The Problem Hunter   作:男と女座

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今回はビルくんのお話です。

一応当時、友人と次のネタだしをした結果、ディアブロだ!新装備だ!なんて会話したのに…、あれ?まったく原型が無いぞwな話です


では本編をどうぞ!





第15話 地下より永遠に

「ビルー!何やってんの?」

 

「ガンランスの薬莢の掃除をしている。」

 

「楽しい?」

「面白い?」

 

「物凄く、ね。あんま近くで遊ぶなよ、一応危険物なんだから。」

 

「はーい。」

「リリーもバイバイ!」

 

 

この村に訪れて2週間が経った。

初めは村人に警戒されていたが、日にちが経つに連れてハンターの仕事として採取を頼まれ、だんだんと村人の和に加わり始めた。今は村人の一員と言っても良い程の関係だ(と思いたい。)

村の生活は木の実や薬草等の質素な食事ではあるが、健康的な暮らしをしている。中でもココに来て良かったと思えるのは、ここの村人がモンスターを撃退するアイデアを教えてもらえた事だ。村の周囲に臭香を焚いて寄せ付けないのだが、それでも近づくモンスターには爆竹と呼ばれる一種の音爆弾で驚かせて撃退していると。それを活かしたアイテムが幾つか造り出せたのは、俺にとって大きな収穫とも言える。

 

 

「ご主人。コレで全部掃除出来たニャ!」

 

「よし。じゃリリー、ご苦労様でした。遊びに行っても大丈夫だよ。」

 

「ニャ。」

 

 

リリーは掃除道具をキレイに片付けてから子供達の元へ走って行った。

 

 

「ビル。先ほどサンドから頼まれた物を渡されたぞ。」

 

「お、ありがとう。ゼト。」

 

「情報誌が欲しかったのか?」

 

「週一の日課だから。」

 

 

野太い声のゼトは村の男の中で次期村長と言われる存在だ。俺を最初に案内してくれた男でもある。その後、槍を向けられる歓迎をされたが…。しかし村に慣れたのは、彼がお詫びとして積極的に俺を村人に紹介してくれたお陰だ。

情報誌をめくり、先ず大きな話題から読み始めた。『新大陸のスラッシュアックス。ついに旧大陸で生産開始。』、『テオ・テスカトル、ルイーナの砦にて討伐。』か。スラッシュアックスはいいとして、テオ・テスカトルの討伐は久し振りに聞いた。

 

 

「ルイーナの砦か。ココから歩いて半日だ。」

 

「案外と近いな。テオがいたことすら知らなかった。」

 

「ハンターの狩猟エリアから大分外れているし、ここは護られているからな。」

 

「ほう…?村のテントに書かれている絵の事か?」

 

 

この村で生活をして気づいたが、この村は鳥のような紋章を大事にしている。テントの壁、カゴ、槍、服など生活に関わる物全てに描かれている。街でも目にする事はある風習だが、ここのはそれ以上に念入りにある。俺も紋章が描かれた木彫りのペンダントをお守りとして装備し始めたら、心なしか暑さに耐性が付いた気がしている。

 

 

「今日はその事で話がある。今は共に来い。」

 

「おう。」

 

 

ゼトに連れられ、村の近くの岩壁にある洞窟に訪れた。この洞窟は前々から気にはなっていたが、村人達から「入ってはならない。」と言われていた。気にならないと言えば嘘になるが、村に住まわせてもらっている立場上、さすがに決まりを破る程の心は持ち合わせていない。

 

 

洞窟に入ると所々に村人が点けた松明が燃えていて、とても明るい。ゼトが先導して奥へ進むと広い空間に到着すると、彼は「見ろ。」と壁を指差した。

 

 

「コレは…。」

 

 

岩壁には棒状の人らしき者が剣や弓を持ちアプケロス等を狩っている様子の絵や、解説の様な古代文字が書かれてある。そしてその中心部には、白い鳥のような生き物が神々しい表現で表されている。村で見た紋章だ。

 

 

「コレは我々が昔から守ってきた壁画だ。」

 

「いつからだ?」

 

「さぁな。私の祖父もそのまた祖父も、ずっとだ。」

 

「良いね。ロマンあるね。」

 

「ああ。」

 

「ところでこの絵は…、何だ?」

 

 

