈夫か?」

「……フェイトは?」

 

 質問に質問で返されたクロノは、気に障った様子もなく淡々と返す。

 

「心配しなくていい。高めの熱が出ていたようだけど、ただの疲労によるものだ。しっかりと休めばすぐにでも回復するだろう」

「そうかい……」

 

 フェイトが無事だと分かり、アルフはそっと安堵の溜息を吐いた。

 それと同時に倒れるまで彼女を行動させてしまったと悔やむ。フェイトが無理をするのは前から分かっていた事だ。少し強引にでも休ませたほうが良かったのかもしれない。

 と、クロノがじっとこちらを見ていた事に気づいた。

 

「主人が無事で安心するのはいいが、こっちとしても時間がある訳じゃない。早速話を聞かせてもらおうか」

「……分かった。だけど条件がある」

「なんだ?」

 

 するとアルフは頭を下げた。

 彼女の戦闘スタイルや、映像から見た彼女の性格からこういうことはしないと思っていたクロノは思わず面食らう。

 そんなクロノをよそに、アルフは話を続けた。

 

「フェイトは悪くないんだ。あのババア──プレシアに命令されて仕方なくジュエルシードを集めていたんだ。だから、フェイトを罰せないで欲しい。ワタシはどうなっても構わない。だからフェイトだけでも……!」

 

 最後は涙混じりの声になっていた。

 主を想う、使い魔の切実な願い。しかしそれを聞いたクロノの顔は難しいものだった。

 

「……それはまだ分からない。どちらにせよ、彼女はこの事件の重要参考人だ。アースラに攻撃を加えた者の一味としてね」

「…………」

「ただ、捜査に協力してくれれば罪も軽くしてみせる。絶対に」

 

 真剣な表情で、クロノはそう言う。

 そして主人の罪が軽くなると聞いて、アルフは顔を上げた。

 

 これでフェイトは虐待される事もなくなる。フェイトが辛そうな笑顔を浮かべる事もなくなる。

 母親が捕まる事でフェイトが悲しむかもしれないけど……これ以上、あの子に傷ついて欲しくない。

 

「……信じていいんだね?」

「ああ」

 

 そうしてアルフは話し始めた。

 フェイトが無事ならそれでいいと──嘘偽りなく、真相の全てを。

 

 

 ※※※

 

 

「プレシア・テスタロッサ?」

「ああ。そいつが今回の事件の元凶らしい」

 

 海上での攻撃を受けてから二日後。

 地球に帰還したヴァン達はひとまず、しばらく会っていなかった友人達と顔を合わせた後、クロノに呼ばれ再度アースラへと来ていた。

 

 そして聞かされたのは、フェイトにジュエルシードを集めさせていたという人物の名前。

 しかしそれを聞いてもヴァンとしてはピンとこない。

 その様子に見かねて、クロノは念話でエイミィに指示を出すと、モニターに妙齢の女性の姿が映し出された。

 

「プレシア・テスタロッサ。かつて大魔導師と呼ばれる程の力を持った魔導師だったが、とある事故を起こして以来行方が分からなくなっていたんだ」

「そんな人がジュエルシードを集めて何をしようっていうんだ?」

「それに関しては何も教えられていなかったらしい。とにかく集めてくればいいと言われたらしくてね」

 

 続けて指示を出すと今度は、鋭い針のような岩が散りばめられた城が映し出される。

 それはまるでどこかの岩山をそのままくり抜いたような、そんな形状をしていた。

 

「先日アースラが攻撃を受けた時、エイミィがそのまま相手の位置を特定したんだ。そして見つけ出したのがここ、『時の庭園』。プレシアはここにいるらしい」

「後はここに攻め込むだけ?」

「ああ。管理局員を送り込んで制圧する。その作戦開始が今日なんだ。なのは達にはここまで協力してもらったから、全てを見届けるべきだと思って今日呼ばせてもらった」

 

 つまり、この事件は今日中に終結するということだ。

 ヴァンはホッと安堵の溜息を吐きかけ、止まる。そしてクロノを見ると、彼も分かっていたようでしっかりと頷いた。

 その意味が分からず首を傾げるなのはをよそに、クロノは話を続ける。

 

「心配しなくていい。あの中にレプリロイドの反応は無かった」

「そうか……色々と気になる事もあるが、ひとまずは安心だな」

「えっ、何で見ただけで理解できたの!? 念話とか使って無かったよね!?」

 

 驚くなのはを華麗にスルーしつつ、二人同時になのはに笑いかけ、置かれた湯呑に口を付ける。

 そして同時に吹き出した。緑に薄く混じった白色が、キラキラと反射し虹を作る。

 

 それを見たなのはとユーノはこう思った。ただひたすらに汚い。

 

