ちなみにサブタイトルは色々な映画のタイトルをもじってます。考えるのが苦手だからですw
ドンドルマ
地図に載っている大陸のほぼ中心に位置する大都市。
なだらかな土地にその大都市ドンドルマはある。
ポッケ村から移動しやすさでハンター装備で武器は無しで出発したが、飛竜の襲撃も無く、今回の移動は珍しく安全だった。
ドンドルマに入国し、俺は飛行船の港へ向かった。交易の手段としてある飛行船の港だが、個人の物も預けられる程の広さがある。俺のは数人が乗れる程の小型だが、大陸間を移動するには重宝している。
「ご主人!無事だったかニャ!!イビルジョーと遭遇したと聞いて心配で心配で!」
「心配かけたな、リリー。」
リリーは俺のオトモアイルー(毛並みは白)で狩りの腕も確かで何度も危険なクエストに同行してサポートしてもらったし、手先が器用なので今まで飛行船の整備を頼んでいた。今思えば、ポッケ村に一緒に来てもらった方がずっと良かったな…。
「一通りの整備は終わったニャ。ただ一回本格的に直した方が良いニャ。」
「了解だ。ありがとうな。」
「ニャ。じゃあご主人、しばらく休暇に入るニャ!」
「さみしいな。」これから1カ月、リリーは休暇に入る。不安と感謝が入り混じった気分だが、「ご苦労様。」と握手を交わした。
「クオンによろしくニャ!」
頼れるオトモを送った後、俺は市場へと出向いた。
市場は相変わらず賑やかで、ハンターには見慣れた鉱石、素材を物珍し気に市民が物色していた。金持ちがコレクションとして飾るのが1つの自慢なのか、たまに招かれた家にはレウスの頭が飾られていたりする。
「さぁさ!今日の朝に狩られたリオレウス亜種の素材だよ!しかも丸ごと1体分だァ!」
「ほぅ…。」鱗や翼爪なら分かるが丸ごと1体分とは豪気な事をする。もしくは余程金に困っているのかもしれない。
興味が湧いたので人混みを掻き分けて進み、俺は素材の品質を見に行こうと思った。悲しい話だが、裂傷の激しい品質悪の素材を商人に騙し高値で売るハンターがいるのだ。
「すまないね、通してもらうよ。」
群がる民衆を通り抜け、店主に商品を間近で見せてもらった。
「どうだい?ハンターさん。見事な物だろ!」
「確かにな。コレでその値段じゃ破格だ…。」
「な、何かマズイのかい?」
俺の反応が不安なのか、店主の先ほどの威勢が衰えた。それに気づいた俺は急いで「いやいや、良い品質だなって意味だよ。」と弁解した。
「そうだろ、そうだろ。」
安心したのか、店主は異性を取り戻して呼び込みを再開し始めた。
「ああ、それで店主。この素材を売ったハンター、どこに行ったか知らない?」
店主に快く教えられ酒場に訪れた。
酒場には昼前だと言うのに客がそれなりにいた。その中で俺も含め、ハンターの格好はひどく目立つ。装備がハンターの実力を表している事は確かだが。その中でも新大陸のユクモドウギの装備で1人静かに酒を飲んでいた男はひどく目立っていた。俺は足音が聞こえる様にドスドスと近づいき、男の後ろにビタリと止まった。
「…小生に何か用か?悪いが今日は休息日だ」
「こんな近づき方は俺以外にいたか?」
「ハハハ、いいや。」振り返りながら男は「久しぶりだな、ビル。」と静かに答えた。
「昼飯は?」
「いいやまだだ。奢ってくれよ。」
「永遠の金欠の小生に言うな!」
「でも市場のレウス亜種はお前だろ?」
「ほう…。よく分かったな、小生が狩った物って。」
「尻尾を見て直ぐにな。あの切り口の鮮やかさは、なぁ?」
その尻尾の断面はとても瑞々しかった。大抵の場合、幾度の攻撃にさらされると見た目も品質も影響を受ける。だが一閃の一太刀から斬られた尻尾には非の打ち所の無い、素晴らしい素材となっていた。
太刀に関してだけは凄まじい剣技を持つ男、モンタナ。俺の頼れる数少ない仲間であり、大事な友人だ。
「お前さん、雪山でイビル仕留めたらしいな。」
「まだ未成長で深手も負っていたからな。何とか倒せたし、新米も救助できたさ。」
ニヤリと笑いながらモンタナは俺を見た。
「相変わらず“正義の味方"だな。」
「面倒な事が毎回俺を御指名してんだよ。やっぱ未知のエリア探索が最高だな、ホント。」
モンタナは酒を飲みながら、「変わらないな。」と笑みをこぼした。
「変わらないのはお互い様だ。相変わらずレウス狙いか?」
「まぁな。小生に傷痕と痛みを与えた飛竜を捜し出すまではな。」
モンタナの顔面には頬から額にかけて、大きな3本の爪痕がある。聞けば謎の飛竜に不意討ちを受け、辛うじて逃げたが、逃げた先はレイア、レウスの繁殖域。何頭もの攻撃にさらされ生死をさ迷ったたらしい。
3日後、俺と連れの2人で発見した時、モンタナは焦土と化した平原で、おびただしい数の火竜の遺体の中に立っていた。遺体の中には、生後間もない火竜もあった。
「お前さんは身軽で良いだろうが、小生は移動だけでも手続きするんだぜ?少しは苦労を味わってもらいたいな。」
「そうだな。」
その事件の結果、モンタナの行動がハンターズギルドに取り上げられた。狩り過ぎたモンタナへ罰として無期の狩り活動の監視がつく事になったのだ。
「まぁ業務停止よりはましだろ。」
「そうだけどよぉー…。」
「俺だって上に睨まれてはいるんだぜ?」
「それを言ったら小生達、猟団メンバー全員だろ?」
俺とモンタナ、そしてもう1人の猟団メンバーで協力し合っている。3人で猟団と言えるのかは微妙だが…、放浪が多いメンバーにとっては身軽で丁度良い。
「狩りの腕は、仲間内じゃお前が一番なんだから良いじゃん。」と言えばモンタナはニヤニヤしながら
「そうだなァ。」
と言う。いつもの愚痴聞きの終わらせ方だ。
しばらく俺は友人の酒に付き合い、夜更けに店を出た。
「次はどこに行くんだ?」
「砂の街、ロックラックに飛ぶ。今、探索しているエリアは水没地帯が多いから、ガンランスの整備ついでに水中も対応できるように改造中。」
「ああ、だからいつもの武器が無いのか。」
「一緒に行くか?」
「手続きが面倒だって言っただろうが。」
俺は笑いながら「そうだったな。」と答えた。実際は書類1つ書くだけなんだが。
「じゃあな。アイツに会ったらヨロシク。」
「ああ、またな。」
お互い手を上げて挨拶した後に別れた。どうも久方ぶりの友人に会うと、別れ際は妙に寂しさを出す。自分でも女々しいとは思うが。
空の航海の無事を祈りつつ、俺は飛行船をロックラックに向けて出発した。
太刀使いのモンタナ登場です。次回は彼の負傷話を書きます。
モンタナ君はある意味、一番主人公らしい目的があります。とは言っても彼も変態である。まだ出していないだけw
ご意見、ご感想お待ちしております。ありがとうございました!