とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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せっかくの誕生日なので。ようやく結末まで決まったので少しでも上げる速度上げたいな


EX第6話 新たな未来

新婚旅行の最中に突如起きた次元震により自分たちの知る世界と似て異なる異世界へとやってきたアキラとギンガ。

 

偶然倒れていたところをこの世界の中島一家に助けてもらい、その後は居候させてもらっている中、この世界のクイントの実の兄がスカリエッティだったという衝撃的な事実を知ったその日の放課後、中島家の四女であるこの世界のスバルから二人はブレイブ・デュエルというバーチャルシミュレーションゲームに誘われた。

 

しかし、サプライズとしてスバルたちとは遅れて乱入者として参戦したアキラとギンガ。

 

スバルの相手をギンガ、ティアナの相手をアキラが務めることになった。

 

サプライズということでアキラもギンガも互いに仮面をかぶっているが、元々戦い方が同じスバルは既に対戦相手が誰なのか薄々察しがついた様子だったが、そこは敢えて聞かずにそのまま戦うことにした。

 

「ふっ、てぇいや!!」

 

「ふん!! たあああ!!」

 

スバルがギンガに下段突きを放つが、彼女はそれを肘で防ぐ。

 

ギンガは反撃に右足で前蹴りを放つのが今度はスバルがそれに反応しバックステップで距離をとる。

 

(やっぱり、この対戦相手はあの人だ‥‥大人だけあって私やギン姉よりも強い‥‥でも‥‥)

 

「リボルバーシュート!!」

 

(このまますんなりと負けるわけにはいかない!!)

 

スバルがギンガへ向け魔法を放つ。

 

スバルから放たれる衝撃波による攻撃をギンガはシールドで受け流すと一気に距離を詰め、チャージしていた魔法をスバルへ向け放つ。

 

「貰った!! リボルバーキャノン!!」

 

ギンガの『リボルバーキャノン』が至近距離からスバルへ向け放たれる。

 

とっさにプロテクションで防御をするがギンガの攻撃はそれを打ち破りスバルへと叩き込まれる。

 

「うわぁっ!!」

 

スバルは吹き飛ばされ、ビルへとツッコミそこで目を回す。

 

「ふぅ~‥‥」

 

スバルを戦闘不能にしたことを確認したギンガは一息つく。

 

「アキラ君、そっちは‥‥?」

 

そしてギンガがアキラにティアナとの戦況を尋ねる。

 

「きゅ~」

 

スバル同様、ティアナも目を回して倒れた。

 

(さすがに子供相手に大人げなかったか‥‥?)

 

自分の知っているティアナよりも幼いティアナを相手に力加減を間違えて子供相手に全力を出してしまったことにアキラはちょっと罪悪感を覚えた。

 

いくらゲームとはいえアキラも歴戦の戦士だ。勝負が始まった瞬間からティアナに行動を許さない連撃。まさに赤子の手をひねるような瞬間だった。

 

対戦相手であるスバルとティアナがノックアウトになったことで試合終了となり、仮想空間から現実へと戻る。

 

「あぁ~やっぱり、大きなギン姉とアキラさんだったんだ!!」

 

現実世界に戻ったアキラとギンガを見つけたスバルは二人に駆け寄り声をかける。

 

「来るのが遅いと思ったら、こんな手の込んだ登場をして………ん?もしかして、ジェイルおじさんの仕業?」

 

スバルは今回のアキラとギンガの登場の仕方に思う所があり、スカリエッティが関係しているのかと尋ねる。

 

「えっ?よくわかったわね」

 

「ジェイルおじさん、よくやるんだよ。この前もノーヴェとウェンディに変なカードを渡したりしたこともあったし、ブレイブ・デュエルの大会で一架姉さんや七緒たちが乱入してきたこともあったし……」

 

「へぇ」

 

悪目立ちたがりをするのはやはりスカリエッティってところなのだろう。

 

「ちょっと、スバル!!あんた急にどうした……えっ?」

 

