ハイスクールD×D 精霊と龍神と   作:きよい

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今回はちょっとあれなシーンがあったりします。
嫌いな人は飛ばして読んでね!


13話

 みんなの協力もあって、元の状態に戻れた俺――兵藤一誠は、とんでもないものを見ていた。

 クロと呼ばれた女の子が、女の子の姿になったカイトにキスをしたんだ。

 ま、まあ女の子同士なら普通のことかとも思ったんだけど、このキスは、少し違った。

 そのことを、俺を含むグレモリー眷属全員は、すぐに知ることになる。

「んっ……」

「……ッ……」

「……はっ……」

「……」

 ―― な ん だ こ れ は。

 

 初めてだ。初めて見たよ。先生、女の子同士って、こんなにも素晴らしいものなんですね! でも、できるなら俺もしたい! もちろん、部長と! 

「これは、凄いね……」

 木場が苦笑い。

 なにが起きているのかと言うと、濃厚な。それはもう濃厚なキスシーンが繰り広げられているわけで……。全員目が離せない。

 オーフィスと何度かキスをしている――俺が知っているのは二回だけど――カイトでも、ここまで濃厚なのは初めてなのだろう。

 普段見せないような顔をしている。女の子になっているのでさらに良し! 女の子なカイトって相当の美少女だからな。多分、オカ研の中で一番かわいいぞ。俺は部長が一番だと思ってるけど! けど、カイトが可愛すぎる……。

「……んく……」

 ピクッ。

「はっ……ん……」

 チュッ、チュウウウ……。

 されるがままのカイト。

 初めての経験に為すがままにされるが、弱々しく背中を叩いて降参の意志を示すが、そんなことに気付いてないよう女の子――クロちゃんはキスを続ける。

 ビクンッ、と跳ね、その後細かく痙攣し出すカイト。

「や、やめ……」

「んー?」

「んあっ……んん~……」

 ここまでクチュクチュと音が聞こえる。ツププ、ヌルッ、レロなどと俺の精神を揺さぶってくる。俺はこの場にいれることに感謝するばかりだった。自分が堪能するより、他人のを見ててここまで興奮できるとは! これが新境地なのか!? 

「ふー……ごちそうさま。お兄ちゃん……お姉ちゃんは出会ったときから効率いいと思ってたよ。予想通り、いままでにないくらい魔力がもらえたよ。ありがと」

 唇を放し、笑顔を向ける。お互いの唇から粘り気のある糸が引く。

「んっ……」

 その糸を辿っていくように、カイトの唇と再度重ねたクロちゃんは、糸を舐め取って、やっと気がすんだのかカイトから離れた。

 涙目なうえに、耳まで真っ赤に染めたカイトは、ぐったりして横たわり、立つ気力もなさそうだ。

 逆にクロちゃんは何事もなかったかのように笑顔を浮かべている。むしろ、さっきより元気に見えるくらいだ。

「あらあら、カイトくんは普段S気質なのかと思っていましたが、女の子になると途端にM気質に変わるみたいですわね。うふふ……」

 意外な一面を見た、とばかりに笑顔を浮かべる朱乃さん。ああ、カイト……。おまえも大変だな。女の子だとかわいいぶん、朱乃さんのSッ気を刺激したのだろう。

 はっ! 

 そして俺は思い出す。

 元々カイトを女の子にしたのは、ディオドラにはめられた鎖を俺の洋服破壊で壊す、否、剥ぎ取るためだ。かといって、元気なときにやると殺されかねない。あの綺麗な裸体を拝むためにも、チャンスはいましかない!

 カイトが立てないいまのうちに、一度として拝んだことのない裸をこの目に焼き付ける! 

 そして、その胸をこの手に掴んでみせる! 

 うなれ、俺の性欲ゥゥゥゥッッ!!

「イ、イッセーくん!?」

「イッセー!?」

 木場と部長が俺の動きに気付く。だがもう遅い。いまの俺なら、『騎士』の速度よりも速い自信がある! 

