ブラック・ブレット―仮面使い―   作:島夢

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第9話

 一日目の護衛は何事もなく終わった…強いて言えば、保脇という聖天子付き護衛の視線が明らかに敵意…いや、殺意のこもったものだったことくらいだろうか…?

 

 あいつには少し警戒しておかないとな…そう思いながら自分の家の玄関を開ける…すると?

 

 

「お帰りなさい、仮夢」

 

 

 金髪で真っ白い肌の幼女が笑顔で出迎えてくれた…。その笑顔は一発で昇天しそうになるくらいに可愛かった、ロリコン?いやいや、この笑顔見たらみんなそう思うって…。

 

 

「…ただいま、『アリス』」

 

 

 俺はそう返す…そう、アリスなのだ…あのアリスだ、死んでくれる?で有名なあのアリスだ。

 これがお礼だ、なんでもひとついうことを聞く、そして言われたことが…「私、もっとお外で過ごしたいの…できるだけでいいから、仮夢に無理がない程度で私を外に出してくれない?」だそうだ…。

 

 俺はペルソナ使用の練習にもなるのでそれをOKした。

 最初の方こそ、30分くらいでバテて、回復したらまら召喚を繰り返していたが、徐々にじわりじわりと召喚時間が延び、今ではほぼずっと召喚をしている。

 

 アリスを召喚して、今日で5日目だ…。それにあんまり疲れ無くなってる、今のところ限界は一か月間ずっと召喚ってのが限界だ。

 

 我ながら頑張ったと思う…。

 

 

「アリス、今日の晩御飯何がいい?」

 

「仮夢の作るものならなんでもいいよ?おいしいから」

 

 

 今の会話で大体わかったと思うが、アリスはなぜかご飯を食べるのだ…そう、食べるのだ…普通の女の子くらいの量を食べる。

 

 実は普段あんまり仕事の来ない桐夜家の家計は結構やばいのだ…今回の依頼も、金ではなく、違うものを要求したので色々やばい。

 

 まあ、闇金事務所の方の仕事の報酬がまだ残っているからしばらくは大丈夫かな…と思いつつ、ご飯を作る。

 

 

 

 普通に味噌汁と、野菜炒め、ご飯…そんな感じのご飯を作り。

 アリスがそれを運んで並べ…。

 

 二人で座る…。

 

 

「「いただきます」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ…仮夢の料理はなんでこんなにおいしいの?」

 

「知るかよ…アリスがそう思うからおいしく感じるんだろ?」

 

 

 アリスがご飯を食べ終わってから聞いてきた…そんなこと知らんのでそう返す…。

 アリスは人差し指をあごに当てて考える動作をする…。

 

 

「そうだね、仮夢が作るからおいしいのかもね」

 

「なんじゃそりゃ? まあ、どうでもいいけどさ…」

 

 

 俺はそう呟きながら紅茶を飲む…ちなみに紅茶は偉大な飲み物だと思う、カフェインを摂取することで眠気を飛ばせるし、何よりおいしい…。

 

 本当に偉大な飲み物だ…たまに高いのがあって、それを見ると買ってしまい、家計に響くが…まぁ、仕方のないことだろう…。

 

 アリスも紅茶が好きだ…だからいつも二人で色々話しながら紅茶を飲んでいる…のだが、いつも困ったことが起きる…それが何かって?

 すぐわかるさ…。

 

 

「ふ~…おいしかったぁ…」

 

 

 そういってコップを台所へ持っていくアリス…俺はまだ紅茶があったので飲んでいる…紅茶うめぇ…。

 とか思ってるとアリスがとことこ歩きながら帰ってきて、ばたんきゅーして、俺の膝を枕にして寝だした…。

 

 これだよ…アリスは紅茶好きなのになぜか紅茶を飲むと寝る…。

 カフェイン…入ってるはずなんだけどなぁ…。

 

 俺は紅茶のなくなったコップを机に置き、アリスをお姫様抱っこして部屋に運ぶ…。

 穏やかに眠っているが、紅茶飲んで眠るって…睡眠薬でも入ってたのだろうか?アリスはいっつも寝るからなぁ…。

 

 アリスをベッドに寝かせて、コップをしまいに戻り、しまい終わったら…。

 

 

―――トゥルルルル―――

 

 

 携帯電話の音が鳴る…プライベート用の方の…。

 電話の画面には『聖天子』と書いてある。携帯電話に出ると…。

 

