もうすぐクリスマスですね。クリスマスの回も出したいですね
地上本部西側ではいまだに戦闘が続いている。中でも過激な戦闘が続いているのはなのはとトーレの戦闘だった。トーレは元々真ソニックフォームのフェイトと互角を張れるだけの実力を持っていた。それにさらに新たな強化が加わり、かなりの脅威となっていた。
それが例え、エースオブエースである高町なのは相手でも。
「はぁぁぁ!!」
「くぅ!!」
トーレの突撃をなのははレイジングハートの持ち手で受け止めたが受けきれずにそのまま後ろに下がっていく。
「くぅぅぅぅぅぅ!!」
「あぁぁぁ!」
なのはが体制を立て直す前にトーレは高速で背後に回り込み、なのはを蹴り飛ばそうとした。
「レイジングハート!!」
「Yes!」
レイジングハートが瞬時にフィールドを展開するがその程度のガードで極限まで強化されたトーレの攻撃を防ぎきれるはずがなく、なのはは吹っ飛ばされる。
「あぐぅぅ!ーーーーっ!シュート!!」
吹っ飛ばされる途中でなのははショートシューターを撃った。威力はないが牽制にはなる技だ。しかしトーレは軽く回避してなのはとの距離を一気に詰める。
「はぁ!」
「っ!」
強化されたトーレの拳をなのははもろに腹に食らった。その威力はバリアジャケットの装甲を簡単に抜くほどだった。腹部への強力な打撃になのはは一瞬吐きかけるが、そのダメージを耐えてトーレの腕を掴み、レイジングハートの先端をトーレの腹部に付けた。
「ディバイン…」
「!」
「バスタァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
ゼロ距離からのカートリッジ二つを使用したディバインバスター・エクステンションを防ぐ間もなく食らったトーレはかなり後方に押されたが途中で止まる。
「ふぅ…。少し驚いたぞ。今のは」
ディバインバスターはトーレにまるで効いてなかった。なのはがエクシードを使用しないでも打てるかなり強めの一発をいとも簡単に防ぎきるどころかダメージもほぼなしだ。
「…レイジングハート。エクシードモード。ブラスターシステム、リミット2!リリース!!!」
なのはは覚悟を決め、レイジングハートのブラスター1を飛ばしてブラスター2を解放した。ブラスタービットが2基展開され、レイジングハートも姿を変える。
だがあくまで魔力制限ありき、限定解除なしでの可能な限りの最大解放だ。出力は完全開放時の5、60パーセントといったところだろう。これで勝てる保証はないが限定解除を要請する時間もない。
「一気に決める!A.C.S、ドライブ!」
ACSを発動し、なのははトーレに向かって突貫した。トーレはもちろんそんな見え見えの突貫を食らうはずはない。即座に交わしてカウンターを決めようとしたがブラスタービットのディバインバスターがそれを阻害した。
「くっ!」
「はぁぁぁぁ!!」
なのははブラスタービットで一瞬足止めされたトーレに向かって方向を変え、再び突貫した。
「ぐっ!!」
「エクセリオン…バスター!」
ACSでの突撃に加え、ゼロ距離でのエクセリオンバスターとビット2基のエクセリオンバスターがトーレを襲った。
「ぐぁぁぁぁ!!!」
なのははエクセリオンバスターを打ち切り、いったん呼吸を整える。トーレは地面に吹っ飛んでいき、バスターの爆発によって爆煙が発生してる。果たしてダメージが入っているのか怪しいところではある。
「ライドインパルス!!」
「っ!!。ブラスタービット全周警戒!!!」
トーレのIS、ライドインパルスの発動を聞いたなのはは急いでブラスタービットを警戒態勢にし、まだ爆煙で視界が開けない道路に警戒した。
「遅い!」
「!」
トーレは強化されたインパルスブレードでなのはの切り裂こうと背後から迫った。なのははぎりぎりのところで左手で魔力を集束させ、サイズを捨てる代わりに防御力を高めたシールドで防いだ。
「シュート!」
ブラスタービット二基でトーレに向かってシュートシューターを撃った。
「くだらん!」
トーレはライドインパルスの加速でシュートシューターを避け、そのままブラスタービットを一基破壊する。
「ロック!」