「ゴホ、何でここにリンディさんのお茶が……?」

「そういえばさっき、母さんがこれを置いていったような……」

 

 咳き込む二人の姿はまるで兄弟のように瓜二つだった。

 なのはとユーノが呆れの混じった苦笑をしていると、クロノが思い出したように顔を上げる。

 

「んんッ! さて、そろそろ作戦開始の時間だ」

「今更取り繕っても……」

 

 残念なものを見る目で見てくるユーノを無視してクロノはモニターを変える。

 

 そこには丁度、庭園に転送された局員達の姿があった。

 流石に重要な事件の最期だからか、なのは達の先程までのふざけた雰囲気は無くなっている。

 

 映像を見ると、局員達は予想以上の奮闘を見せた。

 自らの数倍はある背丈を持つロボット達に対して数人がかりで立ち回り、着実に対処していく。そして十分もしないうちに、扉の前にいた数十体のロボット達は全て局員達によって破壊されていた。

 その技能の高さに、なのはは思わず感嘆の声を上げる。

 

「すごい……!」

「彼らは以前、レプリロイド討伐の任務に出ていた人達なんだ。だからレプリロイド以下の装甲を持つ機械なんて目じゃないさ」

 

 それはヴァンに白羽の矢が立つ理由となった出来事。モデルVの破壊を目的に送り込まれた局員達がほぼ全滅した事件だ。

 元々、実力的に彼らはレプリロイドに劣っていなかった。

 しかしそれでも彼らが惨敗した理由は、レプリロイドの硬さにある。敵の装甲は並の攻撃では傷一つ付けることが出来ず、関節部分などの脆い箇所でもそれは同じだった。

 いくら技術が優れていても、威力が高くなければ何の意味もない。局員達の魔力も小さい訳ではないものの、レプリロイドを倒す程の力を持っていなかったのだ。

 

 ヴァンの持つライブメタルや、なのは生来の魔力量と同じ魔力の大きさでやっと対等に戦えるようになる。

 それを知らされた局員達は自らの魔力の無さを嘆き、それでも心折れる事なく鍛錬を続けた。その結果、今の彼らがある。

 

 その説明をしている間に管理局員は庭園を進んでいく。そして最後の部屋まで到達し、扉を開けた。

 そこはいくつもの柱に囲まれた、まるで玉座のような場所だった。そこにプレシアはこちらに背を向けて何かを抱きかかえている。

 

『プレシア・テスタロッサ。貴女を管理局艦船への攻撃容疑で逮捕します。武装を解除してこちらへ来ていただきたい』

『…………』

 

 しかしプレシアは答えない。

 無視している、というより何かに夢中になっていて局員の言葉が耳に入っていないようだった。

 

『もう一度言う。プレシア・テスタロッサ。武装を解除してこちらへ』

 

 局員は再度呼びかけるが、まるで反応がない。

 緊張によって空気が張り詰めながらも、局員の足がジリジリとプレシアに向かう。着々と近づいているのに、彼女は何の反応も示さない。

 

 大魔導師プレシア・テスタロッサ。魔導師ランクはS以上。技術的にも魔力量的にも難しいと言われている次元跳躍魔法を使いこなす実力。そんな情報を前もって聞いていた局員は、この限りなく不利な状況にあるにもかかわらず何の言葉も発さないプレシアに対して、言いようのない恐怖を感じていた。

 しかし怖がってばかりではいられない。局員達は警戒度を上げながら、そっとデバイスをプレシアに向けた。

 

 ──その時。その場に似つかわしくない幼げな声が、プレシアの陰に隠れて響き渡る。

 

『母さま、この人達誰?』

『貴女は気にしなくていいのよ、アリシア。親子の団欒を邪魔する奴らなんて、貴女は知らなくてもいいの』

 

 ──そうしてプレシアは振り返る。

 その胸の前に、フェイトによく似た(・・・・・・・・・)幼い女の子を抱えて。

 

「なっ──」

「えっ!?」

「あの子って……!?」

「そんな、馬鹿な! アリシアだって!?」

 

 ほぼ全員が驚いた表情をする中で、唯一クロノだけ反応が違っていた。

 どうやらプレシアが抱えている少女の事を知っているようだが、何かがおかしい。それはまるでありえないものでも見たかのようだった。

 気になったヴァンは、驚きを引きずりながらクロノに眼を向ける。

 

「あの子について知っているのか?」

「ああ……彼女の名前はアリシア・テスタロッサ。プレシアの娘さ」

「娘……フェイトちゃんの妹さん?」

 

 なのはの言葉にクロノは首を横に振る。その顔色はどこか青くなっているように見えた。

 そして飛び出てきたのは、更なる謎を引き起こす事実。

 

「……いいや。彼女は今から26年前、プレシアが起こした次元航行エネルギー駆動炉の暴走事故によって既に亡くなっている(・・・・・・・)

 

 その発言に、先程とは違う驚きがその場を支配した。

 ヴァンは目を見開いてモニターを見る。そこにいるのは紛れもなく、生きている女の子だ。顔にも血が通っているように見えるし、その動きにも違和感がない。

 にわかに信じられないが、クロノが嘘をついているようにも見えなかった。ならあの子はいったい──? 