俺は壁画の端を指した。赤黒い色をしたトカゲの様な姿、周りには無数の黒い点があり、見るだけで不安を煽る嫌な印象を受ける絵。

 

 

「コレは謎だ。ただ我々には“恐怖の物"とだけ伝わっている。」

 

「まぁ確かにな。近くに書かれている文字は警告、だな。」

 

「お前さんは読めるのか?」

 

「少しな。少し待っててくれよ。」

 

 

俺は手帳を取り出して簡単な古代文字の訳が載っているページを開いた。一時期ギルドの調査隊と一緒に解析した頃に書いた大事な資料だ。

 

 

「“死を運ぶ”、“触れてはならぬ存在”。」

 

「それだけか?」

 

「調査隊の知識使っても、解析が出来ない程に難しいんだ。コレが精一杯。」

 

「そうか…。」

 

「すまないな、力になれなくて。」

 

「いや、コレがやはり警告だと分かっただけでも十分だ。」

 

「そうか。なら戻るか。」

 

「ああ…。」

 

 

まだゼトの表情は曇っている。俺は「どうした?」と尋ねると、少しためらいながらも口を開いた。

 

 

「我々の村はオアシスを眺められる場所にあるのは知っているだろう?最近、何故かアプケロスやゲネポス、ガレオスすら見ない。」

 

「イビルに喰われて数が減ったとしても、もう大分時間が経ったはずだ。」

 

「ああ。流石に皆、不安になり始め、夜明け前に捜索隊十数名が遠出している。」

 

「何もないと良いがな。」

 

「そう願っている。

 さ、そろそろ村に戻ろう。」

 

 

 

俺達が村に帰ってから昼食となったが、ゼトはまだ浮かない顔をしている。捜索隊の帰還は昼を予定していたらしい。しかし未だに村に戻る気配がない。俺は早めに食事をとって捜索隊を追おうと準備をし始めた。

 

 

「大変だ!来てくれ!」

 

 

突然見張りの声がした。俺とリリーは急ぎ、見張りのいる場へ向かうと捜索隊らしき男が足を引きずりながら村の前で入り倒れた。俺は近づいて様子を見ると、男の顔色は赤黒いく、歯を食いしばりながら苦しみの声を上げている。

 

 

「毒か!?リリー、解毒薬を有るだけ持って来てくれ!」

 

「わ、分かったニャ!」

 

「しっかりしろ!」

 

 

声を掛けながら男をよく見ると、足には数ヶ所に何かの噛み痕、そして骨と毛皮で出来た防具の一部が溶けていた。

 

 

「ご主人!」

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「リリー、ゆっくり解毒薬を飲ませろ。ゼト、その後は傷口に触らないように運ぶぞ。」

 

「分かったニャ。」

「ああ!」

 

 

 

解毒薬の効果が薄くみられたので、村人に頼みサボテンの花、にが虫を用意してもらい漢方薬を調合して飲ませた。幸いにも効いたのか、一時間して男は何とか意識を取り戻した。本来ならもっと休ませるべきなのだろうが、他の者達が戻って来ない事や、どんなモンスターに襲われたか聞かなければ助けられないので、俺は救護テントに入った。テントの中の毛皮を敷いた布団の上で男は寝ていたが、俺に気づいて身体をゆっくりと起こしてくれた。

 

 

「ずいぶんと歩いた…。岩山と大きな洞窟を見つけたんだ…。

中は夜のように…涼しくて…アプトノスがいると思った。 中を進むと壁に幾つもの穴が空いた広い場所に出て…そこで…!」

 

「モンスターに遭遇した、と。」

 

「辺りは松明でも暗くて…闇の中を何かがうごめいていて、松明に何かをかけた!

火が消えたら…俺の後ろの奴が叫びながら穴へ消えて行ったんだ!それから何人も!何人も!!」

 

「…それから?」

 

「お、俺や他の無事な奴は出口に走っていた。俺はその時に何かに噛まれて、すごい力で引きずられて…。とっさに足元を槍で振り払ったら何かに当たったんだ…。自由になってすぐに逃げたよ…。」

 

「ふぅむ。」

 

 

俺は「寝てくれ」と手で合図をし、そこを後にした。

群れで毒を使うモンスターは限られる。イーオスがその最もたる例だが砂漠にはいない。仮にイーオスだとしても防具を溶かす様な特徴は無い。未発見のモンスターなのか?それともまさかイビルジョーの巣?数体の子供のイビルに囲まれるのはゾッとする。あのヒルっぽい尻尾が何個もうごめいているのか…。

