廃工場
水のエル(究極)「人でないものは…消えろ…」
水のエルが手を前に翳した時、ディケイド達は嫌な予感を感じ咄嗟にその場から飛び退く。その瞬間、さっきまでディケイド達がいた地面が衝撃波によって爆ぜる。それをディケイド達は、相手の凄まじいパワーに驚きながらも、各々の武器を構える。
水のエル(究極)「人は人のままであればいい…」
ディケイド「はっ!」
ボルガ「だぁ!」
次の衝撃波を避けると、ディケイドとボルガが同時に斬りかかる。それを水のエルは魚類の尾びれのような刃に豪華な装飾が付いた何処か神秘的な雰囲気を纏った戦斧“怨恨のハルベルト”で受け止める。
ディケイドとボルガは腕に力を込めて、水のエルを押し込めようとする。しかし、ディケイドとボルガが幾ら力を入れても、水のエルは揺るがなかった。
水のエル(究極)「無駄だ…。ふんっ!」
ディケイド、ボルガ「うわっ⁉︎」
水のエルは自身の得物に力を込めてディケイドとボルガを弾くと、目にも留まらぬ速度の突きをディケイドとボルガに連続で放つ。それだけの攻撃で、ディケイドとボルガは火花を散らしながら吹き飛ばされ、あまりの痛みに地面を這い蹲る。
すると、水のエルは倒れているディケイドとボルガにむかってゆっくりと近づいていく。
ディエンド「させない!」
ガルガイン「やめろ!」
それを見たディエンドとガルガインはすぐさま、水のエルに向けてディエンドライバーとGNピストルビットを連射する。しかし、水のエルが視線を向けた瞬間、光弾とビーム
がそこで停止する。
水のエル(究極)「愚かな…」
ガルガイン「なっ⁉︎」
ディエンド「まずい!」
水のエルが怨恨のハルベルトで地面を一回突くと、停止していた光弾とビームがディエンドとガルガインに向けて動き出した。それに驚きながらも二人は何とか躱す。
だが、二人が躱した光弾とビームは急に方向転換して、また二人に迫る。
ディエンド「きゃっ!」
ガルガイン「ぐあっ!」
先程回避したばかりの二人にこれは流石に躱せず、背中に直撃する。それを見た水のエルは再び視線を正面に向けるが、そこには倒れていたディケイドとボルガの姿がない。
水のエルは二人の姿を探す為に辺りを見回す。
《KAMENRIDE BLACK》
その音声に水のエルが振り向いた先には、Dブラックとボルガが走ってきていた。そして、二人が同時に跳び上がるとDブラックが左拳、ボルガが右拳を振るう。水のエルはそれぞれの拳を弾いて、軌道を逸らす。Dブラックとボルガはその勢いで倒れかけるが、受け身をとって立て直す。
Dブラック「はっ、だあっ!」
Dブラックは右拳を水のエル目掛けて振るうが、水のエルはそれを怨恨のハルベルトで防ぐ。だが、Dブラックは怨恨のハルベルトを上に蹴り上げて、弾く。そして、ガラ空きの胴体に全力のストレートを放つ。
Dブラック「⁉︎」
水のエル(究極)「何だそれは?…ふっ!」
Dブラック「があっ⁉︎」
だが、Dブラックはまるで素手で岩でも殴ったかのような手応えに仮面の下で目を見開く。そんなDブラックを見ながら、水のエルは全くダメージを与えられていないDブラックの拳を掴む。
そして、無理やり腕を捻り、そのまま投げ飛ばす。Dブラックは碌に受け身も取れず地面に叩きつけられる。
ボルガ「やあっ‼︎」
水のエル(究極)「む…」
水のエルに向かって駆けて行ったボルガは、その勢いを殺さずに跳び上がり、右膝を折り曲げて膝蹴りを叩き込む。しかし、水のエルはそれを諸に喰らっても微動だにしない。
ボルガはそれに構わずに左足で思いっきり蹴りつけて、その反動で後ろへ跳ぶ事で距離を取る。
ボルガ「くっ⁉︎効かないか…」
水のエル(究極)「無駄な足掻きだ」
水のエルはボルガに怨恨のハルベルトの鋒を向ける。ボルガはそれを見て思わず身構える。その時、横から銃撃が放たれ、水のエルに命中する。
水のエルとボルガがそちらを向くと、ガルガインとディエンドがGNピストルビットとディエンドライバーを構えて立っていた。
ガルガイン「僕たちはまだまだやれるぞ!」
ディエンド「そういう事だよ。あんまり嘗めない方が良いよ?」
水のエル(究極)「貴様ら…」
ボルガ「!(今だっ!)」
それぞれの銃を構えたディエンドとガルガインの方を見て自身から注意が逸れている水のエルを、ボルガはチャンスとみて向かっていく。それに気付いた水のエルは自身に放たれる銃撃を無視して、ボルガの攻撃に対応しようとする。
水のエル(究極)「ふんっ!」
ボルガ「そこだっ!」