だがなのははそれを読んでいた。ブラスタービット一基を引き換えにバインドでトーレを縛ることに成功した。
「ぐっ………こんなものぉ!」
トーレもバインドで拘束されるほど甘くはない。すぐにバインドを力任せに破壊しようとする。しかし、バインドは一気に二重三重と増えていく。
「ぐおお!?」
「レイジングハート!」
『Yes, starlight breaker』
なのはがバインドを増やしてガンガン強固していく傍ら、レイジングハートがスターライトブレイカーの準備を始める。
辺りの魔力を集束し、巨大な魔力の塊を生成していく。
「スターライト…」
「くぅ…ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ブレイカァァァァァァァァァァァァ!」
ヤケクソ気味に幾重に重ねられたバインドをトーレは最終的に破ることはできず、スターライトブレイカーが放たれた。巨大な集束砲の光にトーレは飲まれていった。
ークラウド達の元アジトー
ここは少し前までクラウド達がアジトにしていた場所だ。そこの中の一部屋でギンガはアリスを抱きながら部屋の中をうろうろしていた。
クラウドはすぐに終わらせて戻るといい、出ていってしまった。恐らく誰もアジトには残っていないのだろう。
(…外は今どうなってるんだろう……アキラ君は…)
できることは何もない。いや、何もないわけではないが万が一敵がまだアジトに残っていた場合またすぐ部屋に戻されるだろうという考えのもと動けなかったのだ。
「…ねぇ、白い騎士さん。いる?」
ギンガは誰もいない部屋の中で訪ねた。すると、部屋のなかにいつのまにか白甲冑の男、リュウセイがいた。
「本来なら呼ばれたからといって出てくるべきではないのだが、どうかしたか」
「本当にどこにでも現れるのね…。ねぇ、外は今どうなってるの」
今一番知りたいことをリュウセイに訪ねた。アキラによればこの男はずいぶんとギンガに入れ込んでいるらしいので、教えてくれるかもしれないという期待を持っていた。
「残念ながら教えることはできない。俺がお前達に忠告に来るのは特定の条件が揃ったときのみだ」
「そう…………ここから出してもらうことも?」
「ダメにきまっているだろう。話が終わりなら俺はいくぞ」
「待って!あなたは何者なの!?どうしてそれほどの力を持っているのに……………戦わないの?」
「…俺はこの世界の管理人だ。世界が正しい方へ導くための」
「管理人…」
「俺は道程を示すだけだ。今の起きている事態をどうにかするのは今を生きるお前らの仕事だ」
リュウセイは消えた。ギンガはその説明に何も納得してはいなかったが今はそんなことはどうでもいい。最後の手段が消えたことでギンガは一つの決心をした。
「はぁ…」
ギンガは数年前、JS事件の最中にアキラが渡してくれたお守りを胸元から取り出した。ブリッツギャリバーは奪われてしまったがこれだけは奪われなかった。ギンガはお守りの中から小さなペンダントを取り出した。
「……起動」
『Yes, strike knuckle set up』
ペンダントはギンガの言葉で光り、形を変えてギンガの左腕に装着された。アキラが用意した緊急用のストライクナックルだ。
本来だったらギンガはアリスの安全のためにここで大人しくしているのが最善策だった。しかし、監視の目がないのならさっさと脱出したほうが良いと思ったのだ。下手に人質に使われ、アキラが死んだり傷つくのは嫌だった。
何より、千里眼を持つサラのお告げが怖かったというのもある。アキラが死ぬかもしれなというお告げ…。その原因が自分にあるなんて絶対に嫌だった。
「はぁ!!」
ストライクナックルで扉を思いっきり殴った。威力が低いのか扉が頑丈なのか、少し凹んだだけであまりダメージがない。
「ッ…それでも!」
一発でダメなら二発、三発と扉を殴っていく。
「私は帰るんだ…!アキラ君のところに…!アリスと一緒に!」
ー地上本部 東側ー
東側ではある部隊の隊長の指揮する部隊が迫りくる大量のガジェットと鎧騎士に苦戦していた。おぞましい数の敵永はのいくつかは幻影だった。しかも厄介なことにその幻影は、質量をもった攻撃をして来ていた。
