麻帆良で生きた人   作:ARUM

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第四十一話 麻帆良観光・前

 

 

 

 先日の件について、どうなったかサクっと話しておきましょう。

 

 あの日、夜があけてすぐに詠春からぬらりひょんに正式な書状が届きました。しかも、うやむやにされないよう詠春と幹部数名の連名で、さらには鶴子さんが直々に使者の役を受け持つ形で。

 

 ぬらりひょんも書状を穴が空くほど見ていましたが、結局最後に「……うむ」とだけ言って私達が麻帆良にいることを認めました。

 

 当然ですよね。なんたってあの書状、事前に私や他の最高幹部が詠春と一緒に頭を付き合わせて考えた一分の隙も無い自信作です。構想三日、制作半日、二度言いますが自信作です。

 

 これくらいはしておかないと面倒ごとを押しつけられかねません。教師とか夜の警備とか。

 

 私達の表向きの仕事は木乃香ちゃんの護衛ですから、他の裏の仕事はしません。夜は夜で忙しいんです。主にプライベートで。

 

 

「……そろそろ私を呼んだ理由を教えてくれないかい? それも、こんな早朝に」

 

 

 おっといけない、忘れるところでした。目の前にいるのは、先日傭兵だと名乗っていた少女、龍宮真名。

今いる場所は、比較的朝早くからやっている超包子という路面電車を改造したお店。安くて美味いで評判だとか。

 

 店主のチャイナ服を着た娘から変な視線を感じるんですが……まあ今は捨て置きましょう。

 

 

「無論、依頼に決まっているでしょう。……情報が欲しいのですよ。麻帆良の地理に関すること、主に都市部の」

 

「……前にもいったが、言える事と言えない事があるぞ。貴方は麻帆良の敵対勢力と言って良い。多くの情報は警備の依頼との二重契約になる」

 

 

 私の言葉に、すっと目を細める。ここらは傭兵としてのプロ意識ですかね。昨晩遅くに刀子ちゃんから電話があったので、何か知っているのかもしれませんが。

 

 

「ええ、わかっていますとも。私が知りたいのは――」

 

 

 少し間をおいて、私の素性を知り警戒しているであろう少女を笑う。

 

 

「――この麻帆良の美味しいお店と、その場所ですよ」

 

 

 あ、チャイナ少女がこけた。……あの落としたラーメン、私が頼んだやつじゃないでしょうね。

 

 

 

  ◆

 

 

 

 翌日。

 

 日が経つのは早いです。しかし昨日は驚いてましたよ、真名ちゃん。ポカーンという擬音はああいう時に使うんでしょうね、きっと。

 

 でも、情報はきちんと教えてくれました。流石傭兵。

 

 あと、ラーメンは私のでした。ちなみに豚骨。

 

 ……こほん、麻帆良の美味しい店情報、別に私がさよさんと町を出歩くための情報ではありません。

 

 一応、二人で今の麻帆良の道を覚えるという目的があります。

 

 ……一応。

 

 あ、それと今日から麻帆良侵攻作戦の第二段階の一部、“麻帆良内における一時的な拠点確保”が第一段階と平行して始まります。

 

 これはダイオラマ魔法球の応用と朴木さん配下の技術屋集団を動員する計画で、ぶっちゃけ麻帆良ですることは土地を買って、邪魔な物壊して更地にするだけです。

 あとは魔法球からあらかじめ造っておいた建物を出せば終了。麻帆良からすれば一日で麻帆良に関東呪術協会の橋頭堡ができるんだから驚くでしょう。

 ちなみに建物は技術屋集団が別の所で建設中で、更地にするのにはグレーな領域の解体屋さんに頼みました。

 

 ある程度裏にも通じているとかで、予算をかなりはずんだら早速今日から来てくれることになりました。

 もう既に今日から社長以下総出で来てくれてるんです。この分なら案外はやくホテル暮らしから抜け出せそうです!

 

 ……ただ、気になることが幾つかあるんです。社員総出で来てるという割に建機が少なかったり、専務と技術部長がなんか改造された野戦砲?みたいなのを準備してたり、裏の臭いのする営業部長がにこやかな笑みを浮かべてたり、社長と秘書さんがラブってたり……

 

 いえ、やっぱり気にしないことにします。彼らは仕事をする。私はお金を払う。彼らハッピー。私もハッピー。みんなハッピー。それで良いんです。詮索なんてしません。

 

 え? 会社の名前? ……思い出せません。なぜでしょう、記憶力には自信があったはずなんですが……ううむ。ま、いいか。

 

 

 

 さて、早くさよさんを呼んできますかね。

 

 

 

 





 ここら辺からカオスになっていく……酷評の原因。

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