ハイスクールD×D 精霊と龍神と   作:きよい

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テストに追われたり課題に追われたり。
今日まで毎日徹夜で奮闘していた作者です。
さて、何日か空けてしまってすいません。今日からまた二日に一話ペースで書けたらと思います。


7話

さて、これでイッセーと祐斗は無事に部長のところまでたどり着けるかな。 

 できることなら俺も速めに部長のところに追いつきたいところなんだけど……。

 俺は目の前の現状にうんざりしていた。

「……せっかく、グレモリー眷族の『騎士』と斬り合えると思ったんだが。残ってくれたのは人間か?」

 俺の評価って悪魔の中じゃ低くできてるのか? 確かライザーもたかが人間風情とかって感じの接し方だったよな……。このカーラマインって悪魔もそういう評価かな。

「まあ、この人間さまが相手になってやるよ……。全員出てきな。俺を倒さないとイッセーたちを追えないぞ」

「あら、追う必要なんかありませんわ。お兄さまのお相手をするのに、二人増えた程度ではなにも変わりませんもの」

 俺の言葉に逸早く反応したのは、ライザーの『僧侶』だ。

 西欧のお姫さまみたいなドレスを着こんだ美少女で、頭の両側にドリルみたいな縦ロール。お姫さまと呼ぶべき容姿の少女が、そこにはいた。

 少女の後ろには、他にも五人ほど控えている。

 相手側の『女王』は朱乃さんが相手してるはずだから、カーラマイン含めて『兵士』二名、『僧侶』二名、『騎士』二名、『戦車』一名か。

 七人程度なら、いけそうだな。

「お兄さまが勝つゲームですから、あなたも早めに退場していただきますわね」

 縦ロールのお姫さまがそんなことを言ってくれる。

「……たく、どうもおまえたちは俺のことを下に見たいみたいだな」

 俺はそう呟いた。

「なにか言いました?」

 どうやら、その声は相手まで聞こえなかったらしい。

「変な方ですわ。もういいから、退場してもらえますか」

「つまり、あんたと戦えってことか?」

「あら、私は戦いませんわよ。見てるのが役目ですから」

 縦ロールのお姫さまはそう言い残し、後方へと下がっていく。って待て! 退場とか抜かしておいて自分はなにもしない気かよ!

 その代わりか、顔の半分を仮面に隠した女性と、背中に剣を携えたワイルドな出で立ちの女性、頭部に獣耳を生やした二人の女の子。彼女ら四人が前へ出てくる。

 確か、『戦車』と『騎士』、それに『兵士』の二人だ。

「……あんたら四人が相手か? さっきの子は戦わないし、なんなんだよ」

「あー、まあなんだ、気にしないでくれ。あの子は特殊なんだ。いつもああした感じだから」

 仮面の女性が額に手を当てて、困り顔で答える。

「訳ありか? なら仕方ないけど」

「いや、あの子――あの方はレイヴェル・フェニックス。ライザーさまの妹君だ。特別な方法で、ライザーさまの眷族悪魔になっているが、実の妹君だよ」

「……」

 絶句した。あの焼き鳥ライザーにこんな妹がいるとはな! そして妹を眷族にする変態ヤロウだったか……。やっぱあいつは倒そう。その方が世界のためになるよね。

「その、なんだ……。あんたらも案外大変なんだな……」

「そんな哀れむ顔で慰めないでくれ……」

「あ、すまん」

「ちょっとイザベラ姉さん、速く終わらせないと」

「そうだよ、話してる時間じゃないよ」

 俺と『戦車』――イザベラと呼ばれていたか。イザベラの話に飽きてきたのか、『兵士』の女の子たちが騒ぎ出す。

「そうだな、すまない」

「そうだな、そろそろ始めよう。変態の生態もわかったことだし、イッセーたちに追いついて変態を消さないと。で、まずはあんたら四人が相手でいいのか?」

 俺の質問に答えたのは、後方で傍観しているレイヴェルだ。

「あら、あなたみたいな人間に四人も必要ないですわ。ニィ、リィ」

「にゃ」

「にゃにゃ」

 『兵士』の二人が反応を見せ、俺に構えをとる。

 どうやら、この二人で十分と評価されたみたいだ。

「彼女たちは獣人の女戦士。体術は、それはそれは大したものですのよ?」

 瞬間、獣耳の『兵士』が視界から消える。ように見えた。

「多分、イッセーなら見えずにボコボコにされるんだろうな。っていうか、やっぱおまえら人間のこと舐めすぎだろ」

 俺は白銀の剣、<魔王殺しの聖剣>を一薙ぎし、残りの眷族悪魔たちに<真実を貫く剣>を向ける。

「全員でかかってこないと、勝負にもなんねぇよ」

 眼前では、俺に向かってきていた『兵士』の女の子たちが動きを止めていた。そのまま光に包まれ、この空間から姿を消す。

『ライザー・フェニックスさまの「兵士」二名、リタイア』

 グレイフィアさんのアナウンスが流れ、二人が退場したことを告げる。

 威力は抑えれるだけ抑えたから、消滅したりはしないだろう。一応、エストは聖剣だからな。普段は出力も抑えてるから、部員は誰も気づかないけど。悪魔って苦手だからなぁ、これ。

