ごめんなさい、ホント何て書いたら良いかわかんないw
小生と別れてから数日後、ギルドの捜索でビルと弥生が向かった洞窟が崩れて塞がっている事が発覚し、一時は大騒ぎになっていた。閉じ込められて、大好きな火薬と一緒に自爆したとまで思ったが『アイルー村のアイルー達に助けられたから無事。』、とビルからの報告書がフリューゲルの元へと届いた。
その日にフリューゲルと飲んだ酒はやはり美味かった。
翌日の昼、少し酒が残った頭を抱えながらに大衆酒場へ出向いた。昼間から酒を飲むわけではなく、フリューゲルと昼飯を食う約束をしている。
「こんにちは、モンタナさん。」
背後から声を掛けられた。ユクモ村のクエスト受付嬢の様な衣装に高価そうな蒼いマントをまとった、綺麗な銀色の髪が腰まで伸びた少女、アベナンカが立っていた。
「どうかされましたか?」
「いえ、一瞬誰かと思いましたよ。」
「この前に会ったばかりではないですか。」
「あの時はローブ姿でしたんで、顔まではっきり見てなかったんです。
その綺麗な蒼いマント、とても似合っていますよ。」
「あ、ありがとうございます。」
何故か頬を赤らめながら感謝された。でも頬を赤らめる程に小生は何か変な事を言っただろうか?ま、変な事を言うのは今に始まった事ではないので気にしないでおこう。
「なんでも以前にリオレウス亜種を1体丸ごと売ったハンターさんがいたそうで、良質な物が出来たと服屋が喜んでいました。」
そう言えば以前に金欠で丸ごとリオレウス亜種1体を売ったっけかな。あの時の値段は品質も良かったせいか、高い値がついたのを覚えている。とは言ってもツクヨミの作製の借金返済であっさりと使い果たしたが…。
「こ、これからどちらかに行かれるのですか?」
「友人と昼飯に。あー、一緒に行きますか?奢らせます。」
「は、はい!」
大衆酒場では珍しいことにフリューゲルが先に待っていた。遅刻かドタキャンが奴の代名詞とも言えるいい加減な奴なんだが。
「こ、これは驚いた。」
「コチラは以前のクエストで助けたアベナンカだ。こいつは上司兼ダチのフリューゲル。」
2人とも「初めまして。」、「よろしくお願いします。」と挨拶を交わして席に着いた。緊張しているのか、妙にフリューゲルはそわそわとしている。
「モ、モンタナ。今日は誘ったんだから、僕が支払うよ。もちろんアベナンカ…さんも。」
「ありがとうございます。」
「あちらにメニューがあるので好きなものを頼んできてください。小生はこの……メモに書いてあるのを頼んでください。席の場所はここだと教えてくれれば運んでくれますので。」
「わかりました!」
アベナンカは興味深げに周りを見ながらメニューがあるカウンターの方へと歩いていった。本来なら一緒に行くべきなのだろうし、パシらせる事は悪いことだと重々理解している。だが、俺は先程からおかしいフリューゲルに聞きたい事があるので席に残った。
「どうかしたのか?」
「いや…彼女はお忍びで来ているのは知っているだろ?」
「ああ。新大陸からわざわざのお客だってな。ギルドの大事な人間か?」
「そんなところ…だ、ね。頼むから失礼の無いようにしてくれよ?本当にもう寿命がさらに縮むよ。」
「毎回縮めて悪いな。
で本題だが、何か用でもあるのか?お前がただ昼飯を誘うってのはとても珍しい。」
「あはははは。やっぱバレてるかー。」
「昼飯を奢ると言うから怪しいと思ったんだ!」
「すまない。でも僕が頼めるハンターって言ったら、今は君しかいないじゃないか。」
街の移動を常々に面倒に思っているのが災いした。しかし、もう食事(調子に乗って高額)を頼んでしまった以上、断るに断れない。小生はため息をつきながらも、頼みを聞くことにした。
「沼地の村へ配達、だ?」
「コレを読んでいるかな?」
フリューゲルは小生の前に一冊の週刊誌を置いた。『週刊現在。』残念ながら金の無い小生には、コイツの様に片っ端から週刊誌を買うわけでもないので縁の無い読み物だ。アベナンカの捜索報酬ですら全てツクヨミに出して一文無しだってのに。
「この中の記事に沼地の村がボルボロスに壊滅されたって記事が。」
「ゴシップ記事だろ?さっき入口の新聞には何も書いてなかったぞ?」
「………事実だ。」
「意外だな。」
「情報規制を布く前に出てしまったんだ。ギルドの失態だ。」
「ギルド側の人間の割には、顔がニヤついているぞ?」
