ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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ようやく大学の講義の資料が出来上がった……もう眠いよ………wwww
眠いのにめっさ書いちゃったよ……wwww


第6話〜本音と未来〜

かなりキツい状況だ。森の奥にある大樹の裏で辺りを警戒する。

変異体のガストレアは、他のそれでは話にならない程の力を備えていた。優れた視界や嗅覚、弾丸を口で受け止めてしまう程の洞察力と瞬発力、そして、あのスピード……。

 

「かなりヤバい状況だぞ、これ……」

 

………グルルル…

 

不味いな。近づいてきている。こちらの匂いを嗅ぎ付けているのか?どうする。このまま奴の前に飛び出し、目か脚を狙うか。もしくは背後から接近し、ショットガンを0距離でぶち込むか。どっちにしろ、失敗すれば終わり。

……試行錯誤していたそのときだった。

 

「てやぁあああっ!!」

 

変異体に攻撃を仕掛ける者が現れた。それは……俺が暴行を受けていた少女を民警に預けたときに出てきた、黒髪のツインテールの少女だった。イニシエーターだったのか。ランスを変異体の脚に突き刺し、そのまま突き放す。変異体は突き放されるも体制を立て直した。イニシエーターはランスを前に突き出し、駆け出した。

 

「くらえぇえええ!!」

 

ランスの先は変異体の右目を捕らえた。イニシエーターはそのままランスを押し込む。

 

「グルオオオオ!!」

 

苦悶の声をあげる変異体。脚に攻撃を食らったせいか、動けなかった。今回はあの少女に手柄はやるか……そう思った時だった。

 

「……!!」

 

変異体の尾部………サソリのような尾が上にあがり、先端から液体を出していたのだ。

 

「おい!!離れろ!!」

 

「えっ!?………!!!」

 

一瞬だった。尾はイニシエーターの脚部を狙っていた。尾が動き出すほんのコンマ二秒ほど。彼女は直ぐ様察知し、ランスを引き抜いて後方に跳んで、見事に躱したのだ。

 

「グルアオオオオ!!」

 

変異体がイニシエーターへ駆け出した。不味い。

俺はすかさず手榴弾のピンを抜いた。

 

「伏せろ!!」

 

イニシエーターにそう叫ぶと同時に、俺は変異体に手榴弾を投げつけた。手榴弾は変異体に当たると同時に爆発。変異体は怯んだ。

 

「こっちだ!!」

 

俺はイニシエーターに呼びかける。彼女はこちらへと駆け出した。そして、俺は彼女の手を引いて、森の奥へと入っていった。

 

 

「………ダメだ。」

 

無線がつながらない。森の中で、明崎 信也は彷徨っていた。

謎のガストレアが森にいるという報告を受け、明崎とそのイニシエーター、川野 実緒が現場へ向かった。だが、遭遇したガストレアは強力でかなりの苦戦を強いられた。このままでは全滅する。そう判断した信也は、実緒に二手に別れ、後で河口で落ち合うよう指示したのだ。

なんとかガストレアからは撒く事が出来た信也である。

 

「とりあえず……進むしか無いようだな。」

 

信也は辺りを警戒しながら河口を目指した。

 

 

森の奥にある、巨大なコンクリート製の土管の裏に隠れている俺と、黒髪ツインテールのイニシエーター。辺りを見渡す……まだ嗅ぎ付けられてはいないようだな。

 

「しばらくは大丈夫そうだな……」

 

「あ、あの……」

 

「ん?」

 

少女が俺を見上げる。

 

「あの、以前にリコちゃん……女の子を助けてくださった方、ですよね……?」

 

「あぁ、そうだな。あの子は元気かい?」

 

「は、はい。今、わたし達が責任を持って保護しておりますっ。」

 

「なら、良かった。」

 

「あ、あのっ、も、申し遅れましたが私、明崎民間警備会社のイニシエーター、モデル・ワスプ、川野 実緒と言います!」

 

ビシッと敬礼をしてきた。

 

「あ、あぁ。丁寧にどうも。……モデル・ホーク、小鳥遊 真だ、よろしく。」

 

