転生して原作キャラと仲良くなりたい。@異世界から問題児がくるそうですよ?   作:冬月雪乃

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第8話

「詩織さん、お風呂沸きましたよ。飛鳥さんと耀さん、黒ウサギは先に向かってます」

 

部屋でおとなしく兵器製造をしていると、急に扉が開いてジン君が現れた。

脊髄反射で黒鍵を投げた。

 

「ヒィッ!?」

「ん?あぁ、ジン君かね。女部屋に入る時はノックしたまえ」

「す、すいません……あの……お風呂……」

「うむ。ご苦労様、ジン君。ではお先にいただくよ」

 

 

 

 

 

 

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風呂。

やはり日本人に風呂は必要だね。

素晴らしい。

草の獣も放ったので疲労回復にピッタリだ。

 

「……不思議……」

 

耀が草の獣を抱きかかえながら発言した。

 

「そうね。疲労を食べる、なんて生物見たことないわ」

 

こちら、飛鳥もまた、草の獣を抱きかかえながらの発言だ。

 

「異世界に呼ばれた私達が言うのもなんだが、正真正銘異世界の生命だからね」

「あら、七海さんの世界の生物ではないのね」

「うむ。私が扱う概念から出来た、ギアと呼ばれる異世界の生物だ。1stから10th、Low、Topと十二種類。草の獣は4th-Gに唯一存在する生命だね」

「ほほう、つまり、詩織さんは異世界を渡り歩いて概念を自由に扱うギフトを得た訳ですね?」

 

草の獣を背中に乗せた黒ウサギが感心したような声で私に問いかける。

 

「いいや。そうだね、箱庭風に言うなら、神様とギフトゲームをした結果得たギフト、といったところか。元々、私はスターライトブレイカーと時間遡行カウンターしかギフトを持ってなかったのでね」

 

元々ビームは撃てたんだ……と耀。

 

「うむ」

 

そういえば、誰かと風呂に一緒に入るのは初めてか。

ふむ。

 

「しかし……」

 

自然と飛鳥と黒ウサギの胸に目が行く。

なんと世の中は不公平なのだろうか。

瞳と遺伝子、胸以外は束と同一だというのに……!

 

「……ねぇ詩織……」

 

いつの間にか背後に現れた耀が囁く。

それは、悪魔の様な甘美な色を持っていた。

 

「--胸を潰すか私達が大きくなるか……そんな概念……作れない?」

「ふむ。なるほど、いい提案だね。では、・--胸は、」

「おやめください!!」

 

青ざめた黒ウサギと飛鳥によって私は風呂の底にヘディングする事となった。

 

 

 

 

 

 

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さて諸君!ゲームの始まりだね!

ヘディングした辺りから全く記憶が無いよ諸君!

そして今の私はエプロンドレスだ。

風呂に入るに当たり、ユグドラシルさんを取り外していたからか、黒ウサギ等、問題児達に着せ替え人形にされたらしい。(情報提供、ユグドラシル)

久しぶりに違う服なので今日くらいはこれで行こうと思う。

さて、現在“フォレス・ガロ”居住区に私達は立っている。

中々禍々しいジャングルだね?

ジン君の話では、鬼種のギフトが与えられている赤い葉脈のような--ぶっちゃけ血管みたいな模様が浮き出た木々が生い茂るジャングルに私達はいる。

 

「なるほど、虎だからジャングルなのだね?」

「いえ、普通の居住区だったはずなのですが……」

「見たまえ、契約書類があった」

 

『ギフトゲーム名“ハンティング”

・プレイヤー一覧 久遠飛鳥

         春日部耀

         ジン=ラッセル

         七海詩織

・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。

・クリア方法 ホスト側は指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約ギアス”によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

・指定武具 ゲームテリトリーにて配置。

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                          “フォレス・ガロ”印』

 

「ガルドの身をクリア条件に……指定武具で打倒!?これはまずいです!」

悲鳴にも似た叫びを黒ウサギが出す。

「ふむ。シンプルでいいルールだと思うのだが」

「えぇ、本当にシンプルです。ですが、このルールでは飛鳥さんのギフトで彼を操る事も、耀さんのギフトで彼を傷つける事も出来ません!」

「すいません、僕の落ち度です。初めに“契約書類”を作った時にルールを指定していれば………!」

「問題あるまい」

「そうね、問題ないわ。あの外道を叩き潰すのに、これくらいハンデがあった方が丁度いいもの」

 

私が言うのもなんだが、常に勝ち気な女性だね、飛鳥は。

 

「さて、では行こうか」

 

ガルド屋敷に向かう道すがら、とりあえずの役割を決めておく。

私、耀が突撃、飛鳥とジン君は退路確保。

うむ。完璧だね?

 

「指定武器か……となると、身体能力で勝る耀が要の作戦でいくしかあるまいね」

「そうですね、様々な動物からギフトを得ているならもっとも現状優位に立ってるのは、耀さんでしょう」

「ふむ。ならば耀。私が囮をやるのでその隙に頼む」

「分かった」

「--ここ、ね」

 

飛鳥の声に前を向けば、ジャングルより余程禍々しい館がそこにあった。

館まで鬼化してるのかね。

 


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