もしもExtraのラスボスが甘粕正彦だったら 作:ヘルシーテツオ
◆甘粕正彦
クラス:ムーンマスター
【パラメーター】
筋力:?? 耐久:?? 敏捷:?? 魔力:?? 幸運:??
【スキル】
・勇気:EX
どんな逆境にも屈しない熱き心。
恐怖を知り、恐怖を我が物として乗り超える人間賛歌。
自身に迫ったあらゆる危機に際し、ステータスを向上させる。
威圧・混乱・幻惑といった精神干渉と無効化し、ステータスを向上させる。
意志一つで人の枠組みさえ超越した甘粕正彦の勇気は、もはや単なる感情では片付けられない。
・自己進化:EX
自身の存在を進化させるスキル。
環境に適応し自己の機能を変化・拡張させる。
このスキルは本来固有のものではなく、あらゆる生物に備わっている力である。
だが甘粕正彦は規格外の意志力により、星が設定した人間の許容範囲すら突破してしまった。
一個の存在としての上限が解除され、無限に等しい進化の可能性を獲得している。
しかし同時に、ガイア・アラヤの両面から理解不能の外敵として見做され、その恩恵も受けられない。
理屈がないために進化速度にも規定がなく、可能性だけならばあらゆる上位存在を打倒し得る。
・
旧約聖書に記される唯一神『Y・H・V・H・』の大権能。
世界に災禍の試練を与えるために、甘粕正彦がムーンセルの深淵より汲み取った裁きの権能である。
原初の刻に天地創造を行ったとされる星造りの神格。その権能は愛する子羊たちの正道を問い、世界を洗い流す審判の力。
ヒンドゥー教のマツヤ、ギリシャ神話のデウカリオンにも派生し、シュメール神話のウトナピシュティムの洪水を起源に持つ。
人々が堕落の一途を辿った時、神の裁きが下されるという概念は人の普遍無意識に根ざした根源的畏怖である。
天災に遭った人々が地球そのものを憎んだりしないように、如何に理不尽であろうとも無意識はそれを審判と捉え納得してしまう。
ゆえに人である限りは無条件で協力を強いられているに等しく、人のままでは決して破ることはできない。
たとえ勇気を奮い立たせ、不屈の覚悟で立ち向かったとしても、それは神格の『正道を問う』という性質に当て嵌まり、結果として強化を促してしまう。
どんなスキル、宝具の能力をもってしても、裁かれる対象でいる限りは無効化されて届くことはない。
甘粕正彦に対抗するには、裁きの対象から外れる"同じ地平"に立つことが絶対条件である。
【宝具】
『
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大補足:3000人
三千丁の火縄銃を展開、一斉射撃する。
戦国最強の騎馬軍団を打ち破った逸話より、騎乗スキルを持つ英霊には攻撃力が倍化する。
しかし担い手が甘粕正彦に移った際に、その特性は失われている。
織田信長の固有スキルであった『天下布武・革新』も無くし、神秘・神性の高い相手への優位性は失われた。
代わり、クラスの概念が喪失し"
三千丁の火縄銃のみならず、王の覇道の過程で生み出された全ての兵器を創形し運用することが出来る。
甘粕正彦はムーンセルと接続し、更にこの宝具の概念を拡大解釈し、未来に生じる兵器の創形も可能とした。
『
ランク:EX 種別:対陣宝具 レンジ:1~30 最大補足:百人
天下統一を目前にして最期を迎えた織田信長の結末を象徴とした宝具。
映し出されるのは本能寺の情景であり、範囲内にあるものは諸行無常の理により"滅び"を誘発される。
謎に包まれるアーチャーの最期を看取った事により、甘粕正彦は本来あり得なかったこの宝具を発現させた。
引き換えに神性を否定する"魔王"の宝具は、甘粕の気質に適合しなかったこともあり失われている。
不死、絶対など死から遠い概念を持つものであればあるほどにその効果はより強く現れる。
アルトリア、ヘラクレス、カルナといった強力な守護を持つサーヴァントには特に突き刺さる宝具。
但し、この宝具自体が自身の滅びの具現であるため、使用時は自らの守りも失ってしまう諸刃の剣でもある。
『
ランク:EX 種別:対神宝具 レンジ:1~999 最大補足:1000人
