クエストにも行かずに話しています。
…戦闘よりも会話の方が楽しいなんて思ってないですよ。
ハイ、オモッテマセンヨーwww
そう言えば、前回に書きそびれた物を1つ
・弥生の曲
スキル以外にも聞くだけでビルやモンタナはノリノリに高揚します。その与えられる力は、例えばモンハンプレイ中に「今日は調子良い!」ってなる日ってありません?曲効くと、そんな効果が現れます。
ドンドルマの午後。
あの砂漠の一件から1週間。何にも予定の無い小生は、弥生が行きたいと言っていた菓子が有名な喫茶店に付き合わされている。金も無い小生には痛い出費ではあるが“厳選ポポミルク"、確かに素晴らしい味わいだ。それを使ったプリンも、久々に金を出しても良いと満足できる美味さだ。
「美味しいわ。」
「…4つは幾らなんでも食い過ぎだ。」
「そう?お前だってケーキの1ホール食うだろう?」
「シンプルならな。と言うか、よくそんな金あるな。」
「ん?」
弥生はスプーンを加えたままアイテムポーチをガサゴソと手探りし、空の布袋を取り出して机に置いた。
「コレあふ(る)から。」
「報酬金の布袋だな?」
「ビルから。「俺とルーナの分は貰ったから、手伝ってくれた2人にも。」って朝に。」
「わぁお、気前良いなァ。」
「ああ。―――なので気前良く使わせてもらっているわ。」
「だな。……………あ?」
い、今、変な事を言わなかったか?“使わせてもらった"?まさか、いや、そんなまさかな?落ち着け、小生。いつもの悪ふざけだ。落ち着け、クール、クール。
小生の不安と疑問の顔を見て、弥生はいつの間にか頼んだ4つ目のプリンのスプーンを加えてニヤリと笑った。
「ゴチ!」
「…てめっ!ちょっ、ふざッ!ふざけんなよ!」
「お前、さっき「金を出しても満足」って思っただろう?」
「人の心の中を読むな!」
「随分と堪能したじゃないか?私も、お前も。」
「お前本当に斬るぞ!?」
「出来るもんならやってご覧?無理でしょうけどね。」
「なめるなよ!?実力はお前さんが下!小生が上だ!」
「甘いわ!モンタナの太刀筋は見切っている、すでに!!」
「弥生ーーッ!」
「私が上、モンタナが下よ!依然!変わりなく!!」
「で店を追い出されて、僕の所に来たんだね。」
「…不覚。」
「出入り禁食らったわ。」
流石にカッカなりすぎた。フリューゲルは「じゃ、いつも通り始末書を書こうか。」と妙に機嫌が良いのか小言を言わなかった。
「機嫌良いようね?何かあった?」
「ビルが例の新発見のモンスターを討伐したとして、大長老に呼ばれたんだ。僕にも部下の活躍として、それなりの評価があるからね。」
「あぁ、だから朝からいないのね。」
「長老の話は長いからな。」
「そう言えばビルって何でフリューゲルに拾われたの?」
「え?」
「そう言えば知らないな。」
小生は最後の加入者なので詳しくはない。弥生はいつもの行動や効果を見れば、言わずともだが、ビルは分からん。
「人助けのし過ぎで街でも爆破したか?」
「あれ?モンタナは知っているのか。」
「は?」
フリューゲルの返答に驚いてしまった。近いって事は、爆破関連で何か凄まじい事をしたってことか?
