ハイスクールD×D 精霊と龍神と   作:きよい

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4話

 撮影会を行われてると騒がれていた方へ行くに連れて、カメラを持っている男たちがちらほらと見かけるようになった。

 と、あそこが一番集まってるな。

 俺が目的の場所を発見すると、そこには既に匙が介入しており、人を散らしていた。

 もう終わったってことか? よく見ればイッセーたちもいるみたいだ。

「イッセーも見にきてたのか。流石だな。それに部長たちも」

「なにが流石だよチクショウ! 俺はただ木場が気になるっていうから!」

「いやイッセーくん!? 確かに見にいってみようかとは言ったけど!」

 祐斗……。おまえまでイッセーに感化されてきていたのか。

「カイトくん、なんで僕に哀れそうな視線を送ってくるのかな!?」

 すまない祐斗。こればっかりは仕方ないだろう?

「せめてなにかいってくれないかな……」

 祐斗は激しく落ち込んだようだが、いまは撮影会の方に集中しよう。

 

 

「あんたもそんな格好をしないでくれ。って、もしかして親御さんですか? そうだとしても場に合う衣装ってものがあるでしょう。困りますよ」

「えー、だって、これが私の正装だもん」

 匙が注意を促すが、全く聞く気がないらしい。

 と、近くで見学していた俺たちに匙が気づき部長に頭を下げる。

「これはリアス先輩。ちょうど良かった、いま魔王さまと先輩のお父さんをご案内していたところなんですよ」

 すると、廊下の後方からソーナ会長と紅髪の男性二人が歩いてくる。

「何事ですか? サジ、問題は簡潔に解決しなさいといつも言って――」

「ソーナちゃん! 見つけた」

 それまで周りに関心を持っていなかった魔女っ子が会長にだけは過剰反応しうれしそうに抱きつく。

 知り合いかな? にしては並べて見ると会長と魔女っ子って顔似てる?

「やあセラフォルー。キミも来ていたんだね」

 サーゼクスさんが魔女っ子にあいさつをする。って、セラフォルー……? 

 ああ、イッセーはわからなそうにしてる! おまえ悪魔だろ、すぐにわかれって!

「レヴィアタンさまよ」

 部長がイッセーに説明を始める。イッセー、それくらいは覚えとこうな。

「あの方は現四大魔王さまのお一人、セラフォルー・レヴィアタンさま。そしてソーナのお姉さまよ」

「ええええええええええええええええッッ!?」

 イッセーの絶叫が廊下にこだまする。

「もっと大人っぽい姿を想像してたんだけど、随分とかわいらしい魔王さまだ」

「ああ、俺ももっとフェロモン漂う魅惑のお姉さまを想像していたよ」

 俺とイッセーは互いに感想をもらした。

 これ、聞こえてたら魔王相手にはやっぱりやばいんだろうか。

「セラフォルーさま、お久しぶりです。今日はソーナの授業参観に?」

「うん! ソーナちゃんったら、酷いのよ。今日のこと、黙ってたんだから! もう! お姉ちゃんショックで天界に攻め込もうとしちゃったんだから☆」

 そんなことで戦争起きるのか! コカビエルの回りくどいやり方じゃなくても戦争って簡単に起こせるみたいです。

 でもそんなことしたら三すくみの会談も実現しなくなるからね。起きなくて良かった……。

「イッセー。ごあいさつしなさい」

「は、はい!」

 イッセーがレヴィアタンさまにあいさつする。

「びっくりしたかい、カイトくん。彼女がもう一人の魔王だというのは」

 サーゼクスさんが俺に話しかけてくる。

「ええ、驚きました。まさかあんな軽い調子の女の子だとは」

「女の子か……。いや、やめておこう」

 なにをですか? あ、レヴィアタンさまから目を逸らした。

「それよりも、カイトくんもあいさつくらいしてきたらどうだい」

「はあ、そういうのでしたら」

 

 

「あらカイト。どうしたの?」

「サーゼクスさんにあいさつしてこいっていわれたんで」

「そう、お兄さまが。セラフォルーさま、彼なんですけど――」

「うん、噂の魔王聖女ちゃんでしょ? キミ私の眷族にならない?」

「へ?」

 俺、この人には会ったことないし、魔王聖女って? 俺の因子のこと、悪魔側には全部伝わってる感じ? 

 いや、それよりも、いまこの人、なんていったんだ? 

