「冬ニ君、一夏君、大丈夫ですか?」
「えっ、えぇー…ありがとうございます山田先生……」
正確な射撃で俺と冬ニを守ったのは、なんと山田先生だった。
「山田先生はこう見えても元代表候補だ…今くらいの射撃は造作もない。」
「昔の話ですよ〜。それに代表候補生止まりでしたからね〜」
「さて、では始めるぞ……小娘共。」
「えっ?ニ対一ですの?」
「いや〜流石にそれは……」
セシリアと鈴は二人して渋った顔になる。確かに山田先生は元代表候補生だったかもしれないが現役の代表候補生を二人がかりで相手するのは難しいはずなのだから。しかし、千冬姉は、
「安心しろ。今のお前たちならすぐ負ける。」
「「 むうぅ!?」」
千冬姉の挑発にセシリアと鈴がムキになって睨み付ける。
「それでは、始め‼」
千冬姉が試合開始の合図をかける。それと共に三人共上空へと飛翔して行った。
「手加減は致しませんわよ!」
「さっきのは本気じゃなかったしね!」
「い、行きます!」
その直後セシリアが距離をとり、ビットで多方向からの攻撃を仕掛け、鈴は衝撃砲を乱射する。しかし、その全ての攻撃をかわし、シールドで受け、被弾を受けてない。
「デュノア、山田先生の機体の説明をしてみろ……」
「はい!えっと、山田先生の機体はデュノア社製ラファール・リヴァイブ。現在最後期の開発でありながらそのスペックは第三世代にも劣らない性能を誇ります。最後発の機体でありながら量産機の世界第三位であり、汎用性が高く、操縦者を選びません。そして、多様性役割切り換えが可能で、多種多様の戦闘が可能です。」
「よろしい……そろそろ終わるみたいだしな。」
千冬姉の言った通り二人は山田先生の狙撃によって一カ所に集められ、トドメのグレネードランチャーを受け、地面に落下していた。
「「きゃあぁぁぁぁ!!!!!」」
ズドオォォォォォォーーーーー!!!!!
二人一緒に地面に大穴をあけ、そこに伏せっていた。
「くうぅ〜このわたくしが……」
「あんたね〜何面白い様に回避先読まれてんのよ…!」
「鈴さんこそ、衝撃砲をバカスカ撃つからいけないのですわ!」
「なによ〜!」
「なんですの〜!」
「「うぅぅぅぅ…………!!!!」」
そして、二人してケンカし始めた。
「これで諸君等にも教師の実力が分かったと思う…今後は敬意をはらう様に。」
「「「 はい!!!」」」
それから俺たち専用機持ちがリーダーとなってISのの歩行練習をした。何故か俺や冬ニ、シャルルの所では 「お願いします‼」っと手を差し伸べて頭を下げるクラスの女子たち。何故なんだろう?
