アホばっかのバカ達へ~アホメンパラダイス~   作:黒やん

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第19問

〈雑賀夫妻のマル秘!恋愛テクニック講座!〉

 

「………おい優子。これは何だ。十文字以内で説明し ろ」

 

「題名の通りよ」

 

「おいおい、このタイトルでっち上げもいいところ じゃねぇか」

 

「ここは、私優子と夫佳史で、私達の恋愛の秘訣を 教えたり、相談に乗ったりするコーナーです♪」

 

「誰が夫だ」

 

「さて、早速ハガキの紹介です」

 

「聞けェェェ!

 

「『突然ですが、仲良し夫妻の二人に質問です』」

 

「オイ差出人。俺はいま寝てる所を拉致られて、手 足の関節を外されてベッドに寝かされて、このアホ に馬乗りにされている。コイツを真似して犯罪には しる前にもう一度考え直せ」

 

「『私には夫がいるのですが、すぐに他の女性と会 話をしたりして、浮気をします。どうしたらいいで しょうか』」

 

「会話位許してやれ。むしろそれだけで浮気とは言 わん」

 

「そうよね。浮気は許せるものじゃないわ。だから 浮気出来ない状況を作ってあげないと」

 

「浮気も何もまず付き合ってすらないし許婚とか口 約束だから無効だしそもそも俺とお前はまずただの 幼なじみだと言う事を自覚しろ。そしてそれは彼氏 が出来てから実行しろ」

 

「まずは夫に浮気のリスクを教えてあげることね」

 

「…優子?さっきから俺の直感が逃げろと叫んでる んだが、気のせいだと思っていいんだよな?」

 

「………用意する物は三つよ」

 

「待て。今の間の真意を教えろ」

 

「まずは…『石畳』」

 

「ダウトだ優子。それ拷問用具だから。浮気云々の 前に処刑だから」

 

「二つ目は…『ひたすら自分(嫁)が愛を囁き続け るCD』」

 

「洗脳か!?洗脳する気か!?止めろその手に持っ ているCDプレイヤーを捨てろ!」

 

「三つ目は…」

 

「この状況でよく冷静に事を進められるな!?」

 

「…『姫路さんの料理』」

 

「無理!文月学園の生徒かつ瑞希と親しい奴以外に その方法は無理だ!そして手に入れた所で男の方が 処刑される絵しか見えねぇ!」

 

「この三つで夫に浮気の恐ろしさを教えてあげなさ い♪」

 

「俺は今、その三つを持ってるお前が何より恐い」

 

「以上、『もうすぐ坂本(17)』さんからのお便りでした♪」

 

「明らか知ってる奴じゃねぇか!?雄二、今すぐ海 外逃亡しろ!でないと死ぬぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…優子、いい加減に手に持っている物を捨てろ」

 

「…何で島田さんと姫路さんを名前で呼んでるのか 説明してもらいましょうか?」

 

「まあ待て話せばわかる。だから関節をあらぬ方向 に曲げるのはやめっ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、戻ろう」

 

「そうだな。明久。Aクラスだけは止めよう」

 

「ここまで来て何を言っているのさ!早く中に入る よ!」

 

「「この人でなし!!」」

 

葉月の案内でたどり着いたのはAクラスの〈メイド 喫茶・ご主人様とお呼び!〉と言う名の魔窟だった

 

「そっか、ここって坂本と佳史の大好きな霧島さん と木下さんのいるクラスだもんね」

 

「…お兄ちゃん。優ねえから逃げちゃダメ」

 

「二人共、女の子から逃げ回るなんてダメですよ?」

 

くっ!抵抗しているうちに女子組が追いついたよう だ。余計逃げにくくなったじゃねぇか!

 

「雄二、佳史。これは敵情視察なんだ。決して趣味 じゃないんだから…」

 

「あそこに趣味で来てるバカがいるんだが?」

 

「………!!」(パシャパシャパシャパシャ)

 

唯の目を抑えながら明久に言い放つ。

 

…唯にこんな汚れきったバカを見せる訳にはいかな い

 

「……ムッツリーニ?」

 

「……………人違い」

 

無理があるだろ

 

「どこからどう見ても土屋でしょうが。アンタ何し てるの?」

 

「………敵情視察」

 

「へぇ…その割には目線が低いがな」

 

「………!」ブンブンブン

 

「ムッツリーニ、ダメじゃないか。盗撮とか、撮ら れている女の子が可哀想だと――「一枚百円」

 

ース貰おう―可哀想だと思わないのかい?」

 

「アキ、普通に注文してるわよ」

 

「千円札を取り出しながら言うセリフじゃないな」

 

まあ、バカはほっといて…

 

「佳史、今更逃げるなんて言わないわよね?」

 

「………モチロンデス」

 

ぐぅ…!今は美波の勘の良さが憎い…!