ボルガは自分に振るわれた怨恨のハルベルトをギリギリで受け流し、懐に潜り込む。そして、そこへ勢いをつけた全力の頭突きをお見舞いする。周囲に甲高い音が鳴り響く。
ボルガ「そ、そんな⁉︎」
水のエル(究極)「…」
水のエル自慢の頭突きでも目に見えてダメージを与えられていないことに驚き固まっているボルガの頭を片手で掴むと、そのまま軽々と持ち上げる。そして、ボルガの頭をギリギリと締め上げる。その痛みにボルガは思わず悲鳴をあげ、抜け出そうと必死にもがく。
ボルガ「があぁぁぁぁぁ‼︎」
水のエル(究極)「…」
悲鳴をあげ、もがき苦しむボルガを見ても水のエルは何の反応も示さず、どんどん力を加えていく。ボルガはあまりの痛みに意識が朦朧とし、視界が次第に暗くなっていく。と、その時…
ガルガイン「やめろぉぉぉ‼︎」
水のエル(究極)「⁉︎」
ガルガインが後ろから水のエルの腕に向けてビームを連射し、更に水のエルの横に回り込みボルガを掴んでいる腕をGNピストルビットで殴る。
それにより、ボルガを離したところに、追撃として蹴りを一撃喰らわせる。その予想外の反撃と怒りの蹴りの威力に水のエルは蹴られた箇所を腕で庇いながら初めてよろけて後退する。
ガルガイン「大丈夫⁈」
ボルガ「う、うん…なん、とか…ね」
ガルガインはボルガに駆け寄ると、ボルガはまだ意識がはっきりとしていない様だったが、心配させまいと片手を上げて答える。その様子を見て一先ず安心したガルガインは、水のエルを睨みつけると立ち上がる。そして、二挺のGNピストルビットを向けて構える。
ガルガイン「今度は僕が相手だ!」
ボルガ「ま、待つん…だ…」
ガルガインはボルガの制止も聞かずに、水のエルに向かって飛び出す。ガルガインは距離を詰めた所で近距離射撃を放つが水のエルは何ともないように受け止め、逆に怨恨のハルベルトを横に振るう。
それをGNピストルビットで受け流しながら体勢を低くするガルガイン。そして、怨恨のハルベルトを振り切った状態の水のエルに連続で打撃を加え、最後に回転の勢いを加えた肘打ちを見舞う。だが、その攻撃も難なく受け止められる。
水のエル(究極)「はあっ!」
ガルガイン「がはっ‼︎」
水のエルは念動力で吹き飛ばしたガルガインに、追撃として下からの切り上げを喰らわせる。それを喰らいガルガインは一回転して地面に叩きつけられる。そこへ先程のダメージから立ち直ったボルガが駆けつける。
ボルガ「大丈夫かい⁉︎」
ガルガイン「う、うん。だけど、彼奴…」
ボルガ「ああ、恐ろしい程に強い…!」
ボルガとガルガインとは別の場所で合流していたブラックへの変身が解けたディケイドとディエンドも水のエルの方を向きながら焦りを隠せないでいた。
ディケイド「まずいね…」
ディエンド「僕たちの攻撃が全く通用しない」
ディケイド「此処までの奴と戦うのは初めてって訳じゃないけど、対抗策が浮かばないよ」
ディエンド「今までの様子を見る限りだと、他のライダーの能力でも…」
それぞれの様子を見ていた水のエルだったが、不意に手を前に翳した。すると、ディケイド達とボルガ達の足元に何かの紋章が現れ、輝き出す。それに嫌な予感を感じた四人はその場から逃げようとするも、その瞬間に紋章から念動力による爆発が起こり、四人を同じ方向に吹き飛ばす。
吹き飛ばされた四人は、そのダメージ量に起き上がれない。そんな四人に怨恨のハルベルトを向けながら近づいて来る水のエル。もう駄目かと思われたその時、ガルガインの視線の先に落ちているあるものが映った。
ガルガイン「あれは…。!そうだっ!」
それはディエンドとの戦いで弾かれたサイクロンソードであった。それを見付けたガルガインは何を思いついたのか、そこへ向かう。そして、サイクロンソードを拾い上げると刀身に風を纏わせ、最大威力で風の斬撃波を放つ。
だが、その斬撃は水のエルではなく、その頭上の天井に向かって行く。そして、斬撃は廃工場のボロボロの天井を突き抜け、空へと消える。
水のエル(究極)「なんだ、今のは…?」
ガルガイン「今にわかるさ」
ガルガインがそう言うと、水のエルの頭上の古びた天井とその付近が崩れ降りかかり、それにより生じた砂埃で水のエルの視界が遮られる。
だが、水のエルは一切動じる事なく、怨恨のハルベルトの柄の部分で地面を一回突く。すると、水のエルに降ってきた天井だったものや砂埃が何か見えない力に吹き飛ばされる。そして、周りを見渡す水のエルだったが、ディケイド達の姿が見当たらない事に気付いた。
水のエル(究極)「…まあ、いい。あの程度の奴らなど放っておいても問題あるまい…」
