デート・ア・ライブ 士道リバーション   作:サッドライプ

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 適当極まりないサブタイもここで一旦終了か……




がっこうへいけた

 

 士道と一緒に四人で学校に入ろう。

 

 そう決めた七罪と八舞姉妹の前に、一つだけ問題があった。

 

 勉強、である。

 普通の人間が九年かけてやる内容を入学試験までの半年足らずで頭に入れなければならないのだから、割と難題ではあった。

 まあ七罪の力で入試の成績を誤魔化しても構わなくはあるが、それは最悪の場合の選択肢だし、入った後にも授業を受けることを考えるとちゃんとやっておいた方がいい。

 

 そういうことで、それからしばらく美九の家では勉強会がデフォルトの光景となっていた。

 美九、士道が自分の勉強もあるが―――特に士道は当然ながら三人同様受験生―――頭を捻る三人の教師役をし、懇切丁寧に教えていく。

 真面目にやってさえいる相手には厳しく、なんて言葉が欠片も出ない二人だから勉強会の雰囲気は大抵和やかに進み、それはそれで楽しい毎日が過ぎた。

 

 そうして、秋が過ぎ、冬を迎え―――――、

 

 

 

 

 

「「「「「メリークリスマス!!」」」」」

 

 

 パン、パンとクラッカーが美九邸のダイニングにて打ち鳴らされた。

 

「ではー、乾杯の音頭を取らせていただくこととなりました誘宵美九ですー。いままで勉強大変お疲れ様でしたー、これからもあと一カ月ほど続きますけど、今日ばかりはそーいうの全部お休みです!」

 

 そう、今日は12月25日、どっかの聖人が生まれた日とかそうでないとか、その辺は日本人としては割とどうでもよくてとりあえず豪勢な料理を用意し楽しむ祭りの一種である。

 士道達も例に漏れず、皆で一日かけてクリスマスケーキを焼いたりパーティーグッズ買い出したり、あとはプレゼントを用意して全力で臨戦態勢だった。

 

「受験生にだってクリスマスはありますー、というわけで、かんぱーい!!」

 

 透き通った炭酸の入ったグラスを軽くぶつけ合い、楽しく騒ぎ始める。

 テーブルに並んだ料理の数々、いつも以上に彩りに気を配った中でもひときわ目立つ七面鳥の丸焼きにまず皆の関心は集められた。

 

「毒味。味はいかがですか、耶倶矢」

 

「毒味とかゆーな…………味っていうか、食感が、ビミョー?」

 

「まあなんとなくノリで挑戦したもんだけどな、クリスマスといえばターキー丸焼きだって。でも、こんなもんだろ」

 

「皆さん大体そんな感じの感想ですよねー。さ、他にも色々ありますから、じゃんじゃん食べちゃいましょー」

 

「…………おいしいと思うけどな」

 

 

 

「あはは………全部片付いちゃいましたねー。一部明日の朝ごはんになるかと思ってたんですけどぉ」

 

「吝嗇事を言うでないわ。贄は尽きること無し、明日の朝も変わらずに我ら八舞が腕を振るおうぞ。それより、腹ごなしに遊戯の時間だ!」

 

「そういえばやるゲーム選んで買ったのあなた達だったわね、耶倶矢、夕弦」

 

「冒険。せっかくなので聞いたこともないボードゲームを怪しい店で選んでみました。博打ですがまあ、最悪ビリに罰ゲーム制にすれば盛り上がりはするでしょう」

 

「おいおい………罰ゲーム、は嫌な予感しかしないんだが」

 

「じゃあトップにごほーび、でいいんじゃないんでしょーか」

 

 

 

 わいわいとクリスマスパーティーを楽しみ、笑顔で愉快な時間を過ごす。

 ちなみに夕弦達が買ったゲームはプレイヤーが神になって信者を増やすという内容で聖誕祭を皮肉ったシュールさが少し笑えた。

 が、それ自体は残念な出来でさっさとトランプで大富豪に切り替えた五人ではあったが。

 

 都落ちルールありで器用に富豪【二位】を維持する七罪、平民【三位】と貧民【四位】をふらふらする士道、積極的に大富豪【一位】を狙いに行く八舞姉妹に、気分で戦略を変える美九とある意味かなりバランスのいいゲームになり、ただキリのいいところで次は何故かオーディオルームに移動し同種で四匹集まると消滅する謎の粘生体パズル大会が開催された。

 

 自分の番を終えた士道は、そのあたりで「ちょっと涼んでくる」と言ってバルコニーに出る。

 

 フェンスに軽く体を預けると、夜空を見上げた。

 吐く息は白く煙り、澄んだ冬の空の星々を霞ませる。

 それをなんとはなしに眺めながら、ふと後ろに立った気配が誰のものか、なんとなく士道には分かっていた。

 

「ちょうど一年、だな―――――美九」

 

「はい、だーりん」

 

