初投稿です。
とある海域に出撃した艦隊のとある空母の艦載機妖精さん主人公です。
ですが、敵の編成はかなり適当で、モデルとなったものはありません。
話もかなり短く、ありきたりな内容ですし、作者の妄想も大爆発しているためもはや艦これと呼べるのかすらも怪しいです。
そんな作品見れるか!という方はいそいでブラウザバックを願います。
しゃーねぇ、暇つぶしに見るか。と言う勇者の方だけ進むことをおすすめします。

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艦娘たちの輝かしい戦果の裏側では何が起こっているのか。
艦娘のあの戦果は決して艦娘だけの努力だけではない。
あの裏側では妖精たちが人知れず奮戦しているのだ。
多くの提督は艦娘が傷つくと一応に冷や汗をかいたり、悲鳴をあげたりするだろう。
しかし、例えば、空母クラスの艦娘たちが放った艦載機が落ちても同じ反応をするのだろうか

それは人によってはするのかもしれない。だが、きっと多くの提督はそれを気に留めることはないだろう。
この物語はある一人の艦載機妖精の見た戦場である。




艦載機妖精さん

わたし達は、兵士。

わたし達は、消耗品。

わたし達は、妖精。

わたし達は、使い捨て。

わたし達は、生き返る。

何度でも、生き返る。

例え、対空砲火にさらされても。

例え、敵機の攻撃にさらされても。

痛みは最初のうちだけ。

なれてしまえば、大丈夫。

死んでも、どうせ生き返って、また飛ぶ。

でも、死にたくない。

あの海は、優しくない。

だから、落ちたくない。

だから、死にたくない。

死にたくない。

 

−とある妖精の手記より抜粋

 

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 

《赤城艦戦隊より加賀艦攻隊へ、敵機を目視で確認。こちらが奴らを引き付ける。そのまま直進されたし。》

 

《了解、赤城艦戦隊。幸運を!》

 

何時も通りのやり取りをレシーバーから聞き取りながら私は操縦桿を握り締める。

私の乗機は九七式艦上攻撃機。雷撃戦を担当する機体だ。

私の任務はこの機体に装備された魚雷で敵を撃沈すること。

その為には艦上戦闘機隊の護衛が不可欠だ。

そして、護衛機はあの赤城さんの隊だ。

優秀な彼女達の隊なら心配はない。

そう言い聞かせて私は飛ぶ。

私ももう何度死んだだろうか。

初陣では運良く帰れたものの、その次の作戦行動では高度を下げるタイミングを間違ってしまったために敵艦に集中砲火を受けてあっという間に落ちた。

あの時の光景と痛みは未だに忘れられない。

誰かが落ちる瞬間は死ぬほど痛いと言っていたが、あの痛みは本当に痛い。

全身が引き裂かれるような想像を絶する痛み。いや、本当にバラバラになっていたのかもしれない。

だけど、わたし達妖精には関係ない。

わたし達妖精は赤城さんや加賀さんみたいな艦娘ではないのだから。

彼女たちは撃破されれば本当に死んでしまう。

でもわたし達は撃破されても気がつけば生き返っている。

だから、提督たちはわたし達のことを気にしない。

私たちが落ちていっても気に留めない。

赤城さんや加賀さん達が傷つくと慌てた顔をするらしいけど。

でもそんなことはどうでもいい。

わたし達はわたし達の役目を果たすだけ。

撃沈すれば褒めてもらえる。

撃沈すれば死なない。

撃沈すれば生き残れる。

撃沈すれば痛くない。

そのためだけにわたし達は戦っているのかもしれない。

 

《三番機!遅れているよ!機体にトラブルでも?》

 

隊長機からの無線で我に返る。

 

《こちら三番機!異常ありません!すぐに追いつきます!》

 

増速して本隊に追いつく。

既に前の方では赤城さんの艦戦隊と敵の艦戦隊が激しい空戦を繰り広げていた。

爆炎と曳光弾の煌めきが美しく光るが、あの中では一体何人の仲間や敵が落ちているのだろうか。

 

《さぁみんな、花火の中に突っ込むわよ!気を引き締めて!!》

 

《了解ッ!!》

 

多数の九七式艦攻が全速力で戦闘空域へと向かう。

激しい空中戦。機銃の発射音とレシプロエンジンの悲鳴がそこかしこで鳴り響き、後ろに座った電信員の乾ちゃんが近寄ってくる敵機に機関銃をうつ。

 

