アホばっかのバカ達へ~アホメンパラダイス~   作:黒やん

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第4問

『以下の文章の()に正しい言葉を入れなさい』

 

光は波であって()である

 

姫路瑞希の答え

 

「粒子」

 

教師のコメント

 

「よくできました」

 

土屋康太の答え

 

「寄せては返すの」

 

教師のコメント

 

「君の解答はいつも先生の度肝を抜きます」

 

雑賀佳史の答え

 

「宇多田」

 

教師のコメント

 

「先生はあの人のファンです」

 

吉井明久の答え

 

「勇者の武器」

 

教師のコメント

 

「先生もRPGは好きです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよー」

 

「ういーっす」

 

「おう、二人共。時間ギリギリだな」

 

偶々廊下で会った明久と教室に入ると雄二が最後の 悪あがきをしながら挨拶してきた

 

「それより明久、昨日の後始末はいいのか?」

 

ああ、そういえばなんか美波が怒り狂ってたな

 

「ああ、もういいよ。生爪剥がされてまですること じゃないし」

 

「いや、俺の始末じゃなくて」

 

「なんだ、まだ根に持ってたのか?」

 

「佳史は雄二が憎くないの?」

 

「もう既に復讐はしたしな」

 

ニヤリと笑って雄二を見る

 

「このやろ「吉井っ!!」

 

「ごぶぁっ!!!」

 

雄二が切れかけたときに美波が明久にバックキック を喰らわせた…やべぇ、今足が一瞬見えなかった…

 

「し、島田さん…」

 

「アンタ昨日ウチを見捨てただけじゃなく器物破損 の罪までかぶせたわね…!」

 

般若のごとき形相で明久に迫る美波

 

…明久、強く生きろよ

 

「おかげで彼女にしたくないランキングが上がっち ゃったじゃない!」

 

「「「(まだ上がる余地があった事が意外だ)」」 」

 

「…ま、まあ、同時に彼氏にしたい女子ランキング も上がったんだし…な?」

 

「そのランキング、矛盾しか無いのよ!」

 

「腰の関節が千切れるように痛ぎゃあああああああ !!!」

 

まあ、いつもの事だし置いといて…

 

「雄二、お前こんな所でのんびりしてていいのか? 」

 

「?どういう事だ?」

 

「一限目の数学のテスト…試験監督、船越先生だぞ ?」

 

「嫌ぁああああ!!!」

 

――――――

 

「………」

 

「おーい、生きてるか雄二ー」

 

ちなみに船越先生は明久の近所のお兄さん(?)を 紹介して事なきを得たようだ…実に残念だ

 

「あー…死ぬかと思った…」

 

「生きてんだからいいだろ?それより食堂行こうぜ ?」

 

「そうだな!今日はラーメンとカツ丼とチャーハン とカレーにすっかな」

 

本当に疲れてんのかコイツ?

 

「じゃあ僕は贅沢にソルトウォーターでも…」

 

「お前ついに塩水すら贅沢と言うようになったか… 」

 

明久の言葉に全俺が哀れんだ

 

「ん?吉井達は食堂に行くの?だったら一緒してい い?」

 

「別にいいぞ?」

 

「………(コクコク)」

 

康太、下心がみえみえだぞ?

 

「あ、あの皆さん!」

 

「ん?瑞希?お前も行くか?」

 

俺はDクラス戦の最中位から姫路を瑞希と呼ぶよう になった

 

本人曰わく、美波を含む皆は名前で呼んでるのに、 自分だけ名字だと壁があるみたいで嫌、だそうだ

 

「違うぞい、佳史。姫路、昨日の約束の弁当じゃろ ?」

 

最近空気になりつつあった秀吉。

 

…お前ポニーテールなんかしてたらまた優子に殺さ れるぞ

 

「はっ、はい!迷惑じゃなかったらどうぞ!」

 

恥ずかしそうに弁当を差し出す瑞希

 

「迷惑なもんか!ねっ、雄二に佳史!」

 

「そうだな、ありがたい」

 

「サンキューな瑞希」

 

「そ、そうですか?良かった~…」

 

ほにゃ~、と笑う瑞希。コイツはいちいち小動物み たいになるな…癒やされる

 

「むーっ…瑞希って意外と積極的なのね…」

 

そして美波はいちいち肉食系女子だな

 

「それじゃったらこんな所でなく屋上に行かんかの ?」

 

「そうだな、せっかくのご馳走なんだしな」

 

「それなら俺は飲み物でも買ってくる。昨日頑張っ てくれた礼も兼ねてな」

 

