~Aクラス戦から二時間後~
「映画館に行くわよ!」
「………は?」
なんともいきなり過ぎてついて行けない
「それよりこっちはお前のせいで酸欠からの貧血だ ぞ?どうしてくれんだコレ。体だるすぎんだけど」
しかも優子が俺にキスなんざしやがったせいでFF F団に追われる事が決定したし…何?厄年?
「ホラ、コレ!『恋海』!前から見たかったのよね~…」
「オイ、聞いてる?メッチャしんどいんだって」
「大丈夫。唯ちゃんは家にお母さんといるから。さぁ、行くわよ~♪」
「聞けェェェェ!!」
そんな事で俺の話を聞く優子じゃなくて…(泣)
――――――
「僕の食費がぁぁっ!!」
…あの声は明久か?
多分原因は瑞希か美波…いや、両方か
「って佳史?何でここに………ああ」
俺の隣の優子を見て羨ましそうに俺を見る明久
「木下さんみたいな美人と付き合うどころか許婚な んて…憎しみで人が殺せたら…!」
「じゃあ代われ」
「喜んで!
「ア~キ~?」 「吉井くん?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな さい…」
バカめ。後先考えないからそんな目に…
「佳史?代わるってどういう事かな?かな?」
「待て優子。世界が違う。そして俺の関節はそっち にはまがらな…ぐあぁぁぁぁぁっ!!」
――――――
「佳史はやっぱり木下さんに?」
「ああ、貧血で弱ってんのを無理やりな」
「諦めろ…お前らはまだいい方だ」
「ん?雄…二…?」
「ちょうどいい所…に…?」
振り返ると、霧島と大昔の手錠をかけられた雄二が いた
「「雄二ぃぃぃぃっ!?おまっ…何やってんのぉぉ ぉぉぉ!?」」
「男とは…無力だ」
雄二は虚ろな目で宙を見ながら悟りきった表情でそ う言った
「ちょ、雄二?何で霧島さんに繋がれてるのさ!? 」
「まだ諦めんな!俺達にもまだ希望が残ってる(はず)だ!
「いや、お前はもう許婚の時点で詰んでると思う」
「………男とは…無力だ…」
「佳史までダークサイドに!?二人共カムバッーク !!」
男連中がてんやわんやしてる間…
「あら?代表も結局映画にしたの?」
「……うん。ここなら雄二と長く一緒にいれるから 」
「一途ですね…」
「ウチも素直になれたら…」
ガールズトークが盛り上がっていたそうな…
――――――
「……佳史(雄二)、何が見たい?」
「「早く自由になりたい」」
「……じゃあ、これ。『地獄の黙示録・完全版』」
「オイ待て。それ三時間三十二分もあるぞ」
「……二回見る」
「一日の授業より長いじゃねぇか!」
「……授業中、雄二に会えない分のう・め・あ・わ ・せ」
「冗談じゃねぇ、俺は帰るぞ」
「……今日は、帰さない」
バリバリバリバリ
気絶させられた雄二が連行された
…うん。いつも通りだ。
「仲の良いカップルですね~…」
「ホントね~…」
「羨ましいわね…」
三人とも、何かが間違ってる。
…優子、頼むから見習わないでくれ
その後、普通に映画を見たのだが……
「「………」」
「佳史…何で私を…遠ざけるのかしら…?」ボソリ
「遠ざけてんじゃねぇ。むしろ何で俺の肩に頭を乗 せようとする?」ボソリ
「「………!!」」
優子との静かな攻防に気を取られて内容が頭に入ら なかった…