ハイスクールD×D 精霊と龍神と   作:きよい

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内容的には一巻のラストです。
スラッと短めにいきましょう。


9話

 さて、どういった状況だ?

 俺は昨日、確か家に帰ってきて黒歌と話をしていたな。

 それで……ああ、そうか。

 烈華螺旋剣舞を使った反動で身体に限界が来て――倒れたのか?

 だったら部屋に連れて行ってくれればいいのに。なんでソファーで寝かされなきゃならないんだ……。それに……。俺は横へと視線を向ける。

 そこには、長い黒髪を床に垂らしながらすぐ隣で少女が寝息をたてていた 

 綺麗に寝転がってんな。一つとして乱れていない寝相は綺麗に見えるが、同時に死人のようにも思える。

 まあ、これが少女――オーフィスのいつもの寝姿なのだが。

「……側にいてくれたって解釈しとくよ、オーフィス。ありがとな」

 オーフィスの頭を優しく撫でる。

「悪いな、今日は早く部室に行かないといけないんだ。後のことは黒歌に任せていくから」

 名残惜しいけど、今日は急がないといけない。

 多分イッセーが一番に会いに行っているだろうな。

 疲れが抜けない身体であっても、遅れるわけにはいかないのだ。

 俺は自室に戻り、制服の袖に腕を通した。

 昨日一日制服を着ていた俺としては、なんで今着替えているのか不思議だった。

 なんでかって? だって俺が朝起きて着ていた服って、寝巻きだったんだぜ?

 誰の仕業だこれ……。制服綺麗になってるからいいけどさ……。

 

 

 俺が部室に着くころ、部長とイッセーを除くみんなが部室に入っていくところだった。

「おはようございます!」

 俺があいさつをすると、

「あら、おはようございます」

「カイトくん、おはよう」

「……。……おはようございます」

 朱乃さん、祐斗、小猫があいさつを返してくれた。

「さて、それではみんな揃いましたし、入りましょうか」

「そうですね。もう、来てるんですよね?」

 俺たちより先に、イッセーはもう会っているんだろうな。

 昨日あいつが助けた少女と、イッセーの楽しそうな声が外まで聞こえてくる。

「うん、そうみたいだね」

「それでは、行きましょう」

 祐斗が扉を開き部室へ入っていく。

 中には、部長、イッセー。そして――アーシアの姿があった。

「おはようございます、部長、イッセーくん、アーシアさん」

「……おはようございます、部長、イッセー先輩、アーシア先輩」

「ごきげんよう、部長、イッセーくん、アーシアちゃん」

 みんなちゃんとあいさつするのね。じゃあ俺も。

「おはようございます、部長、イッセー、アーシア」

 俺たち全員がイッセーと呼んだことに対して、呼ばれた本人は嬉しそうにしていた。

 それにしても、この部活に入ったのは最近だけど、どんどん部員が増えていくな。

 にぎやかでいい場所だ。

 と、俺たちが全員揃ったのを見て、部長が立ち上がる。

「さて、全員が揃ったところでささやかなパーティーを始めましょうか」

 そういうと部長が指を鳴らす。

 すると、テーブルの上に大きなケーキが出現した。やっぱ本物の悪魔の魔力って便利だよなー。俺がやっても大雑把にしかできないし。

「た、たまには皆で集まって朝からこういうのもいいでしょ? あ、新しい部員もできたことだし、ケーキを作ってみたから、みんなで食べましょう」

 部長が照れくさそうに言った。

 手作りって、気合入ってるな。

 と言うか、俺はここに居てもいいのか?

 僅かにだが疑問が表情に出てしまったのか、部長に聞かれる。

「カイト、どうかしたの? あ、甘いの苦手だったかしら?」

 そこですか。いや、聞いといた方がいいかな、今後のためにも。

「部長、それにみんなも。俺は眷属ってわけじゃないし、だからと言って悪魔というわけでもない。俺は、ここに居てもいいんですか?」

 そう、俺はグレモリー眷属でなければ、完全な悪魔じゃない。せいぜい、魔王としての因子がある程度。悪魔と呼ぶには程遠い。俺はなにもかも、中途半端な存在。俺は――

「なに言ってるんだよ。おまえは俺を助けてくれたんだ。おまえだって、もうとっくに俺たちの仲間じゃんか」

 イッセーが即座にそう言ってくれた。

「そうだね、僕らと共に闘ってもくれたし、なにより僕の友人だからね」

 他のみんなも頷いてくれた。

「そういうことよ。カイト、あなたもここの部員なんだもの。それに、私たちの仲間でしょ。眷属だけが、繋がりじゃないわ」

「……。……みんな、ありがとう、ございます……」

 どうやらこれで本当の意味で、学校にも俺の居場所ができたみたいだ。

 みんなの優しさと、温かさに包まれた場所が。

 俺の目の前では、パーティーを盛り上げるためか、イッセーが「ドラゴン波」を披露していた。まったく……。次、俺もなにかやってみようかね。

 俺の芸は一人じゃできないから、そうだな。イッセーと祐斗と一緒にやるか。

 二人のもとへ、俺は静かに歩きだした。

 

 




次は使い魔の回でもやりましょうか。
龍王の一角が登場するかもね? ホント、登場させるかどうか悩む。

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