ケルト神話の魔神。『魔眼のバロール』とその眷属による魔性の軍勢を召喚する。
神格の一柱であるクロウ・クルワッハの暗黒竜、フォーモリアの巨人種族たち。
軍勢だけでも十分すぎる脅威であるが、真価はその首魁たるバロールにこそある。
視覚したものの死を具現させる魔眼。その派生として『直死の魔眼』がある。
だが神格の権能であるバロールの魔眼は『そういう権利があるもの』なため、行程も理解も省略して死を叩きつけることが可能。
その眼光に晒された者はまず意味を殺され、その結果にモノが追いつくという形で死亡する。
たとえ神であっても権能からは逃れられず、『モノを殺す』という概念の頂点に君臨する力である。
『
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~999 最大補足:1000人
ヒンドゥー教における最高神の一角。シヴァの別名である破壊の権能。
寿命を迎えた世界を滅ぼして、次なる世界の創造ために備える役割を持つ。
放たれる
英雄王の持つ乖離剣と同質の権能を持つ"世界を平らに新生する"一撃である。
『
ランク:EX 種別:終焉宝具 レンジ:全世界 最大補足:全人類
甘粕正彦が用いた最終宝具。北欧神話の最終戦争を名に冠しているが、性質はまったくの別物である。
一切の繋がりを度外視し、ありとあらゆる神話の神々を蠱毒の如く殺し合わせる出鱈目極まりない代物。
権能同士が混じり合い、相乗的にその規模を拡大させた正真正銘の『世界の終焉』である。
その種別はもはや如何なる既存にも当て嵌らず、そもそも何かを対象に取るような狭い範囲のものではない。
終焉と創世、幾つもの神話で語られる終末を具現する局所的な
ひとたび発動すれば、その波動は月より溢れ出し、世界の全てを呑み込む黄昏となるだろう。
(人物設定)
■アーチャー【サーヴァント】
甘粕の召還したサーヴァント。真名は織田信長。ロリババア(ここ重要)。口癖は「是非もなし」。
出典はコハエースEXより『Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚』から。救国英雄の一人でありラスボス。
以下はこのSS用に作ったキャラクター設定。公式では断じてない作者の妄想なのであしからず。
戦国時代の風雲児。既存の概念を次々と打ち壊しながら天下統一に邁進した戦国三英傑の一人。
尊大な口調で話し、自己顕示欲が強い。基本的に物事を自分の思う通りに進めたがり、邪魔する輩には容赦がない。
但し、それは理由が不純と感じた場合であり、逆に一本でも筋が通っていると感じたならば自身の決定を翻すことにも迷いはない。
その気質は苛烈だが、価値観そのものは公明正大。正義を信奉していないが悪徳を好んでいるわけでもない。
しかし一度自身でこうと決めたならばあらゆる意味で手段を選ばず、自身の中で筋が通れば冷酷な判断をも下す。
彼女にとっては神仏もまた人のための道具に過ぎず、正道を外したならば滅ぼすことにも躊躇がない。
彼女が求めたのは"世界の開拓"。歴史において到達した者のいない前人未到の領域に自らが足を踏み締めることである。
人の歴史とはそういうもの。繁栄も衰退も、未到の果てを目指した先にこそ訪れる。
人間五十年。元より人などいずれは死するが定め。国であれ人であれ思想であれ、永劫不滅など人の世には有りはしない。
いつ終わるとも知れない生命ならば、その限りまで先を目指す。それこそが人として、世界に対して示せる誠意というもの。
人の欲は醜く愚かであり、涅槃に至る悟りには程遠い。だがそれで良い。そんな欲界をこそ王は愛している。
既存の価値観に囚われない乱世の寵児。戦いを許容し推進する革新の王。その在り方はどこか、ある欠片の男の願いに通じていた。
そんな彼女の結末は、図らずも彼女が唄った人間五十年を体現するものだった。
彼女は利に聡かった。人の欲望を読み取き制することにも長けていた。
だが、人の心を汲んで理解してやることだけは、どうしても上手くいかなかった。
彼女の真意を知る者はほとんどいない。恐れを知らずに革新を目指すその姿は、我欲のままに突き進む魔王のそれとも見えただろう。
