機動戦艦ナデシコ 平凡男の改変日記   作:ハインツ

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背中に置かれた手

 

 

 

 

 

「ピースランドからの特使?」

「誰かしら? ピースランドから呼ばれるようなVIPは」

 

いつも通りにブリッジへと向かう。

一応、俺の役職は前と変わらない為、ブリッジ勤務も変わらないのだ。

まぁ、俺がいて役に立つかといえば、そうでもないけど。

 

「いえ。なんでも、ルリさんに用事とか・・・」

 

そんなある日の事だ。

ピースランドからルリ嬢に対する特使がやってきた。

ピースランドとは永世中立国であり、世界の銀行。

裏金とかが凄いらしい。ネルガルも頭が上がらないとかなんとか。

まぁ、税金対策をさせてくれる国ですからね。睨まれたら終わりか。

 

「ホシノ・ルリに?」

 

怪訝な顔付きのエリナ秘書。

いや。久しぶり。いつもブリッジにいないから忘れていた。

あれかな? また

裏で何かやっているのかな?

 

「ええ。よろしいでしょうか? ルリさん」

「はい。分かりました」

 

プロスさんの引率でルリ嬢がブリッジから出て行く。

まぁ、ルリ嬢は既にこうなる事を知っているから、別段驚きもないだろう。

俺も特にこれといって干渉するつもりはない。

ルリ嬢やアキトさんがうまくやるだろうし。

そんな事より・・・そんな事は失礼かな? コホン。

俺はケイゴさんの事について色々と考えないといけない。

ケイゴさんがエステバリスごとチューリップで跳んだ以上、木連にはCASが導入されるだろう。

先日の人型機動兵器にCASが搭載されれば、苦境に立たされる事は間違いない。

かといって、俺達にそれを阻止する事はもはや不可能。

どう対策を取るか・・・。

 

「コウキ」

 

ん? アキトさん?

 

「何でしょうか? アキトさん」

「俺は恐らくルリちゃんに付いていく事になるだろうからな。その報告だ」

「そうですか。分かりました」

「何か買ってくるものはあるか? 前回同様、そういう役目を担わされるだろうしな」

 

どこか疲れた表情で告げるアキトさん。

そうだよなぁ。クルー全員とまではいかないけど、買い物に使われるんだ。

溜息も吐きたくなる。

 

「いえ。特には」

 

これといって必要なものはないよな?

 

「そうか。分かった。お前も少し休め」

「え?」

「頭を使い過ぎだ」

 

苦笑しながら告げるアキトさん。

 

「ケイゴとやらで色々と悩むのは分かるが、あれからずっとじゃないか。少しは休んだ方がいい」

「はぁ・・・」

 

別段、疲れている訳ではないんだけどなぁ。

自覚症状がないだけだったりして?

もしかして、言われている通りに疲れているのかも・・・。

うん。考えもまとまらないし、ちょっと休もうかな。

 

「それではな」

 

そういって去っていくアキトさん。

ルリ嬢をよろしく、アキトさん。

 

「コウキ君。言われた通りに休んできなさい」

「え? ミナトさんまで」

 

やっぱり疲れているのだろうか?

 

「隈。隈できているわよ?」

「嘘? マジですか?」

「マジったらマジ。眠れないの?」

「ええ。まぁ・・・」

 

寝ようと思うと色々と考えてしまう。

俺がいなければこんな危機に陥らなかったんじゃないか、とか。

俺のせいで今回は形だけの和平さえ成り立たなくなっちゃうのでは、とか。

そう考えたら、きりがなくなっちゃって。

 

「そっか。私で良ければ相談に乗るけど?」

「・・・そうですね。御願いしてもいいですか?」

「ええ。もちろん」

 

ミナトさんに相談すれば、少しは心が楽になるかもしれない。

 