その時、アキラとギンガにとっては聞きなれた声がスバルに声をかけてくる。

 

そこにやってきたのは先ほど、ブレイブ・デュエルで対戦したスバルの相棒であり、アキラとギンガが知るティアナよりも幼い容姿のこの世界のティアナだった。

 

この世界のティアナはアキラとギンガの二人の姿を見て固まっている。

 

ティアナは当然、スバルの姉であるギンガ、そして中島家に居候しているアキラのことも知っている。

 

しかし、今自分の目の前に居るアキラとギンガの姿は大人の姿。

 

ブレイブ・デュエルのシステムの中にはプレイヤーの姿を大人の姿に変えるシステムがあるが、ここはブレイブ・デュエルの仮想空間ではなく現実だ。

 

では、今自分の目の前に居る大人の姿のアキラとギンガは一体誰なのか?

 

「あっ、ティア。この人たちは……」

 

固まるティアナの姿を見て、事情を察したスバルはティアナにアキラとギンガの事を教える。

 

「えっ?未来から来た!?」

 

「うん」

 

「それって前にヴィヴィオやアインハルトが来た時代なの?」

 

「うーん……多分。二人ともヴィヴィオやアインハルトのことを知っていたし」

 

「多分って……それじゃあ、このアキラさんとギンガさんはヴィヴィオやアインハルトみたいに何かあって過去に飛ばされちゃったの?」

 

「そうみたい」

 

「ふーん」

 

以前、未来から来たことがある人物が居たことから事情を知るとそこまで驚く反応はしないティアナ。

 

「あっ、そうだ。アキラさん、おっきなギン姉。せっかく来たんだから、みんなと会ってよ。知っている人かもしれないけど、こっちのみんなは知らないんだし」

 

スバルはギンガの手を引いて食堂へと向かう。

 

「こっちのスバルもグイグイくる性格だな」

 

「まぁ、あれがスバルのいいところでもありますから」

 

スバルとギンガの後姿をみながらアキラとティアナは呟く。

 

 

 

―食堂―

 

 

 

食堂に居たメンバーはアキラとギンガの姿を見て目を見開く。

 

(うわぁ~小さななのはさん、はやてさん、フェイトさんだ)

 

(なんかなのはさんにはやてさん、フェイトさんにそっくりな感じな人がいるけどあれは…)

 

ギンガは自分の知るなのはたちよりも小さななのはたちを見て、ちょっとかわいいと思い、アキラはダークマテリアルズの三人を見て、この世界でも何か妙な実験でもやってるんじゃないかと訝しんだ。

 

「自己紹介は……まぁ、要らないかな?アキラさんとギン姉をそのまま大人に成長した姿なので……あっ、でもこっちのアキラさんとギン姉は結婚して夫婦になっているんだよ」

 

スバルが食堂に居るメンバーにアキラとギンガの事を教える。

 

「ってことは、アキラさんとギンガさんは将来結婚するんだ……」

 

「そう…みたい……」

 

この世界の少女ギンガは将来アキラと結婚するということで少し照れている。

 

その後、アキラとギンガはやはり未来から来たということでその場に居たみんなからは質問攻めとなる。

 

かつてこの世界軸の未来から来たヴィヴィオとアインハルトも質問攻めになったのと同じように。

 

 

 

―???―

 

 

 

現在、アキラとギンガが跳ばされたこの世界における未来軸。

 

以前、この世界の未来軸にてヴィヴィオとアインハルトは未来のスカリエッティの研究に巻き込まれて過去に跳ばされたことがある。

 

過去のスカリエッティのおかげで二人は元の時代に戻ることが出来た。

 

そしてこの日、スカリエッティ研究所にはこの世界軸のノーリが居た。

 

この世界軸におけるノーリにとってスカリエッティは大叔父にあたり、ノーリはよくスカリエッティの研究を手伝っていた。

 

性格に若干の問題があってもスカリエッティは天才の部類に入る研究者であり、ノーリはそんな彼を尊敬しており、こうして研究所に来てスカリエッティの手伝いをよくしていた。

