アホばっかのバカ達へ~アホメンパラダイス~   作:黒やん

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閑話『俺と優子と如月グランドパーク②』

「…よし、上手いこと入らせたな。後は俺と同じ恐 怖を味わってもらうぜ佳史ぃ…!」

 

「……雄二。人の邪魔をするのはダメ。優子が可哀 想」

 

「邪魔じゃねぇよ。むしろ手伝うんだ。これなら文 句無いだろ?」

 

「……でも、優子ならきっと自分で気持ちを伝えた いと思う」

 

「…なら、ウェディング体験だけにするか」

 

「……それがいい」

 

「ったく、世話のかかる」

 

「……とか言って、しっかり手助けしてる」

 

「………」

 

「……私は、そんな雄二が大好き」

 

「ぶっ…ゲホッ!急に何言いやがる!」

 

――――――

 

「では、記念撮影を致しますので少々お待ち下さい 」

 

「記念撮影?」

 

見たところ全員にやってる訳じゃなさそうだが…

 

「はい。プレミアムチケットのお客様にお願いして おります」

 

「いいじゃない。たまには二人で写してもらいまし ょう?」

 

「だからさも彼女のようなセリフはヤメろ」

 

「まぁまぁ、それではこちらへ…」

 

「……ご撮影」

 

………康太ぁ…!

 

「お前もグルか!?もしかして知り合いのほぼ全員 が敵か!?」

 

「……身に覚えがない」

 

「彼の名前はソフィア・エリザベート(24)。通 称ムッツリーニです。決して土屋と言う人物ではご ざいません」

 

「間違ってる!年齢通称名前のチョイスが全部バレ バレだから!」

 

「(何か間違ってるかな?)」

 

「(……わからない)」

 

「(ワシもサッパリじゃ)」

 

まず名前が女の名前になっていたことに気付け。後 会話が筒抜けだ

 

「と、とにかく!写真を撮りますのでお好きなポー ズを…」

 

「はい♪」

 

言われると同時に優子が俺の腕に引っ付く

 

「…あのなぁ」

 

「いいじゃない♪二人だけで写真なんて滅多にない んだから♪」

 

「…はぁ」

 

何を言っても無駄だと気付いたので、もう放ってお いた

 

――――――

 

「ぐぅ…羨ましい…!俺はこの時点で半死半生だっ たというのに…!」

 

「……私達も同じことしてた」

 

「いや、腕に抱きつくのと関節をとるのは明らかに 違うからな」

 

「……?」

 

「心底わからないという顔をするな。お前は勉強の 前に常識を学べ」

 

「……え……?」

 

「そこで心外そうにするお前に心外だよ」

 

――――――

 

「………」

 

あの後、秀吉達に昼にはメインホールでランチを用 意しているから、それだけは来てくれ、と言われて から解放された

 

それでとりあえず遊園地エリアに来たんだが…

 

「広いな」

 

うん。とにかく広い。文月学園三個分くらい

 

「そりゃ遊園地だし。…って佳史、もしかして遊園 地初めて?」

 

「いや、昔唯にせがまれて行った事はあるが…ここ まで広く無かった」

 

それにあの時はギリギリだったから楽しむ余裕なん て無かったし

 

「じゃあ実質初めてみたいなものね。どこか行きた いところってある?」

 

「そうだな…」

 

パンフレットを適当に見て、ふと目に付いたものを 指差す

 

―じゃあ、ジェットコースターで

 

――――――

 

「……………」

 

「優子?苦手なら止めるか?」

 

流石にプレオープンとは言ってもジェットコースタ ーは人気だったようで少し並んでいるのだが、さっ きから優子の怯え方が半端ない

 

顔は真っ青だし、結構はっきりと震えていて、俺の 腕をしっかりと掴んでいる

 

「だ、大丈夫よ……こここ怖くなんてないわ!」

 

「誰も怖いかなんて聞いてないんだが…」

 

そしてなんやかんやで一番前になりました

 

ガタガタガタガタ

 

「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ……」

 

「ゆ、優子?」

 

そして…

 

「おおおおおおあはははははは!!」←途中から楽 しくなった人

 

「に゛ゃ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」(°□°;)

 

〈終~了~!!〉

 

「意外と楽しいなコレ♪」

 

「はわわわわ…」 (((°□°;)))

 

アトラクションが終わったので降りようとしたが、 優子が一向に動かない

 

「優子?」

 

「………ぁ」

 

「…?」

 

「腰、抜けたぁ…」(涙目)

 

…何でだろう。優子にネコミミとしっぽがついてる ように見える

 

「全く…だから止めるかって言ったのに…」

 

そう言うと、優子は少し俯いて

 

「……だって、一緒にいたかったんだもん…」

 

と、恥ずかしそうに言った

 

…何でコイツ今日こんな殊勝なの!?何か企んでん の!?

 

とは思うものの、何故か適当にあしらえない俺がい る…

 

「…ったく、怖いなら怖いってちゃんと言えよ?嫌 なモン無理強いしたりなんかしねぇから」

 

「……うん」

 

「んじゃ、暴れんなよ?」

 

「え?…キャ!?」

 

背中と膝の裏に手を回して優子を持ち上げる。

 

そしてそのまま出口から出て行く

 

…後ろでなんか騒いでたけど何かあったのか?

 

――――――

 

side SYO

 

「ん…?前が騒がしいな」

 

「誰かが放心してるとかそんなんじゃないんスか? 」

 

俺は今、寮長と美穂、一心と玉野、後愛子で如月グ ランドパークに来ていた

 

「それにしてもよくプレオープンチケットなんて手 には入ったね。プレミアムチケットほどじゃないけ ど凄いレアだって聞いたよ?」

 

「いや、寮長が何故か持ってたんだ」

 

「学園長が『どうせ使わないからアンタにやるよ。 清涼祭売上トップの褒美さね』っつってくれたんだ よ」

 

「へー。でもどうせならお兄様とかも誘ってくれた ら良かったのに…」

 

「居ないんだから仕方ないだろ」

 

玉野は佳史がいないのが不服らしく、少しだけ拗ね ている

 

「「(まぁ、結局ここにいるにはいるんだけど)」 」

 

「そういや坂本達は呼ばなかったんスか?」

 

「それがな…雄二も翔子も出掛けてるらしくてな。 連絡つかねーんだ。案外4人共ここにいたりしてな 」

 

大当たりッス

 

「それなら前の騒ぎって霧島さんの折檻だったりし て」

 

「それは無いですよ黒崎くん。優子は絶叫系は一切 ダメですから」

 

「そうだよ。優子ちゃん、乗る前に拒否反応でるく らい苦手なんだよ?」

 

拒否反応って…

 

「…何か気になってきたな。よし!将!美穂!美紀 !」

 

「「「イエッサー!」」」

 

俺の肩に美穂が、美穂の背中に玉野が乗り、寮長と 一心と愛子が落ちないように支える

 

これだけやれば見えるだろ

 

「…どうだ美紀?何か「あー!!優子ちゃんがお兄 様にお姫様抱っこされてる!!」

 

「「「「「何ぃ!!!?」」」」」

 

「…寮長」 「…難波さん」 「…先輩」

 

「…ああ」

 

「「「「こんな面白イベント…逃がしはしない!! 」」」」

 

「…またややこしくなりますね」

 

「あはは…まぁ、確かに楽しそうカナ?」

 

二寮一行+α、介入決定の瞬間だった


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