「くっそぉ!なんなんだこいつら!!」
そんな様子を遠くから嘲笑する人物と冷静に眺めている人物がいた。
「うふふ、無様ですこと」
「…やれやれ」
クアットロとフィフスだ。クアットロはトーレのような直接的な強化は行われなかった代わりに似た能力をもつフィフスをパートナーにされた。
もともと幻影を生み出すことしかできない能力だったが、フィフスの脳に直接錯覚を起こさせる能力を組み合わせたことで偽の数で圧倒する攻撃部隊を作り出したのだ。
「それにしても、ナインスの情報の通りこちら側は手薄でしたわね」
「ああ」
「さぁて、こちらのザコい防衛線をさっさと潰して本部を押さえますか」
「ああ…そう………ん?」
そんな時だった、戦闘の音が突然止んだことにフィフスが最初に気づいた。
「どうかしたの?」
「戦闘の音が…止んだ?」
「ええ?…………………うそ、ガジェットたちの反応が消えてる…?」
「鎧騎士もだ。いったい何が…」
突然すぎる事態だった。フィフスもクアットロもこれには驚いている。状況確認のために小型のドローンを先ほどまで戦闘が行われていた地域に飛ばした。
だが、そのドローンの反応すらすぐに消える。
「…なにか…いる?」
二人の背後のビルの屋上に、足音がした。
「「!」」
二人は同時に振り向く。そこには、一人の女性が立っていた。黒い髪に、眼帯、金のラインで飾られた白いコートを纏い、通常より少し長い軍刀を手に持っていた。
「失礼。あなたたちが今のキカイたちの指示役ですか」
「……あなたは…」
「そのようですね」
「どうやら、そこのガジェットをつぶしたのは…あなたのようですね。…………フィフス、やりさい。」
「死ね」
即座に現れた女性を敵とみなしたクアットロはフィフスに錯覚による精神の抹殺を命じた。
が、そこにはもう女性はいない。
「!?」
「さよなら」
背後からの声。振り向くより先にクアットロは頭を回転させる。
(瞬間移動!?違う……速い!)
「くっ!」
クアットロはシルバーカーテンで近くに潜ませておいたガジェットを操作し、女性に攻撃を仕掛けた。
「っ!」
女性は軍刀を抜き、ガジェットを一秒足らずで細切れに変えた。
「はぁ!?」
でたらめな強さにクアットロは驚く。しかし女性は止まらない。クアットロに一気に接近した。
「君の腕は潰れる!」
フィフスがクアットロの前に立ち、女性に錯覚を起こさせた。フィフスの能力で拳が潰れたように女性は感じ、止まると想定していた。
「こいつ…とまらな…………ぶっ!」
だが痛みを感じる素振りもなく、女性はフィフスを殴り飛ばした。
「!!」
次の瞬間、クアットロが蹴り飛ばされる。クアットロは近くのビルの壁にめり込んだ。
「ぐぅっ……」
女性はクアットロの前に立つ。
「こちらの守りが薄いのはあくまで計算です。少々出勤が遅れましたが、私一人いれば殲滅は容易ですので」
「あ………あなたは…」
「では」
女性はクアットロの首を絞め、意識を飛ばした。フィフスは自身の脳に痛みに対する錯覚を起こし、立ち上がっていた。
「……いくら幻影使い、後衛向きとは言え…いささか敵側の戦力が足りない気がしますね……………。まるで、こちらの配置を全て知っていたかのような…」
女性が少し考えているとき、背後から足音がした。フィフスだ。
「き…貴様は……なんだ?貴様のような人間のデータは…管理局の中にはなかった」
「……知る必要はありません」
女性は去ろうとする。しかしフィフスはすぐに攻撃に入る。
「逃がすk」
いつの間にか接近していた女性にフィフスはエルボーを食らい、気絶させられる。
(速い……なんだこいつ…)
「…主犯各二名を確保。逮捕のためにこちらへお願いします」
女性は本部に連絡をし、その場を後にした。
◆◆◆◆◆◆◆
ー管理局地上本部 会議室ー
管理局の会議室の端末の前で一人の少女が端末を操作していた。そこにアストが入って来る。アストはその少女をずっと探していた。
「やっと見つけた…」
「……バレちゃった」
「あなたは、何者?」
少女の正体はフランシスだった。フランシスは怪しげに笑う。
「敵よ。此処に潜入させられた」
「……」
続く