「それじゃあ、今日の夜にでも聞いてあげるから。ひとまず寝てきなさい」

「・・・仕事中ですから」

「体調不良とでも言っておきなさい。事実、そうなんだから」

「・・・でも・・・」

「いいから。どうせ待機なんでしょ? だったら、休んでおいて体調不良を治した方が断然ナデシコの為だわ」

「・・・そう、ですか。分かりました」

 

・・・それなら、お言葉に甘えようかな。

 

「・・・艦長」

「はい。何でしょう・・・マエヤマさん。顔色悪いですよ?」

 

どうやらマジらしい。

周りから休めオーラが漂ってきた。

人が良過ぎるよ、ナデシコクルー。

 

「ちょっと体調不良でして。休ませて貰ってもいいですか?」

「はい。早く治しちゃってください」

「ありがとうございます」

 

いや。こんな簡単に許可をもらっていいのかな?

まぁ、休ませてもらえるなら休むけど。

 

「それじゃあ、失礼しますね」

「お大事に」

 

ブリッジから出る前に一礼。

う~ん。眠れるかな? これで眠れなかったら申し訳ないし。

・・・うん。仕方がない。睡眠薬でも貰ってくるか。

睡眠薬なんて初めてだけど、どうなるんだろう?

 

 

 

 

 

SIDE MINATO

 

「大丈夫かしら? コウキ君」

 

ブリッジから出て行くコウキ君を見送る。

コウキ君がケイゴさんと呼ぶ人のスパイ疑惑から数日。

日に日にコウキ君の顔色と悪くなってきている。

変な所で責任感が強いからなぁ、コウキ君は。

背負わなくていい事まで背負っちゃっている気がするのよね。

 

「・・・あの、ミナトさん」

「ん? どうかした? セレセレ」

 

コウキ君に比例するようにセレセレの元気もない。

 

「・・・コウキさん。どうかしたんですか?」

 

心配そうに問いかけてくるセレセレ。

今更だけど、ナデシコが初めて出航した時とは大違い。

無表情だなと思っていたセレセレも少し感情表現が乏しい女の子ぐらいにまで成長した。

人との触れ合いで人ってこんなに変わるんだなぁって実感するわよね。

 

「ちょっと色々あってさ。悩み事を抱えているみたいなの」

「・・・そう・・・ですか」

 

俯くセレセレ。

愛されているなぁ、コウキ君。

 

「・・・私に何か出来る事はないでしょうか?」

「コウキ君の為にって事?」

「・・・はい。私、コウキさんに恩返しできていません」

 

・・・恩返しか。

コウキ君は恩だなんて思ってないと思うけどね。

そうだなぁ・・・。

 

「今度コウキ君が来た時に笑って出迎えてあげて」

「・・・え? それだけでいいんですか?」

「そうよ。それだけでコウキ君は喜んでくれるから」

 

コウキ君もセレセレの事を大事にしているし。

きっとセレセレが笑顔で出迎えてくれれば嬉しいと思う。

 

「・・・分かりました」

「ええ。そうしてあげてちょうだい」

 

それが一番コウキ君を癒してくれると思うから。

 

 

 

 

 

「はい」

「え? いきなり?」

 

夜、コウキ君の部屋を訪ねて相談タイム。

部屋に入ってすぐに、その場に座り、腿をパンパンと叩く。

最近してなかったしね、膝枕。

 

「ほら。おいで」

「えぇっと・・・はい」

 

ふふっ。相変わらず照れ屋なんだから。

久しぶりの重みが逆に心地良い。

 

「よく眠れた?」

 

さっきまでベッドの中にいたみたいだし、眠れたとは思うんだけど・・・。

 

「初めて睡眠薬にお世話になりましたよ」

「・・・そっか」

 

睡眠薬にお世話にならないと眠れない程、コウキ君の悩みは深いんだ。

 

「あの・・・恥ずかしいんですけど・・・」

 

あぁ。無意識に額とか撫でていたみたい。

ま、いいじゃない。これぐらい。ねぇ。

 

「いいの、いいの。それで、コウキ君は何を悩んでいるの?」

 

十中八九、ケイゴさんっていう人の事だと思うけど・・・。

あ、もしかしたら、基地に残してきたカエデちゃんの事かもしれないわね。

カエデちゃんの事、コウキ君、とても気にしていたし。

 

「俺のせいじゃないかなって」

「え? コウキ君のせい? 何が?」

「俺がこっちの世界に来なければこんな事にはならなかったんじゃないかなって」

 

・・・思ったより深刻そうね。ケイゴさんでもカエデちゃんでもないみたい。

もっと、こう、根本的な問題かしら?

