エストがクラスに編入してからと言うものの、クラス内はエストの事で話題になっていた。俺のISのコアから生まれ、人間とほぼ同じ感情を有した透き通る様な銀髪に、神秘的なヴァイオレットの瞳、小柄な体格からお人形さんみたいだと言われて早くもクラスに馴染んでいる。主に授業中は白いブレスレットになっているが、休み時間は大抵人型になっているのだ。
「エストちゃんってホント可愛いよね!」
「ホントホント!あんな子私も欲しいなぁ~。一夏君、エストちゃんを頂戴!!」
「い、いやー頂戴と言われても……」
いきなりそんな事言われても無理である。だがしかし、彼女たちの言い分もわからなくない。確かにエストは可愛いのだから。
「一夏……助けて下さい!」
すると、教室の一角でクラスの女子たちに弄ばれてるエストからSOSがとんで来た。四方八方から女子に囲まれ、抱きしめられ、頬ずりまでされている。やってる方は幸せそうだったがエストは顔を赤らめ、手足をバタバタさせている。
キーンコーンカーンコーン!!!!
俺が助けようとした時チャイムがなり、みんな自分の席に戻っていく。そして自由になったエストはトコトコトコっと走って来て、粒子変換してブレスレットになり、俺の右手首に巻きつく。そうこうしているうちに副担任の山田先生の千冬姉が教室に入って来る。
「はーい皆さん!今日はこのクラスに転校生がやって来ます。皆さん仲良くしてやって下さいね。」
山田先生の紹介でクラスに入っていたのは、金髪の長い髪を背中の辺りで結んでいるどこか中性的な顔立ちの『男子』だった。
「どうも、シャルル・デュノアです。フランスから来ました。皆さん、よろしくお願いします。」
爽やかで優しそうな笑顔で挨拶をする。さしずめ『フランスの貴公子』と言った所だろうか。
「えっ、男?」
「はい!この学園には僕と同じ境遇の方がいると聞いたので本国から転校して来ました。」
「き、」
「き?」
「「「きゃぁぁぁぁ!!!!」」」
「へ⁈」
「男子!三人目の男子よ!」
「しかも美形!守ってあげたくなる系の!」
突然湧き上がる教室。それもそうだ俺と冬ニの二人だけだと思っていた男性操縦者がもう一人いたのだから。
「静かにしろ!」
千冬姉の一言で一気に静まる教室内。流石千冬姉…
「今日の一時限目は二組と合同のIS実習だすぐに着替えてグランドに集合しろ。 それでは解散!」
千冬姉の号令で急いで準備する一同。俺たちも急いで準備に取り掛かろうとしていると、
「織斑兄弟、デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子同士だろ?」
「分かりました。」
「了解。」
「君たちが織斑君?初めまして、僕はーーー」
「あ~自己紹介はまた後でね!」
「あぁ、俺たちも急ぐぞ!」
「へ⁈あ、ちょっとーー」
冬ニがシャルルの手を掴み、急いで教室を出る。それに続く感じで俺もエストを連れて教室を出た。
「僕たち男子はアリーナの更衣室で着替えるんだ。大変だと思うけどなるべく早く慣れてね。」
「あっ、う、うん……」
「ん?どうしたの?もしかしてトイレとか?」
「ち、違うよ!」
「おい、冬ニ。急がないと間に合わないぞ!それにもうそろそろ来るぞ!」
俺が予感めいた事を言うと、冬ニは焦った顔になり、シャルルは何の事かわからない様な顔になっていた。しかし、シャルルはこの後、俺の言った事の意味が分かるのだった。
「あー!噂の転校生発見!!」
「者共で合えで合え!!!!」
「わぁ~やっぱり金髪いいわね~!織斑君たちの黒髪もいいけど…やっぱり金髪!!」
「見て見て!冬ニ君、デュノア君と手つないでる‼」
「いいな~~」
俺の予想通り、転校生の噂を聞きつけた他のクラスの子たちが俺たちを包囲した。以前これに捕まり、授業に遅れて二人して千冬姉の出席簿アタックを食らった事があるのだ。
「一兄…どうする?」
「振り切るしかねぇーだろ!行くぞ、冬ニ!デュノア!」
「「うん!!」」
