アホばっかのバカ達へ~アホメンパラダイス~   作:黒やん

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第34問

~side AKIHISA~

 

気が付くと、僕は知らない部屋で寝かされていた

 

「蘇生、成功だ」

 

「明久、起きたか!電気ショックが聞いたようだな …」

 

いつも通りの冷静な佳史と心底安心したような雄二

 

「え?何?僕の命はそんなにイチかバチかの状態だ ったの?」

 

『………』

 

誰か目を合わせて下さい

 

「ところで佳史。何で待ち合わせ場所に来なかった の?」

 

「…起床、暴行、拉致」

 

「OK。把握したよ」

 

つまり木下さんにヤられて連れ去られたと

 

「…そこはかとなく明久を殴りたくなったんだが」

 

「気のせいだよ」

 

くっ…心の声まで読むなんて…なんというハイスペ ック!

 

そんな事を考えていたら、部屋に秀吉が入って来た

 

「む。明久、無事じゃったか!お主がうわごとでマ 〇タとかラタト〇クとか言った時はもうダメじゃと 思ったぞい…」

 

よく生きてるな僕

 

「心配してくれてありがとう。秀吉も一緒の部屋な んだよね?」

 

「うむ。ムッツリーニと雄二を含めた四人でこの部 屋を使うのじゃ」

 

「四人?佳史は?」

 

「俺は将と二人部屋だ。人数的に余るらしくてな」

 

へぇ…

 

…まさか問題児を集めたのが僕の部屋とかは…ない よね

 

「それはそうとムッツリーニは?覗き?盗撮?」

 

「友達がいない理由がそれしかでないってどうなん だ?」

 

「諦めろ佳史。どっちかと言えばこれが普通の反応 だ」

 

ガチャ

 

「……ただいま」

 

凄いタイミングでムッツリーニが帰ってきた

 

「……明久、無事で何より」

 

「あ、心配してくれたんだ。ありがとう」

 

「……情報も無駄にならなくてすんだ」

 

「情報?昨日俺と明久が頼んだヤツか。」

 

ああ、僕の盗撮と雄二の盗聴の犯人を探して欲しい っていうやつか

 

「明久はともかく、雄二は何を?」

 

「そうか、佳史は知らなかったな…翔子がMP3を持 ってたんだ」

 

「…で?」

 

「俺の偽造プロポーズが録音されていた」

 

「………」

 

「何でお前が『やっちまった』みたいな表情になっ ているんだ?」

 

まぁ全ての原因は佳史だしね

 

「……もういいか?」

 

「ああ、悪いな」

 

「……犯人が使ったと思われる道具の痕跡を見つけ た」

 

「おおっ!流石はムッツリーニだね」

 

「……後、明久と雄二の件は同一人物の犯行」

 

「まぁ、そんなことをするヤツなんて何人もいない だろうしな」

 

「そもそも一学年に二人もいるのがおかしいと思う んだが…」

 

「全くじゃ」

 

佳史も秀吉もわかってないな。ムッツリーニのおか げで僕たち男子は勿論、女子も楽しめているという のに

 

「それで、犯人はわかったのか?」

 

「………」プルプル

 

「やっぱり犯人はまだわからないの?」

 

「……すまない」

 

まぁ、当たり前だよね。昨日の今日で見つかるくら いだったら僕も雄二も苦労しないし

 

「……犯人は女生徒でお尻に火傷の痕がある、とい うことしかわからなかった」

 

「「お前(君)は一体何を調べたんだ」」

 

思わず佳史とハモってしまった

 

本当に何を調べたんだ、この男は

 

「……校内に網を張った」

 

そう言ってムッツリーニは小さな機械を取り出す

 

ピッ

 

《―らっしゃい》

 

「随分音質が悪いね」

 

「校内全部を網羅したんなら仕方ないだろ」

 

「質にこだわってたらヒントすら拾えない可能性が あるしな」

 

確かに

 

《……雄二のプロポーズをもう一つお願い》

 

この独特な話し方と辛うじて女子だとわかる声…

 

「しょ、翔子…!アイツもう動いていたのか…!」

 

「というか雄二、お前霧島を受け入れたんじゃなか ったのか?」

 

「付き合うのと結婚はまた違うだろうがっ!」

 

佳史と顔を見合わせて、肩をすくませる

 

「お前らなぁ…!」

 

霧島さんはこんなやつのどこがいいんだろう

 

《毎度。二回目だから安くするよ》

 

《……値段はどうでもいいから、早く》

 

《流石はお嬢様、太っ腹だね。それじゃあ明日―と 言いたいところだけど、明日からは強化合宿だから 引き渡しは来週の月曜で》

 

《……わかった。我慢する》

 

「あ、危ねぇ…強化合宿があって助かった…!」

 

「それでも後四日以内に何とかしないとアウトだが な」

 

「佳史、他人事だと思ってない?」

 

「いや、実際他人事だからな。手伝うけど」

 

憎しみで、他人が殺せたら…!