「な……ッ!? あ、あなたはただの神器持ちの人間ではないの!」

「あー……人間だよ、人間。一応な」

 ここで魔王の因子持ちの人間とか言っても訳わからんだろうな、きっと。

「ほら、はやくかかってこいよ。単身で突っ込んでくれば今みたいに一度の斬撃で退場だぜ」

「クッ、全員でやりなさい! なるべくカバーしあって早めに仕留めて!」

 レイヴェルの指示が聞こえる。

「全く、怖い人間もいるものだな」

 イザベラが先行し、俺に向かってくる。『戦車』の拳か。直撃したら身体に響きそうだ。

 俺は向けられた拳を剣で防ぎ、イザベラを睨む。

「怖いとは言ってくれるね、あんたらの魔王さまに近い存在でもあるってのによ」

「なんの話だ?」

 イザベラは首を傾げる。当たり前か、俺の神器は宿主を選ぶからな……。その事情を知ってなきゃ、意味がわからないか。

「それはな――」

 言葉は続かなかった。

 二人の『騎士』が俺を左右から挟むように斬りかかってきたからだ。

 後方に下がり二人の剣を避け、そのまま下げた足を軸に一回転し右手に握った聖剣を騎士の甲冑ごしに叩きつけ吹き飛ばす。

 呆気に取られていたもう一人の騎士には闇色の軌跡を残す勢いで左手の剣の突きを食らわせる。

 かろうじて大剣で防いでいたが、無駄だ!

 競り合った状態から、左手に力を込める。絶剣技には、突きの技があるんでな。

 一瞬、剣を引き相手との間に隙を作る。

「絶剣技初ノ型――紫電!」

 瞬間、閃く稲妻のごとき光刃の一撃が、騎士へ直撃した。

 防御した大剣など意にも介さず斬り裂き、騎士は光に包まれていった。

『ライザー・フェニックスさまの「騎士」二名、リタイア』

 当然、ここで止まっている暇はない。

 騎士を囮にして、僧侶が魔力を練っていた。無数の氷柱が俺に向けられる。

「この数は、かわしきれないか」

 尖った先端が俺に向け次々に襲ってくる。

 一発でも直撃すれば刺さって戦闘続行は厳しくなるだろう。

「続けてだと、辛いんだぞ……」

 左手に握っていた<真実を貫く剣>を地面に突き刺し、<魔王殺しの聖剣>だけを構える。

 狙うは無数に飛んでくる氷柱。

「絶剣技、三ノ型――影月演舞!」

 水に映る影月の如く、揺らめき舞うような斬撃。

 斬っては瞬転、さらに瞬転して斬り払う。

 飛び交ってくる全ての氷柱を叩き落とし、その足で僧侶の下まで駆け抜ける。

「あんたも、退場だ!」

 剣を無造作に振るだけで、僧侶も光に包まれ始める。

『ライザー・フェニックスさまの「僧侶」一名、リタイア』

「さって、あとはあんた一人かな」

「……驚いたな。人間とは思えないよ」

「俺も、俺の全部が人間だとは思ってないさ」

 残ったイザベラに本心を告げる。

「さあ、時間が惜しい。逃げるなら追わないけど?」

「そういうわけにもいかないさ。逃げるつもりはない」

 静かに突き刺していた闇色の剣も握りなおす。

「わかったよ」

 素直に正面から倒そうとするスタイルなのか、俺へと鋭いストレートを繰り出す。

 元から短時間での決着しか考えていない。

「あんたの正面突破な姿勢、嫌いじゃないぜ」

 それだけ言い残し、ストレートを打ち込んだ隙を狙い剣の柄を腹に突き刺す。

 聖剣としての力を少しだけ放出し、身体に流す。

「ぐッ、この力、まさか貴様の剣は……」

『ライザー・フェニックスさまの「戦車」一名、リタイア』

 俺はイザベラがリタイアしていくのを最後まで見届けた。

 絶剣技を二回、か。俺もまだまだだな。俺に絶剣技を教えたあの人なら、一度も使わずに倒すんだろう。

「さて、残すはあんた一人だけど、どうせ戦う気はないんだろ?」

 最後まで傍観者であったレイヴェルに投げかける。

「あたりまえですわ。あなたがお兄さまの眷族たちより強いのはわかりましたが、それでもお兄さまには勝てない。フェニックス――不死鳥は死にませんもの。それに、今のリアスさまのお力ではお兄さまを何度も殺すのも、神を殺せるような一撃もないでしょうし」