「凍土でのトレジャーで、貴重な万年氷を破壊したんじゃなかったかしら?」
「それはトドメの要因。実は目を付けられる事件があって。」
「話してみろよ。お互い遠慮する仲でもあるまい。」
「まぁ口止めされてないから良いか。」
興味深い話になってきた。フリューゲルは少し長くなるからと、茶を用意してから話始めた。
「ビルがトレジャーで水没林の調査に向かった事が始まりだ。当時、新大陸はまだ調査不足。ビルは期待に胸を膨らませて1人向かった。」
「まだリリー達には会っていないんか。」
「で確か水没林には1週間は滞在。3日間は遺跡調査したらしい。」
「ビルらしいわ。」
「因みにその遺跡に巣食っていたレイア、レウス夫婦の上位種を撃破したって。」
「金も出ないのに、よーやるわ。」
「他にも化石、鉱石、植物等、まぁ水没林の地図や素材表に結構貢献してあるんだ。」
今の話を聞く限りでは、真面目なハンターとしか思えない。トレジャーに関しては、ある意味病気には思えるが。
「ただ…、あー、まぁ」
フリューゲルは言葉をつまらせ始めた。ココからが、いわゆる俺達と似た、“やらかした"事件なのだろう。
「ビルは水没林の奥地で調査をしていた。調査に満足して翌日帰るつもりだったらしい。そこで偶々見つけた果実酒を喜んで飲み、宴を始めた。」
「良いわね。」
「確かにな。」
小生は米や穀物から作られる酒を好むが、果実から作られる酒の美味さも理解しているつもりだ。もし良い刀を見つければ、小生も酒盛りを始めているだろう。
「気持ちは分かるさ。」
「その頃は寒冷期。雨の上がった夜の水没林は、深く酒に酔った身体でもとても寒かった。たき火に薪を加えて、また更に加えて」
…段々とオチと言うか悪い予感がする。
「最後には火薬、果ては爆炎袋まで放り込んだらしい。」
「え、それって…」
「うん。大爆発。
目撃したハンターが調べに向かったら、爆心地である炎の海の中、ゲラゲラと爆笑していたって。」
「若気の至りにも程があらぁな。」
「だね。それで次は凍土でやらかしたんで、ギルドに問い立たされてしまった。けれど腕が確かなハンターを失うのは勿体無いから」
「私達と同じくスカウトした、と。」
「お前さんも立場が危うかったからな?」
「もういいって。」
今度酒の席にビルを誘う時は、自分を忘れない程度にするべきだと思う。と言うか基本的に酒を飲まない訳が十分にわかった。
コンコン!
「あ、はい。どうぞ。」
ガチャ
「終ったぞ。
っと?珍しいな。お前さん方が揃いも揃って。」
「好き好んで来ないわ。」と弥生は小生とまったく同意見の言葉を発した。相変わらずビルは笑いながら「それもそうだ。」と言うとフリューゲルは悲しげな顔をした。
「まぁ良かった。甘いの買って来たから。」
そう言ってビルは小洒落た小さな箱を取り出して中を出すと、見覚えのある一品が現れた。
「弥生も食べたがっていたろ?“厳選ポポミルク"のプリン。」
「それかよ。」
「しかしビル。何で5つ?私達4人だぞ。」
「客人がいるんだ。良いか?」
ビルはフリューゲルに許可を取り、扉の前に近づいて「どうぞ。」と客人を迎え入れると、女性の声で「失礼します。」と丁寧な挨拶と共にアベナンカが入ってきた。
「こんにちは、モンタナさん。」
「おわ!?」
奇声を上げたのはフリューゲル。ギルドナイトが護衛や捜索に出る程の御方が、また現れて驚いたようだ。以前にも面識があるんだから、もう少し堂々と出来ないモノだろうか。
「び、び、ビル!ど、どうして?」
「店で知り合ったんだよ。聞けばお前と知り合いなんだって?やるね、色男。」
ビルがどう思っているかは大体想像つく。「違うから。」と言い、何度か護衛の依頼をやったから面識がある事を説明した。期待ハズレだったのか露骨にガッカリしたビル、そして何故かアベナンカに軽く足を小突かれた。
「ハァ…。ま、いいか。つまらん。
とにかくプリン食おうぜ。フリューゲル、紅茶淹れるからポット借りるぞ。」
「うん。美味しいのを頼むよ。」
「ありがたいが、小生と弥生の分のプリンは──」
「いただきましょう。」
「また食うんかよ!」
「また?」
先程の事件を知らないビルは、ポカンとした表情で俺を見た。そして俺をなだめる様に肩を叩いてから、「ま、いいじゃんかよ。皆で食おうぜ?アベナンカとの懇親会だ。」とテーブルに用意し始めた。
「うん。やっぱ美味いわ。」
「はッ!そーだろうな!」
「モンタナさんは何故怒っているのですか?」
「小生にも色々あるんです。」
「ハハハ。
帰りに寄ったら混んでてな。『ハンターが取り合う一品』って看板が出ていた。」
「ああ、それはモンタナ。」
「違ぇよ!」
「喧嘩でもしたんか?」
小生は先程の出来事をありのまま、事細かく説明した。自分でも守銭奴だと思うが、切実に資金不足な小生には、どうにもこうにも必死になってしまう。ビルは説明を聞き終えると、「あ、そうだ。」と手を叩いてアイテムポーチを探った。