 

 

テントを出るとゼトが仁王立ちをして「行くのか?」と声を掛けた。俺はただ「ああ。」とだけ答えた。アイテムポーチには一通りの回復アイテムはある。解毒薬は分けて貰っておこう。

 

 

「私も行く。」

 

「危険だぞ?」

 

「なら何故お前は行く?ハンターだからか?」

 

「困っている奴を見捨てられない、損な性格故に。」

 

「ハハハ。なら理由は同じ様なものだ。」

 

 

俺とゼトは捜索隊が行ったルートを辿った。ゼトはボーンククリを強化した、片手剣のチーフククリ、防具はゲネポスシリーズを装備している。さすがは砂漠の民族と言ったところだろうか。ハンターよりも様になっている。

 

 

「ここだな。」

 

 

地図に記された岩場の洞窟に着いた。洞窟の入り口は結構な勾配があり、足場が砂のここから出るのは大変だったかもしれない。出来れば帰る時は落ち着いた気持ちでいたいものだな。

俺はアイテムポーチからチャナガブル製のランプを取り出して点灯し、洞窟の中を照らした。だが以前、地底湖を照らした程の光は無く、内部は微かに照らす程度に落ちていた。やはり前回に使いすぎてしまったようだ。また提灯球を手に入れに行かないといけないようだ。リリーに入口を照らすように設置を頼み、ロープを手渡した。

 

 

「リリー。またこのロープを持っていてくれ。いつも通り、帰りの道標になる。」

 

「分かったニャ。ご主人、気をつけてニャ。」

 

「任せとけ。」

 

 

俺達は入口にリリーを残して坂を滑り降りた。中は外とは違ってひんやりとした空気の中に、微かに血と腐臭の匂いが混じっている。足元には砂の中に、竜骨やゲネポスの牙らしき物が落ちていた。おそらく消えたモンスター達も、ここで美味しく狩られてしまったようだ。

 

 

「暗いな。松明をつけるぞ。」

 

「ああ、頼む。」

 

 

ボッ!と勢い良く火が灯ると幾らか周りが明るくなった。聞いた話の通りに、奥に続く道がある。俺は先頭に立ちジェネシスを持ち、盾を構えながら奥へと進んだ。ゼトは俺に背中を付けながら後方へ注意を払っている。

助けた男に聞いたような場所へ到着した。その場所はドーム型になっていて、天井、壁には1m程度の穴が一面にある。俺は帰りで迷わないように、入口から続くロープを石で固定した。

 

 

「助けて…助けてくれ…ッ!」

 

「!?

 何処だ!どこからだ!」

 

「助けて…!うわぁっ…!…助け…」

 

 

取り残された者の悲痛な叫び声が俺達の元へと響いた。洞窟の中をこだまして距離は分からないが、時折モンスターに襲われた悲鳴まで聞こえた。

 

 

「そこか!バル!!」

 

「ゼ、ゼトーーーーー!」

 

 

ゼトがある穴に向かって叫ぶと、今度は反響のないハッキリとした声が聞こえた。この穴も勾配になっていて、出るのには少々時間が掛かる作りになっている。

 

 

「今行く!待ってろ!」

 

「ゼト落ち着け!罠だ!」

 

「罠だと!?」

 

「聞いた話の様な、獰猛なモンスターがわざわざ生かしておくか?コレは俺達を誘き寄せる為だ。」

 

「だからと言って見殺しに出来るか!私は行くぞ!」

 

「見殺しにはしないさ。だが今は落ち着け。冷静にならなければ全員死ぬ。」

 

「…ああ…ッ…、分かった。」

 

「息を吸って吐いて。」

 

 

俺の声に従ってゆっくりとした呼吸にゼトは戻った。この先にいるのは獰猛性だけではなく、知能や連携を持ったモンスター。油断は出来ない以上、頭数は多いほうが良い。

 

 

「…ん?全員死ぬと言ったか?」

 

「ああ。落ち着いたな?では俺も降りよう。」

 

「ビル…。」

 

「俺も見殺しにする程の度胸は無いんだ。しかし、お前は幾分か冷静な奴で良かった。」

 

「なぜだ?」

 

「落ち着かないなら、後ろから砲撃でもして落ち着かせようと思ったんでな。」

 

