ハイスクールD×D 精霊と龍神と   作:きよい

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最新話です。
結構話数も重ねてきましたが、ここまで読んでくれている方がいったいどれだけいることやら……。
ここまで読んでくれている人、ありがとう!


3話

 京都駅から一駅進んだところに稲荷駅があり、そこから下車することで伏見稲荷への参道に入ることができる。

「狐ばかりだね」

「そうね。ここでお土産買っていってもお小遣い足りるかしら?」

「みんなのぶん買ってきたいね」

 私とイリナは、修学旅行には来れないみんなへのお土産の話をしていた。

 けれど、ひとつ言っていいかな。

「イリナ、歩きにくくないの? 私にくっついてると明らかに不便に見えるけど」

 さっきからずっと離れないよね。普段なら男除けとして機能するかもしれないけど、いまは無理だよ?

「いいじゃない! せっかくの修学旅行なんだから楽しまなきゃ!」

 あれですか? テンション上がっちゃってるだけなの? それにしては近いんだけど……。

 この先山登りだよね。私が大変なんだけど。

「どうしてもとは言わないけど、少しは離れたら? 私よりイリナの方が身長高いし私に合わせてると大変だよ」

 女の子になると身長だいぶ縮むから。

 オーフィスが小さかったから、その影響が強く出てるのかも。

「だからいいんじゃない! カイトさんの抱き心地は最高だもの!」

「ほう。それならば試さないことなどありえない!」

「ここはぜひとも我々に!」

 松田と元浜が飛び掛ってくる!?

「ちょっ……。やっぱり気持ち悪い」

 ほんと、なんでこいつら迷いなく突っ込んでくるの? 相手は一応女子ですよ、女子。

 普通男子が女子に抱きついてきたら問題になるだろうに。

 いや、もちろんきもいからさせないけどさ。

 十分にひきつけてから横にずれると、二人はうしろにあったお店の中へと突っ込んでいった。

 抱きあうように、二人で。

 よかったね、男子の抱き心地が知れて。

 桐生が二人はおいて先に行くことを提案してくれたので、千本鳥居を見ながら山登りが始まった。

 友達であるはずのイッセーまで二人を置いていくなんて思ってなかったよ。

「イッセーって実は変態の同士は嫌いだったりするの?」

「松田と元浜のことか。いや、あいつらは放っておいても楽しくやれそうだし、お店の人に怒られている時間待ってると、せっかくのみんなが楽しむ時間がないかなってさ」

「ふーん。そっか」

「あとはほら、カイトもここ数年はこんな機会なかっただろうし。やっぱいろいろ見る時間は多い方がいいだろ?」

 部長とアーシアはこういったところに惹かれてるのかね。

 私にはあまり響かなかったけど。まあ、ただの優しさだからかな。

「そうだね。二人に狙われるよりは全然快適」

 なんだかんだよけるよきはイリナもあわせてくれたし。

「カイトさんがなにもしなければ私が止めてたのに」

 一応護ってはくれるんですね。

「でもイッセーがそう言うなら、私先に頂上まで行ってこようかな。イリナも、私に引っ付いてないでアーシアとゼノヴィアとも話してきなさい」

 強引に引き剥がし、桐生に一言入れてから一人で階段を登っていく。

 ところでなんで制服ってこんなにヒラヒラしてるんだろう。スカート短いし。

 朱乃さんに強引に着せられたやつだからなぁ……。本来より短くされてるのかも。

 とスカートを引っ張っていると、イッセーが追いついてきた。

「あれ? 速かったね」

「これでも特訓してるからな。で、もしかしてここが頂上か?」

「あ、やっぱりそう思う?」

 イッセーの疑問も当然だろう。

 目の前にあるのは古ぼけたお社だし。

 八坂がいれば教えてもらえるんだけど。でも八坂を呼ぶなら九重と三人で周りたいしなぁ。

「っていうか、なんで他の人いないの? ここってそんなに人気ない?」

「こっち来るまでの道にはたくさんいたもんな。戻るか」

「だね」

 と、その場をあとにしようと――。

「……京の者ではないな?」

 背後から声がかかる。

 周囲を見渡すと、私たちは囲まれていた。

 イッセーは驚いているようだが、気配を感じられるようになったのだろう。前と比べれば落ち着いている。

 そんな私たちの前に現れたのは、巫女装束を着た金髪、金色の双眸の少女。

 頭部に生える獣の耳に尻尾。

「九重! あーよかった。修学旅行があるから会いにいこうと思ってたんだぁ。八坂は元気?」

 話しかけると、なぜか睨まれた。

「余所者め! やはり母上のことを……ッ! かかれっ!」

 九重の掛け声とともに、林から天狗や狐の妖怪たちが大量に出現する。

「あれ? 九重、私のことわからない?」

「知らぬ! そんなことより母上を返してもらうぞ!」

 返してもらう……。母上を? 