逃げたディケイド達を追おうともせずに、独り言のように呟く。そして、踵を返して歩き出す。だが、突然水のエルの姿がスゥーっと薄れていき、とうとう最初からそこに存在しなかったかの様に完全に消えてしまった。天井に大穴が開いた廃工場には沈黙しか残されていなかった。
裏山
自然が多く存在する裏山に二つのエンジン音が響く。そして、それぞれのマシンを操縦しているディケイドとディエンドが現れた。
ディケイド「取り敢えずは、逃げ切れたかな…?」
ディエンド「恐らくはね。それにしても、良かったのかい?」
ディケイド「ん?何が?」
ディケイドの問いに自身たちの後ろに乗っている人物達に視線を向ける。その視線に気付いた人物がディケイド達に声をかける。
ガルガイン「ありがとう!」
ボルガ「おかげで助かりました」
ディケイド「いや、良いよ。こっちだって、そっちのおかけであそこから逃げられたんだし、お互い様さ」
ディケイド達の後ろに乗っていたのは、脱出の際に一緒に連れてきたガルガインとボルガだった。二人のお礼を受けたディケイドは軽く手を振り、気にしないでと言う。それを見たガルガインは先程から気になっていた疑問を口にする。
ガルガイン「でも、どうして僕たちを助けてくれたの?」
ディケイド「なんでか〜…正直なところ、そこまで考えてなかったよ。そんな暇なかったし」
ボルガ「でも、本当に助かりました!ありがとうございます」
ディケイド「もうお礼は大丈夫だよ」
ディケイドはガルガインの問いにハッキリとしない答えを返した。それを見ていたディエンドは三人の会話に口を挟む。
ディエンド「盛り上がってるところ悪いけど、そろそろ変身を解いたほうが良いと思うけどね」
ディケイド「あ、そうだね」
そう言うと二人は変身を解いて、のび太と幸の姿に戻る。
ガルガイン「えっ…」
ボルガ「そんな…⁉︎」
のび太「?どうかしたの?」
その瞬間、ガルガインとボルガが驚きのあまり動けなくなる。それを見ていたのび太が頭に疑問符を浮かべながら理由を問おうとする。それには答えず、未だ呆然とした様子でガルガインとボルガが自身のベルトへ手を伸ばし、変身を解除する。そして、現れたのは…
のび太「っ!ドラえもんに…僕⁉︎」
のび太?「これって…」
ドラえもん?「一体…」
あまりの事態に思わず思考停止に陥る三人だったが、このままでは埒があかないと言う幸の言葉で、ドラえもん?がピンク色のテニスボール大の球体に針のようなものがついた宿泊用の秘密道具“キャンピングカプセル”を出して、それを地面に刺して巨大化させる。そして、四人はその中に入る。
のび太「本物の秘密道具だ…」
幸「取り敢えず、そっちの事情を聞かせて欲しいね」
のび太がキャンピングカプセルが本物である事を確認し、幸はドラえもん?とのび太?に話を聞こうとする。
ドラえもん?「うん、分かったよ」
のび太「って言っても、こっちだってよく分かってないんだけど…」
そう言ってから、ドラえもん?はここに至るまでの経緯を全て話しだす。どうやら、町を歩いていたら銀色のオーロラを発見し、それに近づこうとして誤って潜ってしまったら学校の裏山に出てきて、町をさまよっていたところにあの光の球を発見し、あの廃工場に来たということらしかった。それを聞いたのび太と幸は一つの結論に辿り着く。
のび太「成る程ね。そういう事か」
のび太?「何か分かるの⁈」
幸「まあね。僕たちも経験した事あるしね」
ドラえもん?「どういう事?」
のび太と幸はお互いに顔を見合わせて、頷く。そして、身を乗り出しているのび太?とドラえもん?に今の状況を伝える。
のび太「その二人が潜った銀色のオーロラはね、別の世界同士を繋ぐものなんだ」
のび太?「…え?」
幸「つまり、ここは二人のいた世界とは別の世界で、二人はこの世界に飛ばされてきちゃったって事かな」
ドラえもん?「そ、それって本当?」
のび太と幸の言葉にポカーンとなるのび太(別)とドラえもん(別)だったが、ドラえもん(別)がそれが冗談ではない事を聞く。それにのび太は黙って頷く。それを見たのび太(別)とドラえもん(別)が固まる。そして、油の切れた機械の様な動きで顔を見合わせる。その後、再び前を向くと…
のび太(別)、ドラえもん(別)「ええぇぇぇぇぇぇぇっ‼︎」
二人は驚愕の表情で魂から叫び声をあげた。因みに、その叫びはキャンピングカプセルの天井を通り抜け、雲よりも上の空を越えて、宇宙にまで響いていたという。まあ、そんな事は置いておくとしよう。
のび太「大丈夫?」
のび太(別)「いやいや、僕ら今大丈夫な状況じゃないんだよね⁉︎」
ドラえもん(別)「これからどうすれば⁈」