「え……!?まこと………って……まさか!!」

 

少女……実緒は聞いてきた。

 

「あなたが……心音さんの、元・イニシエーター……!?」

 

「……あぁ。」

 

俺は答えた。少し口調が重くなってしまった。

 

「………そう、でしたか………申し訳ありません………」

 

頭を下げる実緒。

 

「謝る必要は無いさ。」

 

「…………あの、少し聞いてもいいですか?」

 

少し怖い気がしたが、俺は頷いた。

 

「何かな?」

 

「真さん…………あなたにとって、心音さんはどんな人ですか?」

 

どんな人…………か。

 

「……護りたい、人かな。」

 

「だったら、何でですか?」

 

「え?」

 

実緒の目は、どこか悲しげだった。

 

「何で……心音さんの側にいてあげないんですか?」

 

一瞬、喉の奥が詰まったような感覚がした。俺は口を開いた。

 

「………俺に、その資格が無いからだ。」

 

そう言った時だ。すかさず、実緒は言い放った。

 

「違いますよね?」

 

「…………」

 

「私、見たんです。こないだ、真さんが心音さんのご飯食べているのを、たまたま。」

 

見ていたのか。俺は何も言わない。

 

「あなたは分かっているはずです。心音さんがあなたを待っているってこと。心音さんはあなたともう一度生活したいと望んでいる。あなたがした事も気にしていない。むしろ感謝している。あなたは……本当は戻らなきゃいけないんじゃないんですか?彼女を護りたいのなら……あなたは民警に戻るべきなんじゃないんですか?」

 

鋭いなこの娘………その通りだ。俺は本当は………民警に戻るべきなんだろう。そうでないと、心音は護れない。だけど……

 

「……実緒ちゃん、だっけ。君は、自分がもしガストレアになったらって……考えたことはあるか?」

 

「え?」

 

「………俺は心音を傷つけた。けど、あいつはそのことは気にしていない……そんなことは分かっている。俺が怖いのは……俺がガストレアになった時に心音を傷つける事なんだ。俺に優しくしてくれた心音をまた傷つけるのが……俺の意識が消えた状態でそうしてしまうかもしれないのが………怖いんだ。」

 

初めて、誰かに話した。これが俺の本音だった。

 

「……真さん。」

 

実緒ちゃんは……俺の手を掴んだ。

 

「怖いのは……私も一緒です。けど、私はだからといって、プロモーターを護るために離ればなれになるのは……嫌です。私は、絶対生き残ります。それが、私を拾って育ててくれた…信也さんへの恩返しですから。」

 

「実緒ちゃん………」

 

「強がりなのは分かってます。でも、強がってないと……護りたいものも護れない………そう思ってますから。」

 

………凄いな、この娘は。その勇敢さに心を打たれた俺だった。この娘は逃げていない。明るい未来を信じて突き進んでいる。それに比べて俺は……ダメだな。逃げているだけじゃないか。

 

「……ありがとう、実緒ちゃん。」

 

空いている手で、彼女の頭を撫でた。

 

「真さん……。」

 

「決めたよ。俺も、絶対に生き残る。」

 

「……はいっ。」

 

実緒ちゃんははにかんだ。

 

………グオオオオオ………!!

 

「!?」

 

変異体の鳴き声……結構近づいて来たな…。

 

「ど、どうしましょう……!?」

 

俺はバッグの中を開いた。

 

「………!!」

 

俺は咄嗟に作戦を思いついた。そうだ、これだ。これなら……いけるかもしれない。

 

「ま、真さん?」

 

「………実緒ちゃん。」

 

俺は彼女の方を真っ直ぐ向いた。

 

「ちょっと、手伝ってもらえるかな?」

 

 

 

 




ヘタレ、解除!!そんな話になってしまった。ようはガストレアとして心音を傷つけたくないから、民警から手を引いていた、ということです。しかし、実緒がこんなに勇敢なキャラになるとは……我ながらビックリwww
今のところ、実緒の台詞が一番かっこいい気がしますwwww

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