 そして、ついに俺の手がカイトの服に触れる。

「ふえ?」

 涙目のカイトが俺を見上げてくる。

 悪い気もしたが、もう後には退けない! ここで退いたら次の機会がいつあるかわからないんだぁ!

「うなれ俺の煩悩! 『洋服破壊』ゥゥゥゥゥゥッッ!!」

 パチン! 俺が指を鳴らすと、腕にはめられた鎖が砕ける! そして――。

 カイトの服が弾けとんだ。そう、下着すらも粉々に。

 これで拝め――

 バキャッ!

 その瞬間、なにかが俺の顔面にぶち当たった! 

「うぼぉっ……」

 自分の口から奇妙な声が漏れる。

 何メートルか飛ばされたことに気づいたのは、背中が床に衝突してからだ。

「いっつぅ……。なんだ?」

 殺気……。最近では感じたことのないような殺気を感じた。

 飛ばされた方向を見ると、小猫ちゃん!? 拳を前に突き出した状態だ。察するに、小猫ちゃんに殴られたことでここまで吹っ飛んだのだろう。

「なんてことをするんだ小猫ちゃん! やっとカイトのおっぱいを拝めると思ったのに!」

「……最低です。なんとなくこうなると思ってカイト先輩の側に居たかいがありました」

 バカな……。俺より先にカイトの近くにいたのか。

「いや、退いてくれ小猫ちゃん。本来なら男同士なんだから、裸を見るくらい当然許されるだろう!?」

「いまは女の子です。最低ですね」

 あう! 正論だった。反論なんて許さないとばかりに怖い目をしている。

 だが、退けない理由が俺にもある。

 会談の後に女の子になったカイト。あのときもおっぱいを揉むために伸ばした手は小猫ちゃんに阻まれた。

「今度こそは……。今度こそ俺はあのおっぱいを掴む!」

 まだ見れてすらいないけど……ッ!

「俺は負けられないんだよ!」

「これは流石に酷いわ」

「へ? ぐうっ!?」

 腹に思いっきり打撃をくらう。

 やばい、なんて重い一撃だ……。膝をついてしまう。ハハ、立てねぇ……。

「こういうのを、社会のゴミとでも言うのかかしらね」

 底冷えのする目をしたクロちゃん。幼女のクセになんて力だ。

「あらあら、仕方ないですわね」

 アーシアのときと同じように、朱乃さんが魔力で服を着せる。ああ、もうダメだ。

 『覇龍』のせいで体力がほとんど空だったのに、こんな無茶をして、しかも結果を残せず。俺の意識は、ここで途絶えた。

 

 

<イッセーSide out>

 

 

 

 なんて経験をさせられたんだろう……。

 無事に家に帰ってきた俺――私は、一人ベッドで悶えていた。

 十日間帰らなかったせいでガブリエルさんに怒られ、久々に家族全員が揃ったさいには全員に怒られ、そして謝られた。

 謝ってきたのは朱乃さんと小猫だ。

 詳しい話はまた今度聞くことにしたけど、困ったことは続くもので。

 イリヤとクロが、少しの間家に住むことになった。帰ってきた流れで家にあがりこんできて、ガブリエルさんと朱乃さんと話をしてそのような結果になった。

 ガブリエルさんは、「こんな小さい子たちを放っておけませんよぉ」とのこと。まあガブリエルさんならそう言うかもしれませんけど。ここの家って私の家だよね?

 クロ……。クロー……ッ!

 ううっ、あんな恥ずかしいことを! それもみんなの前で! 

 あうー……。もうダメだぁ。

 そんな風に、あのことを思い出しては悶えている。

 けれど、次第に疲れてきたのが自分でもわかる。多分、明日は簡単には起きられないだろう。『光輝』は消耗が激しい。使用した後は、ほとんど力が出ないんだ。体力もごっそり持ってかれるしね。本当は、人間の身には強すぎるんだ。それでも、使えるものは全部使う。じゃないと、あいつには勝てない――。

 

 

 

 

 朝方。いつしか風邪をひいたときと似たような重みを感じた。

「カイト先輩、起きてください」

 小猫の声?