 

「どういう意味?」

「俺がいなければ、ナデシコは危機に陥る事もなく、形だけの和平だとしても成立しました」

「・・・うん」

「ですが、俺の存在のせいで、木連側はナデシコを打倒するだけの力を身につけてしまい、もっと言えば、地球だってより危険になりました」

 

本当かどうかは分からないけど、コウキ君のエステバリスが木連側に渡ってしまったせいであの新型機が造られてしまったらしい。

でも、コウキ君だけの問題じゃなかったんじゃないかな?

 

「でも、今回みたいにエステバリスごとチューリップで奪取する方法もあったんでしょ? いずれはこうなっていたのよ」

 

別にコウキ君が背負うような事じゃないと思う。

方法なんていくらでもあったと思うし。

 

「ですが、そもそもCASがなければ、スパイとしてケイゴさんも来なかったかもしれませんし、新型機も実用化されなかったかもしれません」

 

・・・あぁ。かなりの重症だわ。

なんでも自分のせいにしちゃっている。

 

「コウキ君。落ち着いて聞いて」

「・・・はい」

「CASがあろうとなかろうとスパイ活動はしていたと思うわ」

「どうしてですか? 俺の―――」

「もちろん、何かしらの情報を得て、CASの為に来たのかもしれない。でも、それだったら長い期間を基地で過ごす必要はなかったんじゃない?」

「実戦に配備されてからすぐに逃げれば良かったって事ですか?」

「ええ。他にも知りたい事があったからスパイ活動をしていたとも考えられるでしょ? CASも目的の一つだとは思うけど、全部じゃないわ」

「・・・・・・」

 

いくらでも調べたい事なんてあったと思う。

その全ての責任をコウキ君が背負う必要はない。

そもそもCASだって頼まれて作ったものなんだし。

 

「それにね、新型機の実用化だって別にコウキ君のせいじゃないでしょ?」

「でも、CASがなければ―――」

「そうね。すぐには実用化できなかったかもしれないわ」

「ッ!」

 

息を呑むコウキ君。

 

「でも、いずれは実用化されていた。別にCASじゃなくちゃ動かないって訳でもないしさ」

「そ、それはそうですが、性能的に・・・」

「戦争中の技術進歩を甘く見ちゃいけないわ。確かに時間は掛かったでしょうけど、同等の性能を得る事は出来たと思う」

 

現時点で優れているのは確か。でも、いずれは追いつかれる。

それに、コウキ君は大切な事を忘れている。

 

「それにね、コウキ君。貴方は大事な事を忘れているわ」

「え? 大事な事?」

「ええ。貴方のCASの恩恵を受けているのは木連だけじゃないでしょ? 地球だって戦況を立て直してきているじゃない」

「・・・あ」

「そうよ。貴方は悪い方ばかり見ているみたいだけど、良い方にも眼を向けなくちゃ」

 

確かに木連に渡った事で向こうの戦力は向上してしまったかもしれない。

でも、こちら側だって同じように戦力を向上させているんだ。

±0とかいう訳じゃないけど、もっと自信を持っていいと思う。

 

「責任感が強いのもいいけど、あんまり背負うと潰れちゃうぞ」

 

額に手を置いて、グリグリしてみる。

変な所で責任感が強いから本当に心配。

 

「・・・はい」

 

ちょっとは気が楽になったかな?