 

ただ手伝ってくれてありがとう

 

「……それで、こっちが犯人特定のヒント」

 

《――相変わらず凄い写真ね。よくバレずに撮れる わね?》

 

《ここだけの話、前に一度母親にバレてね。文字通 り尻にお灸を据えられたよ。全く、いつの時代の罰 なんだか》

 

《ある意味自業自得よね。あ、こっちの佳史の愛の 告白(編集ver)を3つ》

 

《構わないが…3つも何に使うんだい?》

 

《鑑賞用、保存用、実用用よ》

 

「……わかったのはこれだけ」

 

「…何故言った覚えもない俺の愛の告白が出回って いるんだ…!」

 

「「ようこそ、こちらの世界へ」」

 

歓迎するよ

 

「来たくなかった…!そんな汚れたセカイ…!」

 

「はっはっは!兎に角これで俺達は一蓮托生だ!」

 

「そうだよ佳史!一緒にこのピンチを乗り越えよう ぜっ☆」

 

「…協力しなけりゃならないのはわかってるのに、 この上なく腹立たしい…!」

 

それはきっとカルシウム不足さ

 

「…兎に角、尻に火傷の理由はわかったな」

 

「口調も芝居がかっていたけど女子なのは間違いな いだろうね」

 

何より自分で乙女と言っていたんだから、女子か秀 吉のどちらかなのは間違いない

 

「だけどお尻の火傷かぁ…仮に女子のスカートを捲 ってまわったとしてもわからないだろうし…」

 

それにその方法だと僕達の命が危なくなってしまう 。疑いを晴らすために命がなくなるのは割に合わな い

 

「赤外線カメラでも火傷の痕なんて映らないだろう しなぁ…」

 

隣でも雄二が女子のお尻を見る方法を考えていた… 真顔で

 

「端からみたら変態だなお前ら」

 

言い返せないこの悔しさ

 

「お主ら、さっきから何の話をしておるのじゃ?」

 

そういや秀吉は事情を知らないんだっけ

 

…あれ?

 

「何で佳史は自然に事情を理解してるの?」

 

「その場のノリで」

 

「もう何も言わないよ…」

 

~説明中~

 

「そうじゃったのか。それにしても尻に火傷とは… 」

 

「優子じゃねぇのか?」

 

「流石に母上でもお灸は持っておらぬ」

 

…秀吉のお母さんはお灸があったら据えるんだろう か?

 

「…そうだ!秀吉にお風呂の時間に見てきてもらえ ばいいのか!」

 

「明久。何故ワシが女子風呂に入るのが前提になっ ておるのじゃ?」

 

「それ以前に秀吉は男だっての」

 

うん、我ながら妙案だ!秀吉は秀吉なんだ。異論は 認めない!

 

「明久、それは無理だ」

 

雄二がしおりを僕に放ってよこす

 

「どうして無理なのさ?」

 

「じゃからワシは男じゃと言うに…」

 

「はいはいよしよし。まずはメンタル強くするとこ ろから始めような?」

 

「しおりの3ページを見てみろ」

 

3ページ…?

 

――――――――

 

~合宿所での入浴について~

 

…………

 

・Fクラス木下秀吉…20:00~21:00 個室風呂④

 

「…くそっ!これじゃ秀吉に見てきてもらうことが できない!」

 

「そういうことだ」

 

「どうしてワシだけ個室風呂なのじゃ…」

 

「はいはいよしよし。簡単に涙ぐむな。男だろうが 」

 

「それなら木下さんがいないうちに佳史に女子風呂 を覗いて来てもらえば…」

 

「俺に社会的にも貞操的にも死ねってか」

 

いいじゃないか。覗いてもそれだけですむなんて全 国を探しても佳史だけだよ

 

「それも無理だ。秀吉の下を見てみろ」

 

Fクラス雑賀佳史…19:00~23:00 自室風呂

 

「どうも教師陣が色々危険だと判断したらしいな」

 

「なん…だと…?」

 

「だから俺達の部屋だけあんなに広かったのか」

 

その後も5人で考えていると…

 

―ドバン!

 

「全員手を頭の後ろに組んで伏せなさい」

 

~続く~


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