あるいはそれが彼女の滅びであったのか、それは定かでないことである。
才覚を認め、重用していたはずの臣下の謀反。天下統一を目前にした覇者の、不可解すぎる終わり方。
その結末になにを思ったのか。戦国最大のミステリーを、彼女は黙して語ろうとはしない。ただ清らかな笑みを浮かべながら。
王としての彼女の視点は誰よりも遠かった。
見据えているのは遥かな未来。そこに至る道筋は、足元を見るばかりの凡人では影を知ることも叶わない。
仕える臣下は多くとも、王の見ている世界を本当の意味で理解できる者はほとんどいなかったのだ。
そんな自らの有り様を彼女は生前から理解し、その孤独を是としていた。
同じ夢など見なくてよい。己の正当性は己自身が確信していればそれで良い。
だから彼女に生前の未練はない。彼女が下した全ての決断は、どれも正しかったのだと彼女は知っているのだから。
黄泉がえりに興味はなく、その覇道の意志は眠りについていた。
英霊の座。見下ろす選定の場にも彼女の興味を引く者は現れない。
世界を担う少年王。数理の極地たる
停滞に抗う少女には似通うものも見られたが、別段惹かれるほどではない。
少なくとも、再び時代に覇を唱えんとする気概を燃え上がらせるには、誰も足りていなかった。
一度消えた炉を灯すには、種火がいる。
必要なのは始まりの切っ掛け。火さえ灯れば、後はただ燃え上がるのみ。
彼女の眠れる覇道の意志を呼び起こす、そんな種火が現れないかと眺めてみると、
彼女の前に、過去の時代にも類を見ない規格外の
その男を目にした時、彼女は腹を抱えて大笑した。
なんという常識知らず。既存の価値基準では到底測れない。
眠気が飛んだ。四の五の理由がどうだのと、そんな寝言を口にする気は微塵もない。
ただ興味が沸いた。この男の行く先が見てみたいと、単純な好奇心が己の内に芽生えたのだ。
この革新の王たる自分ですら届かぬ未来を、あの男ならば届かせることができるやもしれないと。
理由などそれで十分。革新の大火は、いつだってその小さな思いから始まるのだから。
もはや是非に及ばず。
未だかつて味わったことのない未到の道筋の予感に高揚しながら、彼女は男の前へと降り立った。
◆
甘粕が主人公の一週目においてはメインヒロインでありツッコミ担当。
公式のパラメーターが発表されたのでキャラクターを修正。主に変わったのは属性。秩序・中庸。
修正前
「国とか民とかシラネ! とにかく儂がやりたいんじゃから革新じゃ革新! ワハハハハハ」
↓
修正後
「革新こそ日ノ本のために必要不可欠。え、比叡山焼き討ちとかやりすぎ? そんなんじゃ甘いよ」
みたいな感じ。ぶっちゃけ最初はかなりの悪役ロールでした。
設定を見たところそれなりの正義気質の持ち主だったので、そちらの方向にシフト。
結果、ツッコミ役としてよりキャラが立った気がします。やっぱり公式はすごいですね。
まあやることはあんまり変わっていないんですけどね(笑)。
本人同士の相性は良く、大体のところでは噛み合っているのだが、戦いの方針では思い切り食い違う。
安定した磐石の戦いを好み、そのためならば卑劣な手段を取ることも厭わないのがアーチャー。
乗り越えるべき試練としての戦いを求め、そのためならば敵を鍛えて強くすることも厭わないのが甘粕。
「おまえどんだけ桶狭間やりたいんだよ!」とよく激突。たびたび斬り合いの喧嘩が勃発する。
史実である通り短気なアーチャーと、いろんな意味で全てを受け入れる甘粕なので、止まる要素がない。
それでも何だかんだで互いのことは認め合っており、治まるところにはきちんと治まる。
サーヴァントとしての望みは特にない。純粋に甘粕正彦への興味が参戦の発端である。
あえて言えば戦いの後、甘粕の災禍が生み出す世界を見届けてみようと考えている。
彼女の途中脱落は決まっているので、それは叶わないことなのだが。
甘粕正彦が対決者の心を汲み取りその意志を認めるならば、彼女は無情の信念でそれを打ち砕く試練となる。
一週目の聖杯戦争とは、彼等の物語であると同時に、彼等に挑む者たちの物語でもあるのだ。