ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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第二部スタートです。
当初の予定より早く投稿しました。
久々にガストレアとの戦闘書いてみるww


〜崩壊せし絆〜
第46話〜立場と嬉しさ〜


月光が辺りを照らす夜。今日も俺たちは戦う。

 

「グォオオオ……ッ!!」

 

呻き声を上げる異形の怪物……ガストレア。ステージ1のモデル・エレファント。

物陰に隠れ、隙を伺う俺…小鳥遊 真は、通常のスナイパーライフルの銃口をガストレアに向けていた。

その俺の隣には、相棒の徳崎 心音。

 

「どう?なんか動きは?」

 

「今の所ない。こちらに背を見せたときに畳み掛けるぞ。」

 

「オッケ。」

 

心音が刀を逆手に持って構える。

…………ガストレアが背を見せた。

 

「!!」

 

俺は弾丸を連射。

弾丸を喰らったガストレアはこちらを向きなおすも、遅かった。

 

「ていやああああああっ!!」

 

心音の刀がガストレアの胴体を、縦に真っ直ぐ斬り裂く。ガストレアは叫び声を上げた後、体液を噴出しながら肉片へと化した。

 

「やったねダーリン!!」

 

心音が駆け寄る。

 

「おう。」

 

俺は実緒に通信を入れる。

 

「実緒、こっちは片付いた。そっちは?」

 

『今目の前にいます。ですが、すぐに片付けられますので、先にキャンプに戻っておいて下さい。』

 

「了解だ。」

 

俺は通信を切る。

 

「キャンプに戻るぞ。リコちゃんの方も大丈夫だろ。」

 

「そうだね!あれから強くなったからねー、あの二人。私たちも負けてられないね!!」

 

俺たちはキャンプに向かった。

 

 

 

 

「キシャアアアアッ!!」

 

糸を吐くガストレア…モデル・スパイダー。

それを躱し、ガストレアの胴体にランスを突き刺して、振り払って吹っ飛ばす私…川野 実緒。

 

「シグマ!!」

 

私の背後から飛び出して行ったのは、メイド服に身を包んだ私のプロモーター…シグマ。

 

「!!」

 

シグマは体を猛スピードで回転しながら突っ込み、ガストレアの右脚を全て斬り落とした。

 

「キエエエエエエッ!!」

 

体を支えることが出来なくなったガストレアは地面に倒れる。その上にシグマが立つ。

 

「……お命、頂戴いたします。」

 

鎌の刃をガストレアの胴体に突き刺し、刃を引き抜く。

 

「っ!!」

 

シグマが降りて刃をしまった時、ガストレアは飛散した。

 

「損傷0、消耗5%、タイム2分12秒53。自己評価ポイント95。……任務完了です。」

 

「お疲れシグマ。キャンプに戻りましょ。」

 

「はい。」

 

 

 

 

「てやっ!!」

 

手裏剣を投げて牽制するのは、私…水瀬 リコのパートナー、土条寺 知哉。

川の中流付近にてガストレア…モデル・イールと対峙している私たち。

 

「そこ!!」

 

水面を滑りながら銃弾を浴びせ、怯ませる。

 

「キュルルルルルッ!!」

 

「知哉!!」

 

「承知!!斬ッ!!」

 

一瞬でガストレアをバラバラに斬り裂く。肉片となったガストレアは川に流れていく。

 

「決まったでござる……!!」

 

刀を鞘に収め、一息。私は知哉に駆け寄る。

 

「やったね知哉!!」

 

「うむ。リコ殿の援護のおかげでござる。さ、キャンプに戻るでござる。」

 

「うん!!」

 

私たちはキャンプに向かった。

 

 

 

「戻ったよー!!」

 

「ちょ、心音!!戻ってきたから離れろ!!」

 

「だが断る!!私には戦闘以外はいついかなる場合でも真を愛でる義務がある!!」

 

「勝手に義務化すんな!!」

 