「聞こえなかったかな? 私の眷族にならない?」

「セラフォルー、一度に多くのことをいっても理解が追いつかないだろう」

 そこにサーゼクスさんが入ってレヴィアタンさまを止めてくれる。

「サーゼクスちゃんがこの子のこと私たち魔王に話したから悪いと思うの。興味持っちゃうでしょ、魔王にも聖女にも値する子なんて!」

 原因はサーゼクスさんか。

「安心していいよ、カイトくん。魔王である四人にしか話していないんだ。残る二人も信頼していい人物だから」

「サーゼクスさんがそういうならかまいません」

「それで、眷族どう?」

「なんで俺なんですか?」

「魔王聖女ってなんだか魔法少女の親戚みたいな感じじゃない! これは是非とも眷族にするしかないと思うの!」

「お断りします」

 いや、そんな理由で勧誘されてたまるか! そもそも俺は聖女って呼ばれるのは好きじゃない。

「ええー……。ソーナちゃーん! お姉ちゃんふられちゃったぁぁぁッ!」

「お、お姉さま!? ちょ、なんで私に抱きついてくるんですか! やっ、んんっ! どこ触ってるんですかぁ!」

「ふふふ、育ってる、育ってるのねソーナちゃん!」

 なんか姉妹で始まったぞ。

「月夜野くん! お姉さまを止めるためにも眷族になってください!」

 お断りですソーナ会長。

 あなたの一時の平和のために俺を売らないで!

「月夜野くん!」

 顔を真っ赤にさせながら叫び呼ぶ声。

 ごめんなさい、俺はもう関わりたくないです。

「ソーナちゃん、どうしたの? お顔が真っ赤ですよ? せっかくお姉さまである私との再会なのだから、抱き合いながら百合百合な展開をしていってもいいと思うのよ、さあしましょう!」

 うわー、この魔王さまの難易度高すぎるって……。

 会長が俺を売ろうとしてまで助かりたい気持ちもわからないではない。もちろん、俺も助かりたいから気持ちがわかっただけで終わりにしてもらいたい。

「…………お姉さま。いくら身内だとしてもお姉さまの行動は、あまりに……容認できません」

「そんなソーナちゃん! 魔王聖女ちゃんに続いてソーナちゃんまでお姉ちゃんをふるの! お姉ちゃん悲しい!」

 ちゃん付けやめてください……。

「そんなんだとお姉ちゃん、きらめくスティックで天使、堕天使をまとめて抹殺なんだから☆」

「ご自重ください。魔王のお姉さまがきらめかれたら小国が滅びます」

 ここでイッセーが近づいてきて小言で話し出す。

「魔法少女どころの騒ぎじゃないよな、それ。魔王少女だと俺は思うんだ。恐るべし魔王少女セラフォルー・レヴィアタンさま!」

「……仮にも悪魔のトップにそんなこといってていいのかよ」

「……悪い。俺もうこの流れについていけないんだ」

 わかるぞ、イッセー……。この魔王さまは俺たちとは住んでる次元が違うんだよ。

「さあソーナちゃん、お姉ちゃんに抱きついてきて!」

 眼前では目を輝かせながら嬉々としてそんな要求をする魔王少女さま。あ、イッセーのがうつった。

「うぅ、もう耐えられません!」

 目元を潤ませてこの場を走り去る会長。

「待って! ソーナちゃん! お姉ちゃんを置いてどこに行くの! あ、魔王聖女ちゃん、いつか必ず私の眷族になってね! そのときには私のことをお姉ちゃんと呼んでもいいから!」

 魔王少女さまは俺に早口にそう伝え、会長を追いかけ始めた。

「ついてこないでください!」

「いやぁぁぁん! お姉ちゃんを見捨てないでぇぇぇぇぇっ! ソーたぁぁぁぁん!」

「『たん』付けはお止めになってくださいとあれほど!」

 会長はそう呼ばれてるのか。高校生になると恥ずかしい呼び名だ。

 それにしても、凄まじいな。エネルギーの塊みたいな魔王さまだったぞ。

「うむ。シトリー家は平和だ。そう思うだろ、リーアたん」

「お兄さま、私の愛称を『たん』付けで呼ばないでください……」

 会長たちが去ったと思ったら次は部長たちか。

 部長は『リーア』って呼ばれていたのか。

「それにしても、カイトくんはよかったのですか?」

 横から声をかけられる。

 見てみれば、朱乃さんが隣にきていた。

「なにがですか?」

「魔王さまの眷族になれる機会だったのにと思いまして」

 ああ、そういうことか。

「いいんですよ、これで。魔王さまの眷族ってのは多忙そうだし。それに俺、この町から離れる気もありません。だから、俺の居場所はこの部活でいいんですよ」

「うふふ、そうですか。それならいいですわ」

 嬉しそうに笑う朱乃さん。俺、なにかいったか?

 女性の心境は複雑で理解できないな。

 その後、イッセーの両親と部長の父さんが話しに行ったり、サーゼクスさんと部長たちも話があるとかで移動してしまった。

「……八坂も九重も帰っちまったし、教室戻って寝てるか」

 暇なときは寝るに限る。睡眠はとれるうちにとっておかないとな。

 


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