 

 ヴァンが考えている間にも、状況は動いていく。

 モニターでは、子供がいると分かり動揺したものの、職務を全うしようとデバイスを向ける局員の姿が映し出されていた。

 

『その子をこちらへ。子供は私達が責任をもって保護しますので、貴女は武装を解除してください』

『私とこの子を引き離そうと言うの──!』

『まぁまぁ、母さま。ここは私に任せて』

 

 憤怒の表情になりかけるプレシアとは対照的に、アリシアはニコニコと笑いながら局員達の前に出る。

 屈託のない笑みを向ける少女の姿に呆気にとられながら、局員の一人が彼女を保護しようを一歩前に踏み出した。

 

 そしてアリシアは局員に抱きつき、笑顔のまま、囁く。

 

『死んじゃえ』

 

 その音声がヴァン達の元に届いた瞬間、まるで雷が落ちたかのような音が鳴り響くと共にモニター画面が白く塗りつぶされる。

 そして続いて聞こえてきたのは、耳をつんざく程の──悲鳴。

 

 モニターの白に色が付き始めたとき、そこに映し出されていたのは思わず目を背けたくなるような、惨たらしい有様だった。

 

 プレシアの周り以外、全てが黒く焦げていた。

 黒以外に床を染めるのは倒れている局員達から溢れ出る赤い色。彼らのバリアジャケットからは煙がくすぶっており、痺れているからなのか時折ピクリと指を反応させている姿が見えるが、誰ひとりとして立ち上がる者はいなかった。

 

 その惨状に、なのはは顔を青くして口元を抑え、ユーノは辛そうに目を伏せる。

 ヴァンやクロノは冷静な表情を見せているものの、その手は強く握り締められていた。

 

 そんな重苦しい空気が漂う中で、モニター内では、そこだけが切り離された空間であるかのように楽しげな雰囲気を放って親子は笑い合う。

 

『どうどう、母さま? 私、すごい?』

『ええ、凄いわよ、アリシア。流石私の娘だわ』

 

 プレシアは彼女の頭を撫でながら褒める。もう既に局員達の姿など、そこらの塵程度にしか見えていないようだった。

 そんな時、局員の下に魔法陣が現れる。どこかで見たことがあるそれは、どうやら管理局の転移魔法らしい。淡い光を放つと共に、局員達の姿が掻き消える。

 

 そしてモニターを注視していたヴァン達の背後で、扉が開く。

 見るとそこには、今まで見たことがないくらいに真剣な顔をしたリンディと、ここにいるはずのないアルフの姿があった。

 

「状況は見ていたわね? クロノ、準備を」

「了解しました!」

「ヴァン君、なのはさん、ユーノ君。貴方達は──」

「当然、手伝わせてもらいますよ」

「うん!」

「僕も行きます!」

 

 リンディの言葉に被せるように、そう叫ぶ。

 それを受けた彼女は少しだけ驚いた顔をし、すぐに嬉しそうな顔になる。が、すぐさま真剣な表情に戻すと、全員を見渡してこう言った。

 

「ありがとう。早速だけど、すぐに出動するわ。ついてきて!」

 

 その言葉にヴァン達は間髪いれずに頷いた。

 それを見て踵を返すリンディの後ろについて、ヴァン達は走る。その中で、どうしてここにアルフがいるのかと聞くと、

 

「少しでも戦力はあった方がいいから。それに──」

「あのババアにはワタシも借りがあるからね。フェイトに似たあの子が誰なのかも気になるし、何より今までフェイトにしてきたことを後悔させてやる!」

「──とまぁ、こんな感じなのよ」

 

 意気込むアルフの熱意に押されたのも否定出来ない。そう話す彼女の顔には苦笑が浮かんでいた。そして司令室に着き、転移するためのスペースに入ろうとした時、リンディが皆を止めた。

 

 全員の視線を受けながら、彼女は真っ直ぐにこちらを見つめ口を開く。

 

「みんな、これだけは守って。危なくなったら絶対に逃げる事。いいわね?」

 

 それは怪我をして欲しくないという彼女の願いだった。

 ヴァン達はその言葉を笑みと共に受け止め、歩を進める。足元の魔法陣が輝き始め、ヴァン達を包み込んだ。

 

「プレシア・テスタロッサの逮捕、及びジュエルシードの封印。心してかかってちょうだい、いいわね?」

「「「「了解!」」」」

 


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