「そ、そんな事をされたら死んでしまうだろ!」

 

「え?友人(モンタナ)が頭に血が上った時はいつもそうしているが?」

 

「改めてハンターの身体能力に驚かされるよ…。」

 

 

雑談で落ち着いてくれたゼトに俺が先に入ると決め、武器を構えながら坂を滑り降りた。続いて後ろから降りたゼトは松明を掲げ、嬉しそうに叫んだ。

 

 

「いたぞ、バルだ!」

 

「大丈夫か?」

 

「ゼ、ゼト…、ハンターさん…。あ、足が…ッ。」

 

 

見るとバルの左足は変な所から曲がっているが、顔は毒を受けた様には見えない。

 

 

「さぁ早く出よう。」

 

「いや待て。…来たぞ。

 

俺はガンランスを持ち、バルを守る様に背にして盾を構えた。俺は「松明を持っていてくれ。」と倒れているバルの震える手に渡した。

 

 

ザザザッ……ザザザッ……ザザザッ…

 

 

「いるな…。」

 

「ああ…。」

 

――――――ヒュッ!

 

 

突然何かの物体が俺の顔の横を通り過ぎた。そして後ろから「ギャアアァァアア!」とバルの絶叫が洞窟内に響き渡った。盾を構えながら後ろに振り返ると、バルが松明を持った手に緑色の粘液が付着し、徐々に手の毛皮の手袋が溶け始めている。ゼトが手袋をはずすと、取り乱したバルは松明を遠くに投げてしまった。

 

 

ザザザザザ!

 

 

勢いのある音と共にモンスターが松明へと突撃をして火を消した。頭が良いのか?

明かりが無くなり辺りは闇に閉ざされた。ゼトも立ち上がって武器を構え、バルを挟んで俺と背中合わせになった。

 

 

「暗くて見えないぞ。」

 

ザザザ…ッ!

 

「…いや!前!」

 

「シャァッ!」

 

ガシン!!

 

 

モンスターの気配を察して盾を構えた。飛び掛かりを防ぎ、鈍い音を立てモンスターは再び闇の中へ消えた。

 

 

「見えたか!?」

 

「いいや。」

 

 

残念ながら完全に姿は見られなかった。いいとこ四足歩行で、長めの尻尾がある事が分かった程度。しかし完全にヒットアンドウェイの戦法を取っている。

 

 

「コイツら…どうやって位置を把握しているんだ。何か目印でもあるのか!?」

 

「とにかく今は静かに、だ。」

 

 

ザッザッザッ……ザッザッザッ……!

 

 

足音が俺から弧を描く様に動き、ゼトの方へ向かっている。背中のゼトもそれを理解して息を飲んだ。

 

 

ザザザ!

「キシャァァア!」

 

「うぉぉおおお!」

 

 

モンスターが跳び付いたのか、ゼトの雄叫びか響く。「大丈夫か!?」と俺は振り返った。微かに見える中で、ゼトは一心不乱にのしかかったモンスターへ、チーフククリを振った。だが背中は頑丈なのか刃が突き刺さったような音は聞こえない。「頭を下げろ!」と俺は叫びながらジェネシスを突き出す。

 

 

ザシュッ!

 

「ギイイィイイィ!」

 

 

確かな手応えと重み。先端にいるモンスターを斜め上へ持ち上げ砲撃を放った。

 

 

ズドォン!

     ドシャ!

 

 

ジェネシスの拡散砲撃で赤い閃光が走る。砲撃の一撃に断末魔を残しながらモンスターは闇の向こうへと消えていった。

 

 

(よし、まずは1体。)

 

ズシン!

 

「なんだと!?」

 

 

急にジェネシスが重くなった。先程のモンスターの重みよりある。流石に片腕で持ち上げているのは限界だ。俺はあわよくば潰せないかと、勢いをつけて地面に叩きつけた。

 

 

「ギィシャアアァァアア!?」

 

 

俺は再びトリガーを引こうと思った。だが一瞬、直感と言うか閃きに似たモノが頭を横切り砲撃を止めた。幸いジェネシスに叩き潰されたモンスターは動く気配はない。

 

 

(砲撃直後に襲ってきたが、今は来ない…。何かがあるんだ。)

 

「ビル、大丈夫か?」

 

「ああ。バルの様子は?」

 

「問題ないようだ。右手を軽く負傷したようだが。」

 

(あの状況なら右手ではなく、バルの顔など急所を狙うべきだろう。それに何故動けないバルを?俺かゼトなら不意打ちを出来たはずだ。)

 

 

思考を巡らせる俺に、「何か目印でもあるのか!?」とゼトの声が記憶の海から全身に駆け巡った。

 

 

(そうか。あいつらはバルを狙ったんじゃない。松明を狙ったとしたら…!)