 でもなんでだろう? いつもより小猫の背が高い気がする。

「……小猫、背伸びた?」

「伸びてません。先輩が普段より小さいんです」

 ちいしゃい……寝起きで意識がハッキリしてなかったみたい。ちいさい?

「普段の先輩の身長が175だとすると、いまは150あるかどうかです」

 うわー小さい。

 思い出してみれば、いまは女の子か。

「そっかー。それで、なんでもう起きなきゃいけないの?」

「今日は体育祭ですよ?」

「いいよー、出ないからぁ。女の状態じゃ出れないし」

「それなら心配いりません。部長たちが昨日のうちに手を回していて、カイト先輩は元から女子生徒だったことになっています。かなり大掛かりな処置をしましたが、全校生徒の記憶も一部改変されています」

 う、うわー……。どうかクラスのみんなが普通に暮らせますように。

「わかった。じゃあ寝る。おやすみ……」

「なにもわかってないですよ!」

 布団にくるまり、再び目を閉じる。

 あれ? そういえば、小猫はベッドの横に立ってた? でも重みを感じたような気が――。

「うふふ、起きないとダメですわ」

 途端、布団の中に二本の腕が侵入してくる!

 上から馬乗りになってくる感触がある。 だ、誰?

「起きないとダメですわ。体育祭には、みんなが待ってるんですから」

 まだ時間はありますよ……。

 布団が剥ぎ取られる。

 私に馬乗りになっていたのは、朱乃さんだった。

「ニャー」

 と、紅い毛並みの猫。皆さんお忘れかと思いますが、うちにはティアマットと同じ使い魔として、火猫のスカーレットが住んでいる。

 スカーレットも上に乗っていて、スカートを穿いて乗っている朱乃さんのその中身が見えないようにガードする位置に居座っている。うん、ありがとね。

「朱乃さん、いまさら驚きはしませんけど、まだ眠いです。寝かせてください……」

「ダメです」

「寝かせて……」

「ダ、メ」

 酷いよ……。

「みんな、カイトくん――ちゃんと一緒に体育祭を過ごしたいんですよ」

「……」

 みんなが待ってる、か。『光輝』のこと、言いそびれちゃったな。

 でも、待ってると言われて今更反動で疲れきってるだなんて言っていいものだろうか。

 仕方ない、強引にでも寝て通そう。

「仕方ありませんわ。強硬手段といきましょう」

 ヒョイ。

 パタンッ。

 小猫がスカーレットを抱えて部屋を出て行った。なんで?

「うふふ」

 朱乃さんが笑みをこぼす。その両手はわきわきと不気味に動き回る!

「女の子に馬乗りするのは初めてですけど、これもいい体験ですね」

 その手が、私の胸に迫る。え? ええっ?

「起きるまで、揉みしだいてあげますわ」

「ちょ、待って、待、ひゃんっ……。んっ、うんっ……」

「ふふふ、ふふふふふふふふっ、ふふふふふふふふふふふふっっ!」

 その後、五分間に渡って朱乃さんのターンは続いた。

 起きると言っても聞いてもらえなかったのは、もはや言う必要もないよね。

 

 

 女子生徒用の制服を着せられ、朱乃さんと小猫に押されるように外に出る。後ろにイリナが続く。

「では行ってきます」

「……行ってきます」

「ガブリエルさま、イヅナちゃん、ティアさん、イリヤちゃん、クロちゃん、行ってきまーす」

 朱乃さん、小猫、イリナがあいさつをする。

「行ってきます…………」

 最後に私が続く。声に覇気が無いのはもうぐったりしてるから。

「いってっらしゃい~。後からみんなで見に行きますねぇ」

 ガブリエルさんが代表してそう言い、送り出してくれる。

 『光輝』の反動に加えて朝からの騒動で体力の大半を失った中、体育祭会場である駒王学園に向かった。

 

 


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