 

そんなノーリは今、追い詰められていた。

 

「ノーリさん」

 

「ちゃんと説明してください」

 

ノーリの眼前には笑みを浮かべているのに眼の光が消えているアインハルトとリンネがいる。

 

この世界でもノーリはアインハルトとリンネの二人相手に女難の相となっている。

 

「だ、だから、あれがそれで」

 

「そんな言葉では全然わかりません」

 

「そうです!!」

 

「先日、ヴィヴィオさんと二人で遊園地へ行ったみたいじゃないですか!?」

 

「なんでヴィヴィオさんと二人っきりなんですか!?」

 

「いやいや、二人っきりじゃないぞ!!ちゃんと父さん母さんとアリス、ヴィヴィオの母さんも一緒だったぞ!!」

 

「でも、お化け屋敷には二人っきりで入ったんですよね?」

 

「それにメリーゴーランドも二人一緒に乗ったみたいじゃないですか」

 

「な、なんで、それのことを知っている!?」

 

ノーリがアインハルトとリンネに詰め寄られていた理由は、先日ノーリの一家とヴィヴィオの一家とで遊園地へと出かけ、そこでノーリとヴィヴィオが二人っきりでアトラクションに乗ったことにお冠みたいだ。

 

しかし、遊園地へ行っていない筈のアインハルトとリンネが何故知っているのか?

 

「昨日、ヴィヴィオさんのお宅に行ったとき、写真を見て」

 

「ちょっと、ヴィヴィオとお話をして聞いたんです」

 

「…」

 

理由を知り、その時のヴィヴィオにちょっとだけ同情するノーリ。

 

「お化け屋敷でヴィヴィオさんが抱き着いたり」

 

「メリーゴーランドに乗った時、思わずヴィヴィオの胸を触ったみたいじゃないですか」

 

「お化け屋敷なんだし、仕方ないだろう!!」

 

「じゃあ、ヴィヴィオの胸を触ったことは!?」

 

「あれは事故だ!!事故!!」

 

「「むぅ~‥‥」」

 

ノーリがいくら弁明してもアインハルトとリンネは全然納得がいっていないようで頬を大きく膨らませている。

 

「……」

 

この場合、二人の機嫌を直すのがノーリにとって厄介なのはこれまでの経験から理解している。

 

二人っきりで一日デートをしたり、ジムでトレーニングの後夕食等々。ともかく、アインハルトとリンネに一日を潰されるのだ。

 

ノーリにとってはアインハルトとリンネの機嫌をそれ以上に損なわないように気を遣うので面倒くさいことこの上ないのだ。

 

ノーリは横目で周囲を窺うと一気に駆け抜ける。

 

「あっ、逃げた!!」

 

「待て!!」

 

逃げるノーリ。

 

当然、アインハルトとリンネはノーリを追いかける。

 

様々な機械や作業台がある研究所の隙間をぬって逃げるノーリ。

 

「相変わらず逃げ足が速い」

 

ノーリがアインハルトとリンネから逃げるのはこれが初めてではない。ノーリ、アインハルト、リンネの追いかけっこはこの近所では日常茶飯事だった。

 

「アインハルトさん、ここは挟み撃ちにしましょう」

 

「そうですね」

 

「では、私は回り込みますね」

 

流石に普段からノーリを追いかけているだけあってアインハルトとリンネは息があったコンビプレイでノーリを追い詰めていく。

 

アインハルトは巧くノーリを誘導する形で追い込みに入る。

 

ノーリがそれに気付いたのは、既に研究所にある地下の奥へ追い込まれた時だった。

 

「ま、まずい、この先は行き止まりだ‥‥」

 

「さあ、ノーリさん。追い詰めましたよ!」

 

後ろから迫るアインハルトにノーリは意を決して奥へと進んでいく。

 

上手くいけばフェイントをかけて二人を再び振り切れるかもしれないと思ったからだ。

 

