迷い家のお椀   作:ハム饂飩

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ガバガバな投稿速度、恥ずかしくないの?(嘲笑)

そしてやっぱり深夜に投稿して行くスタイル。

俺の中でホテルとか旅館って聞くと第一○本○になっちゃう不具合


第十二話

優希はタコスをたらふく食べ、満足げに去って行った。

 

部長にも、きちんと連絡をした。優希は、もう大丈夫です、元気になりました、と。

 

一人になった俺は、ホテルへと向かう。周囲の人の流れはインターハイの会場へ流れるほうが多いようだ。

 

俺も会場まで行ってみようと少しだけ思ったけれど、俺にできることはもう無い。

 

直接みんなに声をかける方法もない。試合を見るだけなら、テレビでも中継はしている。

 

それに、控室の外に呼び出してまで、みんなに声をかけるのも何か違う。

 

 

人の流れに逆らいながら、急いで歩く。早く部屋で試合の中継を見たかった。

 

さっきまで優希がいたから、気が付かずにいたけど。

 

一人だけになり、自分だけ何もやることがなくなってしまうと。

 

まるで自分だけが、取り残されているような、そんな気分になった。

 

 

 

 

 

 

 

雑用根性がついてしまったのだろうか。何かをしていなければ落ち着かない。

 

すぐに部長と連絡を取ると、何やら上機嫌なようだ。

 

そんな部長が電話で経過を教えてくれた。

 

染谷先輩は失点することを防ぎ、点数を確実に増やしてくれたらしい。

 

部長も、最初はボロボロだったけれど。後半には持ち直して一気に点数を取り戻したと、大げさに話していた。

 

副将戦の途中で部屋に戻りテレビをつけると、いつも通り麻雀を打っている和の顔が写っていた。

 

淡々と牌を切る、大胆に鳴く、確実に降りる。いつもの和。

 

それは、今までの自分への自信、それに咲への信頼でもあるのだろう。

 

ここで逆転しなくても、咲が次へと引っ張ってくれると。そう信じている。

 

部長の電話からも、和の様子からも、部員同士の結束の強さ。それがわかる。

 

部屋に逃げるように帰ってきた俺だけれど。

 

どこかでその結束に役立てたのなら、それはとてもうれしいことだと。

 

 

そうやって、考えることにした。

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、副将戦の終了を告げるブザーがなる。

 

どうやら永水の副将の調子が悪かったようで、焼き鳥、その上かなり点数を落とした。

 

清澄にとってはとても嬉しい展開だなと、心に浮かんできた。

 

その浮かんできた考えは、その人を嘲笑するようなものではない。はずだ。

 

一瞬でもそんなことを考えた自分に嫌気がさす。

 

でも清澄だって、勝ちたい。笑う人がいれば、泣く人だって居る。

 

本気で戦う理由はあっても、対戦相手に同情して手を抜く理由なんて、どこにもない。

 

そんな当たり前のことを、今更理解して。

 

それならば。シロさんの八つ当たりのような、あの麻雀は一体どういう意図だったのか。

 

たしかに本気だった。真剣にやっていた。それでも、「勝ちたい」という気持ちが、見えなかった。

 

一体、どうして…

 

 

そのとき、また携帯が鳴る。

 

ずっと手に持っていたまま、立ち尽くしていた。全く気付かずに、立っていた。

 

 

「須賀くーん。ごめんね。ちょーっと買い出し頼み忘れたものがあるんだけど」

 

 

「…またですか?」

 

 

「ごめんごめん。必要なものリストはメールで送っておくわ。今度サービスするから、許して?」

 

 

「期待しないで待ってます」

 

 

部長の言うサービスは嬉しいものじゃない気がするので、さっさと通話を切る。

 

結局、大将戦が始まる前に、もう一度外へ出かける羽目に。

 

まだ蒸し暑いし、あまり歩きたくないけど、逆らう気が起きない。

 

自分の意思が無い、情けないぞ。

 

荷物を渡すときに、一言くらい文句言ってもばちは当たらないだろう。

 

そう決意して、買い出しに走った。

 

 

 

 

「あっ…それとね、あとで須賀君に聞きたいことが…って…電話切れてるし」

 

 

後で恐ろしいことがあることを、俺はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

波乱に満ちた二回戦。その日の夜。

 

準決勝へ進出できるのは2位までの高校。1位は先鋒戦でのリードを危なげなく守った宮守高校。

 

