怖すぎぃ!
か、完結させるから、最後まで見守ってくれてもええんやで?
「シロはさ、結局その京太郎ってこのことはどう思ってんの?」
この塞という人は、お節介が好きなようで、まるで口うるさい母親ができたみたい。いや、おばあちゃんか?
「…どういう意味?」
呆れた…というような表情とため息。そんなこと聞かれてもよくわからないのだが。
「だからさ、京太郎って子のことが好きなの?小学校時代のこと聞いたら絶対ってほど出てくるじゃない。」
そこんとこ、どうなの?と。よくある恋バナのつもりなのだろう。
正直、私に聞くのは人選ミスだと思う。自慢じゃないが、友人、と呼べる人物ができたのは京太郎を除くと、
「………ダル」
「こらっ!そこではぐらかさない!」
塞と胡桃…塞が連れてきたちっこい女の子…くらいなのだ。
この二人は、私と同じように、どこか普通の麻雀からずれている打ち方をする。だからこそ、こんな私でも友人…みたいなのになれたのだろう。
「答えないと充電の刑だからね!」
胡桃は身長差がある私の膝に座るのが好きみたい。でも、正直勘弁してほしい。重く…はないんだけど、やっぱりダルい。
「…そんなこと言われても、本当に考えたことないからなぁ…」
出会ったのも、そこまで劇的、ってわけでもないし。…敢えて言うなら、だけれど
「…保護者、的な何かだと思う…(私が)」
「あぁ…保護者、なるほどね(京太郎が)」
納得したみたい。…なにかとても良くない勘違いが起きてる気がするけど。
「でもさ、本当にそれだけ?」
「…言ってる意味がよくわからないんだけど…」
「例えば、だけど…シロがしてもらってることを、他の人にもやってるとこ想像してみたりしたら、わかるんじゃない?」
…京太郎って優しいから、誰にでも同じことしてそう…
「それにもうすぐ夏祭りだしさ、一緒に行ってみたら?普段と違うことすればまた違う視点で見れるかもしれないし」
「夏祭り…は去年行く約束した気がするから…」
浴衣とか着たほうがいいのかな…でもだるいし、普段着でいいよね…
「充電!充電!」
いつの間に膝の上に…
「京太郎、行くよ」
「シロねーちゃん…少し待ってよ。普段ゆっくりなのにいきなり動いたら怪我するって」
たこ焼き、唐揚げ、お好み焼き。りんご飴、わたあめ、チョコバナナ。射的、型抜き、金魚すくい。
色々な出店がところ狭しと並んでいて。なにから食べようか、なにをしようか、と悩んでしまうのはしかたのないことで。
出店の回りには、親子連れやカップルなどが溢れかえって。
夏祭りは始まったばかりだというのに、もうすでに盛り上がっていた。
「少し、シロねーちゃんが浴衣着てくるんじゃないかって期待したんだけどなー」
「…だってダルいし」
着る気が無かったわけではない、けれど。流石にいきなり浴衣なんて着て、いきなりやる気出したみたいに思われるのは、ちょっと癪だった。
「…もう一回…」
「やめときなって!シロねーちゃんが金魚すくいなんていくらなんでも無謀…!」
「………ダル」
「焼きそばのキャベツ、芯だらけじゃん…俺でももっと上手く作れるぞ…」
「まだ料理勉強してるの…?」
「できて困ることは無いからね」
「タコス…?」
「こんな食べ物見たこと無い…食べてみる?」
「ちょっと興味あるし、美味しかったら作り方調べてみるよ」
ひと通り、お祭りを楽しんで、花火の時間が近づいて来て。
近くの高台に移動している時だった。
「シロねーちゃん、くじ引いてみようぜ」
「…なんかいいのあるの?こういうのは大抵当たらないでしょ」
「有名プロの人たちが語るオカルト麻雀って本があるよ。最近シロねーちゃん麻雀ちょいちょいやってるみたいだし、当たればラッキーってことでプレゼントしてあげる。」
「…じゃあ私が当たったら京太郎にあげる」
なんて、軽い感じの口約束。結局、どっちがあたっても二人で読めるけれど。こういうのは、やっぱり楽しかったりする。
お祭りの客が無遠慮にかき混ぜたのか、くじの一部はくしゃくしゃになっていて。
てきとうに、1枚引っ掴んで、広げてみた。けれどやっぱり良い物は当たらなくて。
「おもちゃの指輪…か」
プラスチックの輪っかに、硝子の加工品をくっつけた感じの、よくあるおもちゃだった。
「ねーちゃんも当たらなかったか…俺はやっすそうな時計だったよ」
