プロローグ
ミッドチルダのいつもの平和な朝、ナカジマ家ではギンガ・ナカジマとその旦那であるアキラ・ナカジマが朝食の準備を完了させたところだった。
ここのナカジマ家はこの二人の家であり、ゲンヤや元ナンバーズたちはいない。まぁ要するにギンガが結婚し、アキラと建てた二代目のナカジマ家だ。家に住んでいるのはギンガ(21)、アキラ(21)、娘のアリス(四ヶ月)、アキラのクローンであるノーリ(12)、ギンガの妹にあたるセッテ(17)の5人である。
「さて、みんな起こそうか」
「うん」
この物語はこの新しいナカジマ家の鮮烈な物語である。
「じゃあ行ってくるぜ」
「行ってきます」
ヒルデ魔法学院中等科一年生のノーリは朝早くに出かけ、それとほぼ同タイミングでセッテも108部隊に出かける。
「いってらっしゃい」
「気ぃつけろよ」
そう言ってギンガとアキラの二人が見送った。ちなみに二人はセッテと同じミッドチルダ管理局地上陸士108部隊所属しており、アキラは戦闘部隊の隊長でギンガは副隊長であるが、今は一年の産休をもらっている。
「あ、おはようございます!」
ノーリの背後から少女の声がした。振り返ると、高町ヴィヴィオとその友人二名が手を振っていた。彼女らはノーリと同じ学校の初等科である。
「ああ、おはよう」
「ノーリさん、今日放課後格闘技(ストライクアーツ)の練習しに行くんですけど一緒にどうですか?」
「ノーヴェもセッテも早上がりだから来るって」
「そうか、じゃあ参加させて貰おうかな。あ、ヴィヴィオ、大人モードの練習ははかどってるか?」
「はい!おかげさまで!」
ノーリはヴィヴィオの変身魔法の先生で、格闘技に関してはヴィヴィオが少し経歴が長かった。ノーリの基本的な武器は剣や魔法だが、ヴィヴィオに勧められて始めたのがきっかけだった。
「じゃあ放課後、校門で!」
「おう」
初等科と中等科は校舎が離れているのでヴィヴィオ達とは途中でお別れだ。ノーリが中等科校舎に向かおうとした瞬間、その真横を同じ中等科の少女が通った。ノーリと同じクラスのアインハルト・ストラトスだ。
「アインハルトさん」
ノーリが呼び掛けるとアインハルトは振り向いたが、少し頭を下げてまた歩こうとする。「待ってくれよ、落としたぜ」
ノーリの声にアインハルトが再び振り向く。ノーリの手にはアインハルトの学生証があった。
「失礼しました。ありがとうございます」
「ああ」
-ヒルデ魔法学院中等科校舎 廊下-
ノーリとアインハルトはそのまま一緒に教室まで歩いてきた。
「ノーリさんのご家族は、みなさん強いのですね………」
「まーな。にしてもなんで俺の家族のことなんて気にすんだ?」
「いえ………」
「ま、いいけど」
ノーリはそのままスタスタと教室の自分の席に歩いて行った。教室の前でアインハルトは立ち止まり、小声で呟いた。
「すこし………確かめたいことがあっただけで」
続く