IS使いの剣舞   作:剣舞士

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今回は、一夏の試合です。


第14話 一夏VSセシリア

白桜のフォーマットとフィッティングが終了した。俺は、白桜のスペックデータを確認していた。武器はどうやら近接戦用ブレードが一本に両肩に浮いているユニットに格納された小太刀が一本ずつある。俺の機体も冬ニと同じ高機動近接戦闘型のようだ。

 

(しかし、さっきの違和感は何だったんだ?それにこの機体装備やスペックが彼女と似ている……偶然だろうか。)

 

 

そんな事が頭をよぎるが、今は目の前の試合に集中しなければならないと思い、俺はアリーナ内へ飛翔する。

そして、対峙した俺とセシリアは、互いを見て牽制し合う。

 

「さっきと違って随分と眼の色が変わったな……」

 

「えぇ。先程の試合であなた方の評価を改めようと思いましたの…ですので、もう油断も手加減もいたしませんわ!」

 

「いいぜ。俺も久しぶりだが、全力で行かせてもらう!」

 

互いに武装を呼び出す。セシリアはスターライトmkーⅢを、俺は近接戦用ブレードを、っと思ったのだが、

 

「へっ?」

「えっ?」

 

俺の呼び出した武器は、『ブレード』と言うにはあまりにも頼りない『ナイフ』のような武器だった。

 

「あ、あなた『それ』でわたくしと戦いますの?」

 

流石に心配になったのだろう。セシリアが俺を気遣うように声をかけてくる。

 

「いや、すまない。申し訳ないが別の武器で相手させてもらうよ……」

 

俺も少し恥ずかしくなり、顔を赤くした。気を取り直し、俺は両肩のユニットから小太刀を取り出す。

 

(さっきのやつよりかはなんぼかマシ…か。)

 

そして、カウントがはじまり試合が始まった。

 

「行きなさい‼ブルー・ティアーズ!!!!!!」

 

セシリアがビットを展開し、レーザーを撃ってくる。

俺はすかさずそれをかわすのだが、

 

(くっ!反応が鈍い‼俺が白桜のスピードの追いつけてねーのか⁉)

 

フォーマットとフィッティングは終了しているはずなのだが、思うように動かず苦戦する。

 

「くっ!だがさっきの冬ニとの試合でその動きは見切ってる‼」

 

そういうと、俺は弾幕を掻い潜り、ビットを二つ小太刀で斬り裂く。

しかし、三つ目を破壊しようとした時セシリアの声が響いた。

 

「そちらは、囮でしてよ‼」

 

そう、セシリアはわざと俺に三つ目のビットへと誘導させたのだ。そして、容赦ないミサイル攻撃でおれを追い詰める。

 

(くそ‼このままじゃ一方的にやられる‼)

 

そう思っていてもセシリアは逃がさない。

 

「言ったはずですわ!手加減はしないと‼」

 

さっきのミサイルによる攻撃で小太刀が一本吹き飛ばされ、小太刀一本で戦う俺にセシリアのライフルからの狙撃がヒットする。

 

「ぐあぁぁぁぁぁーーーー!!!!!!」

 

レーザーが見事にクリーンヒットし、俺は地上へと落ちていく。

 

(くそっ……ここまでなのか……シールドエネルギーは、200を切ってる。武器は小太刀一本のみ。勝ち目がねぇ…)

 

そう思って目を閉じると、ふと、あるビションが流れてくる。漆黒の翼を広げ空を飛び、手を差し伸べ俺に優しい笑顔を向けてくる少女。

 

(そうだ。俺はこんな所で負けるわけにはいかない‼俺に戦うための剣を、飛ぶための翼を、俺に全てを与えてくれた彼女に、なんて言えばいい!!!!!!)

 

 

地面に衝突する寸前、俺は態勢を整え、地面に着地する。

そして、呼吸を整え意識を研ぎ澄ます。

 

「いくぜ……絶剣技!!!!!!」

 

その言葉と共に俺はセシリアに向かってトップスピードで加速する。しかし、セシリアは慌てることなくビットを展開し、迎撃して来る。

 

「影縫い……」

 

あの組織で覚えた暗殺技の一つ。本来なら、『高次立体移動』と、呼ばれているのだが、一夏のそれは他の者を遙かに上回るとして、固有名がつけられたのだ。そして、それを使い、弾幕を一気に突破する。そして、通り過ぎるついでにビットを破壊し、最後の一つを投擲で破壊する。

 

「なっ!なんですの、急に動きが!」

 

セシリアは驚きながらもミサイルを撃ち出す。

 

(聞こえてんだろ白桜‼俺は知ってるぞ。おまえの力は、こんなもんじゃないだろ!!)

 

そうすると、右手に光が集まり一本の剣となった。

 

「おおおおおおっ!!!」

 

セシリアの撃ったミサイルが接近する。しかし、回避はせず、そのまま突っ込む。

 

「絶剣技 三ノ型 影月円舞!!!」

 

左足を軸に、逆手に持った剣でミサイルの全てを斬り裂く。爆煙の中を駆け抜け、セシリアの懐に入る。

 

「イ、インターセプター‼」

 

セシリアはブルー・ティアーズが唯一もつ近接ブレードを取り出すが、キリング・レンジに入った一夏にそんなものは通用しない。

 

「絶剣技 初ノ型 紫電!!」

 

一夏の剣技がセシリアを斬り裂き、ブルー・ティアーズのシールドエネルギーがゼロになる。

 

「試合終了 勝者 織斑一夏」

 

アナウンスの声と共に、アリーナ内に湧き上がる大歓声、それもそうだろう。何せ敗北寸前からの大逆転劇だったのだから。

そして俺はダメージを受け、地面に座り込んだセシリアに声をかけに行く。

 

「その、大丈夫か?」

 

「え、えぇ。わたくしの完敗ですわね…男だからと、侮っていましたわ。」

 

「まぁー男も結構やるもんだろ?」

 

「えぇ、全く驚きましたわ。今回は、とてもいい勉強になりましたわ!」

 

「あぁ、俺も久しぶりに本気を出せた。ありがとう!」

 

「こちらこそ…次やる時には、わたくしが勝たせてもらいますわ!」

 

「いいぜ!望むところだ!」

 

お互いに握手を交わし、それぞれ別のピットに戻って行った俺たちであった。

 

ーーーーー

「ふぅーん。まぁーまずまずと言う所かしら?あれじゃあまだ昔の様にはいかないわね?」

 

そして、その試合を遠くで観察していたものがいた。闇色のドレスを着て、漆黒の翼を広げ、悠々と空に佇む少女だ。

 

「待っててね一夏…直ぐにあなたを覚醒させてあげるから。」

 

そう言うと少女は黒い羽を撒き散らし、何処かへ消えてしまった。

 

 

 

 




今回は、一夏の試合を書きました。長かった~どうやって戦うか考えるの。
それではまた次回。

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