「コイツがお前の分け前な。」
「へ?」
「だからコレはモンタナの取り分な。」
結構な金額が入った布袋を渡された。少く見ても上位後半クエストの報酬額がありそうだ。しかし既に弥生に渡していたのではないか、と頭が混乱し始めた。
「言っとくが金とか大事な物は、本人に直接手渡す事にしているぞ。」
「よ、よっしゃあああぁあぁぁぁぁぁああ!臨時収入!!!」
「声がデカイよ、お前。」
「ビル。本当に感謝する!この前、調子に乗って狩龍とツクヨミ、両方持っていって整備費が予想以上に掛かってさ!」
「だと思ったよ。」
「ところで、やっぱり勲章を貰ったのかな?」
「ああ。一応な。」
「わ、見せてくれ。」
余程嬉しかったのか、フリューゲルはテンション高くビルに詰め寄った。実際、勲章を貰うのは新米から一人前になった時の証から、多くのモンスターを捕獲等難しい勲章と、まさにピンからキリまである。今回は防衛の功績として迎撃表彰状でも貰えるだろう。
「勲章は無い。」
「は!?」
「返した。」
「えぇえ?」
「俺は言ったんだ。「確かにイビルの暴食による生態系の変化が要因である事は否定しない。だがイビルが現れる前に砂漠の民の証言にあった、緑色の格好のハンターについて調べる必要がある!」ってな。」
「ほうほう。」
「ギルドのお偉いさん方は難色を示してな。この事態をとっとと終わらせたいんだろう。新発見モンスターの襲撃、遅れたギルドの対応、しかも俺達の猟団に活躍を奪われた、それに今回はハンターや一般人まで死傷者が出たからな。」
「そうだな。」
「「そんな確証も無い噂話に付き合う程、我々は暇ではない。コレ(勲章)を持って、帰りたまえ。」と眉間にシワを寄せた眼鏡のジイさんに言われたから…。」
「から?」
「文字通りにな。叩き返した、その眉間に。」
「な、何してんの!?何してくれんの!?」
フリューゲルが慌てふためき始めた。名前は忘れたが、確かギハンターズギルドの結構な重役だった記憶が。そう言えば小生の顔に傷をつけた謎の飛竜についての証言を、まるで信用しなかったジジイ。顔を思い出し始めたら、いつか機会があれば、その飛竜の前に叩き出して、生態調査の材料にでも使ってやろうかとまで憤慨した記憶を発掘した。
「大丈夫だ、フリューゲル。確かにココはハンターズギルドでも悪い噂、もとい評判しかない。弾けば、聞く人が狂ってしまう音しか奏でないハンター。」
「音楽の方向性が違うのよ。」
「刀に魅了されていて、生態系すら壊しかけた刀バカなハンター。」
「むしろ何故分からん。刀身の美しさは、性的な魅力すら感じないか!?」
「俺は…まぁ普通だがな。」
「いや!それは無い!少なくとも小生達は火薬の匂いでムラムラしない!」
「うん、まぁ…うん。
つまりだ、この猟団は大長老様からも一応存在の許可を得てんだ。気にする事は無い。」
「いや気にするよ!?僕は定期的にギルドの全員参加の会議に行くんだからね!?」
「それが上司の仕事だ!」
「ええええぇぇぇぇぇ!?」
ビルの堂々とした発言に、流石のフリューゲルでもたじろいだ。
「まぁいい…か。ギルドの偉い方々やギルドナイトは一部を除いて、実力よりも品性や格式に囚われた、貴族も多い。必要なのは性格、行動、性癖云々問題あるハンターだとしても確実にモンスターを倒せる実力だ。」
「やはりモンタナさんの猟団に来て正解でした。フリューゲルさん、直接猟団に依頼をしてもよろしいでしょうか?」
「はい。どうぞ、何なりと。」
「私の休みが終わったので、是非ともモンタナさん、ビルさん、そして弥生さんに新大陸の故郷にまで護衛を頼みたいんです。どうでしょうか?」
「皆の予定が無ければ。どうだい?」
「俺は大丈夫だ。丁度、新大陸に渡ろうと考えていたからな。」
「私は予定ありだ。すまないな。」
「では…」
アベナンカは不安そうに小生を見た。その眼を見ると、妙に断れなくなる。まぁ元から断る気も無かったし、2回も護衛をした縁だ。新大陸まで足を運ぶのも悪くはない。
「勿論、小生も大丈夫だ。移動費を報酬込みにしてくれたら。」
「はい!お願いします!」
「依頼主、しかも女の子に移動費をせがむヤツがいるか?普通。」
「大丈夫です、ビルさん!早速予定を考えましょう。」
「やった!」と言わんばかりに彼女は喜んだ。きっと自分で最初から依頼やハンターの手配など自分でやれて嬉しかったんだろう、初々しいものだ。
アベナンカを新大陸へ護衛するクエスト。大荷物を運ぶ、数人の行商人の護衛クエストと比べて考えてみれば、楽なクエストだろう。
この時、小生は楽観的な思いがどこかにあった。
このあと、小生達に起こる事も知らずに。
自分に無茶振りな最後でしたねw
この先のこと考えると、中途半端なフラグだったなー
では、閲覧ありがとうございました!お楽しみに!