アホばっかのバカ達へ~アホメンパラダイス~   作:黒やん

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第40問

「……雄二」

 

「なん……どわぁっ!?」

 

「……避けちゃダメ」

 

「いきなり頭突きされたら避けるに決まってんだろうが!!」

 

「頭突きじゃない。キス」

 

「いや、絶対にあれは頭突きまたはヘッドバッドだ。異論は認めん。そして動くな。余計な動きを見せたら俺の家を出禁にするからな……!」

 

「……ケチ」

 

「うるせぇ。……で? 何で急にんなトチ狂った行動に出たんだ?」

 

「……そんなことより、お願いがある」

 

「本当にマイペースだなお前……」

 

「……雑賀と優子の仲直りを斡旋してほしい」

 

「あ? どうせその内元に戻るだろ?」

 

「……それじゃ、遅いの」

 

「?」

 

「……昨日、優子が『気付かれない媚薬の飲ませ方』全22巻を学校に持って来てたから……」

 

「ギリギリだな!?」

 

「……だから、手伝ってほしい」

 

「ま、それはわかった。手伝ってやる。けど、一ついいか?」

 

「……何?」

 

「さっきの本、お前持ってないだろうな?」

 

「……ノーコメント」

 

「オイ待て! 逃げんな! ……ハッ! 殺気!?」

 

「異端者には死を……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おはようじゃ、佳史」

 

「……ん、秀吉か」

 

合宿での覗き騒ぎの罰則であった停学期間も終わり、ようやく男子も登校できるようになった。

……もっと長くても良かったんだがな。稼げるし。

そんな事をかんがえてい考えていると、何故かジト目で秀吉が俺を見ていた。

 

「なんだ?」

 

「いくら稼いだのじゃ?」

 

「18万8400円」

 

「お主は……」

 

正直に金額を言うと、秀吉は額をおさえる。

 

「少しくらいは姉上に構ってくれれば良かったのにのう」

 

「……何かあったのか?」

 

「一日に何十回も佳史のところへ行くと言って寮に行ったものの、いないと将に言われて落ち込みながら帰って来ては愚痴と懺悔とのろけ話を聞かされ続けたのじゃ」

 

「……お疲れ」

 

いや、マジで。俺なら適当に切って捨てている自信があるぞ。

 

そんな事を話している間に教室の前に着き、普通にその扉を開ける。

 

「異端者には死をォォォォォォ……」

『異端者には死をォォォォォ!!』

 

「「俺(僕)は無実だァァァァァァァァァァ!!!」」

 

……とりあえず、見なかったことにしてそっと閉めた。ああ、『佳史!! 見捨てないでぇ!!』とか『頼む! コイツら本気だ!』とか聞こえてないさ。ホントダヨ?

 

「佳、佳史!? 今のは何だったんじゃ!? 何か地獄の底から響いて来そうなドス黒い声が聞こえたんじゃが!?」

 

「ああ、気にするな。世の中には知らない方がいいこともあるんだよ」

 

「本当に何があったんじゃ!?」

 

とりあえず、いつまでも教室の前でボーっとしている訳にもいかないので、しぶしぶ中に入った。

 

「……何してんのお前ら?」

 

「ああ! 良かった! 戻って来てくれたんだね!」

 

明らかに中世の黒ミサの会場のようなことになってしまっている教室。気持ち悪い覆面を被っているF男子共。ふん縛られてミノムシになってる明久と雄二。ハイライトのない目で虚空に向かってブツブツ言ってる瑞希。……いつも通りカオスだな、オイ。

 

「邪魔をするな、雑賀。今異端者を処刑する準備で忙しいんだ」

 

「いや、まぁこのバカ共がどうなろうが構わんのは構わんが……」

 

「「見捨てないで!?」」

 

「お主ら本当に友達か!?」

 

友達(天敵)ですが?

ま、実際雄二の場合は霧島とイチャイチャしてたのを見つかってああなったんだろ。ある意味自業自得だ。リア充は末永く爆発しやがれクソ野郎。

 

「ちなみに明久は何をしたんだ?」

 

「よくぞ聞いてくれた! 異端者吉井明久は本日午前八時頃に……」

 

「句読点含めて10字以内だ」

 

「島田とキスをした。」

 

10字ジャストか……中々やるな、須川。さて……

 

「じゃあ私刑で」

「何でそうなるのじゃ!?」

 

「よし! 皆の者! 裁判長の許しが出たぞ!」

 

「裁判長!?」

「そんな役割あったの!?」

 

俺の一言で阿鼻叫喚の様相を見せる教室内。うむ、善き哉善き哉。

 

結局、この騒ぎは島田が教室に入って来るまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「んで? あのバカとポニテに何があったんだ?」

 

教室全体の殺気がある一点に集中しているため、日頃少なからず殺気を浴びている俺と雄二は比較的快適に授業を睡眠学習していたのだが、いい加減気になったので雄二に聞いてみる。

 

「あー、何か合宿中に島田に告白紛いのメールを送って、島田がそれを真に受けたらしいな」

 

「ふーん。……合宿で明久が雄二に携帯壊されて焦ったのはそのせいか」

 

「ああ、あの時アイツがキレたのはそのせいか。……あ、横に座った。近いな」

 

まぁ、それだけならハッキリ間違いだと言わない明久が悪いな。……あ、目と目で通じあってる。キモいな。

そんな感じで雄二と一緒に明久を生暖かい視線で見守っていると、今度は清水が教室に入って来て突然キレ始めた。

 

「……そういや、前の脅迫の犯人は清水だったんだっけか。アイツは何か罰は受けたのか?」

 

正直、問題を起こした俺達男子が停学って罰を受けたんだから、その問題のそもそもの発端である清水も罰を受けないのはおかしいと思う。というか、この学園の女子は自分に甘すぎるし、女子という立場を利用して誇張しすぎだ。

男子が何かすれば、『女の子にこんなことをして……』と言うのにも関わらず、いざ自分がしていることは全て棚に上げる。何のための男女平等社会であると思っているのだろうか。これでは女尊男卑社会だ。

 

「いや、特には何も。島田が二度とやらないように釘を刺したから大丈夫だとは思うぞ」

 

「…………へぇ」

 

「オイ、すっげぇ悪い顔してるぞお前」

 

雄二が何か言ってるが気にしない。

罪には罰を。信賞必罰は世の常識だ。誰もやらないなら……俺がやってやろう。

 

「……さて、どうやって潰すか……」

 

「何恐ろしいワードをさらっと言ってんだお前!?」

 

俺の心の呟きが漏れたのか、雄二がドン引きする。

そんな時、突然大きな音を立ててFクラスの扉が開く。

そこから勢いよく入って来たのは、何故か半泣きになっている木下姉だった。

 

「…………」

 

「あ、姉上? 一体何用じゃ?」

 

入って来たのはいいものの、顔を下に向けて動かない姉に、秀吉が対応する。すると、木下姉は何故か涙目を俺の方に向けた。

 

「AクラスはFクラスに試召戦争を申し込みます!!」

 

『…………………………は?』

 

……頭が痛くなってきた。


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