ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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普段から小説を書くも、アイデアが即座に浮かばない僕なのですが、この作品はとてもスイスイ書けちゃいます(笑)
最近リア友から「将来作家なれば?」とか言われたりします(笑)
そんな大層な文章書けないのに…(笑)


第5話〜生き甲斐と変異〜

「私の仲間にならないか?私と君には、何かしらの運命を感じるんだが……」

 

マスケラ越しに、影胤は話す。

 

「運命……だと?」

 

「同じ、民警から去った者同士だろう?丁度同じような同胞が欲しい…というのも本音だ。」

 

こいつ……人間か?話し声から人ならざる何かを感じる。

 

「……あんたの目的は?」

 

「その前に一つ問おう……君の生き甲斐は、どこにある?」

 

俺の、生き甲斐……?何を言い出すと思えば。

 

「……ガストレアと戦うこと。それがどうした。」

 

「その戦いは、君の純粋な気持ちから生まれたものかい?」

 

「……何が言いたい。」

 

「君は戦いの中でしか生きることが出来ないのだろう?」

 

戦いの中でしか……生きられない……?

 

「私はね、力が、戦いが全てを支配する世界を望んでいるのだよ。弱いものは消え、力あるものが頂点に立つ………素晴らしいとは思わないかい?」

 

………なるほどな。

こいつは戦いの中でしか生きられない。それを受け入れて、自分にこんな仕打ちを強いたこの世界に歯向かい、従わせ、支配したい……と、いったところだろうな。

 

「………悪いが、俺は支配者になるつもりはない。」

 

「ほう……?」

 

「……俺は…この世界を恨んでもいないしな。俺はただ、自分が護りたいものがある。だから戦うだけだ。」

 

「ほう……中々いいことを言うじゃないか。」

 

「あんたが支配者になりたいなら好きにするといいさ。俺はそれを止めもしなければ、協力もしない。俺は護りたいもののために、戦う。支配なんて……する必要もない。」

 

「なるほど……残念だ。しかし、君はいい人だ。気が変わったらいつでもいいぞ?」

 

引き下がらないのか。ま、それもそうか。

 

「オマケに、俺は今の所は一人が心地良いんでな。」

 

「あくまでも孤高のイニシエーターを続けるか。まぁ、いいだろう。だが気をつけたまえよ?いつか君と戦うかもしれないのだからね。」

 

全く、言うと思ったぜ、その言葉。

 

「その時は……相手になるさ。」

 

「ふっふっふ……いい言葉だ。分かったよ、すまなかったね。ここで失礼するよ……行くぞ、娘よ。」

 

「はいパパ………」

 

立ち去ろうとする親子。娘の方が俺に問う。

 

「ねぇ、お兄さんは強いの?」

 

俺は微笑み、答えた。

 

「……想像にお任せするよ、お嬢さん。」

 

「じゃ、楽しみにしておくね……ふふっ。」

 

親子は暗闇の中へ消えていった。

 

「あんなやつも、いるんだな。」

 

俺は悟り、帰路を進んだ。

 

 

「生き甲斐……か。」

 

次の日の朝。

ソファに寝転び、影胤の言葉を思い出してみた。俺の生き甲斐は……戦い。護るための戦い。護りたいもの……

 

「心音………」

 

……今度は、私があなたを護るから。

 

「あいつも、か……?」

 

あいつは新米の時からずっと言っていた。自分が民警に入ったのは、ガストレアから人々を護りたいから……と。

あいつは高校生時代に、家族をガストレアに奪われた。それからあいつはプロモーターの養成所に入り、自分の力に磨きをかけプロモーターとなり、俺と組んだ。

もう2度と、自分と同じような被害者を出さないためにも。

 

「俺には……親すらいなかったな。」

 

俺は両親を知らない。俺は赤子のときに捨てられたようで、「呪われた子供たち」を保護する宗教団体に拾われ、その孤児院で育った。だが、その孤児院は経営難で破綻。そんな俺を一人さまよっていたところを拾ってくれたのが、明崎 信也……社長だった。

社長は俺にイニシエーターの道を示してくれた。俺はイニシエーターの養成所に入り、正式にイニシエーターになった。だが、立て続けにプロモーターを失い、心音を傷付けしまった……。

 

「………俺は…イニシエーターになってよかったのか?」

 

俺は……イニシエーターとして、誰かに必要とされたか……?

 

「………心音…。」

 

やっぱり、あいつに辿り着く。俺は心音から頼りにされていた。1番、俺のことを頼りにしていただろう。

そうでなければ、あんなことを俺に言わない。

………待ってるから。

少し胸が痛くなった。あいつの気持ちを無下にしているようで。

だが、俺は戻らない……俺は独りでも戦う。プロモーターは要らない。

 

「あんな悲劇は……もうごめんだ。」

 

俺は武器をバッグに家を出た。ガストレア狩りの時間だ。

 

 

時計は朝の9時を指していた。

俺は森の中を歩く。ライフルのグリップを握り、辺りを警戒する。

 

「……………妙だな。」

 

ここら辺にはガストレアがどこから湧き出ているのかと思うほど現れるはすだが、今日は少ない。それどころか、さっきから見つかるのは、ガストレアの死骸ばかり。どの死骸にも噛みちぎられた後がある。

 

ー……ガルルル……

 

「?」

 

遠くの方から、獣のような呻き声。その方へゆっくりと足を進めた。

足を進める程、呻き声が大きくなるとともに、肉が千切れる音もした。まさか、ガストレアがガストレアを食べているのか…?

俺は木の陰に隠れ、覗いた……。

 

「⁉︎」

 

考え難い、信じ難い光景だった。本当に、ガストレアがガストレアを食べていたのだ。

しかもだ。食べている側のガストレアは、通常ではあり得ない容姿をしていたのだ。

顔はライオン、尾はサソリ、足はチーター、背中はカメ、鼻の部分がサイの角のようになっている。

顔がライオンだとすると、元はモデル・ライオンのガストレア。今となってはその原型はほぼ無い……「変異体」と呼ぶに相応しいだろう。

俺はライフルの銃口を、その変異体に向けた。

狙うはまず頭部。

 

「‼︎」

 

トリガーを引いた。

銃弾はガストレアの頭部にヒット。

……したように見えた。

 

「⁉︎」

 

そのガストレアはこちらが放った弾丸を、その牙で受け止めたのだ。

 

「ガルルル………グオオオオオッ‼︎」

 

咆哮する変異体。俺は再びトリガーを引く。銃撃は全てかわされた。

 

「くそっ……‼︎」

 

こいつはまずい……‼︎

俺は手榴弾のピンを抜き、ガストレアの足元に投げつけて、辺り一面の視界を真っ白にし、その場から一時撤退した………。




大ピーンチ‼︎お決まりの大ピーンチ‼︎(笑)
自分で書いていてもドキドキのワクワクだぜっ‼︎(笑)

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