幸「う〜ん…原因を突き止めないことにはどうしようもないし、先ずはそこからかな?」
慌てふためく二人に、至って冷静さを崩さないのび太と幸。それを見た二人も何とか自分を落ち着かせる。そして、この状況になっている原因を考える。
のび太(別)「原因って…あの銀のオーロラ?」
のび太「そうなんだけど、正確にはそのオーロラが発生した原因かな?」
幸「例外もあるらしいけど、なんの理由もなく突然でてくる様な代物じゃないからね」
ドラえもん(別)「そう言われても、僕等も心当たりは正直…」
銀のオーラの発生原因を考える四人だったが、中々思いつかない。と、ここでのび太(別)が閃いた。
のび太(別)「もしかして、さっきの怪人が関係してるのかな?」
幸「確かに、そう考えるのが今は一番自然だね」
ドラえもん(別)「でも、そうすると今度は彼奴がなんなのかって疑問が浮かび上がってくるけど…」
のび太「滅茶苦茶な強さってこと以外、分からないからな〜」
今ある情報だけでは幾ら考えても全く答えに辿り着けず、頭を悩ませる四人。完全にお手上げ状態に陥っていた、その時…
鳴滝「随分と困っているようだな、ディケイド」
のび太(別)「だ、誰⁉︎」
ドラえもん(別)「て言うか、何処から⁉︎」
幸「この声…」
のび太「鳴滝か…」
唐突に聞こえてきた声にのび太(別)とドラえもん(別)はキョロキョロと辺りを見回す。一方、のび太と幸は聞こえてきた声からその人物を察する。そして、のび太はその人物がいる方向へ向き直る。
のび太「鳴滝」
幸「それで、僕たちに何の用かな?悪いけど、今は君に構ってるほど暇じゃないんだけどね」
鳴滝「それは此方も同じ事だ。だが、状況が状況なだけに今こうして此処に来ているのだ」
のび太「…まるで、何かを知ってるみたいな言い方だね」
事態が呑み込めていないのび太(別)とドラえもん(別)を置いてけぼりにして、話を進める三人。のび太と幸はそれぞれのDフォンをポケットの中で掴み、何時でも操作出来るように準備する。のび太は鳴滝の何かを知っているような言い方に疑問を感じる。
鳴滝「ああ、知っている。知りたいか?」
幸「まあね。でも、それを言うためにわざわざ来るなんて、どういうつもり?」
鳴滝「今回はお前達をどうこうしようと言うつもりはない。ただ、今の状況は私にとって都合が悪い。それだけだ」
幸「それを信じろと?」
鳴滝「そうは言っていない。だが、どちらにしろ私は話すだけ話させてもらうぞ」
鳴滝の物言いや態度から真意を探ろうとする幸とのび太。だが、鳴滝もそれらを一切悟られないように無表情を貫く。その場を沈黙が支配する。事情がさっぱりなのび太(別)とドラえもん(別)は、どうすることも出来ずにその場の流れに身を任せていた。そんな中、とうとうのび太が口を開いた。
のび太「分かった。話を聞くよ」
幸「…のび太?」
のび太「今、僕達には情報が無さ過ぎる」
幸「こいつの言葉を信じるの?」
のび太「そうじゃない。けど、聞くだけ聞こうって言うだけさ。それを信じるかどうかは後から考えればいいさ」
幸「…そこまでのび太が言うなら、それでいいよ」
のび太「ありがとう。そっちの僕とドラえもんもそれでいい?」
ドラえもん(別)「う、うん」
のび太(別)「事情はさっぱりだけど、君達がそれでいいなら」
鳴滝「話は纏まったか?」
のび太の意見に皆がとりあえず賛成したところで、鳴滝がそう言ってきた。それに頷いたのび太は早速、鳴滝に説明を求める。鳴滝もそれに頷き、説明を始めた。
鳴滝「まず、あれについてから話そう。ディケイド、お前は今朝戦った怪人を覚えているか?」
のび太「今朝…ああ、覚えてる。それが?」
鳴滝「お前達がさっき戦ったのは、それだったものだ」
のび太「…は?」
鳴滝の言った事実に思わず素っ頓狂な声をあげるのび太。幸も声こそ出さなかったものの、内心のび太と同じような事を思った。
のび太「だったもの…?」
幸「それってどういう…?」
鳴滝「お前達が倒した怪人、水のエル。それが倒された後にエネルギーの塊が残った」
ドラえもん(別)「エネルギーの、塊?」
鳴滝「要は魂みたいなものだ」
のび太(別)「それが残るって…そんなのあるんですか?」
鳴滝「滅多にない。だが、元が強力なだけにあり得ないとも言い難い」
のび太「で、その魂からどうなったの?まさか、魂の状態からさっきの状態に蘇ったってこと?」
鳴滝「いや、違う。魂と言っても所詮は残り物。本来ならば、ただ消える筈の存在だった…しかし、私がそれを別の世界から連れてきた水のエルに融合させた」