それにこのままここに居ればいずれはアインハルトかリンネのどちらかに捕まってしまう。

 

それならば、と奥へと進み少しでも希望をつなぎたい。奥へと進むとそこには何時ぞや、ヴィヴィオとアインハルトの二人が過去へ跳んだ転送装置があった。

 

そしてそこには見覚えのある人物までいる。

 

「あっ、兄さん」

 

茶髪のギンガが居た。しかし、そこにいる茶髪のギンガは当然、ギンガではない。容姿は確かにギンガによく似てはいるものの、年のころは10歳くらいでノーリのことを『兄さん』と呼んだ。

 

「あ、アリス」

 

茶髪のギンガこと、ノーリの妹であるアリスもノーリ同様、今日はスカリエッティの研究所で掃除の手伝いをしていたのだ。

 

「どうしたの?走ってきて」

 

「じ、実はアインハルトとリンネに追われているんだ」

 

「えっ?アインハルトさんとリンネさんに?どうして?」

 

「この前、ヴィヴィオたちと遊園地に行っただろう?」

 

「うん」

 

「それがあの二人にバレた。それで」

 

「それで、羨ましく、ヤキモチを妬いた二人に追いかけられていると」

 

「あ、ああ」

 

ノーリが事情をアリスに説明していると、タッタッタッタッとアインハルトとリンネの足音が聴こえてくる。

 

「ま、まずい」

 

ノーリがアリスのいる転送装置の上に上がると、

 

「さあ、追い詰めましたよ。ノーリさん」

 

「ここまで手こずらせて、覚悟はいいですね?」

 

「あわわわわ」

 

反射的にアリスの背に隠れるノーリであるが、体格差があるため全然隠れていない。アインハルトとリンネは追い詰めた獲物を狩る猛獣のごとくゆっくりと確実な足取りで近づいてくる。

 

その際、どちらかがわからないが、手が近くの機械に触れた。

 

すると、転送装置が突如光だす。

 

「「「「えっ?」」」」

 

光りだした転送装置にその場の皆が唖然とするがアインハルトがいち早く反応した。

 

「い、いけない!!ノーリさん!!アリスさん!!すぐにそこから降りて!!」

 

アインハルトが声を上げる。アインハルトはこの現象に心当たりがあった。あれは先日、ヴィヴィオと共にスカリエッティの実験に協力した際、過去にタイムスリップした時と同じ現象だった。

 

つまり、再び過去への扉が開いてしまったのだ。

 

アインハルトの言葉もむなしく、一段と眩い光が辺りを包み込む。

 

「うわっ!?」

 

「きゃっ!!」

 

「くっ!」

 

「うっ…」

 

そして、光が収まると転送装置の上にノーリとアリスの姿は忽然と消えていた。

 

「あ、アインハルトさん。ノーリさんとアリスさんが」

 

「どうやら、二人はどこかに転送されてしまったみたいですね」

 

「ど、どうしましょう!」

 

「ここはドクターに事情を説明してノーリさんとアリスさんがどこに転送されたのか調べてもらいましょう。座標が分かれば手の打ちようがあります」

 

「は、はい」

 

アインハルトとリンネは急ぎスカリエッティの下へと向かった。

 

 

 

―現在―

 

 

 

「アキラ君とギンガ君は今頃、ブレイブ・デュエルを楽しんでいる頃だろうか?むっ?」

 

スカリエッティは自分が企画したサプライズが上手くいったかと思いを寄せていると、突然研究所が揺れだした。

 

「じ、地震か?いや、この揺れは地下……ま、まさかっ!?」

 

スカリエッティは急ぎ地下へと向かうと、

 

「こ、これはっ!?」

 

何時ぞやヴィヴィオとアインハルトが未来から来た時と同じ現象が起きていた。激しいスパークと光と揺れが研究所の地下を襲う。

 

やがて揺れと光が収まるとそこにはスカリエッティが知る人物たちとそっくりの男女が立っていた。

 

 

続く


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