 

 

俺はジェネシスの中から、まだ熱を持った薬莢を適当な方向へ投げた。

 

 

ザザザ!

 カキャン!

 

 

(やっぱり!この暗闇の中で最も高温の物に襲いつく習性なんだな!)

 

 

俺はこの仮説を信じ、アイテムポーチの中から自慢のアイテムを取り出した。長い導火線の先端には20個の紙筒に爆弾用の火薬を詰め込んだ、モンスター撃退用の爆竹。まだ一度も使ったことは無いが、仕方ない。俺はそれを出口とは逆方向へ投げた。

 

 

「ゼト。バルを抱えろ。脱出するぞ。」

 

「大丈夫なのか?まだ周りには…。」

 

「きっと大丈夫だ。あいつらはココで一気に殲滅する(かもしれない)!」

 

 

ゼトがバルを背負って「大丈夫だ。」と合図を送ると、俺は導火線に火を灯した。ジュババッ!と予想よりも遥かに速い速度で爆竹に向かって行った。導火線作成時に火薬を盛り込みすぎたようだな。

ってそんな反省している場合ではない。俺はゼトに「早く行け!」と背中を叩いて出口へと向かわせた。俺も出口に向かう前に、叩き潰したモンスターを剥ぎ取ってから走って行った。

 

 

ジュバババババババ!

ザザザザザザザ!

 

 

出口の坂を上る前、導火線の炎を追ってモンスターが数体――恐らくだが――追っている様だ。ある意味、導火線の速度が速くて良かったのかもしれない。そして

 

 

ズガン!ガンガンガン!ズガン!バババン!ズガン!

 

「ギシャァア!」「ャァァアア!」「グギイィィィイ!」

 

 

20個の爆竹が一斉に爆発を始めた。洞窟の中の空気が爆発に押し出されて、スゴク、良い匂いがしてくる。威力は少し弱いかもしれないが、香りは十分。いっそ火竜の粉塵でも詰め込んで、辺り一面を爆発と火炎の海にするタイプも良いかもしれないな…。おっといかん、顔がにやけ始めた。

 

 

「ビル!大丈夫なのか!?」

 

「あ、ああ!今行くよ!」

 

 

砂の坂道と重い素材を運ぶのに苦労したが、何とか外へ脱出する事が出来た。洞窟の中で長い時間を過ごしたのか、外はすでに日没間近だ。リリーはすごく心配していたのか、出た直後に抱きつかれた。俺は「すまないな。」と頭を撫でて落ち着かせた。それをゼトは微笑みながら眺めていた。

 

 

「ビル。バルは安心したのか寝てしてしまったよ。変わりに礼を言おう。」

 

「良いって事よ。でゼト、聞きたい事があるんだが?」

 

「何だ?」

 

「ルイーナの砦ってどこだ?」

 

「これから向かうのか!?半日はかかるぞ!」

 

「ああ。ギルドがあるだろうな。」

 

「どうしてだ。少し休んでからでも。」

 

「このモンスターについて少しでも早く伝えたい。それにな、このモンスターはお前さんの村の人間の命を奪った奴だ。それを持ち帰るのはどうかと思うだろ?」

 

「………だが…。」

 

「また来るさ。その時はご馳走でもしてくれ。」

 

 

 

俺は回復薬一式や漢方薬、そして調合書1をゼトへ渡した。その度に、彼は何度も頭を下げた。そして夜の砂漠越えにとトウガラシなどの温かくなる食料を渡してくれた。長居させてもらった分、あっさり過ぎる別れが残念に思えるが、俺とリリーはルイーナの砦へと向かった。

 

 

 




オリジナルモンスターでしたね。ディアブロのネタどこへ行ってしまったのか…w

ですが急に閃くことってありますよね。次のシナリオそっちのけで書きたくなる程の。


次回もビルくんサイドの話です。今回のオリジナルモンスターは後で名前とかは出します。

ありがとうございました!

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