のび太、幸「⁉︎」
のび太(別)、ドラえもん(別)「?」
鳴滝の言葉に驚きを隠せないのび太と幸。それを見たのび太(別)とドラえもん(別)は二人の反応を不思議に思った。故に、のび太(別)は二人に尋ねる。
のび太(別)「ねぇ。その、融合させるのってそんなに不味いの?そりゃあ、強くはなるだろうけど」
のび太「うん。それがただの融合ならまだ良いよ。けど、今回の場合は違う」
ドラえもん(別)「違う?それってどういう事?」
幸「今回は水のエルと別の世界の水のエルを融合させた。つまり、本質的に同じ存在を融合させたんだ。パワーアップだって、ただの足し算って訳でもない。同じ存在が混ざり合うんだ、爆発的に力が上がってもおかしくないよ。で、僕たちが懸念してるのはそれだけの力を彼奴が完全に制御出来てるのかだけど…」
幸はそういいながら、鳴滝の方をチラリと見る。のび太も鳴滝の方を睨むように見ている。それらの視線を受けながら鳴滝は再び口を開く。
鳴滝「それは今のところ分からない…だが、彼奴の力が暴走でもしたら被害はこの世界だけでは収まらないだろう。少なくとも近くの世界は影響を受けるだろう」
のび太(別)「そ、それって…僕たちの世界も…?」
鳴滝「ああ、この世界とお前たちの世界はかなり近くに存在している。なにも影響がないというのは無いだろう」
ドラえもん(別)「そんな…!」
自分たちの世界も危ないという事を知って目を見開き、顔を青くさせるのび太(別)とドラえもん(別)。鳴滝はそんな二人から視線を外し、出口に歩いていく。
鳴滝「話す事は話した。ではな」
のび太(別)「待ってよ!」
この場から去ろうとする鳴滝をのび太(別)は大声で制止する。その声に鳴滝は前を向いたままだが、のび太と幸とドラえもん(別)はのび太(別)を見る。
のび太(別)「何でこんな事をしたの?」
鳴滝「何でだと?」
のび太(別)「だって、貴方の所為でこんな事になってるんですよ」
鳴滝「だから、何だ?それがお前にわけを話す理由にはならない」
のび太(別)「そんな…!貴方は…」
のび太「止めなよ。そんなこと言っても無駄だよ」
のび太(別)と鳴滝の会話にのび太が割って入る。
幸「そいつにそんなこと言ったって相手にされないよ」
のび太(別)「でも…」
ドラえもん(別)「のび太くん。気持ちは分かるけど、今は水のエルを探さないと」
のび太(別)「くっ…!」
幸とドラえもん(別)の言葉に顔を俯かせて、拳を固く握しめる。それを見た鳴滝は何も言わずに、今度こそ去っていった。その後、のび太たちは水のエルの捜索の為に町へと降りていった。
河川敷
のび太「いないなぁ…」
のび太(別)「うん…」
現在、幸は別行動でのび太とのび太(別)とドラえもん(別)は水のエルを探すために河川敷に来ていた。のだが、一向に見つからず三人は途方に暮れていた。三人は既に他の場所も探したのだが、それでも見つからなかった。
ちなみに、のび太(別)とドラえもん(別)は変装している。理由としては、のび太とドラえもんがこの世界に二人もいると後々にややこしい事になりそうだったからである。
のび太は着せ替えカメラで服を着替え、少し大きめの帽子を深く被っていた。ドラえもんは、ただ服装を変えても無意味だったので着ぐるみを着せて動物と言う扱いにしている。なんの動物かと言うと…
ドラえもん(別)「ねぇ、二人とも…。なんで僕だけこんな扱いなんだい⁉︎」
のび太(別)「仕方ないじゃない、ドラえもん着替えるだけじゃ誤魔化せないんだもん」
のび太「だから、動物に扮装した方が楽なんだよ」
ドラえもん(別)「…君たちの考えはよく分かったよ。だから、百歩譲って動物に扮装させるのは納得するよ。けど、けど…何で…よりにもよって…狸なんだよ‼︎」
そう、ドラえもんが来ているのは狸の着ぐるみなのだ。だか、意外にこれが似合っているのもあってか案外誤魔化せていたりしていた。サイズとか色々とおかしい部分もあるものの、元が元なのでと言うところもあるのだろう。
のび太(別)「何でって言われても…」
のび太「それが一番しっくり来るんだからねぇ…」
ドラえもん(別)「僕はネコ型ロボットなんだぞ!」
のび太、のび太(別)「ネコ、ねぇ…」
ドラえもん(別)「納得いかない反応だな!あと、息ピッタリだね君たち!」
のび太、のび太(別)「そりゃ、自分同士ですから」
妙に息の合ったのび太コンビにドラえもん(別)が憤りをぶつけるが、全て悉く躱される。そんな話題の中、のび太(別)が脱線していた話を戻そうとする。
のび太(別)「そんな事は置いておいて、本当に見つからないね」