 

「それじゃ入るわよ。お邪魔しまーす」

 

「……おかえりなさいませ。お嬢様」

 

今回の出迎えは霧島だった(前の強制労働の時は愛子だった)

 

「それじゃ僕らも」

 

「はい。失礼します」

 

「お姉さん、きれ~!」

 

なんかどんどん中に入っていく…俺は絶対に入ら… 「…お兄ちゃん、行こ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………入ってしまった

 

「おかえりなさいませ、ご主人様、お嬢様…いらっ しゃい唯ちゃん」

 

「………」

 

どうやら唯はさっきまでここにいたようだ

 

「…チッ」

 

「……おかえりなさいませ。今夜は帰らせません、 ダーリン」

 

アレンジ半端ねえ

 

「…お兄ちゃん、翔子お姉さん、寝ないで遊ぶの?」

 

「気にしなくていい」

 

唯にまだ大人の世界は早い

 

「…お席にご案内します」

 

そして席に行く途中…

 

「それで優子?佳史くんとはどうなの?」

 

「どどどどうって…」

 

「A?B?C?まさかΩ(オメガ)までヤっちゃっ た?」

 

「隠語が古いし!しかもΩってどんなコトまでやっ てんのよ!?」

 

「どんなって…Cの上。詳しく言うとナニで「スト ップお母さん!ここ飲食店!」……あらあら」

 

「…お兄ちゃん」

 

「知らん。秀吉そっくりの女子とその母親なんて俺 は知らん」

 

『………』

 

止めろ!哀れみの目で俺を見るな!

 

 

 

 

 

 

 

「……ご注文をどうぞ」

 

「ウチはこの“ふわふわシフォンケーキ”で」

 

「あ、私もそれを」 「葉月もー!

 

「僕は水で。付け合わせに塩があれば嬉しい」

 

明久はスルーで

 

「俺は“苺のミルフィーユ”」

 

「…唯も」

 

「じゃあ俺は―「……ご注文を繰り返します」

 

何をしでかす気だ…?

 

「“ふわふわシフォンケーキ”が三つ、“苺のミルフ ィーユ”が二つ、水と塩がお一つ、“メイドとの婚姻 届”が二つでよろしかったでしょうか?」

 

「全然よろしくねぇぞ!?」 「つーか何故に二つ!?雄二だけなら一つで十分だ ろう!?」

 

「佳史テメェ!裏切るのか!?」

 

「裏切るも何も俺はもう詰まれかけてんだよ!」

 

こんな所でゲームオーバーはごめんだ!

 

「………」

 

「し、翔子!?これ本物のウチの実印だぞ!?どう やって手に入れた!?」

 

「何で俺の実印まで!?これわざわざ寮の俺の部屋 に耐火金庫の中の防水金庫の中の耐衝撃金庫の中の 暗証番号15桁の金庫に入れたハズだぞ!?」

 

『どんだけ木下さんを警戒してるのさ(んですか/んだ)!?』

 

お前らはアイツの恐ろしさを知らないんだ!

 

「…では、メイドとの新婚生活を想像しながらお待 ち下さい」

 

「…佳史、俺はどうしても優勝しないといけないん だ…!」

 

「俺もだ…!」

 

そんな感じで決意を新たにしていると…

 

「あ、あの人達だよ。さっき大きな声で『中華喫茶 は汚い』って言ってたの」

 

葉月が指差す方を見ると、ハゲとキューピーがFク ラスの悪口を大声で叫んでいた

 

…さて

 

「落ち着け明久」

 

「ぐえっ!?」

 

先走りそうだった明久を強制的に止める

 

「あたた…佳史!どうして止めるのさ!」

 

「バカ、こんな所で殴り合いなんざやってみろ。悪 評はさらに広まるぞ」

 

「けどだからって……『Fクラスをバカにしないで!』

 

「…優子?」

 

何故か優子が常夏コンビ(命名雄二)に啖呵をきっていた

 

 

 

 

 

~side雄二~

 

『Fクラスをバカにしないで!』

 

その言葉に少し耳を疑った

 

自分でもバカで多少なりクズだと言う自覚があった から

 

『あ?何でだ?成績は悪いし問題ばっかり起こす。 しかも学校初の観察処分者までいる。これをクズと 言わずに何て言うんだ?』

 

『そんなのその人の性格には関係ない!成績だけで 判断出来ないコトだってたくさんあるわよ!』

 

『うるせーな。お前だってAクラスだろ?良い格好 しようとすんなよ。お前だって内心Fクラスはクズ だって思ってんだろ?』

 

『アンタ達と一緒にしないで!さっきから何回も来 て同じ事ばっかり言って!はっきり言って迷惑なの よ!』

 

『んだと?女子だと思って優しくしてりゃつけあが りやがって…店員が客に逆らっていいと思ってんの か!

 

『……!』

 

そう喚いてハゲが木下姉に殴りかかる

 

…くっ!止めるにも距離がありすぎて間に合わ…

 

パシッ

 

「…そりゃこっちのセリフだ、ハゲ」

 

『なっ!?』

 

その拳を抑えたのは、佳史だった

 

「先輩だと思って下手にでてりゃ…随分調子に乗っ てくれたもんだな」

 

『んだテメェ!部外者は引っ込んでろ!』

 

「ほぉ…ならアンタらは二対一で女子と力ずくでや らなきゃ勝てないカス野郎なんだな」

 

『…言葉遣いに気を付けろよ』

 

「お前らが尊敬に値するならな」

 

『あ゛あ゛!!?」

 

『おう!やっちまうぞ!』

 

…あ~あ、常夏も可哀想にな

 

ありゃ完璧にキレたよ

 

俺や明久でさえ、本気でキレた佳史を見たことねぇ のに


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