京太郎も、当たらなかったみたいで。その手には安そうなデジタル時計。
引くときに迷えれば、いいものが当たったんじゃないかと思うけれど。そこまでするものでもない。ダルいし。
「じゃあ、この時計ねーちゃんにあげる」
「…じゃあこの指輪は京太郎に」
なんて、手に入れたものは違うけれど。約束は変わらないものだから。
「日が沈んで、少し経ってから花火始まるんだって。急ごうか、シロねーちゃん」
「…ダルい…疲れた…」
もう一生分動いた気がする。なんて、そんなことを考えてたら、
「邪魔邪魔!どいたどいた!」「避けろー!」「あっぶねぇ!前見ろ前!」「席確保ぉ!」
「うわっ!」「走るなよ!ぶつかってくんな!」「あぁん」「急げー!いいところでみたいんだよぉ!」
なんて、騒がしくなった。それなのに、私は気付くのが遅れたから、
「あっ…」
一瞬体が押されたと思ったときにはもう、私は地面に倒れこんでしまっていた。
「シロねーちゃん!大丈夫…!?怪我ない…?」
京太郎は泣きそうな顔で寄ってくるし、周りは私が倒れたことに気付くこともなく、みんな高台に急いで移動していた。
「ねーちゃん怪我してる…足大丈夫?痛くない?」
私の膝に、擦り傷ができていて、血が滲んでいた。動かすと、ズキッ…と痛みが走る。
とりあえず、人混みから出なきゃ…と急ぐ京太郎は、私の手を握ると、急いで横道に引っ張ってくれた。
足は痛かったけれど、握られた手は、少しだけ、暖かくて。
「なんだよさっきの奴ら…!あぶねーことしやがって…迷惑なんだよ…!」
京太郎は、私がケガをしたことにご立腹らしい。普段、怒ることのない京太郎がここまで表面に出すのは珍しかった。
それでも、
「シロねーちゃん、大丈夫か?」
なんて、気遣うことは忘れない。やっぱり、京太郎は、優しすぎる…
だから私は…
「ダルいし、少し痛いから…おんぶして…」
甘えてしまいたくなるんだ…
もう日も落ち始めて、地平線に沈みかけている。本来なら子供は皆、家に帰る時刻。でも今日は特別で、歩いている人は居なかった。
祭囃子が遠くから響く。子供の声や、太鼓の音もかすかに聞こえ、祭りがまだ賑わっていることがよくわかる。
「…重い?」
「全然、重くないよ。むしろ軽いくらいだって。」
「…そう」
京太郎は軽々と私をおぶってくれる。それが当たり前みたいに。
そして、私は少し、嬉しいような、恥ずかしいような気分。
暖かい京太郎の背中に寄りかかって。ぬくもりを感じて。
そのとき、ふと、塞の言葉を、思い出した。
『例えば、だけど…シロがしてもらってることを、他の人にもやってるとこ想像してみたりしたら、わかるんじゃない?』
そんなことを想像するだけで、
「ねーちゃん?どうしたの?また足痛み出した?」
京太郎が、心配そうな声色で、私に話しかけていることに、気づいた、
「…大丈夫、じゃないかも。少しだけ、痛い」
…うん、痛いよ。私は、気づいちゃったから。京太郎のこと、誰にも渡したくないって。
「じゃあ急がないとな!」
「…揺らされるのは、ダルいから、もっとゆっくり行こう…ね」
「ん、そうか!じゃあしっかり捕まっててな!ゆっくり揺らさずに歩いてあげる!」
ぎゅっと、京太郎に回した腕に力を入れて、離さないように。しっかりと。
「でもシロねーちゃん、胸ちょっと小さいな…もうちょっと成ちぉグォ」
「なにか言った?」
「グルジイデズ…」
今歩いている道には何もない。誰もいない。邪魔なんて入らない。
もっとゆっくり、歩いてください。二人のこの時間が終わることの無いように。
暗くなった後ろの空で、花火が鳴っていた。
時間はとまることなどない。そんな当たり前のことを、私は忘れていたんだ。
3448字(白目) こんなに書いてコレですか(白目)
シロチャン精神的レベルアップ!やったね!
なお、異性に輪になっている指輪とかネックレスにプレゼントした時は愛情、誓約、束縛、らしいで。
腕時計は男性から女性の時は同じ時を刻もう的な。
なお二人はそういうの全く知らない設定です。
ところで、インターハイの時の物語、宮守強化して先に進めるか、(姫松は犠牲になったのだ…)普通に魔王咲ちゃんの前に斃れるかどっちがいいかな?
強化の時は案考えるの頑張るよ(白目) 正直すでにシロチャン強化案はできてるし(小声) 活動報告でアンケート取るか…そんな人来ないだろうけど。