The Problem Hunter   作:男と女座

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ぶっ飛んだ内容だとは思いますが、よろしくお願いします。

今に始まった事じゃにですけどね、はいw


前書き、あとがきに何て書いたら良いか戸惑います。
あとがきと言うよりはオマケとして1話使ってまとめて書いた方が、私としては好きなのでww


物語は前回より更に数日前。過去の話です。

ジャンボ村
ドンドルマのはるか東、辺境の最奥に位置する。密林に近い。




第4話 ハンターにラブ(?)ソングを

――――――モンタナ君が大変な目(3話参照)に遭う数日前のお話。

 

 

昔から音を奏でるのが好きだった私は狩猟笛を持ち、多くのエリアを廻っていた。音色を求める為にハンターとして狩りをし、様々な狩猟笛を試した。そして私はいつの間にか上級ハンターの仲間入りしていた。

今はヴォルカニックロックの音色(エレキギターの様な激しい音)を好んでいるが、何かが今一つ足らない…。もっと胸を熱くさせる様な音色を。

 

 

 

私は朝からジャンボ村で思案に暮れていた。

流石に独自に改造しようにも、適した素材が無ければ何も出来ない。私の心を満たす音色、そして独特性を得られるような物はないだろうか…。最近では寝不足になるほど考えこんでいる。

 

 

「弥生か?赤フルフル装備にしたんか、気付くのに時間かかったぜ。でもその青い髪見てお前さんだと思った。」

 

ギリーガンランスを背負った、ボルボロス装備の男が私に話しかけた。

 

「頭装備を外せ。顔がわからないわ。」

 

「すまね。 ビルだ。」

 

「ああ、君か。」

古い友人だ。ポッケ村の出身の彼とは新人の頃、何度か集団演習で顔を合わせてから度々クエストを一緒にこなした。今はトレジャーに専念していて、雑誌にも紹介記事が出ていた。

「『狩りに生きる』を読んだぞ?凍土で絶滅したはずの古代植物の種の発見なんて凄いじゃないか?」

 

「まぁな!苦労したよ、アレ。」

 

「だが万年氷の半分以上を破壊したって記事もあったがな?」

 

「あー…、うん。それね。」

 

「ギルドが黙ってなかっただろ?」

 

「トレジャーの成功もあって、それなりな事になったよ。大変だったけどさ。おかげで、とあるギルドの人の部下にさせられたよ。」

 

 

いまだに無事という事は莫大な罰金でも支払ったんだろうか。ビルが詳しく言わない以上、根掘り葉掘り聞かない方が良いか。しかしギルドの人の部下にならされるとは珍しい話だ。

 

 

「お前は相変わらず一人だな?他に組むのはいないのか?」

 

「私は面倒事を好かない。常に音の様に廻り続けたいの。」

 

「はいはい、そうだったな。」

 

 

ふと思えば、今私の目の前には素材探しには打ってつけの人物がいるじゃないか。

 

 

「なぁビル。素材ツアーに行こうと思うんだ。オススメは?」

 

「ん?密林かな。

 あ、でも近日、超大型モンスターが砦に接近するから付近のハンターに召集が掛かっているんだ。まだまだ人数が足りないらしい。そこで弥生、一緒に来てくれるか?

 ――――ってもう居ねぇよ!」

 

 

 

聞いてすぐさま密林に入った。うっ蒼とした森は確かに私の期待を高めてくれる。砦の件はビルが行くなら問題ないはず。信じてやろう。このまま私は奥へ奥へと―――立入禁止区だろが―――進み続けた。

 

 

(ハァ…暑い…。)

 

 

長く進むにつれ湿度と気温が流石につらくなってきた。そんな長時間滞在用にこんがり肉などのアイテムは十分に持って来てもいないし、そろそろ戻ろうか?

 

 

ブチッ!  ガシャン!!!

 

 

紐かツタが切れて、何かが落ちる音がした。私は音がした方を頼りに進んで調べると、ハンターの亡骸があった。大分年月がたったのか既に着用している防具すらボロボロだ。

 

 

「悲しいね、こんな所だと。」

 

 

まぁ丁重に埋葬してやろう。行き倒れのハンターの対処の決まりに従い、使えそうなアイテムは貰い、ギルドカードは街のギルドマスターに提出しないと。

 

 

きちんと埋葬し、鎮魂の曲も弾いた。どうか安らかに眠ってほしい。

遺品のアイテムポーチの中には手紙。そして変わったモンスターの素材があった。禍々しさが漂う漆黒の角や鱗、甲殻。そして宝石の様な妖しい輝きの眼球。私はひと目見て確信した。ここに私の心を満たす素材があったのだ!、と。

 

 