 振り返ると、やはり予想した通りの顔が見える。

 その淡い髪を飾るきらりと光を主張するそれの姿を認めた士道は、軽く口元を綻ばせた。

 

「俺のプレゼント、付けてくれてるんだな」

 

「もちろんですぅ。折角ゲームで勝ち取っただーりんのクリスマスプレゼントなんですもの」

 

 ゲームの勝者のご褒美は、結局一人一個ずつ交換用に用意してきたクリスマスプレゼントを、総合順位一位から順番に選べる権利というものだった。

 ちゃっかり終盤で追い上げて一位を取った美九はそのまま士道のプレゼントである髪飾りを選択したのである。

 当たり前だが、包みを開けるまで中身が分かるものではなかったが、迷いなく美九は士道のそれを指さしたのだった。

 

「似合ってるよ。うん、可愛い――――ってこのセリフ、この場合に俺が言っていいのかな」

 

 女の子が装いを変えたのに気付いたらまずそこに触れる―――七罪からものすごくまわりくどく、美九からは何度か直接に教育されてきた訓示だが、余計な一言が付いてしまうあたり満点には届かないようだ。

 誰に渡るか分からない交換プレゼントだから、誰に渡ってもいいものを考えて用意したわけで…………しかしそれを口に出してしまう士道に苦笑しながら、美九も礼を返した。

 

「いいに決まってるじゃないですかもー。…………私が世界で一番その言葉を言って欲しいのは、だーりんなんですよぉ?だから、ありがとうございます。すごく嬉しいですー」

 

 そう言うと、美九も士道の隣に来て夜空を見上げた。

 

「あれから一年………今年は晴れて星がきらきら。こういうクリスマスもいいと思いません?」

 

「そうだな。でも、感覚がおかしいや。本当の意味で美九を知ってから、それだけしか経ってないのかって思うと」

 

「私もです。色々、ありましたからー………」

 

 ちょうど一年前のこの日、おかしくなっていた美九に酷い目に遭わされ、それでも美九を支えてくれると言ってくれた士道。

 あの日身勝手な我がままで迷惑を掛けた美九を見捨てなかったこと――――そも、出会った時からずっと士道は美九の支えでいてくれた、それを言葉にして約束してくれたことが、美九の人生の一番の宝物だ。

 

 あれから、毎日のように美九の家に来てくれるのは、その約束もどこかにあるのだろうと思っている。

 そんな暖かさが、ただ歌に縛られていた頃までにはなかった日々をくれた、その一つ一つを大切に振り返る。

 

 士道にとっては八舞姉妹の一件や精霊について真実を知ったこと、も含めて長い一年だったと言っているのだろうが、きっとその中に自分のことも入っていると考えると、申し訳ないような嬉しいような、――――そう、“愛おしい”。

 そしてその想いを込めて士道の横顔を見詰めていると、視線を感じてこちらを向いてくれて、その瞳と見つめ合った。

 

 

「ねえだーりん、一曲歌うので聴いてもらえますか?」

 

「喜んで」

 

 

 無性に歌いたくなった、その疼きを士道に受け止めてもらう。

 たった一人の、だが世界の誰よりも大切な聴衆に、美九は歌声で夜空を震わせる。

 

 

 

「Joy to the world, the Savior reigns……♪」

 

 

 

 歌うのは誰もが耳にしたことのあるクリスマスソング、その英詩。

 神様なんて信じたことはないけれど、美九の世界を救ってくれた救世主(ヒーロー)は確かに傍にいてくれるから。

 

――――大好きです、my savior(だーりん)!

 

 その想いを歌に込め、大切に歌うのを、士道に聴いてもらっていた。

 

 

 

 

 

 季節は巡る。

 大切に過ごす日々もそうでない日常も、平等に時は運んで行く。

 やがて冬も過ぎ去り、春―――。

 

 

 

 

 

 過程には触れなくとも、結果として士道、七罪、耶倶矢、夕弦の四人は晴れて学び舎への入学が叶う。

 

 そして期待に包まれながら入った教室、士道の隣の席になった場所に、“彼女”はいた。

 

 艶やかな長い黒髪を二つに分けて前に垂らし、前髪を左右非対称(アシンメトリ)にして左目を隠した、妖しい少女。

 着慣れないであろう制服が、しかしそういう意味でなくどこか場違いな、清楚な風ながらもただか弱いだけのそれではありえない雰囲気を纏う不思議な少女。

 

 

 

「わたくし、時崎狂三(ときさきくるみ)と申しますの。

――――――よろしくお願いしますわ、士道さん?」

 

 

 

 





 というわけで待たせたな、次回から狂三編だ!