《くそ!こいつらいい動きをする!!》

 

赤城さんの艦戦隊の叫びが偶然入った。

良く見れば襲いかかってくる敵機の光っている部分がいつもの緑色ではなく、金色に光っている。

 

《艦攻隊に近寄らせるな!》

 

艦戦隊も必死で敵機を迎撃するが、奮戦虚しく落ていく機体も多数いる。

艦戦隊の足並みが少しずつ崩れ始め、こっちのほうにも被害が出始める。

 

「伏ちゃん!八時の方向から敵機くるよ!!」

 

「振り切ってみる!!」

 

偵察員の三木ちゃんが叫ぶ。

乾ちゃんの機銃は最初の弾倉を撃ち切ったのか、唸り声が聞こえない。

 

「乾ちゃん!生きてる?!」

 

「まだ生きてるよー!弾が詰まっちゃったみたい!!」

 

私の機の機銃はどうも調子が悪いらしい。

前回の出撃でもこんな感じで弾が詰まったのだった。

 

「帰ったら整備の子に文句をいってやる!!」

 

乾ちゃんが叫ぶ。

そうしているうちにも敵機の機銃弾が機体の真隣をすり抜けていく。

ヒュンヒュンという独特の風切り音が、けたましく唸るエンジン音越しにも聞こえてくる。

 

《こちら加賀艦攻隊三番機!敵機に追われてる!援護求む!!》

 

乾ちゃんが無線機にさけぶ。

 

「ちょっと無茶するよ!!」

 

二人に呼びかけて私は機を急降下させた。

強烈なGがかかり、胃が押しつぶされる感触が襲いかかってくる。

海面が近づく。

「うわぁぁぁぁ!!」

操縦桿を引き、無理やり機体を引き上げる。

魚雷を抱えているため、こういう機動はかなりの無茶になるが今回も成功してよかった。

直後、後ろから海面に何かが激突する音が鳴り響く。

 

「やった!一機撃墜だよ!!」

 

三木ちゃんが嬉しそうに叫ぶ。

どうやら敵機は上がりきれずに海面に激突したらしい。

この避け方は私がたまたま覚えたやり方で、後ろに付かれたときはいつもこうして回避している。

 

《加賀艦攻隊各機へ!生き残った機はもう一度陣形を作り直して攻撃態勢をとるよ!》

 

隊長機の指示通り、私はもう一度隊列に加わるために機を上げた。

だがまだ油断は出来ない。

艦戦隊が撃破しそこねた敵機がしぶとくわたし達を追尾し、各機の後部機銃が唸り声を上げる。

 

「ちくしょう!あいつ、めちゃくちゃ硬いよ!!」

 

乾ちゃんがボヤく。

だがそんなことを気にしている余裕はない。

とにかく隊形を維持しなければ。

操縦桿を握る手は汗ばんでいた。

早く早く早く早く早く!

とにかく攻撃位置に着きたい!

早くこの魚雷を放って戻りたい!

全神経を目の前の光景に集中させる。

 

《よーし!そろそろだよみんな!各機高度を下げて!!》

 

目の前に見える6つの影。

巨大な帽子を被った影や両手に巨大な砲塔を持った影、それらを庇うように展開する小さな影や盾のようなものを持った影が見える。

 

《各機、安全装置解除!優先目標は空母ヲ級、並びに戦艦ル級!!》

 

敵艦が弾幕を展開する。

曳光弾やVT信管砲弾、ロケット砲弾などが飛んでくる。

 

《ぐわぁぁぁ!!》

 

私の前を飛んでいた機がVT信管砲弾の爆炎に巻き込まれ粉々になって落ちていく。

すかさず降下し、弾幕を掻い潜りながら雷撃位置を目指す。

 

《くそ、落ちる!!》

 

一機、また一機と落ちていく。

 

「おぉぉぉぉぉぉ!!」

 

爆発と機銃弾を掠めながら全速力で突っ込む。

 

「今だ!!」

 

投下レバーを引く。

私の機が抱えていた魚雷は海に吸い込まれるように落ちていきそして走り出した。

 

「あたって!!」

 

私は叫んだ。

魚雷は真っ直ぐに空母ヲ級に向かっていく。

相変わらずの弾幕を紙一重で躱しながら敵艦隊を突き抜ける。

 