 

『仮夢さん、今お時間よろしいでしょうか?』

 

「ああ、いいタイミングだよ…アリスも寝たしな」

 

『そうでしたね…アリスさんは仮夢さんと一緒に………羨ましい…』

 

 

 電話の向こうからそんな声が聞こえてきた…小声で言ってたが、聞こえた…いやいや、聞こえないようにしろよ…まったく。

 

 というか、どこか嬉しがってる自分もいるので、なんだか自己嫌悪に陥りそうだぜ…。

 まぁ、聖天子は可愛いからな、仕方ないな(確信)

 

 

「どうしたんだ?聖天子」

 

『いえ、お時間があるのなら、少し話しませんか?』

 

「別にいいぞ、暇だったし」

 

 

 そう言って、俺と聖天子は雑談をし始める…。

 

 

 

 

 

 

 ニュースとかでよくやってる政治的な問題についどう思うかとか訊かれたりする。

 俺はそれについて自分の考えを言ったりする…俺の考えをそのまま言うだけなのに、聖天子は「参考になりました」って言うんだよなぁ…しかもなぜか嬉しそうに…。

 

 そうだ、なんで嬉しそうなのか聞いてみよう、今も丁度俺の考えを聞かれて答えたところだったしな。

 

 

「なんで嬉しそうなんだ?」

 

『えっ?…その…ですね』

 

 

 ん?聖天子が言いよどむなんて珍しいな…。

 そう思いながら、聖天子がこたえを発するのを待っている。

 5秒間くらい言いよどんだあと、聖天子は答えた。

 

 

『えーっとですね…仮夢さんが、私と同じ意見で、嬉しいなと思ってしまってですね…。

 そ、それに、私には気づいていないところまで気づかせてくれるので…そ、その…えぇと…あぅ…』

 

 

 何この国家元首ちゃん、可愛い…。めっちゃ可愛い…ちょっと待て、よくよく考えたら俺の周り可愛い子ばかりじゃないか!

 なんていう役得! 一緒に住んでいるアリスをはじめ、友達の聖天子、暇なときに公園に行くと出会える夏世に命狙ってくる小比奈

 

 みんな美少女じゃないか!一番最後がなんか物騒だったけど気にしない、聖天子以外十歳くらいだけど気にしない!

 俺は決してロリコンじゃない!可愛いものが好きなだけだ、可愛いのはみんな好きだろう?そういうことさ…。

 

 

 こんなどうでもいいことを考えている間も聖天子は混乱して、何言ってるのかわからなくなってる…。

 完全に国家元首の面影なしだな…。

 

 

「聖天子、落ち着け…というか、今日はもう寝ろ…どうせ明日会えるだろ?」

 

『ぁう…そ、そうですね…今日はもう寝ます…で、では仮夢さん…また明日』

 

「おう、また明日な」

 

 

 そう言って電話をきる…。

 俺もそろそろ寝るとしようか… そう考えながら、ベッドに向かう…。

 

 さて、寝るか…俺は寝付きがいい方なので、ベッドに寝転がってすぐに寝た…いい夢が見れたらいいなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我は汝、汝は我   我は汝の心の海より出しもの、幽玄の奏者  オルフェウスなり

 

 タナトス、メサイア、アリス…この面子だと我はまったく役に立てない…(´・ω・`)

 

 

 コミュMAXはよ!はよはよはよはよはよはよはよはよはよはよはよはよ!!」<バンバン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!? なんて夢だよ…」

 

 

 なんかオルフェウスが机バンバン叩きながら駄々こねてる夢見た…なんか微笑ましかったが…本当に思ってるんだろうか…?

 まぁ、確かにあんまり使いどころ無いよな…あいつ…ほかの奴らが強すぎて…。

 

 とか考えていると、なんだか布団の中に自分以外にもう一つふくらみがあるのと、なんだか暖かい…。

 

 まさかと思い、バッ!と布団をめくると…。

 

 

「はぁ…またお前か、アリス…」

 

 

 アリスが「すー…すー…」と寝息を立てていた…。すごく穏やかな寝顔で、凄まじく可愛い…。

 頭を撫でてやると、気持ちよさそうに少し微笑む…。

 

 

「まぁ…いいか…いい夢見ろよ、アリス」

 

 

 俺はそう呟いて、アリスに布団をかけて、自分もそのままもう一度意識を手放した…。
















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