転生して原作キャラと仲良くなりたい。@異世界から問題児がくるそうですよ?   作:冬月雪乃

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箱庭召喚→虎退治
第1話


手紙を開く。

 

何もかも全てを失う覚悟があるのなら。

我らが“箱庭”に来られたし。

 

わぁ。

次の瞬間。

私は上空4000mに投げ出された。

招待しておいていきなりこんなクレイジーな事はあるだろうか。

眼下、紐なしパラシュート無しのスカイダイビングをしている一人の少年と二人の少女、一匹の猫を見て思う。

 

「さて、このままではとても大惨事だね。X-wi」

 

私の背中に重みが現れる。

同時、羽ばたきの音と浮遊感。

一気に加速し、少年少女猫を翼で捕まえる。

 

「うぉお!?」

「きゃ!?」

「むぎゅ」

『に''ゃ''ぁ''ぁあああ!?』

「舌を噛むので口を閉じることをお勧めするよ」

 

悲鳴が止んだ。

それとほぼ同時に着地。

 

「いやぁ、災難だね?」

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場で即ゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

いしのなかにいる!

 

「……いえ。石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「そう、身勝手ね。それと……貴方、助けてくれてありがとう」

「ふむ。通りすがるのも何だっただけだよ。私は七海詩織。君は?」

「私は久遠飛鳥。好きに呼んで頂戴。ちょうど良いから自己紹介と行きましょう。そこの粗野で凶暴そうな貴方は?」

「高圧的な自己紹介ありがとよ。見た通り、野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶暴で快楽主義者の三拍子揃った駄目人間だから、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様?」

「そう。取扱い説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

「ハハ、マジかよ今度作ったら覚悟しとけ、お嬢様。」

「では、最後に猫と会話してる君は?」

「春日部耀。さっきはありがとう。さっきの翼は……」

「あれについては後で話そう。気にしないでおくといい」

 

さて、火花を散らしてる二人を落ち着かせるとしようかね。

 

「落ち着きたまえ。喧嘩はとりあえず現状を理解してからにするといい」

「……それもそうだな」

「えぇ、そうね」

 

はぁ、と二人して大きく息を吐き出して苛立ちやらを体内から押し出す。

やがて周囲を見回した十六夜が口を開いた。

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと招待状に書かれた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

「そうね。何の説明もないままでは動きようがないもの」

「では仕方ないね。そこでこっそりしている何者かを捕縛し、聞くとしよう」

「そりゃいい」

「あら、貴方も気付いてたのね」

「それは春日部さんも一緒だろう?」

「風上に立たれれば、嫌でも分かる」

「へぇ、面白いな、お前」

 

ガサガサと動揺した様に茂みが揺れる。

が、誰も出て来ない。

 

「……・ーー全ては一瞬で真逆となる」

 

仕方ないので私と何者かの位置関係を逆にしてみた。

 

「へっ!?みぎゃっ!?触るなら未だしも、黒ウサギの素敵耳をいきなり引っこ抜きにかかるなんてどういう了見ですか!?」

「……好奇心の為せる業」

「自由にもほどがあります!」

「詩織……だったか。あいつは何処行ったんだ?」

「呼んだかね?」

 

飛鳥と耀に弄られる黒ウサギを見ると、助けを求める様な視線とかち合った。

全力で無視した。

 


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