《しまった!主翼がッ!!》

 

運のなかった機が落ていく。

雷撃後の着弾までのこの間が一番の恐怖だ。

ほどなくして一際大きい爆発音が聞こえた。

 

「やった!ヲ級に命中だよ!!」

 

乾ちゃんの言葉がなくとも、私にも見えた。

魚雷の直撃を脚にモロにくらったヲ級はよろけ、それに続いた二、三発の魚雷をくらい、そのまま沈んでいった。

 

《戦果確認!ヲ級一隻、イ級二隻、撃沈!!ル級中破!チ級大破!!》

 

高高度を飛ぶ観測機からの報告だった。

 

「やった!やった!ざまぁみやがれバケモノ共!!」

 

三木ちゃんの嬉しそうな声が聞こえる。

 

「帰ろう。残った敵は日向さんや金剛さんがやってくれるよ。」

 

二人にそう言って私は機首を母艦である加賀さんの方向へむけた。

生き残った少数の敵艦がまだ対空弾幕を張るが、先ほどのものと比べればかなり散発的であり、回避は容易かった。

ふと、帰投機の数を数えてみるとたったの4機しかいなかった。

その中に隊長機は無かった。

生き残った機もほとんどがぼろぼろで、エンジンから煙を上げている機も見える。

 

「あの煙を上げているのって、もしかしてめーちゃん達のじゃない?」

 

三木ちゃんがいう。

めーちゃん達は私たちが一番仲良くしてるチームだ。

わたし達の同期であり、鎮守府でもよく遊んでいる。

出撃の度、機体全体に弾をくらいながらも絶対に帰ってくる彼女たちのことだ。きっと落ちはしないだろう。

 

「大丈夫かな・・・」

 

乾ちゃんが呟く。

 

「もうすぐ着くよ。きっとそれまでは持ちこたえるさ。」

 

そうつぶやき、着艦態勢を取る。

 

《第一次攻撃隊、お勤めご苦労さま。損傷の激しい子から降りてきて。》

 

加賀さんの声だ。

やっと帰ってこれた。

加賀さんの声を聞くととても落ち着く。

 

《損傷が軽い子は空中待機。少しの我慢だから。》

 

加賀さんの指示通り、まず最初にエンジンから煙を上げているめーちゃんの機から着艦する。

加賀さんの伸ばした腕の上に広がる飛行甲板に着艦するめーちゃんの機体。

よく見ると電信員席のキャノピーが吹き飛び、電信員のまことちゃんがぐったりとしている。

いずれは怪我もなかったことになるのだが、それでもあの姿は見なれていても痛々しい。

しかし、そんなことを考えている間にも他の機が着艦し、私の番がきた。

いつも通り、高度を下げながら機首を上げ、脚を広げ、着艦する。

タイヤと甲板の擦れる音と着艦時の振動を身に受けながら、やっと帰ってきたという実感を感じる。

 

「やっと終わったね。」

 

三木ちゃんがヘッドセットを外しながら言った。

 

「大戦果だよ!」

 

嬉しそうにいう乾ちゃん。

でも、その戦果の裏では多くの犠牲が伴っている。

いや、どうせ生き返るのだが。

でも、辛い。死の瞬間を何度も味わうのは辛い。

それでも、わたし達は飛ぶ。

それがわたし達の使命であり、生きる意味なのだから。

 




最後まで読んでくださりありがとうございました。
自分自身、海軍や第二次大戦については以前から興味はあったのですが、艦これを始めてから本格的にはまり、にわかに産毛が生えた程度の知識で当作品を書き上げました。
その為、史実や実際の編成、戦略ではありえない表現とか、そもそもそういうことすらも表現できていないかもしれません。
ただ、一つだけ言わせてください。

艦載機妖精さんありがとう。

の一言です。自分の中では彼女たちが艦載機を操っているものだと妄想しており、開幕航空戦で活躍してくれる彼女たちには本当に感謝しており、感極まってこんなものを書いてしまいましたw
なので落ていく機体を画面で見る度、小説のなかで書いたような光景が目に浮かんできますw

あと、主人公たち三人の名前でありますが、押井守の某警察映画のサントラを聞きながら書いていた為あんな名前になりましたw
でも三木ちゃんだけは適当に思いつきました。


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