「……そうか。でも、やらないといけないんだよ」

 俺はそのまま校舎に向けて歩き出す。

 今も、みんなが戦っている。速く、追いつかないと。

「まだ、戦いますの? 勝てないゲームなんですのよ?」

「戦うさ。それに、俺たちはただ勝つために戦ってるんだ。ここで諦めたら、皆に殺されちまうよ」

『リアス・グレモリーさまの「女王」、リタイア』

 朱乃さんが負けたか……。こりゃいよいよ厳しくなってきたな。

「女王も、いなくなりましたわ。貴女方の最強の駒ももうない。それに、もうすぐお兄さまの女王が来ますわ。戦力差は更に開く……。それでも?」

「……ああ」

 校舎の屋上を見上げると、祐斗がいくつもの魔剣を創り出し、ライザーに向かっていき、その後をイッセーが続いて走っていく姿が視界に入る。

 屋上からは何本もの魔剣が突き出ている。その上、イッセーの籠手の形に変化が見える。あいつ、なにか新しい力に目覚めたか。

 二人ともボロボロになりながらも、諦めた様子はない。

「俺、もう行くわ」

「もう、無駄ですわ。ここで待っていた方が、人間のあなたは安全ですわよ。お兄さまから一撃でも貰ったら、死んでしまいますし」

「関係ねぇよ。引きとめ続けるってなら、もう行くわ」

 俺は足を速め、屋上に向かい始めた。

 

 

 

 校舎の中から上ってく暇は無いな。

 俺の扱える数少ない魔術。身体機能、筋肉や神経、骨格を魔術で覆い、強化するシンプルな応用。

「けど、これだけでも扱えれば、登ることぐらいなら簡単なことだよな!」

 校舎の壁の所々に存在する隙間に足を引っ掛け、壁を駆け上る。途中、何度も剣が砕ける音や、爆発音が聞こえてくる。

 レティシア、悪いが少し休んでてもらうぞ。

 握るのは右手にある<魔王殺しの聖剣>のみ。

 八坂、九重。やっと、あの絶剣技のお披露目ができそうだ。

 ドォォォォォォンッ!

 一際大きな衝撃音が聞こえてくる。

 クソッ、なにか起きたか!?

 逸る気持ちを押さえつけ、確実に壁を駆け上がる。

「イッセー、祐斗! おまえら無事だ――」

 屋上にたどり着いた俺が見たのは、倒れ伏した二人の姿だった。その前には、ライザーが笑みを浮かべ佇んでいる。部長は反対側にアーシアと共にいるのが見えた。

「ハハハ、遅かったなぁ、人間! いま丁度、リアスの下僕が俺になぶられ終えたところだ。ああ、安心しろ、ちゃーんとリタイアさせてやるからさ」

 そう言い、ライザーは祐斗の襟を摑み持ち上げる。

「まずは『騎士』だ。よく頑張ったと思うよ」

 そのまま、祐斗に一撃を入れる。

 祐斗が光に包まれ始める。だが、最後に俺を見て、安心したような顔をした。

 そして、

『リアス・グレモリさまの「騎士」、一名リタイア』

 祐斗は姿を消した。

「さあ、次はあの『兵士』くんだぁ!」

 楽しそうに笑うライザー。そんなに、そんなに楽しいか? いたぶることが、そんなに……

 この、クソヤロウがッ!!

「ふざけんじゃねぇ! 手前みたいなヤロウに、これ以上仲間やられてたまるか!!」

 イッセーに手が伸びる前に駆け出し、こちらに意識を向ける。

「おいおい、まだ来るなよ。おまえはこの『兵士』くんを消してからと思っていたのに。全く、予定が狂うじゃないか……まあいい。一撃で、終わらせてやる」

 ライザーが手を振り、そこから炎が放出される。

 ほとばしる紅蓮の炎が屋上を燃やしながら襲ってくる。

 そうだよ、その炎を攻略するために俺は修行して来たんだよ。扱え切れなかった、絶剣技を習得するためにな!

 でもライザー、おまえにはその剣技が無くても、正面から潰しにいったと思うぜ。

 俺の仲間、散々いたぶりやがって……。

 ここまで身体が熱くなって、そして、怒りの感情が表に出るのは久々だ。

「――覚悟しろ、ライザアァァァァァァッ!!」

 自ら炎に突っ込み、聖剣を振るう。

「絶剣技、四ノ型――焔切り!」

 斬撃の旋風に炎を巻き込み吸収し、逆に自身の剣に炎を纏わせる剣技。

 横薙ぎに振るった<魔王殺しの聖剣>が紅蓮の炎を打ち払う。

「なにっ!?」

 動揺を見せた一瞬の間にライザーとの距離を詰める。

「絶剣技、破ノ型――烈華螺旋剣舞・十五連!」

 次の瞬間、閃く無数の剣閃が、ライザーを襲った。

 

 

 

 




こんな半端に終わらせたら次話はどれだけ短くすれば気がすむんだ!
もうこの話でレーティングゲーム終わらせればとか思った作者。思っただけで終わるのであった。

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