ドラえもん(別)「…。(納得いかない…けど、我慢だ我慢…)」
のび太「そりゃ、当てが全くないから当然っちゃあ当然なんだけど…どうしたものか」
三人は何とかならないものかと頭を悩ませるが、完全にお手上げ状態で何も思いつかない。三人は揃ってため息をつく。そして、のび太(別)が目の前の川を目にした時、ふと口を開いた。
のび太(別)「一緒だなぁ」
ドラえもん(別)「どうしたの、のび太くん?」
のび太(別)「うん、僕たちの町と一緒の光景だなぁって」
のび太「そりゃ、君たちの世界とこの世界はかなり似てるらしいし、そこら辺も変わらないんじゃないかな?」
のび太(別)「そうなんだ…うん?」
のび太(別)の感慨深げな呟きに、のび太が応える。それを聞いたのび太(別)は自分の世界とこの世界とを比べていたが、何かに気づいた様に声をあげた。
のび太(別)「この世界は僕たちの世界と似てるんだよね?」
のび太「そうだけど、それがどうかした?」
のび太(別)「だったらさ、この世界にもドラえもんたちもいるんじゃない?」
のび太「うん、いるけど」
ドラえもん(別)「のび太くん、一体どうしたのさ?」
のび太(別)の疑問に次々と答えるのび太。それを不自然に思ったドラえもん(別)はのび太(別)に何をしようとしているのかを尋ねる。
のび太(別)「だから、この世界のドラえもんたちに協力してもらうのさ。別世界って言っても、皆ならきっと頼りになるよ!」
ドラえもん(別)「でも…」
のび太「駄目だ」
ドラえもんの言葉に被せ気味に案を否定するのび太。そのあまりの真剣な表情に二人は言葉が出ない。そんな二人にのび太は言葉を続ける。
のび太「この世界の皆は、こっちの事情を知らないんだ」
のび太(別)「だけど、皆ならきっと手伝って…」
のび太「だからだよ。ドラえもんや静香ちゃんやジャイアン、スネ夫は皆いい奴だから。言えば、僕たちの助けになろうとしてくれると思う。でも、だからこそ僕はそんな皆を巻き込みたくないんだ」
のび太の言葉に何か言いたそうだが、その気持ちが分かる故に中々返す言葉が見つからないのび太とドラえもん。そのまま、三人とも黙ったままでいたが、突然のび太がその場から飛び退く。すると、さっきまでのび太がいた場所を何かが猛スピードで通過する。のび太は何かが飛んできた方向に向き直り、2人も自身の警戒度を最大にして構える。そのまま、三人が周囲を警戒しながらいると、それは現れた。
キョウ「やあやあ、ご機嫌よう」
のび太「キョウ!」
ドラえもん(別)「知ってるの?」
のび太「うん。あんまり詳しい説明はできないけど、敵なのは確かだよ」
その場の雰囲気に似合わない挨拶をしながら現れたキョウと対峙しながら、2人にキョウが敵であると教える。それを聞いたキョウは態とらしく肩を竦める。
キョウ「酷いですね〜、のび太くん。そこの初対面の2人にいきなり敵と教えるなんて。私はこれでも君たちと仲良くしたいと思ってるんですよ?」
のび太「何をしに来たんだ」
キョウの台詞を無視して、のび太はキョウの目的を探ろうとする。そんなのび太の態度を見ると、徐に内ポケットに手を入れる。そして、P(プレディション)メモリを取り出し、それを腰に巻いているガイアドライバーに挿入する。すると、その身体は瞬く間に異形の姿、プレディションドーパントに変化した。それを見た三人は腰にそれぞれベルトを巻いて、臨戦態勢をとった。
Pドーパント「そうですね〜、ちょっとした力試しってところですかね。私の実験の邪魔をして欲しくないというのもあるのですが、まあ、あれは最悪もうどうでもいいですね。一応の結果は見れましたし」
ドラえもん(別)「実験…まさか、今回の事件の黒幕は⁉︎」
Pドーパント「まあ私、ということになるのですかね。鳴滝にも協力してもらいましたが、言い出しっぺが私なのでそういうことになりますね」
それを聞いて、三人は激しい怒りを覚えた。それを知ってか知らずか、Pドーパントは、数本のTXガイアメモリを取り出す。
Pドーパント「さあ、そろそろ話は終わりです。言ったでしょう?目的は力試し、と。どんな力も実際に使ってみないことには使いこなせませんからね」
すると、Pドーパントは手に持ったガイアメモリを空へ放り投げる。そして胸にある口が牙を光らせながら大きく開くと、落ちてきたガイアメモリを飲み込み、バキバキと音を立てながら噛み砕く。その瞬間、Pドーパントの身体に変化が現れる。身体の胴や手足など所々に銀色の装甲が纏われ、頭部にはヘルメットが装着され赤く細い目や口を覆い隠す。更に、首元には毒々しい紫色のマフラーがたなびく。その姿は、以前の怪物然としたものとは打って変わって戦士の様な印象を受ける姿へと変わっていた。
