The Problem Hunter   作:男と女座

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最近色々あって1日が異様に長く感じています、男と女座です。月末が怖い…。
プレッシャーにも弱いのでバイオハザードのタイラントに追われるとか、サイレントヒルの三角頭さんに追われる夢とか見ましたよ…。

そのせいか2、3週間投稿してなかった感がw


さて、以前感想に初期設定復活しても?といただいたので、いい機会なのでプチ復活します。
当時は弥生かモンタナを主人公に考えていたので、ビルはちょい役です。

では、読み切り漫画ってことで内容は薄いですが番外編をどうぞ!



番外編 舞台裏浪漫Ⅱ

「君ねぇ…、名前は何て言ったっけ?」

 

「フリューゲル。」

 

 

僕は堂々とした態度で答えた。ここはドンドルマにあるギルドの―――うぅ、何でこんなことになったんだ…―――裁判所。僕の今後の処罰について数人の裁判官が議論している。

事の始まりは、僕を含んだ4人のハンターがリオレウスの討伐で森丘へ向かった時だ。僕はガンナー、ライトボウガン使いで後方支援を担当していた。

 

 

 

「避けないから悪いんです。それに暴発です、ミス発射、誤射。」

 

「誤射・暴発で済むか!岩が崩れて他のハンターは重軽傷、リオレウスの未対応に周辺の村から抗議が殺到しているんだぞ!?」

 

「それは大変ですね。」

 

「お前の責任だろう!!」

 

「えぇー…。」

 

「今日中にリオレウスの討伐に成功しなければ、貴様のハンターライセンスは剥奪!以上!」

 

「あ、その前に1つ。」

 

「何だ!?」

 

「弾薬代が無いので前金ください。」

 

 

正直な僕の状況を話したのに、怒られてしまった。まぁ弾薬の資金は文字通り“叩きつけ”られたけれど、良しとしよう。僕の使う武器は桜花の連弩。通常弾の連射が良い、僕の愛銃だ。

それにしても…「同行者を用意した。お前には御似合いだ!」なんて、面倒になったな。合流場所の外門近くの酒場でかれこれ1時間以上は待っているが、本当に来るんだろうか…?

 

 

「おい。」

 

「はい?」

 

「フリューゲルだろ?私は同行者の弥生だ。」

 

 

僕の前に現れたのは美人のハンター。もっとゴツイ人とかを想像して、憂鬱になっていたから妙に嬉しい。

 

 

「早速行こう。他の仲間も待っているから。」

 

「わ、わかりました。よろしくお願いします。」

 

 

コレは楽しくなりそうだ!

 

 

 

 

 

ガラガラガラ…

 

「…………。」

 

 

僕達は因縁のリオレウスの討伐に向かっている。向かっているんだが…。

 

 

「捕獲用の荷車は揺れるわねー。」

 

 

移動方法がアプトノスの引く荷車で、弥生が御者をしている。そして僕は木の檻の中に収容されている。何だか泣きたくなる。別に悪い事をしたわけじゃないのに…、いや、したか。

 

 

「悪いわね。取り合えず、くつろぐ…のは無理ね。まぁ私らには御似合いだけど。アハハハハハ!」

 

 

弥生は爆笑しながら手綱を操り、鼻歌を再開した。僕は後ろに振り返り檻の中ほどの壁際で眠るハンターと、後方の壁で座禅を組んでいるハンターがいる。一応挨拶にと、僕はグラビモス装備に身を固めたガンランス使いに話しかけた。

 

 

「おお。初めまして、ビルだ。」

 

「よろしくお願いします、ビルさん。」

 

「ハハハ。敬語はいらないよ。歳も同じ位だし、お互い呼び捨てにしよう。

 よろしく、フリューゲル。」

 

「分かった。こちらもよろしく。」

 

 

装備で顔は見えないが、人当たりの良い人らしいので安心した。

次は檻の後方で座禅をしている、異様な雰囲気を出しているユクモノドウギ装備のハンターだ。彼の前には一般人が薬草等の採取に使う篭が置いてあり近寄りがたい。戸惑う僕にビルは「今気が立っているけど、挨拶くらいなら大丈夫だよ。」と言い、僕は意を決し歩み寄った。