 

「他にも心配事ある?」

「・・・そうですね。ケイゴさんときちんと話したいっていうのもありますが、その前にカエデですかね」

「やっぱりカエデちゃんが心配?」

「ええ。多分、カエデにとってもケイゴさんは大切な友達だったと思うんです」

「そうね。私もそう思う」

「だから、戦死したと思い込んで悲しんでいると思うんです。ケイゴさんがボソンジャンプできるかもしれないって知らないし」

「・・・そうよね」

 

やっぱり、コウキ君はカエデちゃんを大切に想っている。

自分も想われているって知っているけど、やっぱりちょっと妬いちゃうかな。

でも、きっと、こうやって周りを気に懸けられるのもコウキ君の良い所だと思うし。

う~ん。我ながら致し難いというか、なんというか。まぁ、そんな感じ。

 

「心配なら会いに行ってあげれば?」

「え? 無理ですよ。だって、今、ヨーロッパですよ?」

 

確かに場所的に遠いけど、無理じゃないでしょ?

 

「何日かはピースランド周辺で待機でしょ? それなら、きっと許可もおりるわよ」

「でも、そんな私用で・・・」

「いいから。ミスマル提督と連絡取って、呼ばれたって事にしちゃえばいいじゃない」

「・・・大丈夫ですかね?」

「色々と提督とも話した方がいいかもしれないわよ。万が一、という事で」

「・・・そうですね。でも、連絡を取る手段が・・・」

 

あ。そういえば、アキト君しか連絡の手段を知らないのか。

ルリルリもいないしなぁ。

ん?

 

「・・・あ」

「どうしました? ミナトさん」

 

忘れていた。アキト君を慕うもう一人の妖精がいたじゃない。

 

「ラピラピに聞いてみましょう」

「そっか。そうですね。ラピスちゃんならもしかしたら知っているかもしれません」

 

うん。そうしましょう。

 

「・・・少しは楽になった?」

「・・・はい。流石はミナトさんですね」

 

そう言って笑うコウキ君。

でも、まだちょっと蔭りがある。

やっぱりまだ駄目か。・・・そうよね。

 

「責任を感じるのも良いけど、自分がやれることをやった方が何倍も良いと思うわよ」

「ええ。分かっているんですけどね。怖いんですよ、俺」

「怖い?」

「はい。俺の存在がこうまで歴史を変えて、本来死なない人が死んだり、犠牲にならなくて済む人が犠牲になったりするんじゃないかって」

「それは・・・」

「今までは順調でした。サツキミドリや火星人、ガイやイツキさんだって救えた。この結果は俺にとっても嬉しい限りです」

「・・・うん」

「でも、きっとそれは俺がいなくてもアキトさん達が成し遂げたと思うんです。今までの過程に俺の存在はそこまで必要じゃない」

「・・・コウキ君」

 

何で、そんなに自分を卑下するの?

貴方のお陰で助かった命だってたくさんあるのに。

 

「地球に帰ってきて、ようやく俺だけにしか出来ない事を頼まれました。CASの製作です」

「・・・ええ」

「元々、俺は最後までナデシコを生き残らせられれば良かったんです。俺の目的はその後の平穏な生活でしたから」

「・・・うん」

「でも、アキトさんの想いを知った。なんとしても悲劇を回避したいという深い想いに触れたんです。俺はそれを助けたいと思いました」

 

きっとアキト君が未来から還って来た人間じゃなかったら、コウキ君は出来る限りの事だけやらなかったかもしれない。

サツキミドリや火星、ヤマダ君やイツキさんを助けるぐらいはコウキ君なら絶対にした。

でも、CASの製作なんていう戦争のあり方を変えるような事にまでは手を出さなかったと思う。

こうまでコウキ君を動かしたのは、アキト君の想いだったんだ。

 

「でも、その結果、俺は悲劇を生み出す要因となってしまった。俺の行動は全部裏目に出ています」

「コウキ君は自分がいなければなんて、そう思っているの?」

 

否定して欲しい。

だって、それを肯定されたら、私は・・・。

 