のび太「変わった…?」
Pドーパント「さて、早速はじめましょう」
そう言うや否や、Pドーパントは脚に力を込め、踏み込む。
そして、一瞬で三人の元へと肉薄すると、その腕を振り上げる。
のび太(別)「速い⁉︎」
ドラえもん(別)「避けて!」
三人は何とかその場から離れる。そして次の瞬間、そこへPドーパントの拳が振り下ろされ、地面が砕ける。三人はそれを見ながら各々のベルトを巻く。そして、それぞれのアイテムを取り出す。
三人「変身!」
その言葉と共に三人の身体は大人と同じ位の体格となり、変身が完了する。そして、ディケイドとボルガは剣を、ガルガインは二丁の銃を持ち、Pドーパントへと駆け出す。
ディケイド「たあっ!」
Pドーパント「ふん」
ディケイドがPドーパントに斬りかかる。それを手甲のついた腕で受け止める。それを見るとすぐさま剣を引き、今度は横一閃に振るう。しかし、それを手刀で捌く。そこからPドーパントはもう片方の手で鳩尾めがけて拳を放つ。ディケイドは剣を握っている手を片方離し、咄嗟に受け止める。そして、その衝撃を利用して後方へと跳び、距離を取る。
ボルガ「やあっ!」
ガルガイン「えいっ!」
Pドーパント「甘い」
その直後、ボルガはPドーパントに突きを放つ。しかし、それは身体を捻ることで軽く避けられる。だが、そこからさらに踏み込み、身体を回転させそのまま切り裂こうとする。だが、Pドーパントは両腕の装甲の部分で上下から挟み込む、謂わば真剣白刃取りの様な形で防ぐ。それには流石にボルガも驚き、一瞬硬直する。その隙を逃さず蹴りを放とうとするが、後ろから接近してきたガルガインに気付き急遽その蹴りをそのままの状態で後方へ放つ。それに反応できなかったガルガインはそのまま蹴り飛ばされる。そして、正面のボルガの頭部と胴に裏拳の二連打を打ち込み怯んだところに追撃として後ろ回し蹴りを放つ。それを受けたボルガは吹き飛び、地面を転がる。
ディケイド「(何だ…前とは何もかもが違う⁉︎動きも一撃の重さも、全て)」
Pドーパント「三人掛かりで向かってきて、その程度ですか?だとしたら、期待外れなのですが」
ガルガイン「なんの!」
ボルガ「まだ、これからだ!」
Pドーパントと組み合ったディケイドは以前との違いに戸惑う。それを見たPドーパントは落胆の意を隠しもせずに、三人に言う。だが、ガルガインとボルガは勝負はこれからだという意の言葉を放つ。それを聞いたディケイドはカードを二枚取り出し、ベルトに連続で装填する。
《KAMENRIDE BRACK RX》
《FORMRIDE BIORIDER》
ディケイドは一度、DブラックRXへと変わり、そこから更に青い身体に赤い複眼、ロボライダーと比べて身軽そうな姿のバイオライダーへと変身した。
ボルガ「ええっ!」
ガルガイン「か、変わっちゃった…」
二人の驚くのを余所に、Dバイオライダーは専用武器である白銀に輝く細身の剣“バイオブレード”を構える。それを見たPドーパントも再び拳を構える。そして、二人は同時に地面を蹴り、飛び出した。お互いがお互いの間合いに入ったのを確認すると、Pドーパントが勢いを利用した鋭い拳を放つ。当たれば決して軽くない傷を負うであろうことは確実な攻撃をサッと身を翻して躱すと、今度はお返しとばかりに斬撃を放つ。それをさっきと同じように腕の手甲で防ごうとする。だが、Dバイオライダーは剣を持っていない左手でPドーパントの顔面を殴る。思わぬ不意打ちに怯むPドーパントに、ここぞとばかりに鋭く素早い斬撃を連続で放っていく。更に、相手からの反撃を警戒して相手の周りをぐるぐると回るように動いているので、結果としてPドーパントは全身が剣撃の嵐に晒される事となった。それでも、反撃として拳や蹴りが飛んでくるが、それらは剣で上手く受け流してき、その動きはまるで流れる水のようだ。
Pドーパント「くうぅ…ちょこまかと。だが、これはどうです!」
Dバイオライダー「⁉︎」
突如、Dバイオライダーの剣を防いでいた腕から鋭い刃が生え、その刃で剣を上に高く弾き飛ばす。それにより、無防備となったDバイオライダーに腕の刃で斬りかかる。だが、その刃が届く直前、Dバイオライダーの身体が青いゲル状へと変化する。当然、ゲル状態では斬撃など通用するはずもなく、無力化される。ゲル状態のDバイオライダーはPドーパントの周りを飛び回る。それをどうにかしようとPドーパントも攻撃するが、物理的な攻撃ではどうしようもない。