 

 

「───!」

 

 

数歩近づくと僕へ微かに顔を向けた。笠で顔は見えないが、鋭い視線は分かる。

 

 

「えっと…は、初めまして。僕はフリューゲルです。」

 

「………、……モンタナ。」

 

 

重く低い声で答えた。ビルとは真逆の印象で、会話に困った僕は篭の中が気になってもいたので覗き込んだ。

 

 

「あぁあぁああァアアアッあ!」

 

「!」

 

 

奇声と共に僕は押し倒されていた。突然の出来事に驚いている中、頬に冷たい物が当たった。その正体は小型のナイフ。

 

 

「むゥん~~~~ッ!?」

 

 

僕は手足をバタつかせて必死に抵抗するも、上に圧し掛かったモンタナは口にくわえたナイフを鼻に突き付け、恐ろしい形相で叫ぶ。

 

 

「誰にも渡さん!この刀は全て小生の物だ!!誰にも渡さん!誰にも!!!誰にもォ!!!!!」

 

「モンタナ!」

 

 

駆け寄ったビルがモンタナの服を掴んで引き揚げ、壁へ叩きつけた。倒れたモンタナの両腕には手枷が取り付けてあるのが見えた。ビルは僕の前に落ちてあった小型のナイフを持ち、「こんな物をどこに隠していたんだか…。」と首をかしげると、モンタナはぼそっと答える。

 

 

「口の中…。」

 

「ハハハ。そりゃ見抜けなかった。手枷をつけても意味がないな。殺人鬼め。」

 

「ヒヒヒハァハッハッハッハァッ!」

 

「ううぅぅぅ…」

 

「おぉ、大丈夫か?フリューゲル。

 コイツはちょっとだけ短気だから。」

 

「ちょっと!?」

 

「まぁモンタナの刀に触ろうとしたからだぞ?挨拶だけにしとけば良かったんだ。」

 

「ええぇぇえ!?それ!?」

 

「コミュニケーションは順調かー?そろそろ着くわよ。」

 

「おーぅ。」

 

 

いつの間にか森丘のベースキャンプへ到着していた。アプトノスの口に取り付けられた縄を杭に留め、弥生は僕達のいる檻を開けた。あのコミュニケーションで先行きが不安になったのは言うまでもない…。

 

 

「…や、弥生。…もう良いか?」

 

「ええ。存分に。」

 

「フシュシュシュシュ…。」

 

 

歯を見せながら、口を広げてモンタナは笑った。あんな気色悪い笑い方は初めて見た。弥生はビルに「解いてあげて。」と言うと、ビルは金色の鍵を手に取りモンタナに近寄った。

 

 

「さぁ行くか、友よ。」

 

 

ガチャン!と重い金属音に続き、ズン!とモンタナを拘束していた手枷が落ちた。

 

 

「応ともよ。」

 

 

モンタナは手の自由を確認すると、刀が大量に納められた篭を背負って歩き始めた。それに続く様にビルはガンランスのジェネシスを、弥生はヴォルガニックロックを持って進む。

 

 

「置いて行くぞ。」

 

「あ、ああ。」

 

 

僕も彼らを追って走る。友とか仲間なら手枷を付けんなよ、とか言ってはダメなんだろうな。

 

 

「フリューゲル、お前さんが先行しろ。」

 

「分かった。任せてくれ、ビル。」

 

 

前回戦った記憶から山の上の森を目指す。ビルは「まぁ気張らずにな。」と優しく声を掛けてくれるのは良いんだが、…後ろで「フー…!フー…!」と息遣いが荒いモンタナが怖いから必死に探した。

 

 

 

 

「グォォォオオオ…!」

 

「キャァアァオ!」

 

 

森の中の広場にランポスの大群とリオレウスを発見した。僕とビルは武器に弾丸を装填し、弥生は鼻歌まじりにヴォルガニックロックの弦を軽く弾く。

 

 

「きぃィィぃえぇえいッ!」

 

 

僕達の準備を終えたのを確認し、突然奇声を上げながらモンタナは篭の中の黒刀を抜き取り、狩場へと突き進む。

 

 

「小生に続けェーーーッ!」

 

「おーッ!」「ライブの始まりだーー!」

 

 

おいおい、マジかよ。状況はランポスの大群とリオレウスが餌の取り合い中。それなのに3人は打合せも無しに突撃し、好き勝手に戦い始めた。

モンタナは相変わらず不気味な笑い声でリオレウスの顔を斬る。一振り一振りが硬いレウスの身体を易々と切り裂き、返り血を浴び、更に「ヒャッハーッ!」と喜ぶ。

 

 

「グォォオウ!」

 

ボン!ボン!ボン!