俺の合図と共に俺たちは包囲していた女子たちの間をすり抜け、アリーナへと向かった。途中、「あぁー」っと女子たちの声が聞こえたが今はそんなのに構ってる暇がない。
そして、アリーナの更衣室についた俺たちは改めて自己紹介をした。
「改めたして。僕はシャルル・デュノア。僕の事はシャルルでいいよ!」
「僕は織斑冬ニ。一兄もいるから僕の事は冬ニでいいよ。」
「俺は織斑一夏。俺の事は一夏で頼む。よろしくな、シャルル!」
改めて自己紹介をし終えて、時計を見ると授業開始まで後五分も無かった。
「うわ!やばいよ一兄!早く着替えないと!」
「本当だ!急いで着替えるぞ!」
そうして俺と冬ニが服を脱ぐと、
「う、うわ!」
「「ん?」」
何故かシャルルは手で顔を覆い、後ろを向いていた。
「どうしたのシャルル?早く着替えないと……」
「う、うん……着替えるよ。…着替えるからあっちを向いてて……」
「ん?いやまぁ~そんなのにジロジロ見たりはしないけどとにかく急げよ?」
そうして、何とか着替えを終えて時間前に整列する。そして、その数分後にジャージ姿の千冬姉が俺たちの前に立つ。
「それでは今回はISの基本戦闘の実演をしてもらう。凰、オルコット、前に出ろ!」
「面倒ー、なんで私が…」
「こう言うのは見せ物みたいで気が引けますわね…」
鈴とセシリアは指名されると前に出るがとてもやる気がありそうにはない。
「お前たち、少しはやる気を出せ…………あいつらにアピールするチャンスだぞ。」
「は⁉」
「は⁉」
「やっぱりここはわたくしとブルー・ティアーズの出番ですわね!」
「バシッと決めて見せつけるチャンスよね!専用機持ちの!」
「「「………………」」」
一同が一斉に沈黙してしまった。なにを言われたのかわからない俺たちは不思議な顔をしていた。
「それで?お相手は鈴さんですの?」
「ふん!上等、返り討ちよ!」
「慌てるな馬鹿者……お前らの相手は……」
そう言うと千冬姉はおもむろに空を見るとそこには、
「わあぁぁぁぁ!!!!!どいて下さい!!!!!」
そう言いながら態勢を崩して落下して来るのはラファール・リヴァイブを装着した山田先生だった。
「わぁ!やばいこっちに落ちてくる!」
「「「わあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」
みんな一目散に逃げる中、俺と冬ニは一足遅れたために逃げ遅れた。
「やばい!ぶつかる‼」
「えぇーい!こうなったら!冬ニ、白式を展開しろ!」
「分かった!」
ズドオォォォォォォーーーーーン!!!!!
豪快な衝撃音をあげ、俺たちを巻き込んで山田先生は墜落した。
「う、うーん…白式の展開が遅れてたらやばかったよ…」
「俺もだな…サンキュー、エスト!」
(お怪我が無くてなによりです…一夏。)
何とか白式と白桜を展開した俺たちだったが、そのあとがまずかった。
「あの〜冬ニ君に一夏君?そろそろどいてもらえませんか?みんなが見ていて恥ずかしいですし、あ〜でも、このまま行けば織斑先生が義理のお姉さんになるって事でそれはそれで…………」
見てみると、俺たち二人は山田先生の胸を片方ずつ掴んでいた。
「「 わぁぁ!!!すいません!!!」」
俺と冬ニは事態に気づき急いで山田先生から離れようとするが、途端に冬ニの顔ギリギリを青いレーザーが通る。
「うっふふふふふ……残念、外してしまいましたわ…」
「へ⁈せ、セシリア⁈」
彼女の顔を見ると少なくとも血管マークが三つもついていた。すると、今度は俺の後ろの方から『ガチャン!』っと言う音がする。
「一夏ーーーーー!!!!!」
鈴が双天牙月を連結させ、俺の首目掛けて投擲して来た。
「うわ!ちょっ!待っ……」
ドン!ーーーーードン!
死を覚悟した時、二発の銃声が聞こえ、双天牙月は地面に突き刺さった。そして銃声が聞こえた方を見て見るとそこには、
「一夏君、冬ニ君、大丈夫ですか?」
さっきまでとは別人の様な顔になっていた山田先生がそこにいた。
すいません…更新遅れました!
SAOホロウ・フラグメントやラノベの新刊を読んでて遅れました。