…………この幕間、時間経過させつつ日々を過ごす描写するの難しかった。
 やっぱりほんと日常系ラブコメ苦手だよぉ……………(だからお前は何の二次を(ry)
 ということでその辺りに違和感感じたらそれは単純に作者の力量不足でございますごめんなさい。


 あとなんかまた病気ネタが浮かんだので、今回短めなのもありやってみる↓





~折紙さんと十香ちゃんのポジションを入れ替えてみよう!~





※一部に大変お下品な描写があるようなないような。
 覚悟と了承の上スクロールお願いします。





 その日、何の変哲もないただの高校生だった五河士道の人生は、大きく変わった。

 災厄たる空間震を引き起こす精霊、鳶一折紙との出逢いと、精霊への復讐に燃え彼女を殺そうとする級友、夜刀神十香の正体を知ったこと。

 文字通りの天使と見紛う武装を纏い、無表情に全てを薙ぎ払うその姿が、自分を拒絶する全てに対する諦めと心の防衛だと気付いた時、士道は動いた。
 精霊の保護を詠う秘密結社〈ラタトスク〉の力を借り、“デートしてデレさせる”という作戦で見事に折紙の心を開くことに成功した士道は、自らに眠っていた能力で折紙の精霊の力を封印し、ただの人間と変わらぬ存在として普通の暮らしを送らせることができた。

 そんなある日――――、

「琴里、シャワー先に使うぞ………、折紙ッ!!?」

「おかえりなさい、士道」

 通り雨に振られずぶ濡れになって自宅に帰った士道が風呂場のドアを開けると、そこになぜか折紙が一糸纏わぬ姿でそこにいた。
 染み一つ無い白く可憐な裸体を曝し、折紙は隠す様子もなくシャワーのノズルを狼狽え硬直する士道に差し出す。

「士道が先にシャワー、使う?」

「ごめんなさいどうぞごゆっくりぃぃぃーーーーーー!!!」


 で。

 何故折紙が士道の家にいてシャワー使っているのかを、〈ラタトスク〉司令である妹の琴里に問いただすと、折紙の仮の住居として五河家の一室を提供し、ついでに士道が今後別の精霊をデレさせる訓練の為に、どきどきいやん♪なハプニングへの耐性と対処ができるようにするのに、折紙に協力(※同意なし)してもらうなどとほざいた。

 大丈夫大丈夫折紙の士道への信頼と好感度はちょっとやそっとじゃ全く揺らがないみたいだから、愛されてるわねー、などと言う琴里に対し、何故か無性にこの言葉が言いたかった。

 違う、問題はそこじゃない、と。

 だが士道の意見など黙殺されたまま、ハプニング訓練は始まる。


 トイレの電球が切れたのを換えに行かされると、使用中でパンツをずり下げて便座に座った折紙の姿が。

「士道、私のおしっこするところ、見るの?それとも――――」

「見ないです見せないですノック忘れて本当に申し訳ありませんでしたーー!!」


 風呂に入っていると、騙されて服を脱いでいる折紙のシルエットが脱衣所に!
 そしてドアが開き――――、

「士道もお風呂?ちょうど良かった、一緒に洗いっこしよ、士道」

「あ、あは、あはははは……すぐ出るからほんと悪いな折紙ィ!!」

 ほんのわずかに見えた折紙の表情は、断られたことにどこかしょぼんとしていた。


 そして、疲れて泥のように寝ている士道が、夜の間に折紙のベッドの彼女の隣に移動させられる。

 はあはあ、ぺろぺろ、くんかくんか。
 翌朝士道が目を覚まして見たのは、自分に抱きついて匂いを嗅いだり舐めまわしたりキスマークを付けてきたりする折紙のあられもない姿。
 いや、裸なら昨日だけで二回も何故か見たのだが、何が起きてしまったのか寝乱れた折紙のパジャマがある意味全裸よりエロく崩れている。

「はあ、はぁ………士道、熱い……」

「お、おはよう折紙?大丈夫か?熱いって、一体」

――――おなかのしたのほうが、あついの

 ぐちゅ。

「……………。おやすみ、おれ」

 何かの液体が染みて変色した折紙のぱんつから聞こえた水音に、士道の意識はまた真っ白になった。


――――果たして士道さんは無垢なる肉食獣折紙から貞操を守り抜けるのか!
――――こうなるとなぜ分からなかった、琴里に深慮というものは果たしてあったのか!?


 そして…………。

「士道が私に向けた優しさを他の誰かに向けると考えると――――――――とても、とても、きもちがわるい」

 精霊〈ハーミット〉攻略作戦は、そもそも実施できるのか!?


 デレ鳶(と)・ア・ライブ、乞うごきた………………………………………絶対連載とかしねーよこんなの。


 以上。

 メインヒロインがこれって………。
 一体どこを目指した作品なのかと。

 うん、設定変えた意味がわからないくらい通常運転の折紙さん。
 性知識がなくても本能でなんとなく察してるんですねわかりますん。

 まあ十香と折紙入れ替えて一巻再構成してみたら面白いかなー、とは思ったけど、二巻以降予想するとこの通り折紙に絶滅天使されるので永久封印。

…………それとも誰かやる?



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