 

 

リオレウスから放たれた火球をビルが前に出て、連続で放たれた火球を防ぐ。その隙を狙い、ランポス2頭が背後に回って2人に跳びかかろうとした。

 

 

「散弾を撃ちます!」

 

 

僕が散弾を撃つタイミングを予期していたかの様に、引き金を引く寸前にビルとモンタナは左右に別れて跳んだ。そんな彼らの戦い方を見て高揚・興奮した。

 

 

ドンッ!ドンッ!

 

そして散弾に撃たれて飛び上がったランポス達へ追撃にビルは盾を叩きつけ、モンタナは容易く真っ二つに斬り裂いた。ランポスの大群は乱入したハンターに恐怖したのか森へ逃げようとする。だがそれを許さない弥生は前に立ち塞がって叫ぶ。

 

 

「逃げるな。音を聴け、戦いながら聴け、死ぬまで聴け、死んでからも聴けよォ!!」

 

♪ジャアァアアアァァン!!!

 

「キィィイ!!?」「キャァァアォウ?!」

 

 

弥生の奏でる音を聴いたランポスが、悲痛な叫び声を上げて身を震わせた。すると眼を真赤に染め上げて襲いかかった。変貌したのはランポスだけではない。リオレウスも怒りの咆哮を上げ、更に凶暴になり辺りに炎をまき散らす。

 

 

「アッハハハハハハハハハハハハ!!

 ♪もーっと狂え!叫びを上ーげろ!炎で森を包み込みなさい!Hey!ライブはこれからだァーーー!」

 

 

弥生はヴォルガニックロックを弾き鳴らし、滅茶苦茶な唄を歌う。その唄に応える様にビルは笑いながら辺りに火薬を撒き散らして爆破、辺りを火の海へ。そして爆笑。

 

 

「燃えろ燃えろー!」

 

 

山火事の中、炎の中で3人は笑いながら狩りを続けた。もうこの場から逃げ出そうとするランポスの姿は無く、リオレウスは怒り状態から戻ることなく暴れ続けた。

ハンターである僕達の方では、モンタナは篭の中の刀と交換しては敵を斬っては笑う。ビルは火薬やタル爆弾を散らして炎を広げる。そして弥生は歌いながら曲を弾き鳴らし、現場は大混乱。

 

普通のハンターは引く、いや逃げ出すのだろう。けれど僕は、気が付いたら彼らと同じ様に笑っていた。楽しい。こんな風に大暴れ出来る日が、仲間がいたなんて知らなかった。

 

 

「ハハハハハハ!!!」

 

 

 

…勿論こんな状況になってギルドが黙っていたわけではなかった。目撃した民間人が「ハンターの格好をした凶悪犯、テロリストがいる。」なんて通報したから。まぁ山半分が焼失したのを考えれば、ね。

 

 

それでも僕には危険で問題ばかりの仲間と出会った。あとで弥生に聞いたけど、あの時に演奏しながら歌っていた曲は僕達の唄らしい。曲名を聞いて笑った。その曲名、それは

 

 

『The Problem Hunter』

 

 




あー、初期モンタナくんも面白かったな~。モンタナくんのモデルから「なんで俺を元にキャラ作ると、病んだヤツばっかなんだ!?」と言われたのが良い思い出です。彼に勇気づけられ始めて、もうすぐ1年(小説家になろうにて1月から始めて)。こちらでもお気に入り件数も増え始め、本当にありがたいです。


そう言えば…前回の新キャラ、イオリはどうでした?ウザかった、憎たらしかった、なんて印象だったら幸いです。


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