珍しく雄二が気の利く事を言い出す

 

「あ、それならウチも行く!一人じゃ持ちきれない でしょ?」

 

「!?」

 

「いや明久、別に美波はお前の命を狙ってないから な?」

 

明久の中での美波の認識が知りたい

 

――――――

 

「風が気持ちいいね~」

 

屋上に着いたらすぐに瑞希がシートを敷いてくれた のでそこにすわる

 

「あの…あまり上手くはないんですが…」

 

そんな謙遜をしながら瑞希が弁当のふたをあけると 、きれいに盛り付けられたおかずとおにぎりがでて きた

 

「「「おおっ!!」」」

 

「凄いよ姫路さん!塩と砂糖以外の物が入ってるよ !」

 

「よっ…喜んでもらえて良かったです…」

 

明久、瑞希が引いてる引いてる

 

まあ、明久の事だからリアルにそんな食生活なんだ ろうな…

 

だから寮で暮らせって言ってんのに

 

「吉井君や皆に栄養をつけてもらおうと思って張り 切っちゃいましたっ」

 

にこやかに笑う瑞希…本当に出来た娘だ

 

「姫路はいい嫁さんになりそうじゃのう」

 

秀吉は優子よりはいい主夫になりそうだな

 

しっかし…なーんか忘れてるような…

 

「じゃあ、早速このエビフライを…」

 

ヒョイ

 

なんだ?何か物凄く重要な事だったような…

 

「あっ!ずるいぞムッツリーニッ!」

 

…一年のとき…家庭科…調理実習………はっ!!

 

「待て!康太!!」

 

パクッ

 

ゴッ!

 

ビクンッ…ビクンッ…

 

「「!?」」

 

くっ…遅かったか…!

 

康太は正座のまま真後ろに頭をぶつけ、まな板にの せられた鯉みたいに痙攣している…

 

「わわっ!?土屋君!?」

 

姫路に声をかけられるやいなや康太は根性で起き上 がり、姫路にむけてサムズアップする

 

…きっと、『凄く美味しいぞ』って言いたいんだろ うが…足が生まれたての小鹿みたいに震えてるぞ… ?

 

「皆さんどんどん食べて下さいね!」

 

もうデフォルトで笑ってんじゃねぇかって言うくら いキラキラした笑顔の姫路…今は悪魔にしか見えん

 

(くっ、間に合わなかったか…)

 

(ねぇ二人共、さっきのムッツリーニどう思う?)

 

(…どう考えても演技には見えん)

 

(アウトだ)

 

(だよねヤバいよね…)

 

(ヤバいなんてもんじゃねぇ。一年のときに家庭科 の調理実習で姫路の作ったポトフを食べた奴全員ぶ っ倒れた)

 

((…マジで?))

 

マジだ。そして未だに原因不明だ

 

(明久、佳史、お主ら身体は頑丈か?)

 

(正直胃袋には自信ないよ。食事の回数が少なすぎ るから…)

 

(俺もだ。割と飯抜いたりするからな…)

 

ちなみにこれまでの会話中俺達はずっと笑顔である

 

アイコンタクトって便利だね!

 

(…ならばここはワシに任せてもらおう)

 

(そんな!危険だよ!)

 

(早まるな秀吉!)

 

(大丈夫じゃ。ワシは存外頑丈な胃袋でな、ジャガ イモの芽を食べた程度ではビクともせん)

 

いや、お前確かその後一週間下痢だったよな!?

 

(安心せい、ワシの胃袋を信じて…)

 

「待たせたな!」

 

秀吉が見た目に反して男らしいセリフを言おうとし た時、雄二が戻ってきた

 

「へぇ、こりゃ美味そうじゃないか。どれどれ…」

 

「あっ!待て雄二!」

 

「ん?」

 

パクッ

 

ガッ!

 

カラカラカラカラ…

 

「さっ、坂本!?ちょっとどうしたの!?」

 

雄二が倒れた時に散らばった缶の音がやたらと響く …

 

間違いない、本物だ…

 

あの雄二ですら卒倒かよ…瑞希、恐ろしい娘!

 

(…毒を盛ったな?)

 

(毒じゃないんだ)

 

(…瑞希の、実力だ)

 

「あ、足が…つってな…」

 

…さっきも思ったがそこまでして瑞希を庇う必要が あるか?

 

ここは心を鬼にして…

 

「なぁ、瑞希、この弁当…」

 

「ああっ!姫路さん!アレは何だ!?」

 

「えっ?」

 

「もがっ!?」

 

そして何かが俺の口の中に入った瞬間、意識がブラ ックアウトした…


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