ガルガイン「はっ!」
ボルガ「やっ!」
Pドーパント「ぐあっ⁉︎」
ガルガイン「僕達もいることを忘れるな!」
ボルガ「そうだ!」
Pドーパント「おのれ…」
Dバイオライダーを落とす事に躍起になっていたPドーパントに、二丁の銃を突きつけたガルガインは零距離の連続射撃を見舞う。そして最後に蹴りを入れると、入れ替わるようにボルガが現れ手持ちの剣、そして足のレッグソードを使い怒涛の連撃を放つ。防御態勢をとるPドーパントだが、それでもかなりの数の斬撃を貰い思わず後ずさる。だが、そこへゲル状態のDバイオライダーが下降してきて、その身体に巻き付く。身動きを封じられたPドーパントを見てガルガインとボルガはポインターにミッションメモリを嵌めて起動し、脚に取り付ける。
《Exceed Charge》
ガルガインとボルガはポインターをPドーパントに向ける。すると、そこから光弾が放たれPドーパントの自由を完全に奪う。Dバイオライダーはすぐ様離れる。ガルガインとボルガは同時に走り出すと、同じタイミングで飛び上がり、これまた同じタイミングで飛び蹴りの姿勢を作る。そして、そのまま突っ込む。二人の蹴りがPドーパントに直撃すると、その身体を貫く。苦しみに悶えるPドーパントは数歩下がる。
《FINALATACKRIDE BU BU BU BRACK RX》
Pドーパント「しまった⁉︎」
上を向いたPドーパントが目にしたのはゲル化を解いたDバイオライダーが先程弾かれて現在落下しているバイオブレードをキャッチし、こちらに向かって振りかぶりながら落下してくる姿だった。よく見れば、その刀身は青く輝きを放っていた。
Dバイオライダー「はあああっ‼︎」
Pドーパント「ぐあああっ⁉︎」
必殺の斬撃技“スパークカッター”を落下の勢いと合わせて喰らったPドーパントは大量の火花を散らす。そして次の瞬間、爆発を起こす。三人はその爆発をじっと見ていたのだが、それが晴れた時ガルガインが疑問の声を上げる。
ガルガイン「…いない?」
ボルガ「逃げた、のか?」
ディケイド「多分そうだろうね」
敵がいなくなったのを確認した三人は変身を解き、一息つく。その時、のび太が空を見上げてあることに気づいた。
のび太「そろそろ帰らないと叱られるな」
のび太(別)「もうそんな時間⁉︎」
ドラえもん(別)「じゃあ、今日はここまでかな」
のび太「そうだね」
のび太(別)は思ったより時間が経っていることに驚き、ドラえもん(別)は調査を打ち切ろうとする。二人ともそれには反対しなかったので、解散する流れになる。
のび太「二人はキャンピングカプセルに戻るの?」
ドラえもん(別)「うん、そうだけど」
のび太「そう。じゃ、また明日」
のび太(別)「あ、じゃあね〜」
ドラえもん(別)「またね〜」
のび太は二人と別れて歩き出す。それを暫く見ていた二人だったが、やがてのび太の姿は見えなくなる。
ドラえもん(別)「僕達も帰ろうか」
のび太(別)「…」
ドラえもん(別)「のび太くん?」
のび太(別)「(この世界の僕…皆を巻き込みたくないって言ってたな。確かに、その気持ちは分かるけど…けど、それじゃあ…)」
ドラえもん(別)「のび太くん!」
のび太(別)「へっ⁉︎な、何?」
ドラえもん(別)「何じゃないよ。僕達も帰ろうよ」
のび太(別)「そうだね。行こうか」
ドラえもん(別)に急かされながら、のび太(別)はキャンピングカプセルのある裏山まで歩き出した。
小学校屋上
人々が寝静まった深夜、小学校の屋上に水のエルの姿があった。何を見ているのか、町の方に見ながらも微動だにしないその姿は何処か神々しく、そして不気味であった。
水のエル(究極)「…この世界は、危険だ。特にあの子供…ディケイドは何れ他の世界をも滅ぼす。そうなる前に…」
水のエルは怨恨のハルベルトを空に突き上げる。すると、その先端からとてつもない輝きの金色の光を放つ。その眩さにあたりは一面光に覆われ、視界が遮られる。そして、光が晴れた時、星々が輝く夜空には巨大な紋章があった。
水のエル(究極)「…」
その完成した紋章を見上げながら、水のエルは只々一言を言葉を発することもなく、黙っていた。
続く
如何だったでしょうか。かなり久々の投稿でおかしな部分などもあるかもしれません…。今後はもっと早いペースで更新していくよう努めさせていただきますので、どうかこれからもよろしくお願いします!では、次回はドラえもん のび太の仮面冒険記 第七話-後編-です。全てを破壊し、全てを守り抜け!