「僕だって全部が全部好きってわけじゃないよ。月給とか雑務を強要する事とか。」
「で、今回は雑務を強要されたわけだ。嫌われてるな?」
「…本来なら君らは恐ろしいモンスターの脅威に見舞われた時の切り札だ、と説明しているのに。ギルドの上は僕以外と同じ、君たちのことをお抱えハンターとしか思っていないんだ。むしろ厄介なハンター諸共排除したいのかも。」
「OKOK、行ってやるよ。報酬が無いのが悲しいが、な。 お前さんの自腹で報酬払えよ。」
「ええ~、まさかの要求。昼飯奢ったじゃん。」
「それとコレとは話が別だ。」
「なら私を護衛する仕事のついでにと言うのはどうでしょうか?」
「い、いつの間にいらしたんですか!びっくりした…。」
小生も驚いた。すっかりフリューゲルとの会話に集中していて気づかなかった。そんな小生達を見て微笑みながら彼女は話を続けた。
「前から沼地にも行ってみたかったんです。以前の護衛のハンターさんは辞めてしまって…。」
そりゃ肉焼きセットを盗られて護衛失敗にされれば、辞めたくもなるかもしれない。それについては流石に同情したくもなる。
「ですので私を護衛すると言う形で依頼すれば、モンタナさんと一緒に行っても大丈夫ですし、報酬も渡せます。どうでしょうか?」
「え、ええ。問題ないと…思います、はい。」
「良かった…!」
アベナンカの説得にフリューゲルが折れた。ギルドの人間が“失礼の無いように”と言うくらいだ。まぁスゴイ貴族なのかもしれないな。「…常に問題ばっか抱えていますから。」と、フリューゲルがもらした小言は聞かなかったことにしといてやろう。
「じゃあ正午に沼地までアプトノスの荷車が出るから、この木箱を持って行ってくれ。」
「わかった。中は回復薬とかか?」
「ああ。ケガ人が多くいるらしい。回復薬、解毒薬、秘薬などのアイテムと、その素材。」
「クエスト依頼書はこちらの記述で大丈夫ですか?」
「ええ、はい。お気をつけて行って来て下さい。」
「ありがとうございます。」
ドンドルマを出て木箱やカゴの荷物と一緒に揺られて数時間。沼地が近くなってきて、独特の湿気と草木が見え始めた。少々小腹が空いたので布袋に入れている煎り豆を食べつつ、黒い雲に覆われ始めた空を見つめた。
「お客さん、雨が降りそうなんで荷物にシート掛けてもらっても良いですかね?」
「ああ、大丈夫だ。」
御者のジイさんの頼みに応えて荷に革のシートを掛け始めた。
間もなく雨が降り始めた。雨はすぐに強くなり始め、地面を打ち付けるような大雨となった。小生はこんな時の為に奮発して買った唐傘を取り出して差した。ユクモノカサ・天を装備しているのだからコレは必要無いだろうし、コレを買うなら他に資金を回すべきなのだろう。だが差したかったのだ。他に理由は無い。今の小生は非常に満足している。
「どうぞ。」
小生は唐傘を傾けて彼女が入れるように向けた。一瞬戸惑いの表情が現れたが、嬉しそうな笑顔を向けて隣に座った。
「モンタナさん。」
「はい、なんでしょう?」
「私の方が年下です。普通に喋ってもらって結構ですよ?」
「そうか?そりゃ有難い。」
「き、切替えの早い方ですね。」
「面倒なんです。」
沼地のエリアに到着した。御者に深々と礼をするアベナンカの横で、地図を広げて村の場所を確認する。このまま森を抜けてベースキャンプの沼の周りを沿って歩くのが良さそうだ。さすがに普通の小奇麗な服を着た女の子を沼の中、突っ切らせるわけにもいくまい。
「行きましょう!」
「この傘を差してくれ。」
「モンタナさんは?」
「一応狩猟エリアだ。こっちのカサを装備して行きますんで。」
「以前の武器ではないのですね。」
「…整備中なんです。今日は使い慣れの狩龍です。
さぁて行くか。」
今日の沼地には大型モンスターの情報が入っていないので、まだ平和なものだ。メラルーにアベナンカの肉焼きセットが盗られて怒ってはいたが、村に急ぎたい小生は巣で取り返せることは言わずに連れて行った。と言うかその肉焼きセットはアベナンカがハンターから盗った物だから良いじゃないか。
「――――ガァアォ………!」
「ん?」
雨音に混じって何かの声が聞こえた。耳をすまし、音に集中して聞くと段々とその声の大きさや数が増えていっている。
「アベナンカ。モンスターだ、また背中に。」
「わ、わかりました。」