リコちゃん達が戻ってきた。

心音はキャンプに戻るやすかさず俺に抱きつき始めたのだ。

ここまでくると流石に少し鬱陶しくもなったりするのだが、断れずに受け入れてしまう俺がいるわけだ。

 

「あー……せ、拙者たちはお邪魔なようでござるな。社長たちを探してくるでござ…」

 

「気にすんな知哉!!ほら離れた!!」

 

俺は心音をようやく振り払う。

 

「きゃんっ……むう…真のヘタレ。」

 

「お前なぁ……。」

 

「あ、遅れてごめんなさーい。」

 

実緒とシグマが戻ってきた。

 

「あ、お疲れー。」

 

「…真様、どうなさいました?体温が高いですが……。」

 

シグマが俺を見つめ問う。

 

「き、気にすんな。それより、他のガストレアは?」

 

美緒に訊く。

 

「あ、はい。今日のところはもう大丈夫みたいです。事務所に戻りましょう。」

 

「おう。」

 

「さ、帰ったら夕飯の仕込みっ!!」

 

俺たちは事務所に戻った。

 

 

 

 

 

 

「そうですか。小鳥遊様は、ガストレア・ヒューマンのプロトタイプ……。」

 

「あぁ、そういうことだ。」

 

俺は一人、聖天子のもとを訪ねていた。会社全体としての、博多エリアにおけるガストレア・ヒューマン騒動の報告は済ませたのだが、俺の過去についての話は出来なかったのだ。

というわけで、俺は聖天子の邸宅にて自分の過去について、データと共に話をしていた。

 

「………つまりだ。あんたが今こうして話しているこの俺は、イニシエーターであってそうじゃない。ガストレア・ヒューマン……民警が排除対象としている輩の一つって訳だ。」

 

「………何を仰りたいのですか?」

 

「………俺は本当は、あんたらの敵だってことさ。あんたが命じれば、俺はすぐにでも抹殺……いや、排除の対象になる。俺を野放しにすれば、あんたは罠にかかった標的を逃したことになる。どうなんだ?あんたの意見を聞きたい。俺という存在は……この世界において、何の立場にいるべきなのかを、な。」

 

その問いに、聖天子は答えた。

 

「………小鳥遊様には、これまで通りイニシエーターとして、ガストレアの撃退をお願いいたします。」

 

「………いいのか?」

 

「……私の勘でしかないのですが…小鳥遊様なら大丈夫、と考えました。」

 

「……へっ、そうかよ。」

 

俺はカップをソーサーに戻した。

 

「それに、明崎様も生前申しておりました。『奴はどんなに謎だろうと、俺たちの会社のイニシエーターだ』と。」

 

「信也が……。」

 

それを聞いて、心が落ち着いた。俺はイニシエーターでいい。いや、そうでなくては、な。

 

「……わかった。ありがとうな。」

 

「あなたの恋人様方にも、よろしくお伝えください。」

 

聖天子は微笑んだ。

 

「おう。」

 

俺は邸宅を後にした。

 

 

 

「ただいまー。」

 

会社に戻ってきた。心音がキッチンで何やら調理していた。

 

「あ、おかえりダーリン。聖天子様、どんな感じだった?」

 

「どうもこうも相変わらずだよ……あれ、他のみんなは?」

 

辺りを見渡すも、実緒たちの姿がない。

 

「えーと、実緒とシグマが天童さんのところで、リコちゃんと知哉くんは買い出しに行って貰ってるわ。二人きりだよ、やったね!!」

 

何を言うとるんだ。俺は手を洗ってうがいをし、冷蔵庫のコーラを取り出した。

 

「………お。」

 

夕日綺麗だな。俺はベランダに出る。

 

「……俺はイニシエーターか。」

 

胸の前に拳を作って、強く握りしめる。

 

「へへっ。」

 

俺は嬉しかった。




次回から新キャラも出ます。
これからも宜しくお願いします。

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