ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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遂に40話⁉︎
自分でもビックリだぜおい‼︎www


第40話〜対応と我慢〜

「はぁ………真ぉ……真分が足りない……。」

 

「ちょ、心音お姉ちゃん、大丈夫?」

 

私、水瀬 リコは心音お姉ちゃんと買い物に来ていた。ホテルの飲み物などは高いため、近くのスーパーで買った方が安上がりのため、そうすることにした。あ、もちろんお土産も探してますよ。

 

「うん、大丈夫じゃない。」

 

「いや、即答しないでよ。しっかりしてよ。ほら、今日だけだからさ、こうやってペア以外で動くのは。」

 

「分かってるよぅ…分かってますよぅ……もう、リコたんおっとな〜。」

 

心音お姉ちゃんは私を撫でくりまわす。

 

「と、とりあえず落ち着こ?私だってその、知哉と会えないのちょっと寂しいっていうか………。」

 

「むー……分かった耐えるー。帰ったらソッコー真を襲うー。」

 

「こ、怖いって………。」

 

私は苦笑いをしながら買い物を続けた。

 

 

 

 

「はぁ………何となくこうなる気はしてたんだよな…」

 

長瀬家の裏庭。そこには模擬戦用のフィールドが広がっていた。

俺…小鳥遊 真と、シグマの前には……この家の主である長瀬 飛鳥とそのイニシエーター、季崎 火乃が立っていた。

 

「あんたらが私に勝ったら、協力でもなんでもしたげるわ。あたしらが勝ったら、あんたらはこの件から手を引き、余計な真似をしないこと……いいわね?」

 

「あー、分かったよ。悪りぃなシグマ。変なときに…」

 

「いえ、問題ありません。それにこうなることを見越して、実緒様は本日の行動のペアをくじで決めたのですから。」

 

「? どういうことだよ、それ。」

 

「いついかなるときでも、その場に応じた対応が出来るかどうか……というわけです。」

 

なるほどな。確かに、実戦でも何が起こるか分からないからな。

 

「さて、じゃ……やるとしますか?」

 

俺は両手にマシンガン、シグマは鎌を引き伸ばし、刃を展開。先日、紅音に作ってもらったおNEWの武器だ。

 

「ふん‼︎ 行くわよ飛鳥‼︎ あいつらに一泡吹かせてやるんだから‼︎」

 

「もう……あまりやりたくは無いのに………仕方ありませんか。」

 

火乃は爪を伸ばし、身を低くして構える。長瀬はハンドガン程の大きさのチェーンソーを取り出し、片手に握る。

 

「じょ、序列395位、長瀬 飛鳥。」

 

「同じく、395位、モデル・ウルフ 季崎 火乃‼︎」

 

「序列325位、モデル・ホーク 小鳥遊 真‼︎」

 

「序列695位、コードネーム・シグマ。」

 

「じゃあ……行くわよ‼︎」

 

火乃が猛スピードで飛び出してきた。瞬時に俺の目の前に現れ、爪を振るう。俺は身を翻して躱す。確かに速いな。

 

「そらそらっ‼︎」

 

躱したところに再び現れる。マシンガンの引き金を引く。

 

「遅いっ‼︎」

 

爪を振るう。

捉えたとでも思ったか……

 

「甘いな。」

 

右手の銃口は振り翳した彼女の右手に、左手の銃口は彼女の心臓部に接触していた。

 

「な…………っ⁉︎」

 

「お前のスピードは確かに速い。久々に俺も能力を使ったくらいだからな。だが、お前の行動はワンパターンすぎる。それに……足元見てみ?」

 

「………っ⁉︎ ウソ……っ⁉︎」

 

彼女の右脚は黄色い塗料が付着していた。そう、俺が今回使っていたのはペイント弾。最初に引き金を引いたときにペイント弾は彼女の右脚に着弾したのだ。

 