 八坂の身になにかあったと見るべきか。

 あ、それによく考えたらいま普段とまるで姿が違うから九重でもわからないんだ……。

「よく聞いてほしいんだけど、私は月夜野カイトなの! 九重、わからない!?」

「母上だけでなくカイトもやられてしまったのか……。カイトは男じゃ! 私の目は誤魔化しきれんぞ!」

 うそだぁ。

 もう、なんで修学旅行中に面倒事に巻き込まれかけてるんですかね。

「誰だよまったく……。私の邪魔をしてるバカどもは」

 私たちに襲い掛かってくる集団に向けて、久々に本気の殺気を放つ。

『――っ!?』

 すると、全員がもれなくその場で固まって動けなくなる。

 この程度の奴らじゃ話にならない。

(邪神と戦ってから、随分と力の使い方がうまくなったわね)

 レスティアか。

 そうだね。でもそれ以上に、力が増してる気がするよ。

(あとは、あなたの問題ね。あの一言をどう処理するのかは、カイトに任せるわ)

 わかってる。

 それっきり、レスティアの声は聞こえてこなくなった。

「さて、やろうって言うなら相手するけど、いまなら逃げてもいいよ。私のことを誰かわからないあなたたちじゃ意味がないの。あとでこっちから会いに行くから」

「……撤退じゃ。いまの戦力ではこやつに勝てぬ。おのれ、邪悪な存在め。必ず母上を返してもらうぞ!」

 九重が悔しそうに言い残すと、瞬時に姿を消した。

「うん、八坂は私が助ける。必ずそっちに返すよ」

 聞こえたかな。

 こっちはこっちで考えることがあるっていうのに、余計なことばかり起こるな。

 でも、八坂が絡んでいるのなら積極的にいかないと。なにより九重に勘違いされたままなんてつらい。

「カイト、知り合いだったのか? なんなんだよあいつら」

「知り合いのはずだけどね。向こうはわからないみたい。それより、戻ってアザゼルに報告だけでもしておこう」

 予感でしかないけど、一波乱ありそうだ。

「わかった。それは俺の方からしておく」

 

 

 

 

 その後ホテルでの夕食も済ませ、嫌な時間がやってきた。

 お風呂だ。

「カイトさん、浴場に行きましょう」

 イリナがなんでもないかのように誘ってくる。

「行かない。私は部屋のシャワーでいいから、イリナはアーシアたちと行ってきなよ」

「え? 行かないの!? みんなで楽しく入浴しないと!」

 ちょっとは考えてよ。別にいつも女の子ならいいけどさ、そうじゃないじゃん!

 こんなときだけ一緒に入るのはよくない。

「あ、あまり大勢で入りたくないからいいよ。お願いだからここにいさせて」

 部屋にいれば無駄に疲れなくてすむから!

「そう……。じゃあ私もこっちで一緒に入るわ」

「――……一緒に入るのはもしかして確定?」

 いやいや、そんなバカな。

「一緒に入らないでどうするの?」

 これどっち選択してもダメなやつだ。

「はあ、わかったよ。浴場行こ。どうせ変わらないならいいや」

「ええ、そうしましょう!」

 嬉しそうに手を握ってくるイリナ。

 自然とこっちまで笑顔になりそう。天使か。素質あるね。

 と、廊下を進んでいくと、シトリー眷属の女子二人が立ちはだかるようにしていた。

「なにしてるの?」

 訊くと、

「覗きに来る男子が必ず出てくるから見張りをね。あなたたちも気をつけてね。特にほら」

 はい、言わなくても誰かわかります。部員がご迷惑をおかけして。

「気をつけるよ。イッセーは変態だからね。きっと来ると思う」

 それで私は止めないんだ。なんだか少し悲しいよ。

 ロスヴァイセさんの声が響いてくるような気もしたけど、上の階あたりかな。

 なにが起きてるか想像できるから、関わらないうちに入ってしまおう。

「長い髪洗うの初めてだからさ、イリナ、洗ってくれる?」

「ええ、もちろんよ! 身体も全部、私に任せて!」

「へ? いや、別にそこまでは――」

 聞いてない!? 

 うう、はやく元に戻らないかな。

 イリナに連れられ、私はお風呂へと入った。

 




さて、どうしよう。
お風呂でなにがあったか書くべきか。もしくは流して本編の流れに入ってくべきか。
迷うところだなぁ。

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