小生は運ぶ荷物を置き、アベナンカは流石に2回目ともなるとなれた感じに背中に乗り、振り落とされないようにしっかりと掴まった。
「ガァアォ!ガァアォ!」
「あれは…フロギィですか?」
「新大陸ではそうかもしれないが、名前はイーオス。群れで来たな。」
すでに小生を数体のイーオスが取り囲んだ。小生が狩龍を抜いてイーオスに剣先を向ける中段の構えをとると、警戒しつつもジリジリと距離を詰めて来た。背のアベナンカが微かに震え始めたのが伝わってくる。
「モ、モンタナさん…。」
「大丈夫、小生が守ります。」
「は、はい…!」
小生の言葉に安心したのか背中越しの恐怖心が薄れたのか震えが止まった。
「少し荒っぽくなる。振り落とされないように、あと場合によっては目を瞑っていても良いです。
行くぞ!」
「ガァアォ!」
小生は力一杯に地面を蹴り、目の前のイーオス2体を一気に距離を詰めて狩龍を薙ぎ払った。ザシン!と肉を切り、骨を砕く手応えと共にイーオス達は、何が起きたのか分からないまま弾き飛んで息絶えた。次に小生は左に向きつつ跳び、コチラに顔を向けたイーオスCの首元へ一閃。首から上が消えたイーオスCは崩れ落ちた。
「ガァアアアォ!」
「ハハァ!甘いなァ!」
跳びかかったイーオスDにタイミングを合わせて狩龍を振り下ろす。ズパァン!と気持ちの良い音と共に真っ二つに斬り分けられた。
「ガァオウ!」
「あ、危ない!」
不意に吐かれたイーオスEの毒液をアベナンカはマントを広げて防いでくれた。リオレウス亜種の素材のお陰か、毒液は染みることなく雨水と一緒にマントを滑り落ちた。
「すまない、助かった!」
反撃とイーオスEに跳びながら上段からの渾身の一太刀。
ザシュッ!
良い手応え。狩龍を振って付いた血を落しながら振り返るとイーオEは倒れた。小生は周囲にイーオスがいないか確認し、狩龍を鞘に納めた。
「お、終わりました?」
「ああ。さ、村は近いハズだ。夜になる前に急ごう。」
「ようこそいらっしゃいました、ハンターさん。ご苦労様です。」
「お世話になります、村長。小生はこちらの荷物を届けに来たハンター、モンタナです。こちらは…じょ、助手!そう助手のアベナンカ。」
「よろしくお願いします。」
こうとっさに嘘を言うのはビルとは違って苦手だ。ヤツは嘘も方便とは言うかもしれないが慣れん。
村長と一緒に来た男達に荷物を預け、小生は村の被害箇所を見にまわり始めた。大きな木造の長屋は仮設療養所として、村人の治療を行っていた。村の外れに向かうと、周りを囲った柵、木で出来た家屋がボロボロに崩されていた。無事に建っている家屋の壁には泥が付着していて、アベナンカが興味深げに小生に尋ねた。
「ボルボロスは乾燥を嫌うから身体中に泥を付けている。その泥は威嚇の時に揺すって落すんだ。」
「恐ろしいモンスターでじゃった。今まで通りに水晶の発掘に若いのが沼を船で渡っていた時じゃ。見たこと無いモンスターで現れて村まで来て暴れての…。」
「心中お察しします。
そうだ、村長。」
「はい?」
「こう黒煙を出すモンスターの目撃情報はありませんか?」
「黒煙…。グラビモスではなく?」
「あ、いえ。特に無いのならば気にしないで下さい。」
ここも情報無しだったか。以前にビルが雪山でイビルジョーと戦闘した。生息地がまったく違うモンスターの出現。何とも穏やかな話ではないな。そんな事態が起こっているというのに何故あの飛竜と遭遇しない。この狩龍をお前の身体中に突き立てる日を夢見ていると言うのに。何とも恋焦がれるような乙女の心境だな。
「では村長、本日中に街へ戻りたいので、今日はこの辺で失礼します。」
「わかりました。本当に助かりました。」
「近々またギルドの者が来ると思います。ですが何か異変がありましたら、すぐにご連絡を。これは小生のギルドカードです。」
「はい、ありがとうございました。」
帰ったらフリューゲルにフリーのハンターでも村の護衛、手伝いとして派遣するべきだと言う必要があるな。小生は、後ろ髪引かれる思いで村を後にした。
モンタナくんとアベナンカ。いい感じ、なのかもw
次回は……うーむ、ネタが…w
今まで友達と物語を考えていた時は、7割がた行き当たりばったりだったりするもんでw
残りの3割が大雑把な大きなネタ。ガンダムとかで言うなら、初戦闘、敗北、機体引継ぎ、最終話のみ台本がある感じですね。
(いや良いのか?それで…!)
では次回もお楽しみに!