「あの時、実戦なら勝負は着いていた。右脚を撃ち抜かれた時点で、移動はほぼ不可能……。」

 

「そんな……っ。」

 

火乃は崩れ落ちた。

俺は彼女の肩に手を置く。

 

「でもまぁ、俺も中々苦戦したよ。なんだかんだ言っても、弾が当たったのはマグレなところもあるし……集中しなきゃいけねぇから、結構キツかったぜ。お前凄いよ。あんなスピード、実際見たことなかったしな。」

 

「ふ……ふっ、ふんっ‼︎ ほ、褒めてるつもりだか知らないけど、ぜっ、全然嬉しく無いんだからねっ‼︎」

 

火乃は腕を組み、そっぽを向いた。耳と尻尾が動いている。嬉しいのが丸わかりだ。ってか、これ、狼ってよりは犬なんじゃないのか……?

 

「さてさて、あちらの方は……」

 

 

 

「っ‼︎」

 

私と長瀬様の接戦が続いていた。

お互いの刃がぶつかり合い、火の粉を散らす。

 

「流石はお嬢様ですね……何か体術をお習いでございますか?」

 

「ふふ……まぁ、色々……とっ‼︎」

 

長瀬様のハンドチェーンソーが向かってくる。私は鎌で応戦する。鎌とチェーンソーがぶつかり合い、離れた瞬間に、長瀬様の足払いが入る。私は高く跳び上がって躱し、鎌の刃の角度を90度回転し、薙刀のようにする。

 

「‼︎」

 

急降下し、武器を振り下ろす。長瀬様はチェーンソーで受け止める。

 

「くっ⁉︎」

 

チェーンソーの芯を外して狙った一撃に耐えきれず、長瀬様は膝を着いた。

 

「………勝負ありです。」

 

そのまま、鎌の刃の角度を戻した。このまま横に振り抜けば、身体は真っ二つ。

 

「お見事…です。」

 

 

 

「そ、そんな⁉︎」

 

火乃が目を見開く。

 

「どうやら、俺たちの勝ちだな。」

 

勝負を終えたシグマと長瀬がこちらに歩み寄る。

 

「お二人共お見事でした。」

 

長瀬が頭を下げる。

 

「ちょっと飛鳥⁉︎あんた、ちゃんと本気だしたの⁉︎」

 

火乃が吠える。

 

「当然よ。シグマ様は強かったわ。あなた言ってたじゃない。手加減無しって、こっそりと。」

 

「むぅ〜……」

 

火乃は腕を組み、俺たちに指差す。

 

「まぁいいわ、協力したげる。あたしらの足手まといにはならないことねっ‼︎ 分かった⁉︎」

 

「あいあい……」

 

やれやれ……こんなイニシエーター持って、大変だな、お嬢様も。

 

「では、今度改めて社長と共に挨拶に伺います。その時に詳しい対策を。」

 

「えぇ、かしこまりました。」

 

「とりあえず、何かあったら連絡する。その時は頼むな。」

 

「はい、お任せを。」

 

俺たちは彼女らと握手をかわし、その場を後にし、ホテルへ戻った。

 

 

 

「ただいま………」

 

俺はホテルの部屋に戻ってきた。

 

「だーあーりぃーん‼︎ おっかえりなのー‼︎」

 

心音が飛びついてきた。予想通りだ、ったく。

 

「はいはいはい……」

 

俺は心音の頭を撫でてやる。猫みたいにすり寄ってくる。

 

「にゃう〜ん。だーりん、だーりん、だーりんりんっ。」

 

ダメだこの相棒……色んな意味で。俺は荷物を置く。

 

「それで?水とかお菓子とかは?」

 

「うん‼︎ コンビニとかスーパーで買ってきたよ‼︎ 見て見て‼︎ 博多のひよこ‼︎帰って東京のひよこと食べ比べしようよ‼︎」

 

中身って違ったっけあれ……ま、いいか。

俺の大好きなアーモンドチョコもあるな。俺はアーモンドチョコの箱を取り、開ける。

 