「・・・そうですね。そうかもしれません」

「・・・コウキ君」

「俺がいなければ、アキトさんが全てうまくやってくれたかもしれません。いえ、きっとうまくやったでしょう。俺は・・・アキトさんを邪魔しただけです」

 

そう言って力なく笑うコウキ君。

 

「・・・コウキ君。そんな悲しい事を言わないで」

 

悲しくて、悔しい。

そうまでコウキ君を追い込ませてしまった事が悲しくて。

それなのに何も出来なかった自分が悔しい。

ううん。何もしなかった自分が嫌。

 

「コウキ君は一生懸命やってきたじゃない」

「・・・そうですかね?」

「ええ。貴方のお陰で助かった命だってたくさんあるわ」

 

火星の時だってそう。貴方が無茶をしてくれなければ生き残れなかったかもしれない。

貴方がCASを作ってくれたお陰で、助かった命だってあるのよ?

 

「そんなに自分を卑下しないで。コウキ君。貴方が邪魔なんて事は絶対にない」

「・・・・・・」

 

眼を瞑るコウキ君。

その瞳から一滴の涙が零れた。

 

「いいのよ。コウキ君。辛いならもうやめていいの」

「・・・ミナト・・・さん?」

「貴方は背負い過ぎだわ。辛いなら、苦しいなら、もう何も考えずにゆっくり休みなさい」

 

そう言って、コウキ君の額に手を置く。

分かっている。私がしている事がコウキ君の為にならないなんて事は。

本当ならしっかりしろって背を押すのが一番コウキ君の為。

でも、こんなコウキ君を見ているとそんな事は出来ない。

もういいのよって。甘えちゃいなさいって。

迷子みたいになった子供のような弱々しさを見せるコウキ君を。

・・・私はこれ以上、苦しませたくなかった。

 

 

 

 

 

それから、しばらくコウキ君は無言だった。

私には何を考えているのかなんて分からない。

だから、眼を瞑るコウキ君の頭を撫でる事しか出来なかった。

 

「・・・そう出来たらどれ程いいんですかね?」

 

そして、漸くコウキ君が口を開く。

 

「コウキ君?」

「正直な話、もう嫌ですし、縋れるならなんでもいいから縋りたい」

「・・・・・・」

「でも、そんな事ばっかりしていたら、嫌われちゃいますよね。俺」

 

苦笑するコウキ君。

 

「俺はこんな所で責任放棄したくないんです。ここでやめたら、俺は一生後悔します」

 

涙を流しながらも、私をしっかりと見詰めるコウキ君。

迷いがあって、苦しみがあって、それでも、コウキ君は前を向いていた。

 

「ミナトさん。らしくないですよ。いつものミナトさんなら背中を押すのに」

「・・・コウキ君」

「でも、気付きました。偶には振り返って縋ってもいいんだって。縋ってもいい人が俺にはいるんだって」

 

その顔は先程までの弱々しい顔ではなく、少し男らしい意思のある顔だった。

 

「ミナトさん」

 

だから、私も笑みを浮かべて聞き返す。

 

「何かな? コウキ君」

 

すると、コウキ君は潤んだ瞳で笑みを浮かべながら・・・。

 

「これからも俺の背中を押してください。でも、時々背中に置かれた手を握って、振り返ってもいいですよね?」

 

そう告げる。だから、私も満面の笑みで・・・。

 

「ええ。いつでも振り返りなさい。甘えるだけ甘えさせたら、また背中を押してあげるから」

 

こう言ってあげる。

 

「ありがとうございます。ミナトさん」

 

そう言って満面の笑みを浮かべるコウキ君。

私にはコウキ君を技術的な面とかで助ける事は出来ない。

でも、きっと、コウキ君の精神的な負担を軽くする事は出来る。

私がコウキ君に出来る事がそれだけしかないのなら、私は全力でそれを成し遂げる。

全力で甘えさせてあげよう。

頼りないけど、頼り甲斐のあるこの子を。

弱いけど、前を向こうとする強いこの子を。

全力で・・・愛し続けよう。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 


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