そうこうして授業は終わり、今は昼休み。冬ニに誘われ俺たちは屋上に来ていた。
「何故こうなった……」
そうつぶやくのは箒だった。冬ニだけを誘い、二人で食事をする…はずだったのか少し諦めた顔になっていた。
「いや〜みんなで食べた方が美味しいかな~と思ってね。…それにシャルルはここに来たばかりで右も左も分からないだろうから僕が誘ったんだよ。」
「いいの?僕がここにいて……」
「いいんだよ。そのために誘ったんだから!」
「ありがとう…冬ニ……」
そう言って笑顔を見せるシャルルに冬ニはドキッとし、顔を赤らめ、照れていた。
そして、お待ちかねの昼食タイム。冬ニは箒が作ってくれた弁当を、俺は自分で作った弁当を持参していた。
「「「「「「いただきまーーす!!!」」」」」」
「うん⁉箒、この唐揚げうまいよ!」
「そ、そうか!良かった……」
褒めてもらったのが嬉しかったのか顔を緩める箒。
「ホラ、箒も食べてみなよ!」
「な、何⁉」
「「あぁぁぁ!!!」
冬ニが唐揚げを箒の口元へと持っていく。俗に言う「はい、あーん」と言うやつだ。
「はむ、うむうむ。あ〜いいものだな……」
「でしょう⁈美味しいよねこの唐揚げ!」
「唐揚げではないのだが……うん、いいものだ。」
喜ぶ箒とそれを見ていて、方然としている鈴とセシリア。
「あっ!これってひょっとして日本のカップルがやる『はい、あーん!』ってやつ?仲睦まじいね!」
流石、正解ですシャルルさん。
「なんでこいつらがカップルなのよ!」
「そうですわ!なり直しを要求します!」
そうこうしている内に鈴は酢豚をセシリアはサンドイッチを冬ニに食べさせようとする。酢豚は昔から食べていたのてとても懐かしく感じ、美味しかったのだが、セシリアのは……まぁなんと言うか……個性的な味でした。
「一夏、一夏。わたしもお腹が空きました…」
ふいに制服の裾を引っ張られ、そっちを見てみると、エストが俺を見上げいた。
「あ~そうだったな。ごめんなエスト…ほら、あーん。」
「あーん、もぐもぐ……」
「どうだ?美味しいかエスト?」
「はい……とても美味しいです…一夏」
「そうか、それは良かった…」
そんな俺たちを見ていた鈴たちは、
「ねぇ、一夏、その子は一体……」
「あー、シャルルには、まだ言ってなかったな。こいつは俺のISのコアから生まれた人格で名前はエストって言うんだ。」
「コアから生まれた人格!?」
「あぁ、エストが前にそう言っててな、人間っと言うよりどっちかと言うと『精霊』と言うやつに分類するらしい。
「ヘェ〜不思議なものだね〜」
「つーか、エストってご飯食べれたのね。」
シャルルが納得したかのように頷き、鈴が驚いたとばかりにこっちを見てくる。
「一夏、もっと下さい。」
「しょうがないなーほら、エストあーん。」
「あーん……美味しいです…一夏。」
「エストはいつも頑張ってくれてるからな…」
そう言ってエストの頭を撫でてやると、目を細めて、気持ち良さそうにするエスト。
「ふあぁ……一夏。」
そんなエストを見ていて、誰しもが思った。「エスト超ー可愛い!」っと。
その後の授業も無事終わり、部屋に戻って休む。そして次の日の朝。
「え、えぇーと。今日もこのクラスに転校生がやってきます。」
なんといきなりの展開にみんな驚いていた。
そして、入ってきたのは銀髪をストレートに伸ばし、左目に黒い眼帯を付けた小柄な少女だった。
「転校生?二日続けて?」
「それは流石におかしくない?」
確かにおかしすぎる。二日続けて転校生が同じクラスに転校生して来るなんて偶然にしてはでき過ぎだ。
「自己紹介しろ、ボーデヴィッヒ。」
「はっ!教官。」
「教官ではない、ここでは織斑先生だ。」
「はい…織斑先生。」
(教官と呼んだって事はあいつは千冬姉がドイツにいた時の教え子か……)
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」
シーン、、、
「えっと……以上ですか?」
「以上だ、っん!貴様らか…」
そう言うとラウラは俺たちの所へと歩み、いきなり冬ニの頬を叩いた。
「えっ⁈」
そして、今度は俺に殴りかかってきたので俺はその手を掴み、防いだ。
「いきなり殴りかかって来るなんてどういう事なのか説明してもらおうか?ラウラ・ボーデヴィッヒ。」
「…………くぅ!」
そう言うと、ラウラは乱暴に俺の腕を払いのけ、まっすぐ俺たちを見てこう言った。
「認めない。貴様らがあの人の弟であるなどと……認めるものか!」
今回は最後の方にラウラさん登場!
次回からは少し波乱が巻き起こるかも……
感想待ってまーす。