「だーりん、一個ちょーだいっ。」

 

「お前自分のあるだろ?」

 

「やだやだぁー。だーりん食べさせてぇ〜‼︎」

 

この色ボケ女……はぁ。

 

「早くっ、早くっ、あーん。」

 

口を開ける。俺はそこにチョコを一粒放り込んでやる。

 

「んん〜……やっぱこれだよね‼︎」

 

どれ、俺も一粒……うん、いい甘さだ。

 

「真、まーことっ。」

 

心音は…唇でチョコを挟み、顔を近づく。

 

「なっ⁉︎ なな、何やらせようとしてんだっ‼︎ やらねーぞ‼︎ やらねーからな⁉︎」

 

「うー……んーっ‼︎」

 

「んんっ⁉︎」

 

心音は俺を押し倒し、チョコを口移しで俺に食べさせた。

 

「えっへへ……どう?キュンキュンしちゃった?」

 

「あっ、あのなぁ………」

 

心音は俺に覆いかぶさったまま、抱きつく。

 

「だって……寂しかったんだもん……。」

 

耳元で囁く。

 

「少しくらい我慢しろよ。」

 

「だって…………だって……」

 

「? 何だよ?」

 

「………何でもない。」

 

心音………何かあったのか?心音は俺にしがみつくように抱きついている。

 

……コンコン

 

ノックの音。心音が離れた。会議の時間だ。今日はこの部屋で、だな。

俺はドアを開ける。

 

「お疲れ様です。」

 

実緒とシグマ、リコと知哉が来ていた。

 

「おお、入れ。」

 

全員が部屋に揃い、ソファとベッドに座る。実緒が中央に立つ。

 

「では、博多1日目お疲れ様でした。今日はこの後、ホテルの一階で夕食です。その後は自由ですので、ゆっくり明日に備えてください。………では、各々報告を願います。先ずは、リコちゃんと心音さん。」

 

心音が立ち上がり、スマホのリストを出す。

 

「今日買ったのは主に、水分とおやつ、ね。それぞれの部屋にあると思うから、好きに食べ飲みして。あと、コンビニの店員に話を聞けたんだけど、昨晩、黒い手袋の怪しい男が店の外をフラついていて、新博多大学の方に向かったみたいよ。」

 

新博多大学……やっぱ怪しいか。

 

「了解しました。ありがとうございます。次は、真さんとシグマ。」

 

俺は立ち上がる。

 

「長瀬民間警備会社には、事件解決のため、協力してもらうことにした。明日、俺たちが新博多大学にいるときに、実緒は挨拶に行ってくれ。」

 

「あ、はい、了解しました。では……私から報告します。」

 

実緒は地図を広げる。そこには赤いバツ印が7つあった。

 

「バツ印の事件現場周辺の人達に聞き込みをしたところ、怪しいと思われる大学のサークルが判明しました。」

 

そこへ、知哉が言う。

 

「生物研究サークル………どうやらここ最近、そのサークルの部室から、夜な夜な変な音がするとのことらしい。」

 

「……調べる必要があるな。」

 

「明日は、私とダーリン、リコちゃんと知哉くんで大学の調査……ね。」

 

俺と心音が実緒を見る。実緒は頷く。

 

「明日の大学への潜入……装備は万全の体制でお願いします。………以上です。」

 

俺たちは座る。

 

「よし、では、腹ごしらえと行こう。腹が減っては戦は出来ないでござるよ。」

 

知哉は立ち上がる。

 

「そうだな。行こうぜ、皆。」

 

俺たちは夕食に向かう。心音は俺の腕を組む。

 

「ダーリン、またあーんしてっ。」

 

自重しろっての……。




次回は久々に本当の戦闘シーン入ります。模擬戦じゃないよ‼︎www
更新ペース遅くて申し訳ないです……(ーー;)
なるべく早く出来るよう善処します。

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