『私は限界だ。いくら逃げても見られている。

 私は限界だ。ならばコレを抱えて―――』

 

 

手紙を読むと、この素材が危険な物で「手を出すな!」と警告している。確かに素材を手に持つと、密林の暑さを忘れる程の悪寒が走る。

…だがもし、コレを組み入れたギターはどんな音色を奏でてくれるだろうか?今度こそ、私を満たしてくれるかもしれない。

 

 

「お前の物を最大に使わせてもらうよ。―――――イェヤア!」

 

 

悪寒は歓喜の震えに変わっていた。

夕方。私は急いで村に戻り、宿屋で素材を元に独自で加工を始めた。甲殻を削ろうにも堅く、剥ぎ取りナイフですらボロボロになってしまった。夜になっても作業は続けたが、本格的な加工には村の武具屋の炉を使い、私自身の指示で行ってもらった。出来上がるに従って職人は眉をしかめてはいたが、気にしない事にしよう。

 

 

 

翌朝に“それ”は完成した。闇に包まれた真黒のヴォルカニックロック。早速弾き鳴らしたいが、この音色は大勢のハンターと感動を共有することにしよう。そういえば良い場所があった。私は早速向かうことにした。

 

 

 

 

 

「バカ野郎!大タル爆弾の起爆にミスんな!」

「誰か!!脚が折れた!誰か!」

「麻痺弾は効かないのか!?」「効くわけあるかッ!」

「大砲の弾を運べ!援護してくれ!!」

「もうダメか…!」

 

 

私が砦に着くと既にシェンガオレンの襲撃に場は混乱していた。

 

 

「おお、弥生!お前も来てくれたのか!」

 

「ビル。お前がいてこの様はなんだ?」

 

「いや俺も途中から来たんだ。そこまで脅威じゃないって情報もあったから、下位クラスでも大丈夫だろって。けど、言うとまぁ…いやー烏合の衆だ、ここの連中。」

 

「ふーーーー…ん。はっきり言うわね、ホント。」

 

「もうエリア5に入るらしい。大したダメージも全く与えてないし苦戦しそうだな?きびしいな?な?」

 

「言われなくとも弾いて手伝うさ。今日はこの子のお披露目よ。」

 

 

私の応えにビルは「なら頼む。」と笑顔で返した。そこまで私は非協力的だったのか、複雑な心境にはなったが今は早く弾き鳴らしたい。

 

 

 

ギギギギギギギギ…

 

 

エリア5に入ったシェンをバリスタや大砲が狙っていた。相変わらず品の無い音だ。ビルは「でも良い匂いだろ?」と、誰が共感するか分からない、重度の火薬フェチの感想を述べている。

 

 

「その笛、新しく変えたのか?効果は?」

 

「さぁな。オリジナルでここが初披露だ。でも私の音色の効果があれば、あとはもうヘイヘーイ♪って感じでしょ。」

 

「そうか。じゃあ期待してる!

 行くぜ!」

 

 

ビルは颯爽と飛び降りてシェンに向かって行った。彼に続くように他のハンター達も行く。厚かましいかもしれないが私の黒いヴォルカニックロックが状況を変えられる。こんな大舞台、実にハンター冥利に尽きる。

 

 

「“黒いヴォルカニックロック”じゃ締りが悪いわね。」

 

「弥生!早くしろ!シェンが立ち上がんぞ!!」

 

「あ、そうだ。カオスティックロックにしよう。

 カオスティックロック。さぁて、聴いてみな?」

 

 

♪ジャァァァァァァァァァァアアアアアアン!!!!!!

 

 

今までにない激しい音が砦に響き渡る。でもいくら弾いても旋律を捉える事が出来ない。狩猟笛の楽譜は全て頭に叩き込んでいるが、黒の音色しか浮かばない…。

 

……いや、そんな事なんてどうでもいい事ね。狩猟場の緊張、ハンター達の攻撃音、今まさにシェンの巨大な鋏が降り下ろされるかもしれない危機感。全てを包み込んで支配する様な黒の音色。

 

もっと弾きたい。カオスティックロックの闇が!私自身が求めるままの演奏を!

 

 

「イィィィェェェェヤヤヤァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

その日、ビル以上にギルドを震わせる事件の首謀者になるなんて、私はまだ知らなかった。

 

 

 




2ndG時代にあったヴォルガニックロックが印象が強くて、それをさらに魔改造したカオスティックロック。厨二な名前だ!でも嫌いじゃない!

元々物語を考える時はゲームサントラばっか聞いてます。それでエレキギターが強い曲を好むので、「じゃいっそ武器にするか!」ってネタを考えて出した結果がコレです。

次回、このカオスティックがもたらした効果を書きつつ、ビル君のトレジャー回です。

ありがとうございました(^^)

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