そして、無事とは言い難いが、清澄高校は2位で準決勝へと進出することができた。

 

そんなギリギリの試合の熱がまだ冷めていないのか、咲たちは知り合いの人たちと出かけてしまった。

 

おそらく、夕食を食べに行ったのだろう。

 

そんな女所帯に混ざる勇気なんてなくて、一人寂しくホテルのバイキング。

 

洒落た広間、綺麗な照明、でもどこか落ち着いているつくりに少し感動する。

 

そこにはご飯物に汁物、魚類、肉類、野菜類。揚げ物や麺類だって揃っていて。

 

ところ狭しと並んでて、どれを食べるか悩んでしまう。

 

どこか逸る気持ちを抑えながら、自分の部屋が指定されている席に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に食べようと注いだ味噌汁とご飯。

 

さっさと部屋に戻ろう、そう思いながら席に戻ると、先程まで居なかった隣の席に女子の集団が居た。

 

 

「今日の試合すごかったね…なんかオーラが違ったというか…」

 

 

「うん、なんというか、キレてた?」

 

 

「あの大将の人ちょーこわかったよー…」

 

 

「ツギハ、モットカツ!!」

 

 

この近くで開かれている大会なんて、麻雀くらいで、すぐにインターハイの選手だと分かる。

 

…なぜか外人さんはワカメの絵にバツ印を書いていたけど。

 

しかし、今日の試合といえば、清澄が出た方ともう一試合しか無い。

 

うちのメンバー意外の顔は覚えてないから、どこのチームの人かはわからない。

 

もしかしたら気づいてないだけで、周りには、結構出場者が居るのだろうか。

 

それに、周りを見渡してみれば。

 

どこも、何人かでまとまって座っていて。

 

とても賑わっていて。がやがやと、とても煩くて、とても楽しそうで。

 

やっぱり皆と一緒に行けばよかったと、後悔する。

 

 

子供のころから、一人で食事をする、なんて経験はほとんどなくて。

 

祖母やシロさんが横にいて、話をするのが楽しくて。

 

その日合った出来事や、些細な事を話したり、聞かされたり、退屈なんてなかった。

 

確かにここのご飯は美味しいけれど。

 

そんな、人の温かみが足りないな、なんて気取ったことを考えて。

 

気がつけば味噌汁から湯気が無くなり、ずいぶんとぬるくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

食事を終え、部屋に戻るために、エレベーターへ向かう。

 

少し早めに食べたからか、食事に向かう人のほうが少し多いようだ。

 

降りてきたエレベーターから人が出てくる。

 

その中の一人と、一瞬だけ、目が合った気がした。

 

その人は、今一番会いたくて、でも、一番会いたくない人。

 

気付かれないように、すぐにそっぽを向いて。

 

売店に行って、やり過ごそうとした。

 

でも、振り向いた俺の腕を誰かに掴まれて。

 

いきなりだったから抵抗もできず、そのままエレベーターに引っ張り込まれた。

 

 

「なんで逃げるの」

 

 

「い、いや、気づかなかっただけだよ?」

 

 

「白々しい」

 

 

俺の返答は一蹴される。

 

自分でも苦しいと思う。けど絶対に、会いたくなかった、なんて言えなかった。

 

時間が来たのか、勝手にエレベーターの扉が閉まる。

 

 

「それよりもさ、シロさんご飯食べに行くんじゃないの?なんで一人でいるの?」

 

 

「部屋で寝てたら置いていかれた」

 

 

「それなら早く行ったほうが…」

 

 

全く、覚悟も、決意もしてないのに。不意に訪れた、二人きりというシチュエーション。

 

どうしようもなく焦ってしまい、とにかくこの状況から逃げたかった。

 

でも、それでも。

 

 

「いまは、いいよ。それよりも」

 

 

真っ直ぐこちらを見つめてくる瞳から目が離せなくて。

 

 

「京太郎と、話したい。

 

だから、京太郎の部屋、連れてってよ」

 

 

この人のお願いを、断るなんてことは、できなかった。




てことで十二話です。

この後の展開も考えてたんだけど、どう考えても京太郎視点でやるべきじゃ無いって気づいたからここでとめとく。


決勝はオーラスに末原さんが渾身の嵌め手で咲から直撃取ったけど裏乗らずに負けたってことにしといて(適当)

並び対子一枚ずつ落として両面待ちにして、片方すでに咲が槓してて反対側を加槓したところ槍槓したとかで

牌譜は考えたけどお蔵入り(確信)

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